黙示録の時は今来たれり   作:「書庫」

25 / 57
 やあ (´・ω・`)

 ようこそ、バーボンハウスへ。
 この前書きはサービスだから、まず読んで落ち着いて欲しい。

 うん、「遅れた」んだ。済まない。
 仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。

 でも、この前書きを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。
 殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい 。
 そう思って、この前書きを書いたんだ。

 じゃあ、今回の感想を聞こうか。
(※訳:投稿ペースこれからぼちぼち戻していきます)



小さな反逆に意味はなく。されど、

 仏蘭西、某所。

 

 其処には、一人の悪魔がいた。

 名をクルゼレイ・アスモデウス。

 かつての『旧魔王派』の男である。

 

「…重いな、やはり」

 

 だが、それも過去と虚偽の話。この男は。否、そもそもの根本からしてアスモデウス一族は太古から三大勢力を裏切っていた。

 

 過去の話だ。女に惚れた悪魔がいた。だがその悪魔は、己では女を幸せにできないとわかっていた。だから、せめて良き伴侶と結ばれる様に悪事を働き、己を討ちに来るであろう、天使を利用した。

 

 小心者と笑われようとも、臆病者と貶されようとも、それでも自分が惚れた女が、良き伴侶と結ばれたのならばそれで良い。

 そうして、彼はエジプトへと渡り、其処で出会ったのは、

 

『───やぁ、アスモデウス。早速だが、一つ人類の未来について話さないかい?』

 

 後の主人となる、ソロモン。

 

「…さて、」

 

 そして現代。初代の血を引くアスモデウスは先代と変わらず、ソロモンに隷属していた。だからと言って、服や外見が変わるわけでも無いのだが、強いて言うならば、影が変わった。

 

「…いや本当に重いな」

 

 彼の背にはおびただしい程の近代的なデザインの砲門が、連結して取り付けられた兵装が背負われていた。

 そしてそれは展開される。全ての砲門は全方向へと向けられる。まるで棘が短く、四角い雲丹だ。

 

『アスモデウスの末裔、活躍は聞いている』

「…皮肉か? クロウ・クルワッハ」

『さて、どうだろうな』

「…さっき言った通りだ。後は頼むぞ」

『ああ、お別れだ』

 

 知っての通り、クルゼレイは元々『旧魔王派』だった。 数年前に復活を遂げたソロモンへ隷属していたとしても、彼等と志は同じだった。始まりは同じだった。

 

 仲間が、カテレアが死んだ。

 

 その報せを聞いた時クルゼレイは、頭が槌で潰されたかと思うほどの頭痛を覚えた。其処から先の彼の記憶は途絶というよりも、曖昧だった。

 

 主人が、ソロモンが動いていた。

 

 各神話への交渉。サタナエルとの連携。『楔』となる人間(えいゆう)の選定及び捕捉。『英雄派』の強化及び成長促進に加え新勢力「大いなる都の徒(バビロニア)」の構築。そしてトライヘキサの復活助長。短い時間で三大勢力に気取られぬ様に、『新たな流れ』を作り出した。

 

 その過程で『旧魔王派』は壊滅した。

 クロウ・クルワッハの手により。

 残党はもちろんいた。それも潰された。

 …クルゼレイの手によって。

 

 命令だった。だから仕方ない。などとは言わなかった。これしか無かったのだ。いくらオーフィスがいたとしても現魔王達に勝てるとは思えなかった。勝てるビジョンが見えなかった。

 

 王は願いを聞いてくれた。『責任』を取ることを代償に。だから、最初こそ語らいだった。言葉で同士達が止まってくれればどんなに良かったか。結局は『責任』として自ら手を下さねばならなくなった。

 だが、彼はそれで終わりにはしなかった。彼は確かに同士を殺めた。何人も何人もだ。そしてそれを、()()()()()()

 

「…お前達を芥にはしないさ」

 

