ルビィ、ゲーム始めました!   作:Kohya S.

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3. 針路が交錯する

 PV撮影、東京でのライブなど、いろいろな出来事があり、夏休み前にAqoursは九人になった。

 

 ルビィの「イリス・デュナミス」のアバターのレベルは、戦績の良さもあってかなりの値に上がっていた。

 

 ジェーンとはあいかわらず、しばしばマッチで出会った。戦績は五分五分といったところだ。

 

 一学期もあと数日というある日、ルビィはジェーンからメッセージを受け取る。この日はルビィがマッチに敗れていた。

 

『いよいよ夏本番、紫外線にも気を配りたいですね』

 

 あっ、と思った。

 

 そっか、日差し、きつくなってるもんね。もうすこし帽子とか、気を(つか)わないと。ジェーンさん、だから教えてくれたんだ。

 

 心が温かくなるルビィ。

 

『お気遣い感謝します。次からは配慮いたします』

 

 そうメッセージを返信してルビィは考える。

 

 ジェーンさん、どんな人なんだろう。

 いつも、ルビィには思いつかない、独創的な組み合わせ、だよね。メッセージの文章も、簡潔でしっかりしてて……お姉ちゃんみたい。

 きっと、素敵な人なんだろうな……。

 

 ジェーンのアバターは腰まである黒い長髪に、すらりとした体で、瞳の色こそ違うが(ジェーンは藍色(あいいろ)だ)どことなくダイヤを思わせた。髪を下ろしていることが多いのも、その理由かもしれなかった。

 

 ルビィの頭のなかでは年上の女性、それも学生ではなく社会人のイメージが固まりつつあった。

 ダイヤをそのまま成長させて、すこし鞠莉(まり)果南(かなん)の雰囲気を加えたような――。

 

        ・

 

 夏休みに入った直後のある日。

 朝食を食べて着替えたルビィは、Aqoursの練習で学院に行く前にすこしだけアプリを起動する。

 するといつもと違うアプリ内の「お知らせ」が目に留まった。

 

「ペアマッチ、開催のお知らせ……?」

 

 アプリの新イベントの案内だった。いままでは一対一だったコーデマッチを、ペアで競うイベントが開催されるらしい。

 イベントのランキング賞品は、夏をイメージした白基調のシンプルなドレスだった。

 衣装の「性能」はともかく、どんなコーディネートにも合いそうなデザインはルビィの興味を引いた。

 

「でも、ペアなんて……」

 

 ひとりでも、ランダムに組み合わされた他のプレイヤーと、イベントには参加できるらしい。ただ、今回はふたりのコーディネートの組み合わせも評価される。当然、あらかじめ決めておいたペアのほうが有利だった。

 

「うーん、善子ちゃんか花丸ちゃんが、遊んでればなあ」

 

 あとで声をかけてみよう、と思う。

 次にルビィの頭に浮かんだのはジェーンのことだった。

 

「どうしようかな」

 

 ジェーンさんなら、ルビィと一緒に遊んでくれるかも。ルビィみたいな子供とは、付き合ってくれないかもしれないけど。もしかしたら。

 

 ルビィはとりあえず今日の服装を決めて、アプリを閉じる。

 そしてダイヤに声を掛けるため、彼女の部屋へ向かった。

 

        ・

 

 数日後、Aqoursの練習が休みの日。ルビィは花丸、善子と一緒に沼津市街へ遊びに来ていた。

 

 雑貨店や服飾店、書店などをひと回りして、三人は商店街の、ある喫茶店へ落ち着く。

 真夏らしい暑さのなかを歩いてきたルビィに、冷房の効いた店内は心地よかった。

 

「あんた、いったい何冊買ったのよ」

「二十冊ずら。これでも今日はすくないほうなんだから」

 

 店員に注文をして、飲み物を待つあいだに善子と花丸が話す。

 その向かいの席で、ルビィはかたわらに置いた紙袋を眺めた。

 

