冥界の女神は元Aチームマスターの夢をみるか   作:Reji

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お久しぶりです
このSSを元にして1から全部書きなしたい……。書きなしたらここにURL貼ります。
後、ヒロイン変えていいですかね。


25.再開

シャドウ・ボーダーにて、密室で話す男の2人の姿が在った。

 

「義手にはもう慣れたか?」

 

「……作ったやつが世紀の大天才というだけはあるな」

 

皮肉げにそう笑う男の名はカッドク・ゼムルプス。元Aチームマスターの7人の内の一人でありクリプターの一人でもある。

 

そして、それに語りかける男の名は誠・エルトナム・シリウス。元Aチームマスターの一人でありカルデアのマスターでもある。異聞帯が崩壊した後、カルデアでカドックを捕縛したのだ。

 

捕縛といっても独房で手足を縛っているというわけではない。いや、当初はその予定だったのだが誠の頼み込みで誠と同室にして監視するということに落ち着いたのだ。

 

これは所長含むカルデアスタッフ全員がカドックが不審な働きをすれば迷いなく殺すと、誠・エルトナム・シリウスという男を信用しているのだ。

 

「そういや、お前はあいつらのとこにはいかないのか?」

 

カドックのいうあいつらとは立香達のことだ。彼らは寝る時以外は操縦室に集まるということを原則としている。

 

「あのお通夜のような空気に混じるなんて御免被る」

 

遡ること数週間前。

 

宛てもなく白紙化した地球の上を走っていたシャドウ・ボーダーに一通のボイス・メッセージが届いたのだ。

 

ロシアの異聞帯を抜けて一週間だが、ボーダーの中は未だに暗い。お通夜の雰囲気といっても差し支えない。だがそれは仕方のないことだ。ロシアの異聞帯では完膚無きまでに真実を付きつけられたのだから。

 

雷帝は誠同様に、立香にも覚悟を問うた。

 

世界を救うには残る異聞帯を全て消滅させなくてはならない、即ちそれはそこに生存する生命全てを見殺しにしなくてはならない。

 

それは一度世界を救った英雄を落ち込ませるには十分すぎる理由だった。

 

そんな中だった。ボーダーに通信がメッセージが届いたのは。

 

「おい名探偵!所長!」

 

いち早く気がついたのは地下の通信室で無線傍受の仕事をしていた誠だった。急いで操縦室まで駆け上がってきたのか誠は息を切らしていた。

 

「ええい!騒がしいな、誠・エルトナム」

 

「何かね、誠君。これ以上、我々を驚かせるものがあるのかね?」

 

「通信だ!」

 

「なんだと!?」

 

「メッセージ内容は!?」

 

ゴルドルフもホームズも驚愕の表情を顔に張り付かせる。

 

「ムニエル、暗号化されたコードをそちらに送る!」

 

「ちょいま、解読完了!読み上げます!」

 

ボーダーに緊張した空気が張り詰める。

 

『我 凡人類史の魔術師

 我 正しい歴史の魔術師なり』

 

『この信号を聞き届けるものがいれば合流されたい』

 

『こちらバルトアンデルス。現在、北太平洋を移動中』

 

『生存者を待つ。繰り返す。正しい歴史の生存者を待つ』

 

『次に示す座標に、どうか合流を』

 

『こちらはバルトアンデルス。彷徨海、バルトアンデルスである』

 

「ムニエル!座標を早くメモれ!」

 

「もうやってるよ!」

 

ボーダーに満ちる静寂。それもその筈、”彷徨海バルトアンデルス”。魔術を学ぶ者なら誰もが知っている名前である。時計塔、アトラス院に並ぶ魔術協会で、魔術師たちはこれらを合わせて通称3大部門と呼んでいるのは常識だ。

 

彷徨海はそのなかでもトップシークレットで情報が完全に秘匿されており、知られていることといえば北海漂う神代の島。通称”生きた海”であり、『文明による魔術の進歩・変化を認めず、西暦以前の神秘───神代の魔術のみを魔術とする』という思考概念を持っているということだけだ。

