色を失った世界で見つけたもの・・・   作:ヨーソローはやて

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うぅ・・・、ウエディング編の曜ちゃんが出ない・・・




「うぅ・・・」

 

「あ、目覚めた?」

 

「どれくらい気を失ってたんだ僕?」

 

「ん~30分くらいかな?」

 

「そっか・・・。なんか面倒かけて悪かったな。」

 

「気にしないで。わたしにも原因があるんだし。」

 

「とりあえず、ありがとう。」

 

「うん♪」

 

「それじゃ、僕は部屋に居るから。」

 

「え、でもご飯とか・・・」

 

「大丈夫だから。」

 

 梨子に技をかけられて気絶した僕は曜に介抱さえていたらしい。その証拠に目が覚めた僕は曜に膝枕をされていた。起き上がり辺りを見渡したら、千歌達は酒でも飲んでるのだろうか?カクテルの缶と思わしき缶数本とお菓子の袋を囲って何やら楽しそうに話していた。

 それにしても、梨子に技をかけられたくらいで気を失うなんて情けないやら、曜に介抱され、しかも膝枕までされているのは恥ずかしいやらで感情がごちゃごちゃしてどうしたらいいのか良く分からなくなり、とりあえず僕は曜にお礼だけ言って自分の部屋へ逃げるように戻った。曜はすぐに僕を追ってきたが、友達も来てるんだし、僕の事は気にしなくていいから楽しんで来い、と言って追い払った。

 自分のミスとは言え(正確には樹のせいだけど)、ほぼ初対面の女の人の裸を見てしまった罪悪感やら、また曜にいらない心配と迷惑をかけた事に軽くへこんだ僕は、ベットに潜り込み今日の事は忘れようと瞼を閉じた。

 

 数時間後、僕は空腹により目が覚めた。スマホの画面を見ると時刻は2時を回っていて、眠りに就く時には騒がしかったのがウソのように今は静まり返っていた。

 とりあえず空腹を満たそうとリビングに行くと、テーブルの上におにぎりが3個とメモが置かれていた。

 メモには『彩君へ。お腹がすいて起きてきたら食べてください。曜』と書かれていた。

 

「まったく、友達が来た時くらい俺なんか気にしないで楽しめばいいのに・・・。」

 

「まったくよ。」

 

「うおぉ!?」

 

 曜のメモを見て、なんとなく独り言をつぶやいたら、帰ってくるはずのない返答が返ってきて思わず大声を上げてしまった。

 

「しーっ!しーっ!!皆起きてきちゃうでしょ!!」

 

「な、なんだ、お前か・・・。びっくりさせんなよ。」

 

 声のした方を向くと、そこには善子と呼ばれていた女が立っていた。それにしても本当にビビった・・・。マジで心臓が止まるかと思ったぞ。

 

「あんたが勝手に驚いたんでしょ?それにお前ってなによ?私にはヨハネっていう立派な名前があるんだからね!!」

 

「・・・ヨハネ??そういや風呂場でもそんな事言ってたような気がするけど、お前、善子って言うんじゃないのか??」

 

「え?あ、いや~、善子で合ってるには合ってるんだけど・・・ヨハネはヨハネで~・・・なんて言ったものか・・・」

 

 なんか物凄く言いにくそうに唸りだした。まぁ、何やら複雑な理由がありそうだし、名前なんて何でもいいか。

 

「まぁいいや。そんでヨハ子は何でこんな時間に起きてるんだ?誰かの部屋で一緒に寝てたんじゃないのか??」

 

「なによ、ヨハ子って?」

 

「え?なにって、ヨハネなんだけど善子で、善子なんだけどヨハネなんだろ??だから間をとってヨハ子。」

 

「何で間をとるのよ!!」

 

「別にいいだろ何だって。それより僕の質問に答えろよ。」

 

「ぐぬぬ~!!・・・ま・まぁ、ヨハネの方は年上なんだし、寛大な心で見逃してあげる。感謝しなさいよ!!」

 

