無職転生の幕間   作:綴りの違うウサギ

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趣向

 「ほらルディ。ボクがこうやって足を出したらどうするんだっけ?」

 

 ベッドに腰かけて足を組んだシルフィの前に俺は無言でひざまづき、足を手に取ろうとして────引っ込められた。

 

 「……ホントに舐めるの?」

 「勿論だ」

 「……汚いよ?」

 「シルフィの体に汚い所なんてありません」

 

 シルフィの顔は真っ赤になっているけれど、俺は本心でそう思っている。

 提案した時にも抵抗されたので風呂に入ってからやろう、という事で決めたのにこの後に及んでまだ恥ずかしいらしい。

 

 「……ボクがルディの足を舐めるのはダメ?」

 「俺の足は汚いからダメ」

 「無茶苦茶だよ!」

 

 そうかなあ。

 

 「シルフィが俺の足を舐めたいなら後で好きなだけのったら舐めさせてあげるから、まずは俺の番ということで」

 「別にボクは足が舐めたいわけじゃ……」

 

 本当に嫌ならやめようと思う。

 でも奴隷と御主人様ごっこの提案をうっかり口にしたのはシルフィなのだ。

 明らかに奴隷が御主人様を押しているが、些細な問題なのだ。

 

 「それじゃあ改めて、いただきます」

 「うう…………」

 

 恥ずかしさを捨てきれないシルフィを可愛いと思いつつも、俺の舌はもう足へ伸びている。

 肌が白いせいか、酒で酔った時のように全身が赤くなっているのがよく分かる。

 

 舌を着地させるのは小指。

 親指よりも気が楽だろうと思ったから。

 

 足の指を広げると痛いかもしれないから、指の表面に舌の先だけを這わせる。

 舐めまわすだなんて無作法な真似はしない。

 蛞蝓は寄り道する事なく、足の甲、脛、膝、太腿を真っ直ぐ通過し、腰で休憩を取ることもせず、大好きな胸すらサッと通り抜け、勿論空を飛べないのでキッチリ首と顎をへて唇に収まった。

 

 「……もういいの?」

 「別に俺はシルフィが嫌がる事をしたい訳じゃないし」

 「……そっか」

 

 シルフィはもっとベロベロに舐め回されると思っていたらしい。

 まるで悪い貴族が少女にやってそうなプレイだ。

 俺ってそんなイメージあるのかな……。

 ともあれ、これで俺の紳士っぷりがシルフィに伝わったと思う。

 

 ●

 

 「……みたいな感じだね」

 

 シルフィエットの話を聞いて、ふんふむとロキシーは頷き、エリスはフンスフンスと鼻息を荒くしている。

 

 こういう話を聞いて、ロキシーは参考にしたり、わたしの時はこういった事もありましたよ、と切磋琢磨する様が見える。

 彼女の探求心は魔術だけでなく、旦那の方にも振りきれているのだ。

 

 ではエリスもそうかというと、彼女はそうではない。

 むしろルーデウスとの話を積極的にはしない。

 営みの種類を増やす事など考えた事が無かったのもあるが、単純にエリスはこういう話を恥ずかしがる傾向がある。

 聞く分には問題がないのだろうが。

 

 「やはり若さは偉大ですね……」

 

 三人の中で一番少女でありながら一番年長のロキシーが言うと、難しい言葉だ。

 さっきの話────ルーデウスとシルフィが新婚時代に色々やってみた時の話ではあるのだが。

 

 「最近はロキシーの方が色々やってるじゃない」

 

 ボクは精々体位を変えるくらいだよ、と言う。

 けれどそれでいいのだ。

 肌を重ねて、存在を確かめあって、それだけで十分幸せだとお互いに思っている。

 不満はない。

 

 「わたしは……体が小さいので工夫が必要ですし」

 

 単純に色々な事を知るのが楽しいとも言う。

 体が小さくとも無事に子供を産むことは出来たのだし。

 

 この後に及んで少し不安がくすぶっているのはエリスだ。

 ルーデウスとの普段の流れを思い出す。

 ベッドに押し倒す──抑え込むようにして、まず一度。

 自分が少し落ち着いた後ルーデウスの反撃が始まるが、結局は持久力の差でこちらに流れが戻ってくる。

 毎回そんな感じだ。

 

 もう子供はいいと思うけれど、それとこれとは話が別。

 ベッドの中まで剣神流かくあるべしとは誰も言うまい。

 なんなら北神流も修めてはいるのだし。

 

 「……二人ともちょっといい?」

 

 ●

 

 今日のエリスは普段と違った。

 ベッドに引きずりこまれた後、壁に背を預けるように座らせられたのだ。

 それからスンスンと匂いを確かめるようにしてそのまま……といった感じで。

 

 いつもより、肌の触れかたも、距離も近かった。

 何となく、十歳の誕生日の時のような、恥ずかしがっている感じもあった。

 

 ……エリスの行動が普段と違うとあの時を思い出して不安になる。

 流石に子供を放り出してどこかに行くことは無いだろうけど、朝目を覚ましたら姿がないという事だけを考えれば十分にあり得るかもしれない。

 

 エリスが腕枕をしてくれる事だし、今日は抱きついて眠ろうか。

 

 ●

 

 完全に杞憂でした。

 

 朝には気を良くしたエリスに思い切り抱き締め返されており、体が別の意味で悲鳴をあげていた。

 

 力加減というものを覚えたらしく、俺の骨が軋む程ではなく、押し付けられた母性の象徴に興奮する余裕があったくらいだ。

 

 ここで調子に乗ると二度目の蹂躙が始まってしまう。

 子供達が学校へ行くのを見送る為にそれは出来ない。

 

 だがしかし脱出も出来ない。

 天国と地獄は紙一重。

 クソッ。おっぱい仙人でも誰でもいい!

 誰か俺を導いてくれ!

 

 ●

 

 今日は何時ごろ起きたかって?

 昼前サ! HAHAHA!

 もちろん、家に子供達はもういなかったよ。

 …………泣きそう。

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