Re:ゼロから始める奇妙な冒険〜ニュースターダストクルセイダース〜 作:かじもこ
承太郎一行の前に現れた銀髪の少女は、険しい目つきのまま承太郎に迫った。
「貴方達!今なら許してあげる、私から盗んだ紀章を返して。あれは大切なものなの」
承太郎達は、彼女が何を言っているのか理解できなかった。当然だが、紀章などに心当たりは全くない。
そんな状況を見かねてか、ジョセフが少女に諭すように声を掛ける。
「悪いがお嬢さん。わしらはたまたまここに居ただけで、紀章とやらは見とらんよ。」
「そう、わかったわ」
ジョセフの話を聞いて納得したようで、少女は承太郎一行の横をすり抜けて路地の奥へと進んだ。これで大丈夫、とため息をついていたのも束の間、少し進んだところで少女は再び険しい表情で振り返り、承太郎達に声をかけた。
「そういえば、3人組の男が泣きながら走って行ったけど、あれはあなたたちの仕業なの?」
泣きながら立ち去る3人組と聞いて何秒か考えたが、心当たり無いこともなかった。おそらく先ほどのトン、チン、カンであることに間違いはなかった。
あれほどの威勢のよさだったのに見えなくなった瞬間泣きだしたのかと思い出すと承太郎一行は笑いが止まらなくなった。
承太郎たちに悪気はなかったが、笑っている様子を見て少女は怒ってしまったようで身構えていた。
「何を笑ってるの!やっぱりあなた達悪党ね!」
少女が叫ぶと周りに無数の氷の刃が現れた。それを見た瞬間、承太郎たちも切り替えて身構えた。次の瞬間、承太郎たち目掛けて氷の刃が飛んできた。
承太郎たちはスタンドを出して防御した。だが、ジョセフのスタンドは氷の刃を防ぐほどの力がないので承太郎がカバーした。
だが、その承太郎達がスタンドを出して防御している様子を見て少女は驚愕していた。
「え、あなた達も精霊使いなの!?」
承太郎はさっきのトン、チン、カンの様子からスタンドが見えるというのは何となく予想はしていたが、「あなた達も」という言い回しに引っかかっていた。
「おい待ちな、あなたもという事はテメェ、精霊とやらを持ってるのか?」
「鋭いね君」
承太郎が問いただすと、少女の方から先ほどの声とは違う声が聞こえてきた。すると、少女の横に小さな猫のような生物が出てきた。だが、承太郎はその猫のような生物から、何とも言えない力を感じていた。
「やれやれ、やはりスタンドを持っていたのか」
「スタンドってのは知らないけど僕はパックだよ」
その小さな猫は、とても可愛らしい声で名乗った。
承太郎とジョセフは警戒していたが、見た目が猫のようでかわいいこともあり、ポルナレフは警戒していない様子だった。
するとパックは諭すように、少女に話しかけた。
「リア、心配しなくても大丈夫だよ。この人達からは悪意を感じないから」
それを聞いても怪しむように承太郎達を見ていた少女だが、すかさずジョセフが話しかけた。
「笑ってしまってすまんかった。さっきの逃げて行って3人組じゃが、この承太郎に怯えて逃げ出した3人組じゃ。ただ、すまんがわしらは本当に迷ってここに来てしまっただけじゃよ。」
ジョセフはこいつに怯えたと、承太郎を指さしていた。それを見て少女は納得しているようだったが、承太郎はやれやれと、呆れている様子だった。
しかし、ここでやっと少女は自分の間違いに気づいた様子だった。
「え、って事は私の勘違いだったの?」
少女が焦った様子でパックに質問すると、笑顔でそうだとうなずき、承太郎達も無言でうなずいた。
「ごめんなさい!私の勘違いで・・・。紀章を取らて焦ってしまって。」
間違いに気が付いた少女が謝罪をし、これにて一件落着かに思えたが未だに承太郎一行は絶望的な状況には変わりは無かった。
しかし、そんな絶望感をよそにのん気にポルナレフは少女に対して話しかけていた。
「ま、誤解が解けて何よりだな。それよりも、その紀章とやらはそんなに大切なものなのか?」
「ええ、すごく大切なのものなの!」
少女はそう答え、真剣な眼差しでポルナレフを見ていた。そしてポルナレフが若干赤面している状況を承太郎とジョセフは見逃していなかった。
だが、ジョセフもその紀章とやらが気になっていたので承太郎と話して、一緒に探すことにした。実のところ、異世界に来たとはいえ、このままでは野宿は確定的であり、もうエジプトでさんざんであったのでついでに宿を探すのも主な理由ではあったが。
「お嬢さん、わしらはあんたの紀章を探すのに協力したいが構わんかな」
「え、そんなきゅうに言われても、私何もお礼とかできないよ?」
少女は困惑していた。勝手に泥棒扱いをして攻撃までしてしまったのになぜ紀章探しを手伝ってくれるのか理解できなかった。お礼も、手持ちのお金もほとんど持っていなかったので何もできそうになかった。
「かまわん、ただわしらは寝床を探しておってな、もし紀章を見つけたら泊まれるところを紹介してくれんかのう?」
