黙示録の時は今来たれり   作:「書庫」

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よぉ、読者の皆様。「書庫(オールドバンク)」だ。イかれたパソコンを襲撃する。付き合わないか?故障に穏便な方々…温すぎる。吹っ飛んだデータなど、結局は諦めるしかないのさ。(泣)
心が折れるかと思いましたよ、ええ。バックアップって大事。(しかし当時は焦ってて取っていたことを忘れてパニクってた。)




へぇ、言ったね?

 三勢力会談とは、聖書の三大勢力。つまり天使、悪魔、堕天使によって執り行われた会談のことを指す。この内容は和平と同盟というあり得難いというものであった。

 

「この緊張状態は、世界の害になる」

 

 それもまた一つの事実だ。彼等の諍いで何人もの無辜の人々が巻き込まれた、あるいは巻き込まれる寸前まで追い込まれた。それは正しく違わず害以外の何でもない。で、あるならばそれは一刻も早く解消せねばならない。

 

「それでだ。いつの世も世界にでけえ影響を及ぼしてきた二天龍二人の意見を聞いてみようと思う。白龍皇ヴァーリ、赤龍帝兵藤一誠。お前らはどう思う?」

 

 先に答えたのは未だ獣との戦いの傷が癒えていないのか、あちこちに包帯を巻いた白銀の髪に碧眼を持つ少年。現在過去未来において恐らく最強の皇とアザゼルに言わしめた男、ヴァーリ・ルシファーは逡巡も迷いもなく答える。

 

「俺は、強い奴と戦えればそれでいいさ」

 

 それが白き龍の答え。体は闘争を求める。恐怖を知り、埋めようがないのではないかと錯覚するほどの実力差を知りながらも、ヴァーリという男はそれを求めた。いや、或いは、()()()()()()のかもしれないが。

 

「ハッ、お前らしいな。

 で、お前はどうだ?赤龍帝」

 

 続く回答者は、兵藤一誠。ここで彼の経緯を説明しよう。元来、彼は悪魔などでは無くただの人間だった。彼には一人の彼女がいた。だが彼女は堕天使で、兵藤一誠は『その身に宿した神器が危険だから』ただそれだけの理由で殺された。

 

「俺は…そんなこと言われても…」

 

 だが彼は生きている。それは一重に『領地である』駒王町を『管理している』リアス・グレモリーの『おかげ』だろう。彼女が彼に『悪魔の駒』を埋め込んだ事でかれは悪魔としての第二の生を獲得した。 悪魔の駒はそういった性質がある。死者の蘇生、呪いからの解放といったりとだ。

 

「…分かりやすく言ってやろうか。このままじゃお前、リアス・グレモリーを抱けねぇよ?」

『ぶふぅッ⁉︎』

「戦争ないし冷戦状態じゃあんな事にかまけてる訳にも行かねぇからな。だが和平を組むなら話は変わるぜ?悪魔側からしたら種を絶やさねぇように尽力しなきゃだからな」

「───ッ⁉︎」

 

 赤龍帝の顔色が一瞬にして色欲に変わる。

 そしてこの間約三秒である。

 

「和平がいいです!ええ!平和が一番ですよね!部長と子作りしたいです!」

「……イッセー君…」

 

 欲望全開でそう宣言する赤龍帝。それを気まずいとも呆れたとも取れる苦笑を浮かべる同眷属の一人である木場裕斗。

 そんな事もあったが、この会談により意外にも三勢力の和平は成立し、同盟は何事も無く締結。そして「神の子を見張る者(グリゴリ)」トップ、堕天使総督であるアザゼルから全ての事情が語られた。

 

 それは『禍の団(カオス・ブリゲード)』という組織の存在だ。組織の首魁は最強の座の一角に君臨するオーフィス。

 堕天使達は長い間、この組織への対策として戦力を備えていた。白龍皇を『神の子を見張る者(グリゴリ)』に入れたのも対策の一環としてとの事だ。

 

「一つ、気になることがある」

「どうした、サーゼクス」

 

 アザゼルの説明が終わり、現冥界の四大魔王が一人である『紅髪の魔王(クリムゾン・サタン)』の異名を持つサーゼクス・ルシファー。その顔は沈痛に歪んでいるといってもいい。

 

「…ここ最近、上級悪魔に限らず、眷属の失踪が相次いでいる。アザゼル、何か目撃情報は入っていないだろうか?」

 

 たった今語られた事実に目を見開くサーゼクスの実妹、リアス・グレモリーとその眷属達。しかし堕天使と悪魔の頭目、彼等の語らいに言葉は挟まない。

 

 かつて神の如き強者とまで呼ばれた鴉は語る。

 

「いや、悪りぃが何も入って来てねぇな。…そうなると奴等に消された可能性もある。もしそうだとしたら意図が不明だがな」

「なっ……」

「最悪、ただの当てつけっつう可能性もある」

 

 だが堪らず声を零す悪魔の女。グレモリー一族、情愛を持つとされる悪魔の女にとってそれは許し難いものであり、驚愕的なものであった。今にも歯をくいしばる音が聞こえそうだ。

