季節も何も感じない漆黒の空間、星が瞬く宇宙空間にも似た世界。
「はああああ!」
「ホーク!無茶するな!」
鷹の名を持つ青き天使が一匹の化物に向かっていく、その手にした鞭のような武器で化物を駆逐する。
「アウル!ここは私が押さえる!イーグル達を助けに行け!」
「わかった!」
梟の名を持つ緑色の天使は磔にされている鷲の名を持つ紅き天使とコンドルの名を持つ黒き天使をを助ける為に向かっていく。
邪魔をさせまいとする化け物達は、人質を助けようとする天使を妨害する。鎌のような武器を手にし、向かってくる化物を切り裂いて進んでいく。
「邪魔をするなあああ!!」
「アウル!」
「ファルコン!?」
「援護する!早くイーグル達を!」
援護に現れた隼の名を持つ赤紫の天使は弓を取り出し、緑色の天使の為に道を切り開いていく。
「イーグル!コンドル!」
「アウル!?」
「これさえ断ち切れば!!」
磔のために使われていた黒き物体を鎌のような刃で断ち切り、黒き天使と紅き天使を開放した。
天使達は化け物達に向かっていき、大混戦となっていく。他の天使たちもいるようだが正体は掴めない。
何かに引っ張られるかのように映像が白く霞んでいく。
◇
「また、あの夢か・・・最近、ずっと見ているな」
目を覚ました少女の名は篠ノ之箒。今現在は用心保護プログラムの下、IS学園の寮で生活している。
彼女がこうして生活している理由は彼女の家族にあった。彼女の姉、篠ノ之束が開発した兵器、IS。通称インフィニット・ストラトス。初めは子供の理論として見向きもされなかった代物であったが、月日が経つごとに兵器としての有能性がある事が注目される事件がおこった。
所謂、白騎士事件である。だが、真実は違っている。束が兵器を使った事は事実ではあるが、実際は化物の存在、超魔が関係していた。
それには束に関する出来事、彼女が白騎士事件を起こす前にさかのぼる。
「束さんの有能性を理解できない奴らが多すぎる。ならば示してやろうじゃん」
『それが貴様の望みか?』
「!?」
『ならば、貴様の肉体を貸してもらおう』
男とも女とも取れない声質の声が束の耳に響く。束の影が彼女自身を覆い隠し、彼女自身を奪っていく。
「嫌だ!嫌だ!私は、私を失いたくない!!誰か助けてよ!」
それは彼女自身が初めて出した人への助けであった。
『貴女の光を喪わせない、貴女はこの世界に必要だから』
その時、影に覆われた彼女の心を可憐な少女の姿をした天使が束の心を自分の中へと取り込み、外へと消えていった。
「ふん、心の全てを奪う事は出来なかったか。まぁよい・・・右手に闇、左手に静寂、我が前に破壊、後ろには死・・・汝とその後方に封ぜられし魔よ。今こそ召喚す、いでよ超魔よ!」
これにより、各地の兵器が暴走した。この真相は誰一人として知られていない。それもその筈、見えない存在を人間が信じるはずがないのだから。
◇
「しかし、あの夢は一体?」
朝のシャワーを浴びながら箒は考える。夢の中で全く知らない青年達が変身し、戦いをしていた。
その戦いから目を逸らす事が出来ずにいた。一体、何故なのだろうか?その答えが見えない。
「幼い時から化物を見かけるといつの間にか退治していた。自分の意識が無くなっていた時にだ、一体何故?夢と関係があるのか?」
考え事をしつつ、シャワーを止め豊満な胸元と全身から滴る水滴を太陽光で乾かしたタオルで拭いていく。
「今日は散歩にでも出るか」
着替えを済ませ、早朝の散歩をする。日課などではなくただ気まぐれに外へ出ようと思っただけだ。
「・・・・私は一体、何を思っているのだ?一夏か?」
私はかつて得意としていた剣道を封印してしまった。理由は一つ、行き場のない苛立ちを剣道にぶつけ、公式の試合において相手を負傷させてしまったからだ。
もちろん、対戦した相手が憎かった訳ではない。自分から湧き上がる苛立ちを抑えられなかったのだ。その日から私は剣道をしていない。鍛錬だけは怠らないよう竹刀を握り、素振りをするくらいしか使わなくなっていった。
織斑一夏、私の幼馴染であり初めて意識した異性であった。その相手と強制的に離れ離れにされてしまった。それが苛立ちの原因であったのだろう。
しかし、離れた事で自分自身を冷静に見つめ直すことが出来た。自分のモノにしたいという独占欲が消え失せていったから。
「一時的な感情に飲まれるなど・・・!?」
突然、市街の家屋が破壊されていく。周りに居る人達は何が起こっているのか理解が追いついていないかった。
「な、なんだ!?建物が勝手に壊れていくぞ?」
「それに人が勝手に死んでいくわ!?どういう事!?」
『ひゃはははは!お前達に俺の姿は見えねえからな!やりたい放題だぜ!』
「待て!」
『なぬ!?お前、俺様が見えてるの!?』
箒は超魔の前に立ち、声を上げた。周りの人は怪訝な目で箒を見ていおり、逃げ惑っている。無理もない、箒は何もない空間に話しかけているようにしか見えないためだ。
「なぜ、街を破壊する!?」
『あ?理由なんかねえよ、面白いから破壊するただそれだけだ』
「貴様ぁぁぁ!」
破壊された建物を構成していた破片から、手に取りやすい鉄の棒を箒は掴むと超魔へ向かっていき棒を振り下ろした。
