申し訳程度に某怪人出てるし。クロスで出た二人も出てるし。
ええ、横島忠夫を絡ませるには、女子高生かな、とか思いつつ、もうストリートファイターシリーズってかなりの年数経ってんだよなぁ。
ゴーストスイーパー・・・それは、世の悪霊を祓う現代のエクソシストである。
その中でも美神令子は、超一流のゴーストスイーパーであり、美貌も超一流、そして、困ったことに強欲さも超一流である。
並みのゴーストスイーパーが解決出来ない難解な事件、強力な悪霊、悪魔すらも倒してきた彼女ではあるが依頼した依頼人達は口をそろえてこういう。
悪霊と美神令子、どちらがマシなのだろうか?と。
依頼人達のその言葉に、かつてのアルバイト助手にして、現在職員としてこき使われているGS横島忠夫はこう語る。
あのちちしりふとももとあの美貌が悪いんや、と。
美神令子の美貌に目がくらんで気がつけばもう数年間。今日も今日とて彼は薄給でこき使われ、命の危険など日常茶飯事、後悔ばかりの毎日である。
(それでも……離れられないんだよなぁ……)
まぁ、GS免許を所得し様々な事件を解決した経験を積んだ今となっては流石に時給255円などという労働基準法無視な給金ではないにしても、まぁ、やはりその環境は他のGS事務所よりは……悪かった。
「……ううっ、みんな貧乏が悪いんや」
ぼやきながら横島は冬木にある冬木ドリームシアターに一人で来ていた。
所長である美神令子は別件で同行はしていない。美神令子は一昨日から急な案件で国連へ出向しており、代わりに横島が日本での依頼を片付ける事になったのだ。
まぁ、それは横島が仕事を任せられるまでに成長したということであり、また彼の知名度も高まって来ての事ではあるが、今回の依頼においての横島のギャラはやはり少ない。そう、少ない。
というか、法外な所長よりも彼の方が幾分か安いというので彼に依頼をしたがる依頼人もいるほどである。
これには所長の美神令子もあまり良い顔をしないが、とはいえ一人前になったとは言っても横島忠夫はまだまだ経験を積まねばならない時期でもあり、それには目を瞑っているようだ。
まぁ、その代わりに横島の給料や経費などを差し引いてバランスを取る辺りあんた鬼や……と言いたいが。
故に横島は経費を出来るだけ使わないように、車やバイクなどを使わず、電動アシストも付いていない古いママチャリ(普通の自転車)で今回の仕事先である冬木市は冬木ドリームシアターにチャリチャリとやって来たのだった。
この冬木ドリームシアターは二年前に、とある事件が元で半壊した建物を神月財閥が買い取り、更地にされた後に建てられた総合娯楽施設である。
映画館、ゲームセンター、劇場、ボウリング場、カラオケ、スパ、と様々な娯楽を提供する人気スポットなのだが、今回ゴーストスイーパーの横島が呼ばれたのは、ドリームシアターの劇場に夜な夜な謎の怪人が出るという噂があると言うのだ。
夜の誰もいない劇場の舞台に、黒いスーツとマント姿の仮面の怪人が女性らしき人影を連れて忽然と姿を現し「クリスティーヌ……クリスティーヌ……」と悲しげに、美しい声でその女性らしき人影に語りかけているのをシアターの警備員が目撃している。
最初は変質者ではないか?とも思われたが、しかし、目撃した警備員がその怪人に襲われた際に、その傷から何らかの霊障の反応が検出された為に、問題の怪人が霊的な存在であると断定されたのである。
そもそも人を襲い、傷まで負わせられる霊的な存在は非常に強い怨念や怨みなどを持っている事が多く、何より危険である。
そんな者がよりによってお客様が楽しむための娯楽施設、ドリームシアターに出没するなど以ての外だと神月財閥総帥である神崎かりんは美神令子GS事務所へと除霊を依頼した、というわけである。
この神月かりんは横島忠夫ではなく美神令子を指名する程の金持ちであり、珍しく美神令子のふっかける高額の代金を大抵はあっさりと支払うという気前がいいどころではないような依頼人の一人である。