 

「まぁ、なんにせよ───⁉︎」

 

 瞬間、世界が止まる。

 『禍の団(カオス・ブリゲード)』の襲来である。

 

 さらにリアス・グレモリーの『僧侶』であるギャスパー・ヴラディの神器『停止世界の邪眼』を暴走させ、利用し、会談の出席者達を文字通り停止。

 時間停止に抵抗できたのは高い地力を持つ各陣営の頂点と龍をその身に宿す今代の二天龍、聖剣のオーラに守られた木場とそして今代赤龍帝である兵藤一誠に接触していたリアスだった。

 

「来やがったか。まぁそりゃこんな好機を逃すわけねぇよな」

「これは…!?」

「大方、お前んとこのヴァンパイアの神器を強制的に暴走させて、禁手状態にさせたんだろうよ」

「っ、ギャスパーを助けに行くわ!」

「俺も行きます、部長!」

 

 リアスと兵藤一誠は強制的に禁手を行使させられているギャスパーの救出へと向かう。

 そして駒王学園の校庭には大勢の魔法使い達が陣取り、会議室には旧レヴィアタンの血族カテレア・レヴィアタンが乱入。

 

「どういうつもりだ、カテレア」

「この会談の、正に逆の考えに至っただけです。神も魔王も居ないのなら、この腐敗し切った世界を私達の手で再構し、正しき指導者の下で変革するべきだと」

「腐敗? 変革? 陳腐だな、おい。そういうセリフを吐く敵役は漫画やアニメじゃ一番最初に死ぬってのが相場だぜ?」

「愚弄するか、鴉風情がッ…!」

 

 ここに一つの対立が始まる。旧と新。維持と変革。相容れぬ対立軸。この戦いの果てに相応しい報酬はあるのか?今はまだ誰にもわからない。ただ一つだけ言うのならば、彼らはもっと気づくべき事があったのだ。

 

 ■ ■

 

『アザゼルの言い分では私達が最初に死ぬらしいな』

『ああ、それは嫌だなぁ。まだやりたい事がある』

『…あれ、サタナエルは?』

『まだ話しているな。久しぶりの再会だ。積もる話もあるのだろう。…首尾はどうだ?ゲオルグ』

禍の団(カオス・ブリゲード)と三大勢力は交戦を開始。魔王ルシファー、レヴィアタンは会談に出席。ベルゼブブは「ゲーム」として人界へ進出中。冥界に残留しているのはアスモデウスのみ。そして死神達は取引に応じたよ。後は、壊すだけ壊せばいいだけの事』

『割り当てはどうする?実力者を放置するわけにもいかないだろう。それだけでは無い。幻想の頂点、龍もいる』

『それは僕が行くよ。竜殺しの魔物ならまだ何体かストックがある』

『では、サイラオーグは俺が』

『曹操が?勝てるものか、相手はネメアの獅子を手繰る猛者だぞ?』

『ああ、そうだろうな。…勝つつもりはないさ。ゲオルグとレオナルドを守れればそれでいい。…そろそろ頃合いか?』

『ああ、すでに終わっている。これで冥界から人界への通信は謝絶される。だが時間も少ない。丁重に、素早く頼むぞ』

『上出来だ、ゲオルグ。…じゃ、行こうか。

 最悪の反動勢力。大いなる都の徒(バビロニア)のお披露目だ。

 ───諸君、派手に行こう』

 

Let it go(ああ、行こう) around the sky (人類の為に) over the pain(痛みすら超えて)!》

 

 

 ■ ■

 

 

「ありえません。認める訳にはいけません」

「だがこれが終わりのない茶番だとしたら。

 俺達が終止符を打たなきゃぁいけない」

「たかが予定調和なのですよ?」

「それを施したのは神聖四文字だ」

「…私は今の人間の価値を、認められません」

「…俺はそうは思わん」

「貴方はいつも、そうですね、サタナエル」

「俺はこういう奴さ、()()()()

 

 

 人を救う、道を照らす。その意味で、

 本当の天使は、あの『二人』以外いなかったよ。

 神の御手から人間の解放の為、

 獣へ知恵を授けた天使がいた。

 たった二人の人間に道を示す為、

 禁じられた叡智を捧げた蛇がいた。




Q&A
Q.トライヘキサの見た目はどんな感じ?
A.宝石の国の『ゴーストクォーツ』
 みたいなイメージ?
Q.トライヘキサはどれくらい弱体化してるの?
A.超再生と外殻構成と瘴気が使用不可。
 実力は聖書の神に殺されるくらい。
Q.AC要素満載じゃねぇーか!
A.光の黒竜と『竜狩り』が次回か次次回に出る予定だからセフセフ。え?ダクソじゃねぇかって?タグを見よう。そこに答えがある。

さて、お気に入り登録をして下さった656名の皆様!評価をして下さった47名の方々に止まらぬ感謝を!では今回はここまで。最近暑さのせいで寝付きの悪い「書庫」でした。かしこ。

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