 

それ故にボーダーの者達が絶句するのも無理はないのである。

 

「……ともかくだ!」

 

その静寂の波を打ち破るようにゴルドルフが声を上げる。

 

「経営顧問、ホームズ君!念の為に、君の意見を聞いておこう。彷徨海からの信号は本物かね?」

 

「それは私には何とも。ダヴィンチ、そちらの見解は?」

 

「半々かなぁ時計塔基準の通信ではないんだけど、この波長、アトラス院の魔力地形に近いんだよねぇ」

 

だが、彷徨海のデータを持っていないカルデアはそれを確かめる術がない。でも物資的に精神的にも限界の今、信じて立ち寄ってみり価値はあるというのが、ダヴィンチの意見だった。

 

その回答に誠の胸の不安は大きくなる。

 

————ボーダーといい、あのどこかで聞いたことのあるような声……偶然であることを願いたいものだ……。

 

誠の不安を知る由もなく、周囲ではとんとん拍子に話が進んでいた。

 

「よし、では今から示された座標に向かうということで」

 

それを誠が止める理由はない。そして今に至るというわけである。

 

「俺もうダメかもしれん……」

 

「俺からしたらお前が死ぬのは好都合だよ」

 

 淋しさというのは、いつの間にか、人の気持ちに染みてくる。そんなこんなでシャドウ・ボーダーでの旅は続く。

 

『誠、交代の時間だ』

 

「了解」

 

あれ以来シャドウ・ボーダーの電力の節約のため、自動運行システムをオフにして手動運転に切り替え、ホームズ→ムニエル→誠→スタッフの数人のローテーションで回しているのだ。

 

誠が立ち上がろうとした直後、ガチャンと音をしてあらぬ方向に左腕が引っ張られる。

 

「……んん、痛いだろ」

 

「そういえばこんなん着けてたな」

 

なんと誠の腕とカドックの腕が手錠で繋がれているではないか。

 

「これつける意味あるのか?」

 

「知らん、所長命令だ」

 

「おい、立て行くぞ」

 

流石に運転するときは、外すが鍵はゴルドルフが所持しているため操縦室に向かわなければならない。寝起きのカドックは機嫌が悪そうにしぶしぶ、立ち上がると誠と一緒に操縦室へと向かった。

 

「ムニエル交代だ」

 

時刻は夜というだけあって、そこに居たのはゴルドルフとムニエルだけだった。

 

「お前遅いよ」

 

「5分くらい気にするな」

 

そんな記録にも残らないようなやり取りをすると、あくびをしながらムニエルは自室へと向かった。誠は()()しているゴルドルフのコートの内ポケットから音もなく鍵を抜き取ると、手早く手錠の鍵を外し運転席に座る。そして、カドックを助手席に座らせる。

 

「前世は盗賊か?」

 

「かもな。そんなことよりシャドウ・ボーダーがAT車と操作方法が同じでよかったぜ」

 

なんとこの男、AT限定の免許しか持ってないのである。

 

「いいからちゃんと前を見ろ」

 

「どうせ障害物なんてないから平気平気」

 

相変わらず、モニター越し外の景色は毎日毎日同じ顔をしていて空虚な寂しさが心にのしかかる。どこを見ても凹凸のない地面が果てしなく続くその真っ白な荒野を永遠と進んでいると、月面に取り残されたような恐怖さええも感じる。今なら世界の中心で愛を叫ぶ人の気持ちも分かるかもしれない。機能を停止したこの惑星はどこへ向かっているのか、誰にも分からない。

 

紅い気味の悪いの月が不機嫌にの月がシャドウ・ボーダーを照らす。その眩しいくらい明かりは地表に反射して、かなり先まで見通すことができる。

 

「おい、誠止まれ」

 

「なんだ?」

 

カドックが指差す先には月明かりに反射して何かがうねうねと蠢いているのがわかった。そして、次第にソレが()であると分かるまでにはそう時間は要さなかった。

 

「魚って生きてるんだろうか」

 

「知らん」

 

「取り敢えず、呼び出しかけるか」

 

