森の中を一人の青年、彼は銃を構えながら歩いていた。知っているようで知らない場所。さっきまで学校から千鳥かなめと歩いて家に帰るつもりだったのに、変な光が自分と千鳥かなめを巻き込み、気付いたらこの森の中にいた。前にも似たような力で異世界に行った経験があるが、明らかにおかしいのは、千鳥かなめを探しても見つからないこと。
『くそ!また繋がらないか!』
誰かが連絡を取ろうとしていたようであるが、自分も携帯を連絡手段として使っても無意味であることが分かった。
『誰だ?』
「聞いたことある声だと思ったら、やっぱりあんたか」
仮面の男は銃を構えたが、青年を見て銃を下ろした。
「久しぶりだな、ゼロ」
『フン、相良宗介か。私もあいにく、誰とも連絡が取れん。カレンやC.C.とも変な光に遭ってから出会えなくてな』
ゼロ、いやその正体はブリタニア帝国の捨てられた皇子ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアだった。彼も一度、異世界から生還して一通り役目を果たして死んだはずだった。だが、その直後、人々の一部を光が覆い、気付いたらゼロの服装と仮面を見に付けていた。ゼロの服装と仮面は枢木スザクという親友に預けたはずだった。
「どうやら、君たちは敵ではないようだね」
茂みの中から得体の知れない青年が出てきた。手には黒いノートらしき物を所持している。
「ここはどこかな?お互い顔見知りのようだけど?」
『お前こそ何者だ?先に名乗れ』
ゼロは銃を青年に向ける。青年はノートをゼロの近くに落とし、両手を挙げる。
「僕は夜神月。一度死んだ人間さ。でもその瞬間に、光が僕を包んで目覚めたら、森の中にいたのさ」
ルルーシュは考える。あの光は死んだ人間も蘇らせる力があるらしい。しかも、ルルーシュと同じように相良宗介も頭が働く。そして多分、この青年、夜神月という男も。
『私は訳あって仮面を外せない。それは理解してくれるだろうか?』
「俺は構わない。前もそうだったからな」
「僕も構わないけど、君たちの名前を聞きたい。それに、君たちの出自も」
月がそう話すと、ゼロと宗介は頷き、自分たちのことや月の出自も聞く。三人は長い沈黙のうち、同時に立った。
『まったく、私とお前は死んだ人間で、相良軍曹はまったり生活とは。何か拍子抜けしそうだな』
「とにかく、森をどうにか出よう。俺たちと似た人間がいるかもしれない」
三人は辺りを見回しながら、警戒して森の中を進んでいった。
C.C.と云われる美少女は、同じ人外の生物と出会って頭が痛かった。しかも、一人は化け物で、一人は老人ときた。
「おい、リューク、霄。何か見えたか?」
「いや、東には山ばっかりじゃ」
「こっちの西は海が遠くに見える。後は山ばっかり」
C.C.はルルーシュと同じ世界から来た不死身の美少女。リュークは夜神月と同じ世界で、リュークは死神という死なない存在らしく。この老人、実際は老けて見えるが仙人の一人で、霄という名らしい。
「お前たちでも、分からんか。困ったな。私は教会で祈っていたはずだったんだが」
「儂も仙洞宮の屋上で酒飲もうとした矢先だったからのう」
「俺、空飛んでた」
C.C.はまた頭を抱える。こいつ等とは歳はきっと似たようなものなのだろうが、一緒にいるとかなり疲れる。何が起こったのか、まるで検討もつかない。誰がこんなことを仕出かしたのか。とりあえず三人は、海へ向かうことにした。
廃墟の街が佇む場所の、秘密の地下室とも云える洋館で、四人の人影があった。四人はそれぞれが見える位置に座り、パソコンで打ち込んだ自らの情報をコピーして、それぞれに配っていた。四人の名は、シュナイゼル、L、工藤新一、鄭悠舜であった。天才過ぎる彼等は、出会った瞬間と聞いた話でこの世界がパラレルワールドで、自分たちは別の世界の人間であることを理解したほどだった。
