ヨーソローはやて、と言います。
2作品目ですが、1作品目も完結していないのでこちらは更にのんびりとなりますがよろしくお願いします。
では、本編どうぞ~
突然だけど僕、伊波 彩希(いなみ さき)には障害がある。
障害と聞いて何を想像するだろうか?目が見えない、歩けない、音が聞こえない・・・。他にもいろいろあるだろう。僕の場合障害と言うと少しばかり語弊があるだろうが、僕は色を識別できない。正確にはある出来事をきっかけに、僕の目には世界がモノクロにしか見えなくなっていた。
そして、そのある出来事と言うのは5歳年の離れた僕の姉さん、伊波 未希(いなみ みき)の死だ。
僕が小学生の時に両親は交通事故で他界してしまっていて、当時の僕はあまりに突然で、僕が友達と遊びに行っているときに起きた事故だったから実感が持てず、『あぁ、もう父さんと母さんには会えないんだ・・・』と漠然と思うことしかできず、普段とても明るかった姉さんがただ泣きじゃくっていた事が今でも印象に残っていた。
そして、その両親は駆け落ちをして結婚をしていて僕達を産んでいたので、僕も姉さんも親戚はおろか祖父母の事も全く知らずにいた。両親はとても優しく家族4人とても仲が良かったから祖父母や親戚がいない事に何の疑問も無かった。でもそのため誰にも頼る事が出来ず、当時高校生だった姉さんは高校を中退。僕を育てる為に自分を犠牲にしてアルバイトの日々を過ごしていた。青春を謳歌したかっただろうに嫌な顔一つせず、いつも笑顔で優しく僕の事を見守っていてくれた姉さんの事が僕は大好きだった。
そんな姉さんが僕が中学2年の時に死んだ。何かの病気だったわけではなく、過労死でもなく、姉さんは殺されたのだ。それも僕の目の前で姉さんは殺された。
理由は実にくだらないものだった。姉さんの友達がストーカーにあっていた。そのストーカーの身勝手な想いからその友達は殺されそうになったが、姉さんがその友達を庇い、代わりに殺された。ただそれだけの事だった・・・。
もちろんその友達も警察に相談していたらしいが、警察の性質上すぐに動く事も出来ず、この悲劇が起きてしまったと言うわけだ。
そして、それ以来、僕の生活は一変してしまった。自暴自棄になり何度も死のうとしたが死ねず、姉さんを殺した犯人を殺したくても、塀の向こうにいる犯人を殺せるはずもなく、僕は両親と姉さんが残してくれた僅かな蓄えを無意味に食いつぶし、何の目的も無いまま家から出ず過ごした。
そんなある日、意味も無くただ点けていただけのテレビから色が消えている事に気がついたが『僕はどうせそのうちの野垂れ死ぬんだしどうでもいいか』と思っていた。
そんな生活をどれくらい続けていたのだろうか?ある日、僕の前に知らない大人たちがやってきて僕にこう言った。
「こんな生活を続けていてはいずれ君は死んでしまう。もし君さえよかったら私達を君の保護責任者として面倒をみさせてくれないか?」
と言うものだった。正直放って置いて欲しかったし、もう誰とも関わりたくはなかったのだけれど、大人たちの陰に隠れていた女の人がとても辛そうな顔をしていたのに気がついた。僕と目が合った瞬間笑顔を見せたが、またすぐに辛そうな顔に戻っていたのが少し気になっていた。
そして僕は、どうして見ず知らずの人が僕の保護責任者になるのか分からずにいると、大人たちは言いにくそうにしながらもゆっくりと話してくれた。
話の内容はこうだった。大人たちの後ろで辛そうにしている女の人が、姉さんの友人であり、姉さんが庇った友人本人だと言う事。僕が天涯孤独の身になってしまった事を知ったこの女の人の両親が、姉さんのおかげで娘は助かったが代わりに掛け替えのない命が失われてしまった。その償いをしたい。と言うことだった。
僕はその話を聞き終えると一気に頭に血が上り泣き叫んだ。この人たちは何も悪くない、この人たちだって被害者だって事は僕はちゃんと理解している。理解はしていても理性がそれを受け入れない・・・拒絶し、このやり場のない怒りを誰かにぶつけたくて僕はただ感情が命ずるままに、
「ふざけるな!!一体誰のせいで僕の大切な姉さんが死んだと思っているんだ!」
「償いたいと思うならお前が死ねよ!」
「なんでお前が生きているんだよ!!」
等、心無い言葉をいくつも浴びせ、家具や小物などをなぎ倒し、投げつけとにかく暴れまわった。ひとしきり暴れ落ち着いたころには息も上がり、僕は部屋の真ん中でな泣きながら立ち尽くしていた。
そんな光景を目の当たりにしても、大人たちと女の人は何もいわず、僕の暴言にただじっと耐えていた。よく見ると僕が投げたものが当たったのか女の人は額から血を流していた。僕はその血を見てまた、よく分からないことを叫びながら暴れだした。血を見た瞬間、姉さんが血まみれで倒れているところを思い出してしまったからだ。
