アナスタシア4まであまり変化がないです
プロローグ1
神代は終わり、西暦を経て人類は地上で最も栄えた種となった
我らは星の行く末を定め、碑文を刻むもの。
人類をより長く、より確かに繁栄させるための理ーーー人類の航海図
これを魔術世界では 人理 と呼ぶ。
しかし、ある時それが何者かによって全て燃え尽きた。
未来はたった1秒で奪われた。
コフィンの中に入り意識が飛びそうになるのをぐっとこらえる。たった今から人理を修復する旅が始まる。
そうーーーー今から人理を修復する旅が始まるはずだった。
突如、耳を擘くような轟音とともに体に衝撃が走る。
事故もしくは第三者の手によって爆発が引き起こされた。おそらく誰もいない時に何者かがコフィンの下一帯にバレないように爆弾を仕掛けていたのだろう。敵のスパイがいるとは誰も想定してはいなかった。
ああーーーーここで終わりか。
その瞬間、彼は自分の全てがどうでもよくなった。
どれくらいたっただろうか。
「ーーーー状況の変化を確認した」
ふと、そんな誰かの声が脳裏に響いた。
「選ばれし君たちに提案し、捨てられた君たちに提示する」
感情など全く籠っていない無関心そうな声でその者はこう告げた。
「栄光を望むならば、蘇生を選べ。怠惰を望むならば、永久の眠りを選べ。」
「神は、どちらでもいい」
どうやら彼を除く7人の魔術師は栄光とやらを望んだようだ。
だが彼は自称神の提案には乗らなかった。生憎、彼は魔術に崇高な考えなど持ち合わせていない。一刻も早く家に帰って自室に引きこもり怠惰な生活を送りたかったのだ。
「ーーーそうか、それは残念だ」
彼の回答に自称神は無機質な声でそう返答した。
自称神は彼の返答などどうでもいいのだろう。
「私は違う惑星からこの惑星に降り立つ者」
「空想樹はこの惑星を初期化する。新たな神話を作り上げる」
「汎人類史を押し潰し、神をその手で構築せよ。私を受け入れる、その法則を築き上げよ」
ーーー
そう告げると自称神なる者は気配を消した。
――今日まで人理修復のためにして来た魔術の特訓も戦闘訓練も全てが水の泡になったが別に構わない。
――元々そんな大役、自分の背には重すぎた。
意識が溶けていくような感覚に包まれる。
――もうすぐ自分は死ぬのだろうか。
そんなことを思いながら彼はそっと意識を手放した。
さて、この物語を理解する上でこの男のこれまでの出で立ちを語るとしましょう。
彼の名前は 誠・エルトナム・シリウス
生まれはエルトナム家でした。その家は優秀な魔術師の家系で彼は2人目の子供でした。既に魔術師としての素質がある女の子が一人、生まれていたのです。
魔術師の家では一人しかその家の魔術刻印を継げないので、もう一人は魔術の存在を知らせずに育てるというのが通例なのですが、彼も姉に負けず劣らず魔術師としての素質があったので、血縁関係のある魔術師の家に養子に出すことにしました。とても合理的な判断です。
それがシリウス家です。シリウス家は200年程続く魔術師の家系ですが、子宝に恵まれず困っていたため喜んでこの話を受けたのでした。
そのシリウス夫婦は互いに魔術師らしからぬ性格で、誠を丁寧に育てました。別に嫌なら魔術の道を歩まずとも構わないと誠に言う程でした。しかし、誠は育ててくれた恩を返す意味も込めて魔術師の道を歩み始めました。ちなみに彼の名前に関してですが、母方側が日本人ということもあって 誠 という名前が付けられたそうです。それと本人は、もう自分とは関係ないエルトナムをあまり名乗りたくなかったようですが、母方に名乗りなさいと言われて名乗るようにしたのでしょう。
所変わって、十数年、誠はアトラス院で魔術の研究に励んでいました。そこで偶然にも姉と再会したのです。養子に出されてエルトナム家とシリウス家の交流はあったものの数回した会ったことのない姉は誠にとってあまり、姉とは思えないようでした。誠は姉と戦闘訓練をしたり、共に研究したりして時は流れました。外界と隔絶されているアトラス院でどのようにして情報を手に入れたのかは分かりかねますが、誠はシリウス家の研究成果目当てに何者かが襲撃したことを知ります。誠はすぐさまアトラス院から逃亡し、家に帰りますが
もう既に家は焼き尽くされ誰も残ってはいませんでした。
それから誠はやさぐれて生きるため仕方なく、研究成果の秘匿を第一とするアトラス院の追手から逃げつつ、フリーのエージェントをしていたところ、シリウス家の知り合いであったマリスビリーから声がかかったわけです。
ここまで言えばもう充分でしょう。
――是は彼が自分の心と世界と闘う物語。
――――――シオン・エルトナム・ソカリスより
プロローグはちゃちゃっと終わらせたい