 えへへ。今日は新しいお洋服、買っちゃった。お小遣い、ずっと貯めてきたんだもん、たまにはいいよね。

 

「ルビィちゃんは、欲しかったもの、買えた?」

 

 花丸が聞く。

 

「うん、買えたよ」

 

 ルビィは大きくうなずいた。

 

 飲み物が届いた。店員がお辞儀をして去ると、三人は会話を再開する。

 夏休みの宿題のこと。練習のこと。次のライブのこと。話題は尽きなかった。

 

 話を続けるうちに、涼しい店内と冷たい飲み物とですこし寒さを覚えたルビィは、鞄からショールを取り出して肩に掛けた。

 

「それ、なかなかいい感じね」

 

 テーブルの上に片肘(かたひじ)をついて(あご)をのせ、善子がルビィに目で示す。

 

「うん、ちょっと寒いときとか、ちょうどいいよ」

「まあ、それもいいんだけど。わりと素敵じゃない」

「えっ、そうかな」

 

 化繊(かせん)だがシルク風の、白いオーガンジーのショールだ。

 こんなこともあろうかと、また今日の服装に合うだろう思って選んだきたものだ。

 

「ルビィちゃん、最近、すごく可愛いよ。前から可愛かったけど、なんていうのかな、お洋服があか抜けている気がするずら」

 

 花丸がにこっと笑った。

 

 今日のルビィは淡いブルーの袖なしのワンピースを選んできた。(えり)はペタルカラー――花弁のようにデザインされている。スカートはゆったりしたフリルのレイヤードで、内側の生地は同じ青系統でもすこし水色寄りだ。

 ウエストには白いリボンを締めて、前で結んだ大きな蝶結びがアクセントになっていた。ツインテールのリボンも同色に合わせている。

 日傘か帽子も考えたが、アーケードには屋根もあるので、今日は置いてきていた。

 

「そうね、ほんと。見習いたいくらい」

 

 善子もうなずく。

 思わぬ賞賛の言葉にルビィは照れてしまう。

 

「は、花丸ちゃんも善子ちゃんも可愛いよ」

 

 花丸は白地に細かい花柄のワンピースに、いまはやはり寒いのか、トレードマークの黄色いカーディガンを羽織っていた。

 善子は白地にパープルのラインが入ったシャツとスカートだが、フリルが目立つのは彼女らしい趣味だ。

 

「まあ、否定はしないわ」と善子。

「マルはぜんぜん、だめだなあ」

 

 花丸が首を振るので、ルビィはあわてて否定した。

 

「そんなことないよ、花丸ちゃん。今日のお洋服も、すごく素敵だし」

 

 花丸ちゃんによく似合ってる、と思う。

 

「そういってもらえると、嬉しいずら」花丸は微笑んで続ける。「でも、ルビィちゃんの趣味はほんとうにいい感じだよ。Aqoursの衣装でも、ルビィちゃんの意見がすごく参考になる、って曜ちゃん、感心していたずら」

 

 そうなんだ、とルビィはさらに嬉しくなった。

 

 曜ちゃんがそんな(ふう)に、ルビィのこと思ってくれてたなんて。でも、どうしてかな。ルビィ、なにもしてないのに。

 あっ、もしかして……。

 

 きっとそうだ。ふたりを誘ってみよう、と思う。

 

「善子ちゃんのおかげかも?」

「えっ、私? 私、なにもしてないわよ」

「善子ちゃんが紹介してくれたゲームのせいかなって」

「えーと、なんだっけ。……あ、あのコーディネートのやつね。あんた、まだ続けてたの? 飽きないわね」

 

 あきれたように話す善子に、ルビィはすこしむきになる。

 

「で、でも、こうやって役立ってるし」

「たしかに……でも、ゲームでしょ。本当かしら」

「だってそれしか思いつかないもん。だから、善子ちゃんには、ありがとうって」

「面と向かっていわれると、こそばゆいわね。まあ、役に立ってるならよかったわ」

 

