無職転生の幕間   作:綴りの違うウサギ

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男の子

 男の子ならかめ◯め波が撃ちたいという、ファンタジックな夢のひとつやふたつ持っているだろう。

 

 残念ながらウチの息子二人は小さい内から化物みたいな強さの人間に囲まれて育ったせいで、夢見る男の子にはならなかった。

 

 という訳で俺が夢を叶える男の子になるのだ。

 夢を叶える女の子はクリスが担当。

 

 ……ウチの嫁達も夢を叶えた事になるのかな。

 自分で言ってて恥ずかしくなってきたしとっとと街の外に試し撃ちに行こう。

 

 ●

 

 ぴょんこぴょんこと街を跳ねて駆け抜ける。

 月面を跳ねる宇宙飛行士の気分だ。

 そういえばこの世界の月にもウサギさんがいるのだろうか。

 星座について調べたこともなかったし。

 

 ……人神座とかあったらムカつくしやめとくか。

 

 しかし実に良いなこのストライド。

 バレエダンサーのような華麗なフォームで建物を飛び越える。

 年齢を感じさせないとはこういう事だな。

 

 しかしあまりバカな真似はし過ぎてはいけない。

 俺が笑われるのはいいが、家族が笑われるような事が起きてはダメだ。

 近所の面白いおっちゃん程度に納めておかないとな。

 

 ●

 

 という訳で街の外。

 近隣住民の皆様に迷惑がかからないように、こっそりもうけた俺専用の特訓スペース。

 まあ昔焼き払っちゃった森の再利用なんだけどね。

 

 スペースは確保出来ている。

 ポーズも思い出せる。

 原理が思い出せんのだ。

 

 感覚的に考えて闘気が関係していたら俺には土台無理な話だが、魔術という最大の武器で誤魔化してしまえばいい。

 

 おそらくだが閃光炎の応用で真似が出来るだろう。

 

 俺の中での閃光炎のイメージは手を振り払うと不可視のレーザーが走り、一拍空いた後爆発が起きるといった感じだ。

 

 オルステッドには少し違うと言われたが、お互い感覚派な上に俺がイメージしているのはロボットアニメにありそうな光景だ。

 イメージの違いがあるのも当然だろう。

 

 この魔法から実用性を奪い去り、炎っぽさも消す。

 ガスバーナーの巨大版……。

 

 いや、成功したら小型化すれば実用性が出てきそうだ。

 手からガスバーナーが出せれば何でもぶった切れるようになるかもしれない。

 盗みの新たな手口だな。

 俺は家族の心が盗めればいいんだけど。

 

 ●

 

 撃つ。

 撃つったら撃つ。

 

 ただ、試作段階では魔力をライン状にして点火、維持が以外と難しい事に気づいたので亀仙流の技から野菜王子の方の技に変更した。

 

 ぶっぱなす前に千里眼で周囲の安全確認。

 万が一ドラゴンの群れやケイオスブレイカーにかすりでもしたら大惨事だからな。

 そんな間抜けな死因は作りたくない。

 

 深呼吸、集中。

 両手を斜めに空に掲げて直線と炎の範囲を意識する。

 千里眼を展開して観測しながら第一射。

 

 「いっけぇ……!」

 

 手元から細い線が走る感覚があり、周囲の空気がそれに吸い込まれるように収縮。そして一気に爆発。

 爆発が無駄に広範囲にならないように、威力を絞れるように調整する。

 目標物を消し炭にしてターンエンド。

 

 「おお……」

 

 闘気がないからそれっぽさはないし、光線が出せないから見た目も記憶からはかけ離れているが、そこそこカッコいい感じはする。

 

 ただあれだけの火となると、やはり酸素をバカ食いしたらしく、少し息が切れる。

 

 こんな所で酸欠なんて間抜けな事にならないよう、少し風の回りを良くして──。

 

 「おい」

 「うわっ!?」

 

 振り向けばアルマンフィ。

 君ホントどこにでも来るね。

 どこでもアルマンフィだな。

 

 「さっきの爆発は俺ですけど、いくらなんでも来るのが早すぎませんか?」

 「普段通りだ」

 

 おー怖い。

 

 「貴様なら恐らく問題は無いだろう、とペルギウス様は仰っていたが……」

 

 へえ、しがない魔術師の新作実験でございまさあ。

 

 「……ならば良い」

 

 いいんかーい。

 

 ●

 

 実用的ではないが非常に楽しい試みであったな。

 しかし、炎の形状を意識して圧縮するという形式は応用が効きそうだ。

 

 溶接……機械に頼っている訳じゃないのだから自分の調整次第で溶断……。

 ビームサーベルだ!!

 

 そうなってくると完全燃焼している青い炎を精製する所から始まって、ガワ以外の相手を切る部分を大きくする事も考えないといけない。

 

 うーん、先は長い。

 まあいいさ。今日のところは帰ろう。

 

 ●

 

 帰宅後、爆発音が街まで届いていたらしく、危ない事はしないようにと、釘を刺されてしまいましたとさ。

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