また、日頃から美神令子とは公私の関係なく友達付き合いしているような人物であり、また、横島も何度か顔を合わせており、さらにその実力も見極めている。
まぁ、そのおかげで美神令子の代理として横島が引き受ける事になっても快く承諾したわけなのだが。
「……はぁ、若くて美人なんだけど、おっかないんだよなぁ、あの人」
美人と来ればすぐに食いつく横島であるが危険な相手に対しての警戒心はやはりある。
神月かりんは格闘技の世界ではかなり強く、日本においては『最強の女帝』と言われる程である。多くの格闘技に秀でており、あらゆる格闘技をマスターしており、その全てをあわせると現在、109段と11級なのだという。
無論、横島は初めて彼女に会ったときにすぐさまボコらた。
「……偶然、手が乳に行っただけなのになぁ」
いや、真っ直ぐに彼女の乳に手を出したのである。偶然ではなくついつい本能的に。それはボコられても仕方あるまい。
その事が原因で横島はかりんに一目置かれる事になったのだが、それについては横島は気づいてはいない。
なにしろ、あの神月かりんの胸を触って揉んだのである。油断さえさせないほどに自然に、反応すらもさせないほど素早く動いて、である。
武術の世界に身を置く武道家でもある神月かりんは常在戦場の心構えをもち、全くの油断は無かったというのに、横島はその胸を難なく掴み、そして揉んだのである。故に神月かりんは横島という男の実力を量ろうとしたのだが、しかし、格闘技には素人だった横島がいつもの如くボコられただけで終わったわけである。
その後も、神月かりんは美神令子に依頼をする機会が数度あったが、かりんはそのたびに横島を試すような事を行っていた。
例えば、親しくなった女子プロレスラーのレインボーミカと闘わせたり。無理矢理にボディーガードとして雇ったバーディーに襲わせたり。彼女が終生のライバルとして認めた春日野さくらとストリートファイトさせたり。
はっきり言って神月かりん絡みの依頼が事務所に舞い込むたびに横島はボコられ酷い目にあったわけだが、しかし神月かりんは、ますます横島をただ者ではないと確信し、横島を一目置いて見るようになったのである。
逃げ足の速さ、どれだけボコられても一コマ目には平然と回復しているタフさ、普通なら死んでいてもおかしくないような目にあっても「あー、死ぬかと思った」と立ち上がるしぶとさ。
格闘家として驚異的な人物に映ったのである。
そしてさらに、悪魔アシュタロスの討伐の際に横島忠夫が敵の懐に潜入したり、最終決戦において大活躍をし、世界を救うような働きをしたとの情報を得てからはさらに横島という男を買って見るようになったのである。
なお、神月かりんの乳は小さくも無く大きくも無くぢょしこおせぇの淡い柔らかさだった、と後に横島忠夫は語っている。
成長期の青い柔らかさが良かったそうだが、痛い目にあってもなんだかんだあっても、横島が女性を嫌いになることは無いのである。例外はあるのだが。
つくづく横島忠夫という男はこういう奴なので、能力云々はさておき非常にアレである。
「……あれはえがった」
というか、胸の感触を思いだしつつ、ハンドルから片手を離してワキワキさせる様はただの変態である。というかよく事故らないな、こいつは。
さて、そうこうしてようやく横島はドリームシアターに着いた。
チャリンコを駐輪場に置き、入り口へと進む。
「ちわーっす、美神令子GS事務所から、調査に参りました横島ですー!」
ロビーでそう言うと、二階の階段上から
「お待ちしておりましたわ、横島忠夫。今回はよく私の依頼を受けて下さいましたわね?」
と、神月かりんが腕を組んで横島を見据え、爽やかさと上品さ、そして魅力の籠もった笑みでそう言った。
お嬢様然とした清楚で淑やかな白いワンピース。髪は金に近い柔らかくふわっとした縦ロール。しかしてその存在感は誰もが無視出来ぬ圧倒的なカリスマに溢れる。
スキル『真・神月家究極奥義「麗しの瞳」』!!
