はたらく魔王さまと円卓組のクロスオーバー書き始めたからよろしく!!!!!!!
「えらい迷いのない走りじゃのう、どっかもうアテはあるがか?」
夜のモスクワの路地裏をかけながら以蔵が誠対して口を開いた。
「いや?走りながら見てるだけだ」
分割思考で思考を分けて、隠れ家の条件に合う家を探しているのだ。
「ちょっと、待ちや。そこ角曲がったくに―――」
「分かってるって、暗殺よろしく」
そう言って近くのゴミ箱に身を潜める誠。
「まっこと人使いが荒い奴じゃ……」
面倒くさそうな反応をしながらも、霊体化する以蔵。
数秒経つと誠たちのいる路地にオプリチニキが顔を見せる。それと同時にオプリチニキがスパンと真っ二つにされたかと思えばその場で爆散した。
霊体化した以蔵が後ろに回り込んでいたのだ。
「こいつら人気のない所もちょくちょく徘徊しててめんど臭いな」
――――――――――――
「大分奥まで来たき、この辺の家でいいがやないかえ?」
どうやら、この辺ではオプリチニキが徘徊していないようだ。
「この家にするぞ」
街の中心部からも離れており、大きすぎず、小さすぎない一軒家。4人の隠れ家にするにはぴったりな家を誠が指差す。
「2階の明かりが着いちゅうな……」
「
「……二人組に分けたのはこの為かえ?」
「可愛げな女の子に血を見せたくないという粋な計らいだぞ」
――もう何人か殺しているので今更な気がするが、今回は無抵抗なヤガを殺すのだ。2人とも根が優しすぎるから罪悪感を覚えてしまうかも知れない。ちなみに都市から逃げたきた叛逆軍というのは嘘だ。都市に住めると言うことはある程度金を持っており、裕福な暮らしをしているということだ。それらを手放してまで叛逆軍にくるヤガはまずいないだろう。
「ほんなら、行くぜよ」
「了解」
以蔵を戦闘にし玄関を開ける。どうやら鍵はかかってないようだ。物音を立てないように家に侵入する。テーブルも先程使ったのだろう、食器が使ったままになっている。食器の数から推測するに2人暮らしのようだ。
「この様子だと、1階には誰もいないみたいだな」
下の階を一通り見て回った後、2人は物音を立てずに2階へと繋がる階段に向かった。
そして2人は階段を上がり明かりのついた部屋の前に来た。聞き耳をたて、部屋の様子を伺う。
中ではどうやら男のヤガと女のヤガが会話しているようだ。会話の内容かは察するに夫婦のようだ。
以蔵に突っ込めとハンドサインを送り、思い切りドアを開けた。
―――――――――――――――――――
「おまんは立香とおんなじカルデアのマスターじゃが、全然違うのう」
「確かに立香はあまり殺しは良しとしないだろうな」
勿論、俺もあまり殺しは好きじゃないがと誠が付け加える。
「儂が言うのはあれじゃが、本当に良かったがか?」
「立香にバレなければいいよ、バレたら本気で殴られそうだ」
誠はそう言いながら苦笑する。
「それに今更一人殺そうが殺さまいが、変わらないくらい俺の手は汚れている。まぁ。魔術師だから当たり前っちゃ当たり前かもしれんが」
「よお、おまんも儂らと同じコッチ側いうことか」
「まぁ、魔術師だからな当たり前だ」
誠は基本殺しは好まないが、それは無益な殺生というだけで必要に迫られば殺しもする。この業界で生きていれば当たり前のことだ。
今は不安要素は一つでも削ぎ落としたいと考えたのだ。
「それにこいつら放っておいても最後にはみんなどうせ――――」
そこまで言って誠は最後まで言うのはやめる。それを最後まで言うとせっかくの覚悟が鈍りそうだから。
「以蔵はエレちゃん達を向かいに行ってくれ」
「後始末は任せたぜよ」
「了解」
今こそ培ってきた工作員レベルを発揮する時。誠はベッドの上で永眠についたヤガの遺体に一礼すると肩に担ぎ上げた。
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「あら中々いいところね」
以蔵に連れられてきたエレシュキガルは感嘆の声を上げる。
「隠れ家的な感じでいいわね!」
武蔵もこれから拠点にあるであろう家を見上げ、テンションを上げた様子で声を上げる。
「中はオプリチニキに荒らされてるけどね」
誠が2人に割って入る。生活感をなくすためにはオプリチニキに襲われたと言うことにするのが一番都合が良かったからだ。ヤガの遺体と血のついたシーツは裏手にある見つかりにくそうなゴミ箱に放り込んでおいた。
