人は酔っぱらうとたがが外れる。
もちろんウチの嫁も例外ではない。
シルフィは普段よりも甘えん坊になり、エリスは普段とうってかわって静かになる。ただ血走って興奮した目は、間違いなく肉食獣のそれだ。
油断をすれば一瞬で身ぐるみを剥がされる。
ロキシーは……。なんだろう。不思議ちゃんになる、って感じだろうか。
エリスの胸をペチペチと叩いたり、シルフィ腰にしがみついたり、俺の足にストン、と座って静かになったりする。
ちょっとララを足した感じになる、と言ってもいいかもしれない。
「ルディはボクが男の子でも愛してくれたもんね?」
「もちろんだよ」
「いくらルディにアスラ貴族の血が入っているとはいえそれは……」
これこれロキシーさんや、いくら酔っているからといって服の上からそんな所を触ってはいけませんよ。砲撃準備が始まってしまいますからね。
ほらみなさいあのエリスの顔!
ギアはニュートラルだけどアクセルペダルはベタ踏みって感じ!
これ以上酒を飲ませておくとタイヤがバーストしちゃうわ!
「だってルディがボクの事を男の子だと思ってた時期、二回もあったんだよ?」
「確かに男娼という存在は知っていますが……」
シルフィはアスラで貴族の乱れぶりを目の当たりにしてきちゃったもんなあ。
とはいえ俺の前世の知識でほとんどの事はカバー出来るだろう。
魔法を使ったプレイまでは想像力の問題になってしまうが……。
「だったらわたしはどうでしょうか」
えっ?
「わたしが男の子だったらどうでしょうか」
もちろん愛せますよ──そう言おうとしたのだが。
涙が一粒。つつ、と頬を伝っていた。
「……ロキシーは女の子がいいです」
「冗談! 冗談ですから! ね、ルディ!」
横をチラリと見ればシルフィもうんうんと頷きながら俺の肩に頭を擦り付けていた。
別に二人を差別したつもりはないし、ロキシーにおにんにんがあって『しゃぶりなさい』と言われたら喜んで跪くが、それはなんだか嫌だと、無意識で思ってしまったようだ。
「じゃあえっと……エリスはどうでしょうか?」
ロキシーが鋼の精神で話の矛先をエリスにぶん投げてしまった。
酔ってもしっかり聞こえていたらしく、エリス肩がピクリと跳ねる。
あの反応はマズい。
俺の答えを本気で待っている時のヤツだ。
「エリスも女の子がいいかな」
だって普段の俺が押し倒される状況考えたら掘られそうだし。
アタシ、お尻から血が出て治癒魔術で治すのはもう嫌よ!
「……そう」
エリスが発したとは思えない、虫の羽音のような声が、かろうじて聞こえた。
声に固さはなく、ホッとした安堵のような物が含まれていたが、体の距離は明らかに近付いていた。
ていうか、さっきまで体触れてなかったですよね?
「え~? ルディ、ボクだけ男の子なの?」
「もちろん、シルフィだって女の子がいいさ」
「んふふ。だよね、だよね!」
まったく可愛すぎだなウチの嫁達は!
……ただもう、おにんにんの話で盛り上がるのは止めてほしい、かな。