 善子は肩をすくめて、「まったく、素直なところ、ルビィらしいわね」と口のなかでつぶやいた。

 

「どんなゲームずら?」

 

 興味を引かれたのか花丸が聞く。

 

「あ、花丸ちゃんもスマートフォン、買ったんだよね。えっとね、花丸ちゃん……」

 

 ルビィはいそいそとスマートフォンを出して説明した。

 

「……なるほど、ずら」

 

 数分後、花丸はうなずいた。

 

「上流貴族の社交界、みたいなものかなあ」

 

 そういう理解もあるんだ、とルビィは感心した。

 

「それにしてもルビィ、ずいぶんレベル上げてるわね。驚いたわ」と善子。

「えっ、そうかな。普通に遊んでるだけだけど……」

「あなたたぶん、かなりいい勝負してると思うわ。すごいじゃない」

 

 感心する善子。

 

「善子ちゃんも、再開してみる?」

 

 そうすれば次のイベント、一緒に遊べるんだけど。

 

「そうね。考えなくもないけど……。でも、私のコーデ、ぜんぜん勝てなかったのよね。どうしてかしら」

 

 善子は首をかしげた。ルビィはなんとなく理由に想像がついたものの、黙っておく。

 

「花丸ちゃんは?」

「うーん、オラ、スマホは一日、一時間だから……。いまは『うぃきぺでぃあ』っていうのを読むので忙しくて、ちょっと難しいかもしれないずら」

「そっか、じゃあ、時間ができたら」

「うん、そのときには、お願いするずら!」

 

 花丸はすこしすまなそうな顔で微笑んだ。

 

 残念だけど、ちょっと難しいみたい、とルビィは思う。

 

 いつかふたりと、一緒に遊べればいいな。

 

 

 

        §

 

 

 

「イリス・デュナミス」のプレイを続ける哲也にとって、紅玉は(哲也の側が勝手にそう考えているだけだが)依然として最大のライバルだった。

 低レベルのほうがレベルアップに必要な経験値がすくなくて済むため、ある程度は仕方ないのだが、いつの間にかレベルもずいぶん近くなっていた。

 

 このゲームでは「あいまいな位置情報」、つまり都道府県から市くらいの単位の位置情報がサーバに送信されて、近くのプレイヤーが優先的にマッチされる。そのため紅玉のプレイヤーも、地理的に近い場所にいるはずだった。

 

 なまじ場所が近いだけに天気や気温などが関係するゲームの攻略でも、紅玉は参考になることが多かった。

 

 夏休みが近づいたころ。

 高校の昼休み、哲也はスマートフォンを開いた。

 

「また例のゲームか?」と冷やかしてくる裕司に「いやマジで面白いから」と反論してから、哲也は考える。

 

 梅雨も明けたし、なにがポイントだろうな。

 

 窓の外はさんさんと日が照っていた。幸い教室には冷房が入っている。コストダウンなのかエコなのか設定温度はかなり高めだが、それでも冷房のない旧棟にくらべれば雲泥の差だった。

 

 暑さ……。いやむしろ、あれか。

 

 哲也はゲーム内のクローゼットから、つばの広い、白い帽子を選択する。コーディネートとしてはややバランスを欠くが、実用性ならこれ一択だった。

 

「よし、やってみるか」

 

 哲也はつぶやいて決定ボタンをタップした。

 

 その日の夜。哲也の目論見(もくろみ)は当たっていた。

 夏の強い日差し。日焼け対策としての帽子は必須と考えたのだった。

 

 哲也は紅玉とのコーデマッチも制していた。

 紅玉はおそらく可愛さだけを狙ったのだろう。夏らしい白い半袖シャツに、赤系統のチェック柄のスカートを組み合わせていた。シャツの襟、袖には同じ柄の生地があしらわれ、その赤は髪の毛の色とよく合っていた。

 これが曇りの日なら結果はわからなかった、と思う。

 

 うん、ちょっとヒント、送ってやるか。

 