そこから4人で一通り家を見て回り、疲れているだろうということで就寝についた。実際、誠も久しぶりの未知の地での長期間の戦闘体制を敷いていたためかなり疲労していた。
「カルデアとの通信は戻らないし一週間で帰る約束は守れそうにないわね」
完全に寝る体制に入った誠が陣取っているソファーのテーブルを挟んで反対側の椅子に座っているエレシュキガルはため息をつきながらぼやいた。
「まぁ、経験上元々こういうことになるのは薄々わかっていたけどね」
誠はカルデアに来る前の父と戦場を駆けた日々や師に教えをこうていた日々に想いを馳せながら答えた。
「それに約束は破るもんだよ、エレちゃん」
「それはダメ人間のセリフなのだわ!」
エレシュキガルの叫びを聞いて苦笑しながら、誠は眠りについた。
翌朝
「起きなさーい!」
いつも通り誠はエレシュキガルに叩き起こされていた。
「後5分……!」
「ちょっと離しなさい!」
エレシュキガルがタオルケットを無理やり剥がそうとするが、誠も負けじと必死に抵抗する。だが、サーヴァントの筋力には流石に勝てなかったのか結局タオルケットはエレシュキガルの手に渡ってしまう。
「お〜とっとっと、あいて!」
引っ張り合いで誠の手からタオルケットを奪ったその反動でエレシュキガルは後ろに仰け反りかえってそのままゴツンと壁に衝突してしまう。
「朝は弱いって言ってるだろう!起こすのはもうすこし後にしてくれ!」
誠は奪われたタオルケットを名残惜しそうに見つめながらそう叫ぶ。
壁でぶつけてできた、たんこぶをさすりながらエレシュキガルも反論する。
「今は緊急事態なのよ!それにマスターがグータラ人間だなんて私嫌なのだわ!」
「緊急事態だからこそ満足するまで寝る必要があるんだよ!ポンコツ女神!」
「何ですって!?」
「「ぐぬぬぬぬ!!!」」
「おまんら何をしゆうがじゃ……」
以蔵はそんな二人のやり取りを見て呆れたようにそう呟きため息を吐く。一方の武蔵はと言うと二階の部屋で剣の素振りをしている。どこまで剣術馬鹿なのだろうか、以前のように罷り間違って壁を壊したりはやめていただきたいと残り3人は深くそう思っていた。
「あ、以蔵お疲れ」
渋々起きた誠は非常時用のレーションを食べながら以蔵に挨拶した。
「儂らが働きゆう間もグースカ寝ゆうやつに言われとうないわ」
昨日は異常が起きたらすぐ察知できるようにサーヴァントの3人が交代で夜間この家の屋根で見張りをしていたのだ。その最後の番が以蔵だったのだ。
「そんなことより作戦会議だ」
誠は露骨に話を逸らしながら、円卓状のテーブルに手をつき椅子に腰をかける。いつの間にか戻ってきていた武蔵にギョッとしながら2人も席に着く。
「それでは会議はじめまーす」
誠のやる気のなさそうな掛け声で会議が始まった。
「「「「…………」」」」
そして10秒ほどの静寂。
「何で誰も言わないんだ?ふぁ〜」
それを打ち破ったのは誠だった。
「マスターがこの中のリーダーだからみんな言葉を待っているのだわ!」
エレシュキガルは大きなあくびをして何とも締まらないマスターにツッコミを入れる。
「朝だから脳を起動するまでに時間がかかるんだ」
「屁理屈言わず早くするのだわ!」
「へいへい」
エレシュキガルに言われ少し考えるようにそぶりをする誠。
「取り上えず、これからの方針としてカルデア一行がここに来るまでここを拠点に調査をする。その際24時間体制で見張りをする。カルデアの奴らが来たらすぐわかるようにな。勿論、俺も入る」
戻るという考えも誠は視野に入れていたのだが、シャドウ・ボーダーの修理が完了している場合を考慮して待機することにしたのだ。それに立香達はホームズにイシュタル、アタランテがいるため戦力的は何も問題ないだろう。
「もし、立香達が来たらどう知らせればいいの?」
「これを使う」
誠が腰にかけたバッグからトランシーバーらしきものを二つ取り出す。
「通信機だ。こんなこともあろうかと倉庫から二つ拝借してきた」
「了解したのだわ」
この後は細い決め事や戦略などを相談し作戦会議は終了した。
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