魔法少女リリカルなのはvivid もう1人の聖王の末裔の物語 作:ゲストU
いつも通りの曇天の日のこと
その日は 聖王家からの賓客が訪れる日だった
軍列に守られて運ばれてきた留学生は
私と歳の近い双子の姉弟だという
個人としての交流は手紙を一往復半しかなかったが
「歳の近い友人として仲良く出来たら嬉しい」と
当たり障りのないやりとりの後に
大人たちの退屈な挨拶や手続きの間
3人で話でもしていようと約束をした
『ライゼ、相手は女の子もいるからいきなりじゃれついたりはしないでくれよ?』
ライゼに注意もしたりしたが
一方では
『ヴィヴィ様シルヴィ様 本当にここでよろしいのですか?』
『そうですよ! ここで待ち合わせようって!』
『そんなことも書いてありましたっけ?』
『ありましたよ!』
『ヴィヴィ様飾り腕をつけられませんと』
『あれ?エレミアの腕は?』
『あれはまだ審査中ですよ』
『そうなんですか?』
『なにしろあれは武具ですから…』
『私の剣共々審査中なのでまだこちらには…』
『あ すごい! 花が咲いてますよ!?』
『ちょ あの ヴィヴィ様~!?』
なんて話をしていたら
『────こんにちは』
『ああっ!?クラウス殿下!?』
『ヴィヴィ様!』
この人が…
『はじめまして シュトゥラ第一王子クラウス・イングヴァルトです』
『聖王連合ゼーゲブレヒト家から参りました オリヴィエ・ゼーゲブレヒトと申します!』
『はじめましてクラウス殿下!』
後に本人に聞いたところ
紅と翠の鮮やかな瞳と風になびく袖
そして太陽のような笑顔が印象的だったという
『ほら、シルヴィも自己紹介したらどうですか』
『えぇ!?私もですか!?』
『当然じゃないですか!私達はこれからも一緒にすごすんですから!』
『まぁ…そうゆうことならば…』
『こちらにおられますオリヴィエ様と同じく聖王連合ゼーゲブレヒト家より参りましたシルヴィエ・ゼーゲブレヒトと申します。オリヴィエ様との関係的には彼女の護衛であり双子の弟です。以後お見知りおきをクラウス殿下』
それが…私たちの出会い
それから私たち3人は
多くの時間を過ごすようになって
城内で彼女が「腕」を付けることを許されてからは武術の鍛錬も共にした
二人は強かった
オリヴィエは幼い頃に失った腕を魔導の力で補って
腕に纏った鎧を操って剣や斧を握り自由自在に動かしてみせた
一方シルヴィエは重たい武器は使わないようで短剣や細剣をよく使っていた。軽い獲物を使う分一撃一撃は重くはないが狙った場所に正確に一撃を入れてくる技術
そして流星を彷彿とさせるような美しい動きが印象的だった
そんなある日のこと
『今 私の友達に新しい義手を作ってもらってるんです。その義手ならもっと自由に動かせて素手での組み打ちだってできるようになるって!』
『あなた達の友達というと…』
『エレミアです!』
『全く羨ましい限りだ。私もエレミアに剣を作ってくれとお願いしてみようかな…』
『エレミアはさっき私が言っていた友達で、私達に武術を教えてくれた不思議な旅人』
『おとなしくて優しい子ですからクラウスもきっと仲良くできると思いますよ!』
彼女の言葉通り
私はエレミアとも良き友人になれた
その楽しかった日々は戦乱の世の中で
ほんの束の間の
だけど永遠のような
とても平穏で
幸せな日々だった
────────────
「あの頃は本当に…そう思っていました」
「やっぱり私のご先祖様と知り合いやったんやね」
「名前は覚えてる?」
「ヴィルフリッド・エレミア────「リッド」と呼ばれていることもありました 」
「ジークはその人のこと覚えてねーのか?」
「申し訳ないんやけど…個人の記憶はほとんど残ってへんから」
「あの、なんだかスゴイ話を聞いちゃってる気がするんですが…」
「貴重なお話ではあると思うんですが…」