そこで陸地を完全に一直に途切れていて、地震で生じた断層にようだ。波は怒り狂ったような轟音を立てて、こちらを威嚇しているようだ。呼び出しを掛けて、数分程でいつものメンバーが集合した。

 

「おはよう、ムニエル。よく眠れたか?」

 

「今しがた、夢の世界に入ったところだよ!ああ、アストルフォとデオン待ってくれよ……」

 

「ダメだこいつ早くなんとかしないと」

 

「ふむ、どうしたものか」

 

ホームズが海と睨めっこしながら、いつも手に持っているパイプをふかした。煙はもくもくと室内の上層に浮上していく。

 

『車内は禁煙でーす』

 

「おっと、それは失敬」

 

ダヴィンチに注意されて、わざとらしく口からパイプを話す。

 

「どうする名探偵?迂回するか?」

 

「そもそも迂回して、指定された座標にたどり着けるかどうか」

 

「取り敢えず、バックして海沿いに走って様子を観察してみるか」

 

誠が普通車でいうところのサイドブレーキに相当する箇所をバックに入れようとしたときだった。大きな揺れがシャドウ・ボーダーを襲った。

 

「地震!?」

 

その影響で、地が大きく傾き、シャドウ・ボーダーが海の方へと滑り始めたではないか。

 

「誠くん!ブレーキ!」

 

ゴルドルフが叫ぶ。

 

「わかってる!」

 

誠が思い切り、足元のレバーを踏み込んだ。

 

「あ」

 

しかし、シャドウ・ボーダーは止まるどころか勢いを増して、海の方へ直進し始めた。

 

「アクセルとブレーキ間違えたあああああ!!」

 

「何をやっているのかね!?誠君!?」

 

「マスター!?何をやっているのかしら!?」

 

「ちょっと誠!何やってんのよ!!」

 

「誠君!?」

 

慌てて、ブレーキに切り替えるが、速度が速度なので止まれない。

 

「すまん、止まれん!衝撃に備えろ!!!」

 

そのままシャドウ・ボーダーは数々の悲鳴と共に勢いよく海にダイブした。それからシャドウ・ボーダーが落ち着くのは2回も3回も回転した後のことだった。

 

「あいたぁ〜、腰を打ったぞ腰を!このダメージ、ブレーキが効かずに丘から落ちた以来だ!そんなことよりどうなっている誠君!体感10メートルは落下したが!?」

 

「だ、大丈夫だ。バックで陸地に引き返せば————」

 

誠が状況を確認しようと窓の外を見て絶句した。

 

「どうした誠君————」

 

続いて、外を覗き込んだホームズも驚きの余り、パイプを落としてしまう。

 

なんとシャドウ・ボーダーは突然、荒波戯れる嵐のど真ん中に放り出されていたのだ。陸地へ戻ろうにも、どこを見ても陸地なんてものが見当たらない。不幸なことにシャドウ・ボーダーはこの嵐を突き進む、機能を有してはいないのだ。

 

そして、現在シャドウ・ボーダーでは、誠は椅子に縄で括り付けられて、誠への怒号やら批判だけ飛び交っていた。阿鼻叫喚である。

 

「……俺より縛る奴が横にいるだろ」

 

無言で誠は隣のカドックを見る。カドックは耳に突き刺ししていたイヤホンを引っこ抜いて、振り向いて誠のを睨んだ。

 

「あ?」

 

その剣幕に誠も萎縮してしまう。

 

「ごめんなさい」

 

「しばらく貴様は運転禁止だ!」

 

「なんてことしてくるのよマスター!このままじゃここで全滅なのだわ!?」

 

その時だった。

 

「————ん?」

 

ホームズが小さく声をあげる。

 

「Mr.ムニエル、回線を開いて!すぐにだ!ダ・ヴィンチは役に立たない!」

 

「あ、ああ、任せろ!」

 

絶対絶命のボーダーに垂らされたまさに蜘蛛の巣。このチャンスを逃すわけにはいかない。ムニエルが通信を受け取りの体制に入る。

 

