学園デュエル・マスターズ WildCards【完結】 作:タク@DMP
――俺と、巨龍のデュエル。
こうしてみると、非常に強大な魔力をひしひしと感じる。
そして、水晶から現れたという異常極まりない出自が気になって仕方がない。
「とにかく、お前を此処で止める。俺のターン、2マナで《ヤッタレマン》召喚だ」
だけど、今は迷っている暇はない!
一先ず、初動は完璧。《ヤッタレマン》で後続のジョーカーズのコストを下げていく。
応援器具を装備した応援団が飛び出す。
「我が……ターン。呪文、《フェアリー・ライフ》を詠唱! その能力で、山札の上から1枚をマナゾーンに置く。ターンエンドだ」
巨龍は喋りもせず、その魂から声が響いてくるようだ。
相手の動き出しは至って平凡なマナブースト。
……参ったな。見たところ、墓地を使うものではないみたいだが……。
とにかく、こちらもジョーカーズの黄金ムーブで展開していくしかない。
そのまま、一気に物量で攻め落とす!
「俺のターン、1マナで《ジョジョジョ・ジョーカーズ》! その効果で、山札の上から4枚を見る。その中から1枚を選択し、それがジョーカーズクリーチャーなら手札に加える! さらに《パーリ騎士》を召喚して、墓地のカードをマナゾーンに!」
「単調だな。それが、音に聞く……ジョーカーズか」
「……!」
「白銀耀。
巨龍は4枚のマナをタップする。
「呪文、《クリスタル・メモリー》詠唱。その効果で、山札を見て、好きなカードを手札に加える。ターンエンドだ」
手札で何らかのコンボパーツをそろえているのか?
だけど、分からない。
あいつがどういうデッキなのか、そんでもってどうやって動いてくるのか。
それが全く読めない。
だけど――
「お前に何と言われようが関係ない。俺のターン、4マナで《ヘルコプ太》召喚! その能力で場のジョーカーズの数だけドローだ」
展開で尽きかけた手札であったが――一気にそれらは補給される事となる。
これで、増援の準備も出来た。
手札には、《メラビート・ザ・ジョニー》に《超Z級 ゲキシンオー》も揃っている。
完璧だ!
「我がターン、《
「……へっ、悠長にしてたら負けちまうぜ。このターンでお終いにしてやるよ!」
攻め手は全て揃った。
これで終わらせてやる!
「6マナをタップ――迸れ、炎のジョーカーズ!!」
浮かび上がるのはMASTERの紋章。
それが炎で燃え上がり、そして遠くから聞こえる風の音。
「これが俺の
灼熱に燃え盛ったガンマン、そしてバイクへと変形した愛馬シルバーが戦場へ駆けつける。
だけど、これで終わりじゃない。
俺の手札には、まだ2つの弾丸が込められている!
「さあ行くぜ!! マスター・W・メラビートでJ・O・Eを持つクリーチャーを2体までバトルゾーンに出す!」
背後から燃え盛る炎の弾が2つ、身体を掠めた。
「チョートッQ、バーニングモードだ!!」
『応、であります!!』
駆け巡る炎は、戦場へ思いっきり突き刺さる。
まずは1発。
「これが俺の
『轢かれないように注意するでありますよ!!』
そして、2発!!
見上げるほどの巨体が、全てを粉砕する為に降り立った。
「これが俺の
これで、全ては揃った。
まずは、あいつのクリーチャーから全て焼き払う!
「まずは場にジョーカーズが5体以上いるから、《メラビート・ザ・ジョニー》で相手のクリーチャーを全て焼き払う!!」
「ぐぬうっ……!!」
燃える炎のボードが大地を一刀両断。
溶岩が溢れ出し、大男の場のクリーチャーを全て焼き払った。
だけど、これだけじゃ終わらない!!
「まだまだあ!! 《ゲキシンオー》の登場時効果で、場のジョーカーズの数だけ相手のシールドを直接ブレイクだ!!」
「ぐおおっ……!!」
高く飛び上がり、地面に巨大な重機の拳が楔となって撃ち込まれた。
大地の悲鳴と共に、大男を守る盾も皆、震えて砕けた。
これで、あいつを守るカードは何もない!!