「あ~、はいはい。ありがとうございま~す。」

 

「むきー!!何でそんなに棒読みなのよ!!こうなったら、悪魔を召喚して~・・・」

 

 これはなかなか弄りがいのある人だ。ここまで弄りがいのある人は珍しい。少なくとも、僕の人生でここまで弄って反応のいい人は初めて会った。

 このままもう少し弄っていたいとは思うけど流石にお腹が減ったし、ついさっきあんなことがあったのに声をかけてきたんだ、僕に何か話があるんだろう。なんかさっきから僕の横でなんかずっとブツブツ言ってるけど話を戻すか。

 

「どうでもいいけど、こんな時間にわざわざ僕に声をかけるくらいだ、何か用でもあるのか?」

 

「ブツブツ・・・。ん?あぁ、そうだった。あんたが変なこと言うから忘れてた。・・・ちょっとあんたに話があるのよ。」

 

「わかった。でもその前に一ついいか?」

 

「・・・なによ?」

 

「外に出るぞ。」

 

「は??」

 

 僕は壁にかけてある2人分のコートと、テーブルに置かれている曜特製のおにぎりをとると、ヨハ子、もとい善子をマンション近くの公園に連れ出した。

 

「さっむ!!何でわざわざ外に出るのよ??しかもそのおにぎりは何!?」

 

「腹へったから僕のご飯だ。それに込み入った話みたいだから、話声で誰か起きて来ても困るだろ?だから外に出たんだけど??」

 

「それなりに察しがいいのに、おにぎり食べながらって・・・。あんた、真面目な話する気あるの?」

 

「ある。だけど、真面目な話をするのに腹が鳴ったんじゃ締まらんだろ??」

 

「うぅ・・・。なんか腑に落ちないけどまぁいいわ。」

 

 善子は溜め息をついた後、僕に向き直り、真直ぐ僕を見つめてきた。僕を見るその瞳はとても力強くて、全てを見るかされているような感覚がして、思わずたじろいでしまいそうになった。

 

「あんた、彩希・・・って言ったけ?」

 

「あ・あぁ。」

 

「あんた、この先の事どう考えてるの?」

 

「は?」

 

 ヨハ子は何言ってんだ?先ってのは僕の将来の事か?それとも進学か就職かって事か?どちらにせよ、まともに会うのは今日が初めてのヨハ子になぜそんな事を話さないといけないのか?仮に答えたとして、ヨハ子に一体何の関係があるんだろうか?

 

「そんなの別にどうだっていいだろ?」

 

「良くないわよ!!あんた自分の状況分かってんの??」

 

「はぁ?急に出て来てなに訳わかんない事言ってんだ!!自分の状況??そんなの分かってるに決まってんだろうが!!大体、それがなんだってんだ?ヨハ子には関係な話だろうが!!」

 

「関係大有りよ!!」

 

「はぁ??」

 

 本当にヨハ子は何を言ってるんだろうか?こいつは僕のなんなんだ?親か恋人か?いや違う。同居人でもないし友達ですらない。曜達の友達で後輩らしいが、僕からしたらヨハ子はただそれだけの関係だ。言ってしまえば赤の他人だ。

 

「本当に分からない?彩希、あんたが曜を殺してるってことを・・・。」

 

「俺が曜を殺してる?なに言ってんだ?」

 

「はぁ・・・。彩希、私はあんたの事情を一応は知ってる。唯一の肉親を曜の代わりに、しかも目の前で殺されてやり場のない怒りを持っている事も・・・。あんたの気持ちが分かる、なんて綺麗事は言わないわ。きっと他人より運が良くない程度の私では到底理解できないでしょうし・・・。」

 

「・・・・」

 

「でもね、そうやって『自分は凄く不幸です』って面して、周りの同情を買って、周りを見ようとしない。そのせいで誰かを不幸にしてることにも気付けない様なやつを見ているとイライラすんのよっ!!」

