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ACネタ→フロム要素へ…
(原因、主にレオナルドとジャンヌ)
「離せ!こんなとこに居られるか!ふざけんな! あいつら絶対ぶっ殺してやる! 邪魔すんな、貴様も焼かれたいか! その手を離せ。離せよ!」
「落ち着け!気持ちはわかるが落ち着け!」
「おい誰かジャンヌ呼んでこい!聖剣で縫い止めろ!このままじゃ曹操の腕が引きちぎれて死ぬぞ!」
「ハッハァー! 最高だぜお前!」
「いーいじゃん、盛り上がってきたねぇ!」
「言ってる場合かこの馬鹿共! おいレオナルドはまだなのか!レオナルドは!」
「
ちなみにサタナエルは現在進行形で爆笑している。
この騒動の元凶は言うまでもなく彼だ。彼自身、トライヘキサがここまでぶち切れる事は想定の範囲外であったわけだが。
彼は全てを語ったのだ。冥界の政権交代。二天龍と聖書の争いの果て。『悪魔の駒』の発足。それによる眷属の悲劇。『神器』を持つ人間を危険だと一方的に決めつけ狩る堕天使。神の死を隠し、人体実験を繰り返す天使。
それを全て聴き終えて、数秒の沈黙の後。
「───、」
ほんの数刻の理性の沈黙。顔を俯かせる少年。
側にいた偃月青龍刀を背負いボロボロの制服を纏った男『曹操』は優しく労わるようにトライヘキサの肩をぽん、と何も言わずに叩く。
で、彼の理性はここで終了。
「今から全部焼いてくる。その方が早いよね?」
きちきちきちぎちぎちきち!と少年の背から生えた羽が音を立て一纏まりの塊となって行く。その身からほとばしるのはやはり炎。少年の真上には亀裂が走り、暗い溟い穴が開いている。
───そこに、
「あ、ヤバい。ちょっと全員でこいつ抑えて」
「えっ」
「は?」
「お、おい!マジかよ!夢なら覚め───」
「残念ながら現実だ。逃げられんよ」
三者様々な悲鳴を上げながらも必死にトライヘキサを拘束した。そして冒頭の通りというわけだ。
息を荒げて目を血走らせて、天を睨み牙を尖らせる。ぎりぎりぎちぎちとはを食いしばらせる。それを必死で押さえ込んでいる曹操たちだが、もはや時間の問題だろう。
「避けろ、曹操」
「聖剣、複製、射出準備」
「鎮めて、白の黒龍」
だがそこでパチン、と指を鳴らす音が立つ。
すると、無数の聖剣が獣の四肢へ降り注ぎ、
更にそこへ霧がかかり、その上を白竜が抑える。
「…鈍ったものだな、ジークフリート」
「…いや、面目ない」
それは、宝石の如く煌めく金の髪を靡かせる女。『
「
それは眼鏡を掛け、黒い執事服を粋に着こなす青年。『
「…ねぇー、早くどうにかしてよ、サタナエル。持たないよ?ほら、もう聖剣が全部ボロボロだし霧から手が出てるし。…シースの腕が壊れて来た…」
それは、プルオーバーパーカーを見に纏い、シースと呼ばれた鱗の無い巨大なる白竜の肩に乗った少年。これまた『神滅具』の一つである『
「ハイハイ!じゃ、おじさん頑張っちゃうぞ!」
その三人により動きを微かな間その足と翼を止められた獣。その隙をサタナエルは見逃すはずもない。
彼の周囲に展開されているのは総じて十二の黒塗りされたマスケット銃。その銃口は全て獣の頭蓋へと向けられる。それを見た曹操は溜息を吐きながら気楽に尋ねた。
「…毎回思うのだが…わざわざマスケット銃を介して槍を打つ必要はあるものなのか?」
「分かってないなぁ、あった方がかっこいいじゃん」
そんなふざけた返答と共に、ゴバッ!!!!!と爆音が鳴り響き、太陽と見紛うほどの閃光が辺りを包んだ。
■ ■
無限とは、直感的には「限界を持たない」というだけの単純に理解できそうな概念である。一方で、直感的には有限な世界しか知りえないと思われる我々人間にとって、無限というものが一体どういうことであるのかを厳密に理解することは非常に難しい問題を含んでいる。
このことから、哲学や論理学そして、自然科学などの一部の分野において考察の対象として無限という概念が取り上げられ、そして深い考察が得られている
そんな人の理解の範疇を超えた概念。
それを体現した一匹の龍がいる。
名を『オーフィス』。
外見こそゴシックロリータ長の服を身に纏う少女だが、その正体は無限とされる「無」から生じた存在で、混沌・無限・虚無を象徴する。最強の龍の座に君臨する『