 ああ、頭の中で絶叫が聞こえる。何故ですか、どうして、なんでなんだ。そう聞こえる。泣いている。かつての同胞が泣いている。すまないと、ただその一言のみを返せば、一歩踏み出した。

 

「…俺達は最初から詰んでいた。俺達は偽りの魔王や赤龍帝の踏み台となる定めだった。利用され最期を迎える定めだった。…そんな事が許されてたまるか」

 

 クロウ・クルワッハが特大の殺気を放つ。クルゼレイはそれに悪寒を重ねて覚えるが、変わらずに冷静に勤めて前を見据える。

 瞬きの沈黙。その直後、巨大な力がその場に現れる。

 

 或いは、世界樹の根を齧る邪竜。

 或いは、黄金の果実の守護者。

 

 どちらも既にこの世を去ったはずの邪龍。勿論、聖杯の力によってこの世に再び舞い戻った存在だ。恐怖は無い。諦めもまた然りだ。

 

「…非道い話だ」

 

 自嘲する。

 

 夢は叶うはずがないと確定していた。

 自分達はただの踏み台でしかなかった。

 敗北が決まっていた。ゴールのない迷宮にいた。

 そして最後の最後にはこの有様。

 仲間を殺し、喰らい、人に仕える。

 彼はその過程を得て、此処にいる。

 

「全砲門、解錠」

 

 でも、それでも、

 見せられた『あの未来』よりは遥かに良いと、

 彼はずっと誤魔化している。中に響く声すらも押し殺して、押しつぶして、それで誤魔化している。

 

 本当は、やりたいことがあった筈だろう。

 だがそれが叶わないことを知っていた。

 どちらにせよ、終わる。それが決定していた。

 

「充填、完了」

 

 加速する。そして前へと翔ける。二匹の邪龍は怪訝な顔を隠そうともしない。顎門が開かれる。障壁が出来上がる。普通なら、無駄死にとなるだろう。

 

 だが、クルゼレイの持つソロモン作の兵装は例に漏れず『普通』ではない。『規格外』だ。短時間と言えども、この兵装の使用は死亡に直結し、よしんば生き残れたとしても絶大な負荷もあり、まともに生きられる事はないだろう。

 だがその見返りは絶大だ。それはフリード・セルゼンという一人目の『人間(えいゆう)』が既に証明している。

 

「一斉掃射」

 

 全砲門から全方向へ。深緑色の電磁が叩き付けられる。それは確かに邪竜の身を焼き、障壁ごと押し込み、あろうかとか地へとその身を這いつくばらせた。

 

『うおおおおおおおおお⁉︎』

『何だあれは⁉︎あんな物を作って誰が喜ぶ⁉︎』

 

 クルゼレイの全身から血が吹き出た。それこそ血袋を高層ビルの屋上から落としたように広がった。

 がくん、と膝を折る。それでも倒れはしない。第二射の為の充填が始まる。全身が痛む。脳が焼き切れて行く感覚が如実に伝わる。視界が徐々に赤色へ。血が目に入る。痛覚が悲鳴をあげる。

 

「第二射……っ」

 

 間髪を入れない。充分なチャージはできていないが、はっきり言って『足止め』という点ではこれだけでも事足りていた。

 ソロモンを追わせないため。リゼヴィムと合流させ無いため。それが割り当てられた役割。

 

「っらぁぁあ!!!」

 

 再度、莫大な量の新緑の電磁が飛び散る。だが無意味だった。相手は邪龍、長い時を生きた者。個体によるが、賢者でもある。故に奇策珍作をいくら講じても通じるのは一度だけ。

 

 何重もの障壁と結界が二匹の邪龍を守っていた。

 やはりこうなるかと、もう一度自嘲した。

 

 糸が切れた人形の様にあっさりとその身は大地へと倒れ伏した。出血は先刻よりも遥かに多く、恐らくもう目見えていないだろう。だが充分だ。もう、ここで終わろう。これで良い。

 

『…驚かされましたよ』

 

 賞賛か、侮蔑か、それも分からない。

 彼はそれ程までに死が近い。

 