一見、普通にお嬢様が笑っているだけのように見えるが、これは紛れもなく神月流の奥義である。
神月家の女たるや、5000人の男性を魅了出来てこそ当たり前!という家訓により、神月かりんは横島に最高の笑みで迎えた。
これが普段ならば、神月流社会術奥義「さげすみの目」かもしくはある程度認めた相手に対して権威を示す「覇者の腕組み」で迎えただろうが、そのことから神月かりんがどれだけ横島忠夫という男を意識しているかがわかろうものであろう。
(ふっふっふ、横島忠夫。これならば……どうかしら!)
神月かりんは絶対の勝利を確信していた。
だが……。
「ああ、ちわーっす、神月さん。いや、ウチの所長が依頼を受けられなくてすみません、と。断腸の思いだと言ってました」
ぺこぺこ、と横島は普段の調子で頭を下げる。頭を下げていて横島には、かりんのスキルである『真・神月家究極奥義「麗しの瞳」』は横島には通用しなかった。
何しろ、見ていない相手には聞かない類のスキルなのである。また、タイミングにもよる。
(……くっ、タイミングをずらされた?!)
内心、かりんは苦虫を潰したような思いに駆られたが、しかし気を取り直す。
「いえいえ、しかしいつもながら横島さんは腰が低いのですわね。いえ、実れば穂を垂れる稲穂かな、と申しますが、今やあなたもA級GSですもの。もう少し威厳や自信というものを……」
考えても、と言おうとしたが、そのタイミングを崩された。
二階の奥から一人の女性が出て来て、
「あーっ!あの時のバンダナの人!かりんちゃん、呼んだゴーストスイーパーってあの人だったの?!」
と、横島を指差して、かりんに大声で話しかけたのである。
かりんはその声に手を額に当てて溜め息を吐いた。
「……さくらさん、せっかく私が彼と話しているのです。それに……」
しかし、さくらと呼ばれた女性はかりんの言葉など聞いていないように、ずどどどど、とかりんの横をすり抜けて階段を駆け下り、横島の前までやってくるとその手を取ってはしゃいだ感じでマシンガンの如く話し掛けた。
「久し振りだねぇ!覚えてる?三年前に千葉でストリートファイトしたさくらだよ!あはははは、あの時はごめんねぇ、たしか横島くんだったよね!?」
「え?あ?あーっと……その鉢巻きは……ああっ?!あの時のセーラーブルマの?!」
「あはははは、あの時は高校だったからね!今はもう大学生なんだ!あははははは」
恥ずかしそうにさくらは笑う。そう、ストリートファイトをしていた頃のさくらは学校の制服にパンツが見えるのを防ぐためのブルマを履いていたのである。
とはいえ今思い出すと本人としては少し恥ずかしいようである。何しろ今やブルマはどの学校でもほぼ廃止され、廃れてしまっているのだ。というか、あれってパンツとそんなにかわらなかったよね?とかそういう風潮になってしまって、そりゃあ恥ずかしかろうなぁ、とか思う。
なお、今のさくらはスウェット生地のTシャツ、ジーンズ姿であり、普通のスポーツ系女子大生な感じである。
なお、横島はやはりさくらにも散々ボコられており、その明るく爽やかだが容赦なくボコるスタイルには、当時、かなりの恐怖を感じたようで、両手を取られているがよく見れば逃げ腰である。
(あ、あかん、コイツはあの、殴る女子高生や……!)
「さくらさん!横島さんはお仕事で来ているのですわ。再会を喜ぶのは後にして下さいまし!」
いつの間にか二階から降りていたかりんが、よいしょっと、と、横島からさくらを離す。
「もうっ!」
と、頬を膨らませつつ、
「ささっ、横島さん。例の怪人についてわかっていることをお話しないといけません。準備もおありでしょうし、事務所へ行きましょう」
かりんは横島の手を掴むと、ぐいぐいと引っ張り、二階へと連れて行った。
横島忠夫は。
書いていて勝手に動きますね、本当に。いかん、メインの主人公になりそうだぞコイツ?!
というか神月かりんお嬢様も変に動くぞ?!当初の予定とかなり方向が変わって行く……。あれっ?あれれっ?!なんかこの子、横島んこと好きなんじゃね?!