「大丈夫!わたしたちもあんまり変わりません!」
「いろいろ聞かせてもらいましょう」
「そやねー」
そしてアインハルトさんの話は続く
「ともあれ クラウスとオリヴィエシルヴィエ両殿下はシュトゥラで時を過ごして────」
「「エレミア」もまた良き友人でした」
「でも、戦火はますます拡大していって…」
「聖王家は「ゆりかご」の再起動を決めました」
「過去の歴史で幾度か使われた強力無比の戦船」
「王座に就く者の命や運命と引き替えに絶対の力を振るう最終兵器」
「オリヴィエとシルヴィエはもともと「ゆりかご」内部で生まれた子達でした」
「だけどゆりかごの王としての資質が薄いと認定され…シュトゥラへの人質として利用されたんです」
「ですがゆりかごの研究が進んでいったことと…」
「2人の戦闘と魔導の才能が諸国に響くほどにみがきあげられてしまったこと」
「それで 本国に呼び戻されることになったんです 「ゆりかごの王」になるために」
「ゆりかごの王になれば自由も尊厳も未来までも奪われる────」
「そしてオリヴィエがゆりかごの王に決まったことをシルヴィエから知らされたクラウスは2人でそれを止めようとしたんです…」
「ゆりかごの王になどならなくても戦乱を終わらせる方法があるはずだって」
「だけど私は…彼女を止められませんでした」
「戦って止めようとして何も出来ずに破れました」
「彼女の微笑みを曇らすこともできずに」
「オリヴィエは国に戻ってゆりかごの王となって…」
「たった一年で「諸王時代」は終わりを告げました」
「諸王乱立の戦国時代が終わり聖王家によってベルカは統一への道を歩み始めました」
「ゆりかごは聖王家の剣としてずっと飛び続けていましたが…」
「クラウスとオリヴィエとシルヴィエは二度と合うことがありませんでした────」
「クラウス殿下とウチのご先祖様とはその後は…?」
「リッドは 2人が国に呼び戻される少し前から姿を消していたんです」
「普段からどこにいるのかよくわからず ふらっと半年近くも姿を消すことがある人だったんですが────」
「エレミアの力や言葉が必要な時… リッドはいつもいつの間にかそこにいてくれたんです」
「だけど オリヴィエが悲しい決意をした時も その後もずっと…会えないままで」
「クラウス殿下は不義理な友達を恨んでたんかな?」
「そんなことないですよね?」
「クラウス殿下は大切な人を3人一度に失っちゃったわけですから 」
「そうですね…見つけたらまず一発殴ってやろうとは思ってました 今までどこに行ってたのかって」
「……あー……なるほどなー」
「だけど理性では分かってもいるんです エレミアが…リッドが悪いわけではないって」
「大切な時に来られなかったのも…やむにやまれぬ事情が あったのだろうと」
「ともあれ その後クラウスとエレミアの縁が繋がることはなく────」
「オリヴィエを乗せたゆりかごも姿を消して…クラウスは戦の中で短い生涯を終えました」
「私から話せるのは…これくらいです」
アインハルトさんの話が終わり
ヴィヴィオと俺は無限書庫でエレミアという単語を見た気がするのを思い出した
話の流れで俺とヴィヴィオが無限書庫の司書資格
リオとコロナが立ち入りパスをもっている
と知った面々はかなり驚いていた
そしてその後
明日の早朝からエレミアの手記を探しにいこうということになって
その食事会的なものは幕を閉じた
目的地は────────
管理局創設以前より存在していた巨大な書庫
無重力に保たれた書庫内には数多の世界で発行された有形書籍が収集され続けている
確認されている最古の書籍はおよそ6500年前のもの
連綿と連なる世界の歴史を納めたその書庫は
「世界の記憶が眠る場所」ともいわれている
────────無限書庫だ
次回、無限書庫探索ツアー編
memory:47 無限書庫 入っていきます