すると、先ほどまで辛そうにしていた女の人が暴れる僕を強く抱きしめ、
「ごめん・・・ごめんね・・・。大丈夫・・・大丈夫だから。・・・今度は私が君を守るから・・・。」
そう何度も何度も繰り返しながら、暴れる僕を決して離さないよう力強く抱きしめなだめてくれた。僕はこの女の人に抱きしめられながら、この女の人にどこか姉さんに似た温もりを感じた気がした。
そして僕はその温かさに緊張の糸が切れたのか、そのまま気を失い気がつくと病院のベットの上だった。目が覚めて最初に見た光景は、先ほどの女の人が僕の手を握ったまま疲れて寝てしまったいる姿だった。
僕がその女の人をボーっと眺めていると女の人は目を覚まし、僕が目覚めたことに気づくと安堵したのか、笑顔で『よかった・・・』と言ってくれた。
姉さんがなくなってからはほとんど眠れない日々を過ごしていたからか、僕は4日間ほど目を覚まさなかったらしく、念のためにとあれこれ検査を受けた。結果、衰弱は激しいものの、ある一つを除いて特に問題は無いと言うことだった。その問題と言うのが、色を認識できないと言うことだった。
医者曰く、原因はよくわからないが、おそらく姉を目の前で殺されたことによる精神的ストレスが原因だろうとの事だった。薬は当然なく、こればかりは時間が解決してくれるのを待つしかないと言われた。
とりあえず目の事以外は心配ないと分かると、大人たちと女の人は本当に安心したような表情をしていた。僕はこの人たちを見て、あんなにひどい言葉を浴びせ怪我までさせてしまったのに、負い目があるとはいえ本気で心配してくれていることを嬉しく思うと同時に、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
僕は姉さんを失ったことでこの世の全てが終わったような気がして生きる意味すら失っていた。でも、本気で僕のことを心配してくれる人がいる、今はただそれだけが嬉しくて、僕を抱きしめてくれた温もりがまだ僕が必要としてくれているような気がして涙が止まらなかった。だから僕はこの人たちの提案を受け入れることにした。
まだちゃんと前を向いて生きてはいけないけれど、いつか一人でもちゃんと前を向いて生きていけるようになるまで、僕はこの人たちの世話になることを伝えると、喜んで受け入れてくれた。
数日後、僕は色々な手続きで慌しかった。最初は大人たちが住む静岡に来ないかと言われたが、それは丁重に断った。両親と姉さんの思い出の残るあの家から離れたくなかったからだ。
しかし、まだ中学生の僕が一人で暮らしていくのは色々問題があるらしく、僕が困っていると、女の人が、自分が今住んでいるところなら僕の家に近いし、この女の人たちと暮らすならいいでしょ?いう条件で大人たちに交渉してくれ、この条件の下ここに残ることの許可が下りた。家はそのまま残し、定期的に掃除に行けばいいし、維持に必要な手続きは僕が大人になるまで大人たちが責任を持ってしてくれると言ったのでお願いした。
そして迎えた退院の日、女の人が僕を迎えに来てくれた。大人たちはこの女の人の両親で本当なら今日も3人で迎えに来るつもりだったらしいが、どうしても仕事が抜けられず女の人だけで迎えに来たらしい。僕は女の人とタクシーに乗り、目的地まで走り出した。目的地に着くまで色々聞いたが、この女の人は、東京の大学で勉強したいことがあり地元の静岡を離れ、高校時代の仲のいい友人と3人でルームシェアをしながら暮らしていると話してくれた。もちろん僕の事情も他2人は知ったうえで快く了承してくれているとも教えてくれた。
そしてタクシーは目的地のマンションの前に止まり、女の人が先に降り僕のほうに手を差し伸べ、
「そう言えば、わたしの名前まだ言ってなかったね?わたしの名前は渡辺 曜。色々思うところはあるだろうけど、これからしばらくよろしくね、彩希くん。」
「よろしく・・・」
そう返事をして、僕は女の人・・・曜の手をとり車から降りると、これから新しく生活するマンションを見上げた。
いかかでしたか?今作はかなりシリアスです。
しかし『その輝く君に永遠を誓う』すら更新遅い上に、完結していないのになにやってるんでしょうね?w
ちなみに、今作は完全に見切り発車ですwふと頭の中に案が浮かんだので書いてみましたwこちらは『その輝く君に永遠を誓う』を2~3話ほど書いて1話書く、くらいのペースになると思いますが、どちらもよろしければ応援いただけると嬉しいです♪
オリキャラの簡単な紹介等は次回のあとがきにでも載せられたら載せます。
また『その輝く君に永遠を誓う』とは繋がりを持たせようと思いますので『その輝く君に永遠を誓う』のオリキャラも出すつもりです。
ということで、今回はこの辺で。
感想・評価などお待ちしています♪
では、よろしければ次回も読んでやってください♪