「では、第一回デッドエンドの決めポーズを決める会議を始めます。拍手」
目の前の二人が乗ってこないのでパチパチパチと、口にしながら一人寂しく拍手をする。
いいじゃないか、決めポーズ。
トドメの一撃を決めた相手が体中から電撃を漏らして、ゆっくりと倒れ大爆発。
それを背景にビシッとポーズをとる。
RとXって感じで。
爆風に巻き込まれそうになったらご愛嬌だ。
「……あの、パパ」
「はい、ジーク君。ちゃんと挙手が出来て偉いぞ」
「デッドエンド、っていうのはパパと、赤ママと、ノルン姉の旦那さんのルイジェルドさんが組んでたパーティーの名前だよね?」
「元は違うけどそうだ」
「じゃあなんで僕とアル兄が?」
そうだそうだと、アルスが頷く。
「……エリスとルイジェルドが俺の話を聞いて乗ってくれるとは思えん」
それは必要があるの(か)? と一蹴されて終わりだろう。
旅をしてた頃のエリスなら言いくるめれたかもしれないが、今のエリスにそれは無理だ。
カチンカチンと剣を鳴らされればまだマシで、馬鹿な事をいう口はこうよ! なんて言って強引に黙らせにくるかもしれない。
ああ、ダメよアナタ。昼間のこんな明るい内から……息子達も見てるのに……。
『パパ』
「すまんすまん」
息子二人の前でエア嫁とイチャついてしまった。
イカンイカンせっかくの尊敬される父親像が崩れてしまう。
「二人を代役に選んだのはちゃんと理由ある」
前衛二人に後衛一人の当時と同じ編成。
チェダーマンを履修したグレイラット家の男の子二人。
ジークはムーンナイトの事もあるしこういうカッコよさは分かってくれると思っている。
そして何より。
「髪の色が揃ってるだろ」
赤、茶に緑。
男女比の厳しいグレイラット家の男組でデッドエンドパート2が組めるなんてな。
「どう?」
「どう、って言われても……」
アルスはイマイチ乗り気じゃないようだ。
まあ、成人する前に夢見る少年は卒業しちゃったしな。
嫌なら無理にやらせるような事でもないし……。
「僕はやります」
「ジーク!?」
「考えてみなよ、アル兄。これは僕達がパパの期待に応えるチャンスじゃないか」
ちらりと、伺う様にアルスが俺を見る。
いや、二人とも俺の期待に応えてくれてる自慢の息子だから無理しなくていいんだよ?
「──そうだな。俺、やるよ。父さん」
いや、二人とも覚悟完了って顔してるけど、そんな重い話じゃないからね?
●
「前口上とかはどうします?」
「んー……それは新人時代に散々見栄を切ってきたからいいかな」
三人の少年の話し合いは滞りなく進んだ。
剣神流のアルスが飛び込み、北神流のジークがカバーし、俺が援護する。
トドメを刺された敵はしめやかに爆発四散し、ポーズを決めて『デッド・エンド!!』で締め。
相手はバッチリデッドエンドだ。
適当な魔物に数回挑んで全て成功。
誕生日でもないのに息子からプレゼントを貰う結果となった。
「……ありがとな。今日は俺のワガママに付き合ってもらって」
「僕も楽しかったよ。パパと一緒に戦ったのなんて久しぶりだし」
少し照れたように返すジークにシルフィが被って見えた。やっぱり親子なんだな。
「……父さんとこうして遊ぶのは、俺も嫌いじゃないです、よ」
アルスも嬉しくなるような事を言ってくれるが、微妙に不器用だ。
昔はエリスもこんな風だったっけか。
「それじゃあまた家族が揃う時にコッソリやるとして、今日はそろそろ帰るか」
二人の返事を聞いて、俺は空へ飛び上がった。
何故かって?
男の子が家に帰る時にやる事なんて『誰が一番早く帰れるか競争』に決まってんだろ?
●
因みに帰宅した後、男三人で魔物を狩りに行っていたと思われていたらしく、エリスに「私も誘いなさいよ!」なんて言われた。
決めポーズのカッコよさについて説明はしてみたけれど、イマイチ分かってもらえなかった。
……次回も男三人かなあ。