彼或いは彼女こそが
そんな龍神は、今深い思考の中にいた。
「…
実の所、己と同格であった存在『黙示録の皇獣』トライヘキサの復活にいち早く気づいていたのはオーフィスだった。
オーフィスはいち早く彼とコンタクトを取ろうとしたが、急遽弱体化した気配に首を傾げ、足を止めたせいで見失う。
そして近日中、爆発的に肥大化した圧力にオーフィスはトライヘキサが復活したことを確信。
少女の姿を象った神は困惑の中にいる。
皇獣と龍神が相見える日は、そう遠くないだろう。
■ ■
「頭は冷えたかな?ま、落ち着いて聞けよ」
「…ゔー……」
トライヘキサを沈静化させたサタナエルは目覚めた少年に説明を続けた。酷く落ち込んだ姿に目もくれずに。
「ま、お前の実力があれば聖書の殆どを終わらせる事は簡単だ。厄介そうな『超越者』の足止めには俺や
ぎちゃり、と悪辣な笑みを浮かべるサタナエル。…この姿では寧ろサタンの方がふさわしいのかもしれない。
その笑みの前に居合わせた元英雄派の面々は背中に伝う冷ややかなものに固唾を飲み込み、身を震わせる。
「あいつらには苦しんで貰わなきゃいけない。人間に手を出したんだからそれぐらいの事は請け負って貰う。…そうだねぇ、冥界から落とそうか」
「…手段は?」
「先ずは魔王の方から面目を潰す。権威の失墜ってやつだよ。反乱まで行けば御の字かな?あ、『逃げ所』を無くす為にも大王には一足早く御退場を願わなきゃなぁー」
「…流れはどう作るの?」
「近々三大勢力の間で会談が起こる。冥界からの出席者は現レヴィアタンとルシファー。残存する魔王はアスモデウスとベルゼブブだったか。勿論その分隙ができる。小さいけどな」
役者がかった身振り手振りでつらつらと語り出す悪辣なる存在。笑みは変わらず凶悪かつ無類なもの。誰も彼の話に口を挟むことなどしないだろう。出来ないだろう。この場の空気を掌握しているのは他の誰でもない、サタナエルだ。
「壊すんだよ…何もかも、ね」
街も、そこに住む悪魔も、何もかも。
ただ───それだけには止まらない。
「信頼を疑念と義憤に変えるんだよ、お前達さえちゃんとしていればって言う状況を作り出す。作り出せる奴がいる。さて、足止めには数と質で押すレオナルド、通信切断にゲオルク、その護衛に曹操とヘラクレスだ」
唐突だが話をしよう。
過去に一つの悲劇があった。
悪魔の女と、人間の男。
二人の存在は恋に落ちた。
「該当されない奴等は混乱に紛れて転生悪魔をパパッと救ってこーい。悪魔の駒に関しちゃアザゼルのとこの技術を発展させりゃなんとかなる」
だがそれを教会と悪魔は許さなかった。
最初こそ言葉の争いだった。だが最後には、どちらが先に手を出したかは定かではないものの、最終的に二人は粛清され命を落とした。
それだけで終われば、まだ良かったのに。
どうしようもない程の醜さに、悪魔の少女は消されたのだ。冥界の魔王では無く、大王達にとって都合の悪い事実を知ってしまった女は、消された。
「さて破壊活動の方だが、これは俺とトライヘキサ、それと…」
お前達がしっかりしていれば良かったのに。
八つ当たりかもしれない逆恨みかもしれない。だがそれがなんだというのだ。くだらない『王』の駒の秘密を隠すために、たったそれだけのために殺された我が従妹の復讐を私は完遂させてみせるぞ。
ああ、笑えない笑えない。
従姉妹が殺されたあの日から。
私は心の底から笑えない。
さぁ、復讐劇の幕開けだ。
浅ましさの中で狂え。
後悔に溺れ朽ち果てろ。
慟哭を上げ絶望せよ。
それこそが、───。
「勿論お前にも出て貰う。
ディハウザー・ベリアル」
「……言われなくとも」
私の提供する、
活動報告の方でアンケートやってます。暇や興味があればのぞいてみてください。今回は断章みたいなものですかね。さてさて、冥界はどうなることやら。
あ、因みにアーシアですがレオナルドと曹操が救済済みだったりします。今彼女はフランスの田舎辺りに居るんじゃないんですかね。(被害者の治療中)
さて、お気に入り登録をして下さった534名の皆様!評価をして下さった40名の方々に重ねて感謝を!では今回はここまで。次回の更新が遅れそうな事にヒヤヒヤしている書庫でした。かしこ。