だが、それを軽々と超魔は掴みとりそのまま箒を投げ飛ばし、壁に叩きつけた。
「がはっ!?」
『お嬢ちゃんよ?勢いだけじゃ何も解決できねえんだぞ?まぁ、怯えずに向かってきた所だけは褒めてやってもいいぜ?』
「う・・・・ぐ・・・」
箒の意識が薄れていく中、再びあの光景が蘇る。夢で見た青年達が鋼鉄の翼を持った天使の姿に変わり、星が煌めく宇宙で戦う姿を。
◇
「何故、また・・・この光景を」
『それはお前が選ばれた者だからだ』
箒の目の前に紅き天使が立って、自分と同じ声で話しかけてくる。最大の疑問を箒は目の前の存在に投げかけた。
「私が・・・選ばれし者だと?思い通りにならなければ癇癪を起こす私が、選ばれただと!?」
『お前が夢と認識しているここは私の記憶の一部、彼らはお前が産まれる以前の世代で戦った者達、そしてお前は私だ』
「!?」
『お前は私となり戦わなければならない!ライディーンイーグルとして!』
「ふざけるな!私が、私が戦える訳がないんだ!」
『戦え。この羽根、ゴッドフェザーを受け取り、ライディーンイーグルとなって』
現実世界に引き戻され、箒は超魔が暴れている姿が目に付く。怒りに任せて戦ったが勝てる訳がない。
その感情が戦いを一瞬だけ躊躇わせる。その瞬間、超魔に破壊された建物の瓦礫に埋もれてしまった人が出て来てしまった。
「あ、ああ・・・!」
躊躇いが人を殺してしまう。その現実を知り恐怖と怒りが同時に込み上がる。超魔と戦うことへの恐怖、自分が戸惑ったせいで罪のない命が消え、己が何も出来ない事に対する怒りが彼女を揺り起こした。
「私に・・・私に羽根を!戦うための翼をくれーーー!!」
箒の叫びに応えるかのように一枚のゴッドフェザーが現れ、それを掴んだ瞬間に記憶が流れ込んでくる。
幾度の世代を超えて戦い続けてきた天使達の戦いと前世代である青年達の戦いも。
「超者!降臨!!」
ゴッドフェザーを出現させ、眼球のような物が現れるとど同時に支点となって箒の全身に筋が浮かび上がり、それをなぞるかのように銀色の光が衣服を弾き飛ばし全身を包んでいく。
「うああああああああああっ!はあああ!」
変化が終了し、彼女は夢の中で現れた紅き天使、ライディーンイーグルへと姿を変えた。
『ラ、ライディーンだとぉ!?あの嬢ちゃんが!』
「超魔!お前は私が倒す!イーグルソード!」
握らないと誓ったはずの剣を今再び握っている。傷つけるから、命を奪ってしまうと思ったから、だが今は誓いを破ってでも倒さなければならない相手がいる。
「はああああ!」
ライディーンイーグルとなった箒は自分の変化に驚いていた。戦い方を身体が覚えているかのように動くのだ。
剣の振り下ろし方は自分が学んだ剣術とは違い、実戦で使い込まれた実戦剣法である。拳や蹴りなどの徒手空拳の方法、特殊な力である炎を扱う技の使い等すらも出てくる。
「すごい力だ・・・だが、私はこの力で何をしたいんだ?」
『戦いの最中に考え事とは余裕だなぁ!嬢ちゃんよぉ!』
「!しまった!うああああ!」
再びビンタされるような勢いで叩かれ、壁に激突し衝撃で壁が崩れる。剣を杖にして立ち上がるが、ダメージが大きく一撃で決めねば勝ち目がない。
「ぐ・・・く」
「ゴッドバードチェンジよ!アンタの身体が覚えてるはずよ!イーグル!!」
「?誰だ!?いや、考えている暇はない!」
『死ねえ!ライディーン!!』
再びイーグルを叩きつけようとする張り手を避けると同時に上空へと飛んでいく。そこから急降下を始め、教えられた言葉を口にする。
「ゴッドバァァァド!チェェェェンジ!照準セット!」
天使の姿から鳥の姿へと変わり、紅い炎のような光に包まれ突撃していく。その勢いはとまるどころか増していく。
心臓がある中心部を貫いていき、超魔の身体をトンネルを通過する乗り物のように突き進み、ついには突き抜けた。
『嘘だろォォォ!?』
超魔が消滅し、誰もいなくなった場所に降り立ち変化を解除する。だが、瞬間に箒は物陰に隠れてしまった。
「な、何故!?全裸なのだ!?服がないと帰れない!」
そう、今の彼女は下着すらつけていない生まれたままの全裸なのだ。こんな姿を異性に見られたら間違いなく強姦の対象になってしまうだろう。
「はい、これ」
「ん?その声は」
いつの間にか目の前に自分と同じくらいの年齢である少女が立っていた。サングラスらしき物で目を隠しており顔を上手く伺うことは出来ない。
その手には服があり、それを受け取ると箒は急いで着替えた。下着とパンツルックスのボトム、長袖のシャツであったが無いよりはマシだろう。
「それじゃ、翼を出せば誰にも見えないから空を飛んで帰れるわよ」
「待ってくれ!お前は、誰なんだ!?」
「ライディーンコンドル、いずれまた会えるわよ。じゃあね?イーグル」
少女は背中から翼を出すと空を飛んで行ってしまった。ただ、自分と同じライディーンとしての名前だけを残して。
思いついたのであしからず、超者ライディーンとのクロスです。
超者ライディーン、知ってる人いるかな・・・。
無論、全裸です。今だと謎の光による修正を受けるほど全裸だらけです。
次回はオリ主の努力と入学編まで