魔法少女リリカルなのはvivid もう1人の聖王の末裔の物語 作:ゲストU
聖王家の「ゆりかご」起動の発令から半年間は何事もなく時が過ぎた
聖王家の発祥とも深くかかわる地下に眠る巨大な戦船
その翼は星の海までたどり着き、大地を焼き尽くすほどの力を持つという
聖王連合の中でもゼーゲブレヒト家をはじめとする中枢王家の子らの多くがこの船で生まれ
生まれると同時に「聖王核」と呼ばれる魔力補助コアを埋め込まれる
「ゆりかごで生まれた子である事」はすなわち聖王核を持つ事の証であり
聖王家の血族として強靭な肉体と膨大な魔力
なによりゆりかごの操作を行う「玉座の王」になり得る資格を持っている事を示す
さて、ここで少しヴィヴィ様とシル様の話をしよう
あの2人はゆりかごで生まれた
ヴィヴィ様は幼い頃両腕や主要臓器を欠損するような負傷を負い
そしてシル様はヴィヴィ様のように両腕が欠損するようなことは無かったものの主要臓器が欠損している負傷を負った
それでもなお健常者と変わらない────
あるいはそれ以上の健康さで生きている2人が生きているのは
二人の言葉通り二人が受け継ぐ聖王の血統と聖王核の恩恵と言っていいのだろう
余談だがヴィヴィ様とシル様の聖王核には少し不思議な謂れがある
あの二人が生まれるとき母君は亡くなられているのだが
二人の母君がお持ちだった聖王核が二つに分かれそれぞれヴィヴィ様とシル様の体内に吸収 されたのだと言う
そのため、近しい人々の間では「母子の命が失われるところを母の愛が救った」という美談として語られているが
心無い人の間では「母の命と魂を奪い取って生まれた鬼子」などとも言われ
そんな事情もあってか二人には幼い時分母親が死んでいることを知らされておらず
ヴィヴィ様は「城の奥にいる」と母親を探して城内を徘徊する事もあったと言う
それに対してシル様は何を考えたか城にいる人たちにやたら滅多に同じ質問を繰り返していた時期があり程なくしてそれは無くなったらしい
恐らくだが「母親は城の奥にいる」のではなく
「城にはいない」という事を悟ったのだと思う
ともあれそんな2人も強く育った
愛すべき人が笑っていられるよう……僕はできる限りあの双子の安寧を守っていくことを誓っていた
「エレミア!準備ができましたよ~」
ノックと共にヴィヴィ様が入ってきた
見ると少し雪を被っている
「了解 ヴィヴィ様……外を歩いたの?」
「中庭を通って来たんですよ~」
「いい匂いだね!」
「麦と豆が届いたのでパンにしてもらいました! 塩肉と糖蜜もありますよ~」
「クラウス殿下やシル様も喜ぶね」
「はい!」
あの2人は
聖王家の発令を聞いても日常を変えることはなかった
日々を学びと鍛錬で過ごし 要請があれば騎士として出陣もした
ここ1年あまりはヴィヴィ様は「聖王家の王女」よりも「シュトゥラの姫騎士」の方が通りも良く
シル様の方も「聖王家の王子」や「ヴィヴィ様の護衛」よりも「シュトゥラの剣騎士」といった名が通っていた
「オリヴィエ!エレミア!」
「リッドはやっと来たのか」
「エレミアは遅刻だぞ!?途中からでも訓練に参加すると言っただろう!」
「ああ そうでしたか? これはうっかり」
「僕も訓練が食い足りなかったところでね 皆の休憩中模範試合でもするか?」
「まぁ、付き合わない事もないですけど」
「クラウスよぉ、お前この後用事かなんか無かったか?」
「多分大丈夫だよシルヴィエ」
「私は何言われても知らないぞ~」
「クラウス ほら!模範試合なら顔の汚れくらい拭いてください!」
「ああ すみません……」
武勇に優れ兵にも慕われている王子クラウス
強く優しく美しい王女オリヴィエ
二人はいずれ結ばれて
シュトゥラという国はより強く
聖王家との 絆はさらに深く
そんな風に円満にまとまっていく────────
この国に居るもの達のほぼ全員がそう思っていた
ただ………
当のヴィヴィ様とシル様を除いては
ここまで読んでくださりありがとうございました!
あと数話でベルカの過去編を終わらせられればと思ってます
過去編終らせてからはイベントが色々ありますが
アインハルトさんとの試合どうしようかとか
短編始めようかとかオリジナル挟むかとか
いろいろ迷ってますが
これからもこの作品をよろしくお願いします!
それではまた次回お会いしましょう!!