誰かを頼る事は悪いことではない。
俺には一人で突っ張って生きていける強さなんてない。
きっとオルステッドさえも。
●
という訳で今日はエリナリーゼお祖母ちゃんの知恵袋を頼ろうと思う。
知識の量なら我らが社長でも良さそうでだが、今回は質問の内容が内容なので、社長にはそんな事聞けない。
『……何故そんな事を聞く?』
くらいで済ませてくれそうな気はするが、単純に今回の事はオルステッドも知らないと思う。
いやでも、何回も同じような人生を繰り返している訳だから長耳族の生体調査くらいしているかもしれない。
だとしても、オルステッドには聞けない。
だって恥ずかしいもん。
●
「という訳で今日はお願い致します」
親しき仲にも礼儀ありと、頭を下げる。
顔を上げると、実に穏やかな表情のエリナリーゼと目があった。
「可愛い孫の為ですもの、知恵を貸すくらいやぶさかではありませんわよ」
ただし、と人差し指を立てて続ける。
「クリフが恥ずかしがるような事はダメですわよ」
「聞きませんよそんな事……」
なんで尊敬するクリフ先輩を辱しめるような事を聞かにゃならんのだ。
ロキシーからちょっとエッチな相談をよく受けているせいで夫婦揃ってシモの話しかしないんじゃないかとか思われてるんだろうか。
ロキシーがエッチになるのは大変よろしい。
だが今日のはただの知識欲だ。
「俺が聞きたいのは長耳族の、それも大森林からあまり出てこないような人達の事を聞きたくてですね」
「分かっていると思いますけど、あまり詳しくはありませんわよ」
「もちろん分かってます」
何も難しい事を聞こうってんじゃない。
エリナリーゼが体質のせいでひと悶着あったのだって分かってるさ。
質問の内容は至ってシンプル。
「純粋な長耳族の人達って下着着けてるんですか?」
●
答えは出た。
知識欲が満たされる事のなんと気持ちいい事か。
もしも俺が知らない秘密を知っていて見事俺を唸らせる事が出来たらお小遣いをあげよう、なんて勝負を子供達とした事がある。
ララは真っ先にその日ロキシーがどんな下着を着けているかゲロった。
俺の答えは「知ってる」だった。
夫が嫁の下着について知ってると答えただけなのにドン引かれたのは今でも納得がいかない。
結局その日お小遣いを手にしたのは台所から晩御飯の情報を仕入れて来たルーシーだった。
姉は強し。
「あ、お帰り、ルディ」
「ん、ただいま」
記憶の反芻をしているウチに愛しの我が家でシルフィが出迎えてくれる。
せっかくだからさっき手に入れたばかりの知識を活用してみようか。
「シルフィってさ」
「うん」
「ちゃんと下着着けてるよな」
「……うん」
言うべきだろうか。
俺が悪い訳じゃないのになんだかちょっと恥ずかしい。
「大森林の長耳族の皆様方は下着を着けないそうですヨ?」
「……ルディはそっちの方がいい?」
パンツ履いてない。
スカートにあからさまなローアングル。
無駄に視界に飛び込んでくる尻肉。
「ノーパンダメ、ゼッタイ。そのままのシルフィでいてくれ」
「ん、分かったよ」
アホな会話でシルフィの照れ笑いを手にいれてしまった。
子供の頃はそんなに拝めなかったけれど、フィッツ先輩の頃から実にシルフィによく似合う可愛らしい表情。
眼福、眼福。
「あ、でもロキシーがルディの部屋に行くときに着けてない時あるよね?」
「それはそれ、という事で」
男というのは脱がしたい生き物なのだ。
きっとルークあたりなら分かってくれる。
従兄弟なんだし。