 哲也はそう考えてメッセージをタップした。紅玉からはほどなく返信があった。

 

『お気遣い感謝します。次からは配慮いたします』

 

 ふふん、と哲也は思う。紅玉も仁義を通すプレイヤーらしかった。

 

        ・

 

 夏休み。「イリス・デュナミス」から発表されたペアマッチイベント。

 ランキング賞品の衣装は、かなりの高パラメータだった。無課金としてはぜひ手に入れたい、そう哲也は思う。

 しかし、ペアというのがネックだった。簡潔な「お知らせ」からは詳しいことはわからないが、ペアとしてのコーディネートも評価されるのは間違いないだろう。

 

 哲也は、ほかのゲームで他のプレイヤーとの協力が必要になったときには、リアルの友人と組むことが多かった。

 ただこのゲームをプレイしている友人はいまのところいない。

 

 発表の翌日、たまたま裕司と沼津市街で遊ぶ予定があった。一応、聞いてみるか、と思う。

 

 もしかしたら、興味を持ってプレイしてたりするかも。望み薄だろうけどな……。

 

 翌日、待ち合わせ場所の書店についたとき、哲也のスマートフォンが通知音を鳴らした。

 

『悪い、すこし遅れる』

 

 裕司からのメッセージだった。

 また昨日、ゲームでもやってたのかもな。仕方ない、と思いつつ立ち読みで時間をつぶすことにした。

 

 店内へ入り売り場を歩きながら、哲也はつい、女の子の服装を確認する。

 以前は気にも留めなかったが――いや、女の子は気になっても、服装の細かい部分までチェックすることはなかったが、いまは全体の構成や小物のあしらい(かた)が気になった。

 

 ふむ、この子はわりとオーソドックスだな。ブランドで統一してるんだ。

 

 あまり見つめてもまずいので横目でちらりと眺めるくらいにしておく。

 横をすり抜けて奥の雑誌売り場へ行こうとして、哲也はそこにいる三人の女の子に気づいた。

 三人ともあまり身長はかわらないが、タイプはまるで違った。

 

 ひとりは少女らしい――といえば聞こえがいいが、要はメリハリのない――体形の女の子だった。くりっとした瞳と、ツインテールにした赤い髪が目立つ。

 もうひとりは優しそうな雰囲気で、一番の小柄ながら最初の子と異なり胸が豊かだ。

 最後のひとりはくっきりとした目鼻立ちで、どことなくクールな印象を受けた。

 

 おっ、あの子、なかなかいいな。

 

 いずれにしても三人とも可愛くて、服装もよく似合っていたが、哲也の目を引いたのは赤い髪の子だった。

 

 夏らしい涼しそうな青色に、清潔感のある白のアクセントカラーか。センスがいいな。大きなリボンは目を引くけど、嫌味になってない。ふむ。

 

 なにより、彼女の雰囲気によく似合っていた。

 思わずじっと見つめてしまう。なにか感じたのか女の子が雑誌から顔を上げて、哲也はあやうく目をそらした。

 女の子は不思議そうに周りを見渡したが、哲也に気づいたようすはなかった。

 

 危ない危ない。ほどほどにしないとな。

 

 哲也は別の売り場へ行くことにした。

 でも、と、なんとなく既視感を覚える。

 

 どこかで見たこと、あるような気がするんだけどな。

 

「よう、哲也」

 

 背中から裕司に話しかけられて、その思いはどこかへ飛んでいった。

 

        ・

 

 案の(じょう)、裕司は「イリス・デュナミス」はプレイしていなかった。

 いまからでも始めないか、という哲也に裕司は答えた。

 

「まあ、始めてもいいけどさ。レベルが違いすぎて、ペアでプレイするの、無理じゃね?」

 

 そうだった。もし他のゲームと似たような感じなら、レベルや装備の強さ――衣装やアクセサリー――が違いすぎるペアやパーティは、たいていあまりよくない結果になる。

 低レベルのほうが瞬殺されたり、経験値がろくに入らなかったり。

 