「なるほど、そのぐらいなら大丈夫よ。でも、どうやって見つけるの」
するとジョセフは、少し待つように少女に言って足元の道路に砂を集めだした。少女は、何を始めるのか疑問に思っていたが次の瞬間、ジョセフの腕から茨の植物のようなものが出てきた。
「これがわしのスタンド、いや、精霊じゃ。ハーミットパープル!」
ジョセフは自身のスタンドである『ハーミットパープル』を使い、道路に集めた砂に念写をした。するとこの街の地図、そして2箇所の✖️印が出てきた。
「このどちらかがわしらになるんじゃが、お嬢さん、今の位置はどっちかわかるかのう?」
少女はジョセフの能力に唖然としてしまっていた。このような不思議な能力は、初めて見たからだ。だがそれもジョセフの掛け声ではっとする。
「た、多分この街並みからだとこっちだと思う。」
「へぇー、君の能力ってかなり便利なんだね。」
パックもジョセフの能力に感心していた。だが、ずっとパックと戯れていたポルナレフが我慢の限界のようで早く行きたいという顔をしていた。
「とにかく、この地図の方向に向かおうぜ!」
地図の方向に歩き出そうとした承太郎一行だったがパックの声掛けで立ち止まる。
「そういえばお互い自己紹介してなかったね」
自然と探索に向かおうとしていたが確かに承太郎達は名乗っていなかったし、少女の名前はまだ聞いていなかった。
「わしの名はジョセフ・ジョースターじゃ」
「空条承太郎だ」
「ジャン・ピエール・ポルナレフだ!よろしくな!」
承太郎達の自己紹介が終わるとパックがふわふわ飛びながら承太郎達に自己紹介した。
「僕の名前はパック!こんな見た目だけど本気を出したら世界を滅ぼしちゃうんだよ?」
その見た目の可愛さにポルナレフは完全に虜になっているそうで、パックと戯れていた。
「かー!すごいな〜!こんな猫がね〜」
「やめてよくすぐったいよ〜」
楽しんでいるポルナレフをよそにジョセフは少女に声をかけた。
「お嬢さん教えてもらってもいいかのう?」
「私は・・・」
少女はうつむいてしまった。よほど恥ずかしい名前なのかと承太郎達は考えていたが、数秒後顔を上げて答えた。
「サテラ」
「サテラねぇ、いい名前じゃな!なぁ承太郎!」
「ああ、これと言って普通の名前じゃーねえか」
ジョセフと承太郎は思っていたよりも普通の名前であったので、単に恥ずかしがっていただけと考えた。しかし、ポルナレフと戯れていたパックが急に少女へ寄り、ひっそりと話しかけた。
「趣味が悪いよ」
しかし、少女はそれを聞かなかったかのように承太郎達を向いて質問をした。
「それにしても貴方達、どうしてルグニカに来たの?」
「んー、話せば長くなるんじゃが、家庭の事情という奴じゃ。」
「かていのじょう?」
「ああ、じゃが話せば長くなってしまうからまた今度ゆっくり話そう」
承太郎達の旅の目的、それは承太郎の母であり、ジョセフの娘でもある空条ホリイを助けるため、そして原因であるDIOを倒すために冒険をしていた。だが、異世界に来てしまった以上、向こうの状況がどうなっているのか全く分からない状況だ。ましてや、この冒険で散っていった仲間たちの事を思うと、悔しい思いが込み上げてきた。
承太郎達は気持ちを切り替え、少女とともに紀章のありかを目指して向かっていた。パックは少女の首飾りの中へと入っていった。どうやらパックの家はその宝石の中らしい。
しばらく紀章を目指し、人通りの多い町の大通りを歩いていると、フードをかぶり、黒色の怪しいローブに身を包んだ女性にジョセフが急に声をかけられた。
「あら、貴方達は」
「なんじゃお若いレディ」
ジョセフはローブ越しに謎の女性と目が合った。だが、なぜか初めて会う気がしなかった。まるで久しぶりに会うかのような感覚に襲われていた。
「いえ、なんでもないわ」
「やれやれ、変な女じゃったわい。」
謎の女性はそう告げると足早に去っていった。ジョセフは謎の汗をかいていたが、ポルナレフは興奮した様子だった。確かに声もよく、スタイルも抜群であった。
「それにしても綺麗な女性だったな!なあ承太郎」
「やれやれ、悪いが俺の趣味じゃあねーぜ」
先ほどの謎の女性について考え込んでいると、心配になったのか承太郎が声をかけてきた。少女も心配そうに奥から見ていた。
「どうしたじじい?」
「いや、気のせいかも知れんがあの雰囲気、以前どこかで会ったような・・・」
「気のせいだろ!先を急ごうぜ、ジョースターさん!」
確かに気のせいかもしれないがジョセフは得体のしれない不安に襲われていた。
To be continued→
物語を考えていて思ったのですが、ジョセフが万能すぎるぅ
次回は盗品蔵での戦闘となります
追記 すいません!3話がバグで編集前の中途半端になってました!訂正版を後ほど出します ♂️