 

「そんなのはお前の勝手だろ!?お前の価値観を僕に押し付けるなよ!!」

 

「えぇ、確かに私の価値観よ!!でもね、あんたみたいに、この世の全ての不幸を全部1人で背負ってます、みたいな顔を見てるとぶん殴りたくなるし、あんたと同じくらい・・・いいえ、あんた以上に辛い境遇にあっても、それでも前を向いて生きてる人はこの世に沢山いるのよ!!」

 

「だから何なんだよ!!別にそんな不幸面なんかしてないし、仮のそうだとして、その事と曜が一体なんの関係があるんだよ?」

 

 本当に何なんだよ。言いたい事がさっぱ分からない・・・。なのにヨハ子の話を聞いてると心が締め付けられるような痛みを感じるのは何故なんだろう?

 

「これだけ言ってるのにまだ分からないの?いい?あんたがそうやって不幸面している限り、あんたは曜から未来を奪ってるのよ?」

 

「僕が・・・?いやいや、それは無いだろ。だって、曜はやりたい事の為に今だって大学に行ってるんだぞ?それが何で未来を奪われてるって言うんだ?」

 

「確かに表面上ではね。でもね、今の曜には中身がないのよ。」

 

「中身?」

 

「今はまだ、あんたが独り立ちできるまでは自分が面倒をみる、という責任感があるからいいわ。だけど、あんたが独り立ちした後は?『これで責任から解放された~』ってなると思う?」

 

「それは・・・」

 

「なるわけないでしょ?人一人の命が失われてるのよ?彩希が自分の手から離れても曜は自分が幸せになる事は考えないわ。きっと死ぬまで彩希の幸せだけを願って、そうやって死んで行くでしょうね。」

 

「・・・」

 

「そうやって自分の幸せも未来も全て放棄してるのよ?人が生きて行く上で希望はとても大切物なのに、今の曜にはそれがないの。そんな状態は、はたして生きていると言えるの?」

 

「・・・」

 

「今日、久し振りに曜に会って驚いたわ。だって、以前の曜の面影がどこにもないんだもの・・・。」

 

「・・・」

 

「ねぇ彩希。今すぐにとは言わない。だけど曜を解放してあげて。・・・お願い・・・あんな曜を見るのは辛いの・・・」

 

 そう言ったヨハ子の瞳から涙が溢れ頬を伝っていた。まだ知り合ってから数時間しか経っていないが、ヨハ子に対する僕の印象は、意地っ張りで気が強いという印象だ。そんな彼女が涙を流している事に驚いたし、涙を流して心配するほど曜は彼女にとってとても大切な存在なんだと言う事が分かった。

 

「解放しろって言われても、一体どうすれば・・・」

 

「そんなの、私には分からないわよ。その答えは彩希、あんたしか持ってないんだから・・・。」

 

「そんなこと言われても、わかなんないよ・・・。」

 

「とにかく、私が言った言葉の意味を良く考えなさいよ?・・・はぁ・・・こんな奴に泣き顔を見られるなんて最悪だわ・・・。」

 

 そいう言いながらヨハ子はコートの袖でゴシゴシと涙を拭い、プイッと僕とは反対方向を向いて、マンションの方へ歩いて行ってしまった。

 僕はと言うと、そんなヨハ子になんて声をかけていいか分からず、ただ見送ることしかできなかった。

 ヨハ子が見えなくなり僕は近くのベンチにもたれかかる様に座り、先ほどヨハ子が言っていた事を考えながら、これまで僕が曜にしてきた事、曜が僕にして来てくれた事を思い出していた・・・。




と言うわけで、またシリアスです。

大まかな話の流れは大分固まりましたが、今後の細かな展開はまだ思いついてませんww
そんな感じですが宜しければ次も読んでください♪

感想、評価などありましたら、お気軽によろしくお願いします♪
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