「これで、お終いだ!! 《ゴートッQ》で――」
「甘いぜ!! シールドトリガー発動!!」
次の瞬間、粉砕されたシールドが門を象った。
こ、これって――
「俺があの時、《クリスタル・メモリー》を使った時点で、お前の負けは確定していた……! 山札と手札のカードから逆算して、俺
はシールドに何のカードがあるのか把握してたんだよ!! 呪文、《蒼龍の大地》!! 効果でマナゾーンのコストより小さいクリーチャーを場に出す!!」
門から現れたのは1つの影。
それは、この状況を覆せるようなものには見えない程凡庸な姿。
しかし。その胸には胎児のようなものが蠢いていた。
「さあ、我が
《電磁無頼アカシック・サード》!」
浮かび上がるのは、ローマ数字のⅩ。確か、司るのは運命の輪。
あれが、あいつの中にあるエリアフォースカード……!?
オオオオオオオオアアア、と雄叫びを上げた獣人。
それは、全ての運命の変転を司るクリーチャーであるとは――この時、俺は夢にも思わなかった。
「そして、《蒼龍の大地》の効果で出したクリーチャーが自然か火の場合、相手のクリーチャー1体とバトルさせる! バトル相手は《ゴートッQ》だ!」
『はっ、甘いでありますよ!! そいつは、パワー1000の貧弱クリーチャー、我はこう見えてもパワー8000。バトルでおいそれとは負けないでありますよ!』
「ああ、このままならな!」
次の瞬間、彼の拳が天高く突き上げられる。
「《アカシック・サード》の効果発動!! バトルの時、山札の上を捲り、クリーチャーが出るまで表向きにする!」
「……!?」
山札の上。
いきなり、それが表向きになった。
クリーチャーだ。そういえばさっき、山札を操作していたような――
「そして、《アカシック・サード》は捲れたクリーチャーに”変身”する!!」
「……は?」
困惑。
そして、次の瞬間言い知れない恐怖が俺を襲った。
変身する、って――何にでもなれる、ってことか!?
次の瞬間、《アカシック・サード》の身体が変貌していった。
杓炎に染まった鎧、巨大な体躯。
広げられた翼――それは、勝利を呼び覚ます伝説であった。
「――捲れたのは、《勝利のレジェンド ドギラゴン》だ」
次の瞬間、その巨大な鍵爪が《ゴートッQ》の身体を一瞬で粉砕する。
『ぐえぁっ……!!』
「ゴートッQ!!」
確かあのクリーチャーは、パワー14000で、スピードアタッカーのT・ブレイカー。
さらに場に出たターンに相手のクリーチャーを攻撃するという能力を持っていた。
だけど、此処で俺を追い詰めたのは最後の能力だった。
「バトルは当然、《ドギラゴン》に変化した《アカシック・サード》の勝利……だが、これだけで終わらせねえ。《勝利のレジェンド ドギラゴン》がバトルに勝った時、次の自分のターンのはじめまで、自分はゲームに負けず、相手はゲームに勝てない。つまり、これ以上の攻撃は無駄ということだ!!」
大男の周囲に防壁が貼られていく。
せ、攻めきれなかった!? それに、何なんだあのクリーチャーは!?
「そして2枚目のシールド・トリガー! 《フューチャー・カプセル》! 山札の上から5枚を見て、それを好きな順で入れ替える!」
「また山札操作……!?」
「さてと。まだ、何かやる事はあるか?」
「っ……ターンエンド」
その宣言と共に、巨大な龍は元の獣人の姿へ戻ってしまう。
更に、《ゲキシンオー》も山札の下に戻ってしまう。
幸い、俺の場にはタップされたクリーチャーは1体も居ないが――
「じゃあ、このターンで終わりだな」
「――な、何だと!?」
大男は4枚のマナをタップする。
そして――
「呪文、《
「っ……《ヤッタレマン》を選択だ!!」
まずい。
再び、《アカシック・サード》の効果が発動するってことか!?