「イリス・デュナミス」がどうなるかはわからないが、やはりレベルは合わせておくのが無難だろう。

 

 その日の夜。哲也はフレンドリストを眺めた。

 レベルが近くて、さらに戦績がいいプレイヤーがペアとしては欲しい。それに当てはまるプレイヤーは、ひとりしかいなかった。

 

 これ、攻略するにはやっぱりあの人に頼むしかなさそうだな……。幸い、プレイ時間は近いみたいだから、同時プレイもいけるだろう。

 メッセージの感じだと、あまりへんな人じゃないと思うし。

 

 哲也はいままでフレンドと積極的に連絡を取ったことはなかった。単にボーナスを得るためだけの存在だからだ。しかし今回は特別だ。

 哲也の心は紅玉へメッセージを送ることに傾いていった。

 さらにその先も考える。

 

 ゲーム内のメッセだけだと文字数がきついから、できればSNSのアカウントとか、知りたいんだけどな。

 今日は遅いから明日にするか。……いや、善は急げ、だな。

 

 哲也はメッセージを送ることにする。

 

『次のイベント、よろしければペアを組みませんか』

 

 これでよし、と。

 

 コーディネートを設定してゲームを閉じる。

 哲也は我知らず、返信を楽しみにしていた。

 

        ・

 

 翌朝、紅玉からメッセージが届いていた。

 

『ありがとうございます。私としてもぜひお願いしたく』

 

 よし、と哲也はうなずいた。きっと紅玉も似たようなことを考えていたのだろう。同じゲーマーとして親近感がわいた。

 

 うん、これならきっと、メッセ以外でも連絡してくれるだろう。

 

 そう思ってさっそく自分のSNSのアカウントをメッセージで送る。

 

「……あれ?」

 

 画面に表示されたのはいつもの『送信完了』ではなく、『個人情報や各種サービスのアカウント情報は送信できません』という文字列だった。

 対象プレイヤーの年齢を考えてか、連絡先を入手する、といった利用法を運営が警戒しているのかもしれなかった。

 

 哲也は続けてメッセージアプリのIDやメールアドレスを試したが、いずれも送信不可という結果だった。

 とりあえず哲也は返信を送る。

 

『こちらこそ恐縮です。追ってまたご連絡いたします』

 

 ふう、と哲也は息をはいた。なにか連絡手段を考えないと、と思う。

 

 スマートフォンの画面では紅玉のアバターが、ゆっくりとアニメーションしながら微笑んでいた。

 

 それにしても、どんな人だろうな。

 

 哲也は想像する。

 さきほどのメッセージの送信時刻は早朝だった。そういえば今日は平日だ。

 

 夏休みが関係ないってことは、やっぱり社会人か。

 男性だと思うんだけど……女性も、もしかしたらあるか。いや、社会人の女性がこんなゲーム、やるかな。やっぱり俺みたいなゲーマー、だと思うんだよな。

 

 哲也はスーツ姿の男性をイメージする(社会人といえばスーツ、と考えてしまうのは高校生ならでは、だ)。それも、眼鏡を掛けて知的な感じだ。

 金融機関か役所か、なにか硬い職場に勤めていて、ゲームをする時間がないことを嘆きつつ、朝晩や休憩時間にプレイしているに違いない。イベントには積極的でないのも、それが理由だろう。

 

 もしかしたら俺みたいに、昔はヘビーゲーマーで、いまはたまたま見つけたこのゲームをやってるのかもしれないな。

 

 とはいえ哲也よりもプレイスタイルは、ずっと正統派だ。

 年上だけあって、今のゲーマーにはない、ゲームに真摯(しんし)に向き合う姿勢が見えた。それは少女向けながら奥深いゲーム性を持つ「イリス・デュナミス」に、よく合っているように思えた。

 

 外見はクールだが、心に熱いものを持っている。

 

 紅玉に会ってみたい。その思いはますます強くなっていった。

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