魔法少女リリカルなのはvivid もう1人の聖王の末裔の物語 作:ゲストU
めっちゃ長いの
漫画読んでて泣きそうなの
それでも私は書いた
これで古代ベルカ聖王戦争の話は終わり
現代無限書庫に戻ります
それではどうぞ
結局模範試合をして泥だらけになりこの後予定があったらしいクラウスは怒られていた
その日の夜、珍しくヴィヴィ様が弱音を吐いた
もしゆりかごの適合者が現れなかったら自ら名乗り出ようとしていること
自分はきっとゆりかごに受け入れられるはずだからと
その話の中でシル様の名前は一切でなかった
そしてその夜からちょうど半月後のこと
魔女の森が襲撃された
この侵攻と時を同じくして
聖王連合の「威嚇による圧政」を許すわけには行かないと
一部の国家が聖王の血統所有者とそれを庇護する国や団体を狙い始めた
恐らくこの時に彼女の決意は決まってしまったのだと思う
大陸各地で発生した聖王連合への反発はまるで疫病のように大陸全土に広がっていった
シュトゥラも国の南部に広がる「魔女の森」の大半を失い
悪天候や土壌を汚す兵器による収量の低下もあり
民も兵もみな疲労と不安を蓄積させていた
だけどもうすぐ
「ゆりかごの聖王様が民に光をもたらして下さる」
民草はそう信じて明日への希望を繋いでいた
魔女の森襲撃後オリヴィエ、シルヴィエ両名は一時ゼーゲブレヒト家に帰還していた
名目は「式典のため」であったが────────
二人が望んだのは「ゆりかごの聖王」の適合率検査だった
ヴィヴィ様とシル様はゆりかごの聖王としての条件にこの上なく適合した
正式な継承権すら持たない二人のどちらかを「ゆりかごの聖王」に認定する計画は驚くほどの速さで進行した
問題はあったがすぐさま解消された
その問題というのは人数の事である
「ゆりかごの聖王」になれるのは1人だけ
しかし適合している人物が二人いる
そこでどうするかということになったらしいが
適合率がヴィヴィ様の方が上だったためにヴィヴィ様に決まった
あまりにも進行がはやすぎることに疑問を持った僕は「ゆりかごの聖王」や「聖王のゆりかご」について調べた
ヴィヴィ様がゆりかごの聖王に決まった後シル様にも確認したが
あの進行速度の理由に驚愕した
「ゆりかごの聖王」は伝承にあるような英雄などではない
ゆりかごという巨大兵器を動かすための「鍵」であり
玉座を守る生きた兵器として自我さえも奪われ
わずか数年でその命を燃やし尽くす
そして王の死とともにゆりかごはふたたび眠りにつくという
ゼーゲブレヒト正統の血をもちながら生後の瑕疵によって継承権を失っていたヴィヴィ様とシル様
そんな二人が完璧な適合を見せヴィヴィ様の方が適合率が高かったことが分かり
聖王連合の首脳陣は諸手を挙げてその「聖王女」を歓迎した
シュトゥラ王家とクラウス王子はそれに反発したが聞きいれられることはなく
シュトゥラ王家の度重なる陳情とヴィヴィ様の懇願が重なり
ただ一度の一日だけの「シュトゥラへの帰国」が許されたが
玉座の王の栄冠がヴィヴィ様から取り上げられることは無かった
僕とシル様は何度も止めて説得を試みた
シル様は玉座の王栄冠を渡せと何度も言っていたが
その度に優しく説き伏せられて
だからか最後の帰国の時も僕達はシュトゥラへの同行を許されなかった
彼女がシュトゥラに帰っている間に二人の間にどんなやりとりがあったのかは僕らは詳しくら知らないけれど
あの不器用で真っ直ぐな王子様はきっと
自分の全てをぶつけて大切な王女様を止めようとして
だけど若い覇王の拳は聖王女を止めることが出来なかった
聖王連合の中にはクラウスの行為を厳しく咎める声もあったがヴィヴィ様の懇願によってお咎めなしになったらしい
彼女がシュトゥラへ行っている間シル様は僕に自分の気持ちを伝えてきた
「リッド…私はね、ヴィヴィを殺そうと思う」
「え…な、なんで…?」
「ヴィヴィがゆりかごに乗るのは決定事項だ、覆すことは出来ない」
「乗る前に私が乗り込んで妨害するかとも考えたんだがそれだと無駄になりそうな気がしてね」
「でも何で殺すなんて…」
「正直言ってしまうとヴィヴィはクラウスとあっちで幸せになるとばかり思ってたんだ」
「うん…」
「この状況じゃそれも無理だ」
「だから少し相談したんだよ」
「「ゆりかごの聖王」とやらがどれくらい強いのか模範試合でも披露しないかってね」
「そんな要望通るわけ…まさか」
「そのまさかだよリッド、暗殺だ」
「式典の日決行する」
「本気なんだね」
「当然さ、私を誰だと思ってるんだ」
と、そんな会話があった
正直に言ってしまうと半分は本気だけど本心はそうじゃない
そう思った
その後映像を保存できる道具をシル様から受け取った
「恐らくヴィヴィからも渡されるだろうからヴィヴィのを見る前に見てくれ」
という伝言付きで
その後ゆりかごは地上にその姿を現し
戴冠の式典は華やかに行われ
ゆりかごの聖王は人々の歓喜の中玉座へと向かって
行くことは無かった
足を止めたのは一本の短剣
ヴィヴィ様が避けたことからこの場にいないシル様がやったんだと分かった
初撃で決着がつかなかったので諦めたのかシル様は 普通に現れた
もう既に先程までの歓声は静まり返っている
それもそうだほかならぬ聖王家の、それも双子の弟が暗殺を仕掛けたのだから
結局シル様は真正面から戦い、そして負けた
その後ヴィヴィ様はシル様を背負いゆりかごへ向かった
そして戦乱を終わらせる救済の戦船は静かに空へと飛び立った
僕が二人の本当の気持ちを知ったのは
二人がもう手の届かない場所にとびたってしまってから
映像に残された笑顔でいっぱいの別れの挨拶
二人共同じようなことを言っていて
それでもどこか悲しそうで
最後まで、笑顔だった
だけど、彼女が書きかけて捨てた手紙には彼女の本当の気持ちがあった
シュトゥラで 過ごさせてもらった大切な時間
あの宝物のような日々をずっと続けていけたら良かった
だけど私に許された命の使い道はそこにはなくて
私の体は命を生み出すことができないから
大切な人を抱きしめるための温かな腕もないから
そんな風に何も出来ない私だから
せめて、終わらない戦乱と灰色の雲と
人々の飢えと悲しみが少しでも早く終わるよう
私は、ゆりかごの聖王になります
思えばいつもそうだった
ヴィヴィ様は僕達に涙を見せることを嫌った
本当の気持ちはいつも僕達に見せないように隠していた
だから、きっと────────────
僕たちにあの子を許してあげられる強さと力があれば良かった
どれだけ後悔しても取り返しのつかない痛みの中
僕らの友人を乗せたゆりかごの働きで
ベルカの戦乱は静かに────────
そして確実に 終結へと向かっていった