『…さらば、か。アスモデウス』

 

 その一言を聞いてから、ゆっくりと瞼を閉じた。

 後は話した通り、残りは全てあの龍が請け負ってくれるだろう。そんな思考がゆっくりと駆け巡っては泡沫の様に消えて行く。

 

 最初から最後まで、この生は王に捧げられた。聞こえは悪いが、そこに自由はあった。終盤こそろくなものでは無かったが、それでも、多少だがやりごたえはあった、そう思いたい。

 

 ───ああ、俺達は、聖書は終了する。

 悔しくないと言えば嘘になる。

 だが、あんなふざけた未来になるよりは、

 ずっとずっと良いんだ。カテレア、シャルバ。

 

 元旧魔王派、現ソロモンの御使が一柱、

 クルゼレイ・アスモデウス、死亡。

 

 彼の最後は王の御使か、

 それとも、れっきとした悪魔なのか。

 或いは、彼も初代と同じ心根へ至ったか。

 それは誰にも分からない。

 

 

 ■

 

 クルゼレイの居る地より遥かに遠く離れた某所。三つ首の龍『アジ・ダハーカ』は一人の人間の男の前に倒れ伏していた。

 男の名は『クルサースパ』。

 時に彼は黄金の踵を持つ怪物ダルヴァを宇宙の大洋で9日9夜の戦いの果てにそれを打ち倒し。

 時に彼は空を飛べば雨を遮らずほどの大翼を持つ巨鳥カマグをも打ち倒し。

 時に彼は人馬を厭わず貪り食らう角毒竜スルワラを打ち倒した。

 

 ゾロアスターの伝承に曰く、こう記されている。

 

 スラエータオナによって討たれ、ダマーヴァンド山の地下深くへと封じられた悪龍は、終末の時に解き放たれ、人や動物の3分の1を貪るだろう。だが彼の龍は最期、蘇りし英雄クルサースパに殺されることも、すでに決まった。

 

 今ここにそれは成立した。

 

 これは最初から定められていた、絶対だった筈のルール。果たせたのは人間の尽力の賜物だという事ぐらいは示しておく。

 周囲は焦土と化していたが、死人は出なかった。というより、出せなかったの方が正しいだろう。此処は、宇宙の大洋。かつてダルヴァが死に果てた地なのだから。

 

「さらば、我が怨敵(とも)

『…ああ、おさらばだ。…いずれ、また』

 

 邪龍は死んだ。此処にいるのは一人の英雄。彼は一度だけ笑えばゆっくりと帰路に着く。

 

「お断りだ、そんなの」

 

 悪友に吐く様な悪態と共に。

 

 ■

 

 ある所では大和の英雄神が大蛇を再び斬り倒し。

 ある所では太陽神が暗夜示す邪龍の残滓を焼く。

 彼らに漏れず、全ての神話が動き出す。

 

 それはゆっくりと、静かで、穏やかに。

 

 誰もが動いてないと錯覚する。

 それ程までに静かに固まっていく大流。

 これもまた、王の尽力と計画の通り。

 全ては順調、全くもって順調だ。

 

 

 

 ふと、誰かは思ったのだ。『もういい』と。

 ふと、誰かは思ったのだ。『ふざけるな』と。

 ふと、誰かは思ったのだ。『馬鹿にするな』と。

 

 

 皆揃って心の中でこう言った。

 『もうお前達に振り回されるのは御免だ』と。

 

 

 




次はトライヘキサの方に入るかなーん。
ソロモンはリゼヴィムとまだ殴り合ってますしね。
モチベも少しづつ戻って来ました。休養って大事。
今回この辺りで。感想もらえると狂喜乱舞します。
ではノシ

Q&A
Q.ユークリッド君どしたの?
A.万が一の伏兵でしたがソロモンと合流しようと移動中のギャスパーとばったり会っちゃって現在進行形で殴り合ってます。現在ユークリッド君の圧倒的優勢。ギャスパーは必至に食らいついてます。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。