工藤新一はなぜ自分が子どもから元の姿に戻っているのか不思議に思っていた。
Lは自分が死んだはずなのに、どうして生きているのか謎を解明したく情報を集めていた。
シュナイゼルはルルーシュから受けたギアスが解け、辺りを彷徨い、この洋館に辿り着いた。
鄭悠舜は病で既に亡くなっている身でありながら、この世界が異世界だと薄々感じていた。この場に、恐ろしいほど有能で天才的な四人が揃うのは誰もが厄介なのは確実だった。
「俺にはさっぱり分かりませんが、実際に非現実を経験していますから否定はしません」
本当にただの一般人な工藤新一だが、薬を飲まされ子どもになっていたというふざけた話はしたくなかった。だが、信じられないのは自分以外の三人だった。死神や人を操るギアス、聞き慣れない彩雲国という昔の古い中国の国。どれを取っても信じられない。少しだけ信じることが可能なのは、Lという似たような日本の話だけ。アメリカ以上なブリタニア帝国など信じられない。
「並行世界にはある話ですよ、新一さん。まあ、同じ似た声の持ち主に出会った僕も驚いていますが」
「ブリタニア帝国がない世界。アメリカというのですか。彩雲国は中華連邦辺りかな?」
シュナイゼルは悠舜に顔を向ける。
「私の知っている日本という国は、今は卑弥呼さんの邪馬台国の位置です」
新一とLは驚く。その時代に、彩雲国という国は存在しない。だが、邪馬台国は存在する歴史はある。ここは三つの世界が一致していた。
「やはり並行世界で、どうやら幾つもの世界から呼び出されたようですね」
Lは片手でシュナイゼルから貰った甘味のある食べ物を口に入れる。
「これは私の推測に過ぎませんが、おそらくシュナイゼルさん以外の組織でいる集団は、似たような悪の組織と手を組んでいると見て良いでしょう」
Lは最初は仮面を被っていたが、彼等を信用して仮面を外した。ここが何処だか分からない以上、味方は出来るだけ多いほうがいい。四人は今はひっそりと洋館に隠れることにした。
シャーリーとカレンは、浜辺で唖然としていた。シャーリーが生きている。カレンが変な格好している。そこに、工藤新一の恋人かもしれない毛利蘭が迷い出た。
「あのう、お二人何してるんですか?コスプレ?」
カレンは溜息付き、銃を下ろした。
「何なん、蘭ちゃん?」
後ろからひょっこりと蘭の友達、遠山和葉が顔を出す。
「コスプレじゃないわよ、これ戦闘服!」
その時、木陰から二人の少女が現れる。
「あー、カレンさんだ〜」
「ちょっとランカちゃん、はしゃぎ過ぎ」
ランカと呼ばれる小柄な少女は、グラマラスな少女を追い越してカレンに近寄る。
「久しぶりね、カレンさん。覚えてるでしょ?シェリル・ノームよ」
またまた同じく、遠くの浜辺から二人組が言葉交わしながら歩いてくる。
「だから、十三姫さん。いい加減、受け入れましょうよ」
「でも、秀麗ちゃん、ここどこよ」
女ばっかり集まっているこの状況。理解が早かったのはこの秀麗という少女だった。この世界において、カレンが知っているのはランカとシェリルだけ。シャーリーは何も知らず、高校生らしき二人組の少女は論外だった。
「あー、もう皆さん。とりあえず、食べ物探して夕食にしましょう。ここは私が先陣切ります!」
そう言ったのは、童顔だがここの誰よりも頭が働き、料理も出来る彩雲国の官吏、紅秀麗だったのだ。ランカも秀麗に付き添い、料理の支度をするがこれほどの炊飯の支度や魚採りなど女では大変なことばかりだったが、そこは毛利蘭が頑張った。
もうすぐ、二日目の朝が明ける。新たに、この世界に囚われた者たちが光によって近くの森に落とされた。
ー第二話に続くー