「知っているか? この世で最も強い生き物を」
「……!?」
ハハハハハ、と高笑いを隠せない彼は続けた。
「それは我らがドラゴンだ。神よりも神聖で、悪魔の如き力を宿した無敵の生物!! さあさあさあ!! その身に我らが希望の星を宿せ!! 孕め!! 身籠れ!!」
次の瞬間、そこにはローマ数字のⅩⅤが浮かび上がる。
「もう1つの……エリアフォースカード……!!」
捲られる山札。
突きつけ、俺を屈服させ、絶望させるかの如く。
運命は既に決められていた。
眩い閃光。
悍ましい叫び。
そして、地獄の炎。
全てが入り混じり、混沌に抱かれ、大地へ舞い降りた。
「全ては我が希望の星が定めた運命の輪。
竜の断罪、その身に受けよ――我が名は《竜魔神王 バルカディアNEX》ッ!!」
それは、全てを滅し悪魔。全てを統べし天使。そして、両者を束ねた最強の龍。
漆黒の翼を広げ、戦場を駆けたとき。
全ては跪くしかなかった。
運命の輪が指し示す決められた道筋を前にして。
「《バルカディアNEX》へ変身した《アカシック・サード》のパワーは25000。《ヤッタレマン》を強制バトルで破壊!!」
「っ……嘘だろ」
「《バルカディアNEX》はコスト15で進化元もエンジェル・コマンドとデーモン・コマンド、アーマード・ドラゴンからいずれかを3体選んで進化させねえといけねえ超巨大進化獣。しかしだ! 依代にその体を降ろすなら話は早い!! 《アカシック・サード》はそれを可能にする!!」
む、無茶苦茶だ……!!
こんな方法、ありかよ!!
「《バルカディアNEX》が居る限り、相手は呪文を唱えられない。そして、《バルカディアNEX》が攻撃するとき、相手のクリーチャーを1体選んで破壊する!! 《メラビート・ザ・ジョニー》を破壊!!」
巨大な翼が羽ばたく。
それだけで瘴気が満ちていく。
全てが枯れ落ちていくような錯覚に陥る。
いや、現に俺のクリーチャーは皆枯れ落ちていった。
「そして《バルカディアNEX》が攻撃するとき、山札を見て、好きなドラゴンかコマンドを場に出せる!!」
大地が再び裂けた。
そして現れたのは――
「マナゾーンの《悪魔神 バロム・クエイク》を進化元に――《悪魔神 バロム・クエイク》を場に出す」
「っ……嘘だろ!? 全部、封じられた!?」
終焉の悪魔神。
その効果は俺もよく知っていた。
黒鳥さんが使っていたからだ。全ての悪魔以外のクリーチャーを滅ぼし、そしてコストを支払わずにクリーチャーが場に出る代わりに、マナゾーンに置く――呪文も同じく封じられたこの時点で、俺に勝ち目が無くなった事を悟らざるを得なかった。
まず、俺の場は全て滅ぶ。
後には何も残らない。
亡骸さえも、見えなくなった時。
「《バルカディアNEX》でシールドをワールドブレイク」
意識が、その時点で吹き飛んだ。
突風と共に全てのシールドが俺を貫く。
そして、巨大な影が――俺の眼前に迫った。
通用しない。
圧倒的な力を前にして、俺達が今まで培ってきたものが何もかも通用しない。
「教えてやる、人間。お前の無力さを。我らが裁きに抗うこと無く、ひれ伏せ」
俺はその声こそ聞こえていた。
か細く、だけど力を振り絞り、俺は問いかける。
「テメェらは……何者なんだ……この……世界を、どうするつもりだ……!」
「まだ闘志を絶やさないか」
殺される――くそっ、此処で終わりかよ。
こんなところで……!!
駄目だ。もう、考える余裕も何もない。
目の前に降り注ぐ暗黒の一撃に目を向けるしかない――
「我らは真龍の子。全ては、審判のカードの意思の元に──」
悪魔神の鉄槌が俺を押し潰す。
溢れんばかりの闇に飲み込まれ――俺は今度こそ、光を手放した。