「ルディはお尻での経験はありますか?」
ロキシーの恐らく好奇心から産まれたであろう言葉を聞いて、一瞬で下半身が引き締まる。
野郎に襲われた経験はないし、シルフィはもちろんエリスにも知識がないお陰で指を入れられた事もない。
「無いですけど……もしかして興味があるんですか?」
もしロキシーに求められるのならば、俺も覚悟を決めざるを得ないだろう。
馬車の旅で穴をいわした事はあるが、治癒魔術でどうとでもなる。
イチジクの代わりにウォーターボールで尻の準備をして……。
「あ、いえ。昔エリナリーゼさんの行為をうっかり覗いてしまった時にお尻でも相手をしていたのを思い出しまして……」
おばあ様ったらウチのロキシーに悪い影響を残しやがって……。
龍の道を往き、スケベを司る女。
それがエリナリーゼ・ドラゴンロード。
我が妻シルフィのおばあ様。
あんまりロキシーにいかがわしい事を教えないでほしいわね。
「知識としては覚えていますが、危ないのでやらない方が良いと言われました」
「俺もその方が良いと思います」
普通の行為ですら少々大変なのに無茶はしない方が良いだろう。
中に無理に押し入った所で痛いばかりで誰も幸せにはならない。
「それでですね。挑戦するかは別として、他にもどういった方法があるのか知りたい思ったのです」
「そういった話はそれこそエリナリーゼに聞けば良いのでは?」
「彼女は別に特殊な事ばかりしている訳ではないようですし……ルディなら貴族の方面にも詳しいでしょう?」
それならエリス……は話にならないからシルフィやリーリャにも聞いて……と思ったけどダメだろうな。
二人ともあまりいい思い出があるわけではないだろうし、そもそもそういった行為はしてないだろうし。
俺なら貴族と付き合って行く上で正面切ってそういう会話をした事もある。
下ネタは世界を繋ぐのだ。貴族の連中相手には特に。
「ロキシーが望むのなら話すのは構いませんが……俺の話がトラウマになったからって恨まないでくださいね?」
「もちろんです。とは言いますが、ルディがそこまで言うとなれば、かなりの覚悟を決める必要がありそうですね……」
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普通こういった話は酒が入っている時に勢いでするか、行為の前に気分を高める為にすると思うのだが、ロキシーが会話の舞台に選んだのは、プロレスごっこをひとしきり行った後のベッドの中だ。
いつもだったら髪を解いたロキシーを抱きしめながら夢の中に沈んでいくのだが、今日は少々興奮がぶり返してしまった。
俺の解説を聞いているロキシーの目が、少女のように輝いていたので二回戦を堪えたのも原因だろうが、なんとか話に集中する。
足で踏みつける電気あんまの様な話や同性の話。
普段と違う服装や役になりきっておこなうプレイはロキシーと行ったことがあるので割愛。
治癒魔術があるお陰で大胆に行われる被虐嗜虐趣味のお話や、排泄物が関係している話もしたが、聞いているロキシーの表情が段々と辛そうになってきたので、話を切り上げる事にした。
「……わたしはルディに抱きしめてもらいながら愛を囁いてもらえばそれで十分だと分かりました」
「俺も普段通りにしているだけで幸せ過ぎるくらいです」
「そういう事はちゃんとシルフィとエリスにも言ってあげるんですよ?」
「もちろんです」
会話はいつもの様にロキシーが俺を導くようにして終わった。
薄れ行く意識の中で、ロキシーがこうして時折見せてくれる年上のお姉さんらしさに俺が感じている感情は、もしかしたらバブみと呼ぶんじゃないだろうかと思いつつ眠りについた。