「シーキュ、シーキュー。こちら、彷徨海船港(ドック)

 

皆が息を呑む。

 

「なるほど!それがカルデアの船だね?船……船じゃないな。そうかタンクか!合理的だ、とてもね!でもセンスは最悪だ!だってどう見ても鉄の棺桶だものね、それ!可愛さの欠片もないし!私の設計したペーパームーンがなければ帰っては来られなかったんじゃない?ともあれ。よくここまで辿着いてくれたね!」

 

そんなこと嬉々として語る謎の人物の声に誠は思い当たりがあった。

 

「通信!彷徨海からです!でもどこから!?」

 

「さぁ————この島が12月31日以外に姿を現わすなんて、まさに2000年ふりだ!

 

次の瞬間、ボーダーの前に突如として大きな水飛沫と共にシャドウ・ボーダーを見下ろすように、巨大な島が立ちはだかった。

 

「ようこそ原初の魔術工房、彷徨海・バルトアンデルスへ!」

 

その人物は陽気な声でカルデアの者達を歓迎した。

 

その出来事から数分が経った、シャドウ・ボーダー内では。

 

「誰から出るんだよ」

 

そう呟いた瞬間に、集まる誠への視線。

 

「じゃあ、俺がマシュと一緒に……」

 

「駄目だ、立香君。ここは誠君に行かせよう」

 

「なんでだよ!」

 

「元はと言えば、貴様のせいでこんなことになっているんだからな!」

 

「ぐぬぬ」

 

シャドウ・ボーダーのハッチにて立ち往生していた。

 

「ここでいけば、さっきのはチャラにしてやる」

 

「……しょうがない。いけばいいんだろいけば」

 

「気をつけてね、マスター」

 

何故か後ろでビビっているエレシュキガルの声と同時に誠はハッチを開けた。目に飛び込んできたのは、まるで絵に描いたような秘密基地を模した魔術工房であった。

 

そしてそこに誠が一歩足を踏み入れようとした時だった。

 

誠の頭上に勢いよく何者かのかかとが振り下ろされた。誠は冷静にそれを回避し、素早く拳銃をその人物に突きつけるが、向こうも素早く体制を整えてお互いに拳銃を突きつける形になってしまう。

 

「アトラスの錬金術師はいつでも格闘遊戯をする準備をしておくように教わらなかったかしら?反応がコンマ1秒ほど遅れていたわよ?」

 

「姉さんが強すぎるだけだ。見てよこの地面、かなりえぐれてるよね。真っ向からこんなの受け止めたら死ぬよ人間は」

 

「おい今大きな音がしたけど大丈夫かね?」

 

そして、その音を聞いたシャドウ・ボーダーの人間がぞろぞろと出てきた。誠が姉と呼んだ人物は素早く銃をしまうと、カルデア一行に頭を下げた。

 

「ああ、私はシオン・エルトナム・ソカリス。どうぞお見知り置きを!」

 

それから時が経つのは早いものでまず二週間が過ぎた頃。天才錬金術師で誠の姉のシオンとそのサーヴァントの通称キャプテンが彷徨海の中にカルデアを再現して見せた。

 

住めば都とはよく言ったもので、休暇という名のそこでの生活は快適を極めた。

 

そして、カルデアを再現するということは、召喚システムも内蔵されているわけで……。今現在、カルデアの召喚術式で召喚に応じてくれるサーヴァントを待機中なのだ。

 

「俺たちの扱い雑すぎるよな」

 

「お前の日頃の行いのせいじゃないか?」

 

召喚室に待機させられているは誠とカドックだ。いざ英霊が召喚された時に事情を説明するの係りが必要だからだ。

 

「誰でもいいから早く来てくれないかな」

 

誠が急かすように召喚陣を触れる。

 

「な、なんだ!?」

 

それに反応するように、召喚サークルが呼応する。

 

そして()()は召喚されてしまった。

 

「サーヴァント、アサシン。虞美人よ。本当に仕方なく応じてあげたわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




それはそうとグラブルのSS書きたいな……。モニカすこだ。
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