フェイト・クロス・オーダー   作:罪袋伝吉

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 すべて、キーやんとサーちゃんの仕業だったんだよ!!なんだってー?!

 プロローグは続くよ、かなーり続くよ?

 


プロローグ⑤~キーやんとサーちゃんの暗躍

 

「いやぁ、冬木市の方で仕事がありまして。で、ちょうどモモさんがフェリシアさん達と冬木ドリームシアターに来ているそうで、それならば是非お会いしましょう、と向かっていたのですが……」

 

 中村等は額をポリポリと掻きながら困った表情で言った。異常事態に巻き込まれたというのに余裕があるのはおそらく彼もこういう事が慣れっこになっているのと、彼がヒーローだからなのだろう。

 

「気がつけば、大通りではなく森の中を歩いていた、か?」

 

「ええ。リュウさんも?」

 

 頷くリュウを見て中村は苦笑した。リュウもやはりか、と苦笑する。その顔を見て中村は肩をすくめる。

 

「あー、なるほど私と同じですか」

 

「ああ。俺もさくらちゃんから連絡があってドリームシアターに向かうところだった。中村さんは髑髏の男には会わなかったか?」

 

「髑髏の……男ですか?はて、週末ヒーローのスカロマニアさんの事ですかね?いえ、会いませんでした」

 

「いや、スカロマニアでは無く、髑髏の鎧に身を固めた歴戦の騎士のような男が現れて俺に、東へ行け、と言った」

 

 なお、スカロマニアとは髑髏に全身タイツのストリートファイターで、仕事のストレス発散に骸骨のヒーローのコスプレをしてストリートファイトをしているサラリーマンであり、どちらかと言えばコミックスタイルな人物である。

 

 だが、髑髏の騎士もスカロマニアと一緒にされてはたまったものではなかろう。

 

「はぁ、髑髏の騎士、ですか。そちらにも会ってはいません。しかし、リュウさんの表情を見るによほどの方だと推測しますが……」

 

 中村は彼には珍しく少し険しい表情をした。営業サラリーマンである彼は素の人柄もかなりの善人であり、朗らかで明るい人格をしている。また、業種的にもやはり明るく人に対してあまり嫌悪感を見せないが、そんな彼がそのような表情を見せる時は、ただ一つしかない。

 

 人に害を成す悪。それに対してである。

 

 髑髏=悪、と言うわけでは無いが、なにやら嫌な物を感じたようだ。それを感じたのかリュウは言葉を付け足した。なんとなく余計な先入観を持たれてはいけないような気がしたからだ。

 

「あれは善悪を超えた何かだと感じた。ただ、悪意は無かった。あとは……、そう、確か『最初のハサン』と名乗っていた」

 

「ハサン、ですか?ふむ……中東あたりの名前でしょうか?」

 

「わからない。何しろ普通に日本語を話していたからな。中東訛もなく流暢だった。」

 

「まさか、日本語の『破産』という意味では無いでしょうが……」

 

 二人はそれは嫌だ、と同時に思いつつ、長い廊下を進んでいく。廊下の向こうには大きな両開きの扉が見える。

 

 進むにつれてそこから強いプレッシャーが放たれており、また、何か嫌な匂いも漂ってきた。

 

「……中村さん」

 

「ええ。どうやら変身しておいた方がよさそうです」

 

 中村はそう言うと、超変身物質で出来た銀のメダルを取り出した。

 

「銀の力が私を変える……!」

 

 しかし、いつもの名乗りは控える。大声を出して扉の向こうにいるものを刺激しないためである。

 

 リュウは、扉のノブを掴み中村とタイミングを見計らった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 一方、ところは変わってフィニス・カルデアの所長室。

 

 有栖零児と小牟は怒れる目の前の美少女に辟易とさせられていた。

 

「いや、だから査察については日本政府から事前に通達している!俺達もこちらからの承諾を受けて来ているんだ」

 

 零児はフィニス・カルデラのアニムスフィア財団からの返答の手紙の写しと同じくフィニス・カルデラから送られて来た施設立ち入りの為の許可証をオルガマリー・アニムスフィア所長に見せながら、これで何度目になるかわからない説明を言った。

 

「そんなもの私は許可した覚えもありません!!それに日本政府からそんな査察の申し入れも知りませんし、その査察許可証だって、私は発行してません!!」

 

 はぁ、はぁ、はぁ、とオルガマリー所長は肩で息をしながら凄い御面相で怒鳴った。

 

 これもまた何度目になるかわからない。

 

 許可された、許可していない、で互いに平行線である。

 

 そんな不毛な状況に辟易している様子の、オルガマリー所長の側のなんとも締まりのない優男然とした白衣の男が間に立って

 

「まぁまぁまぁまぁ、所長も森羅の方も落ち着いて下さい」

 

 だが、オルガマリー所長の眉が不機嫌な弧を描く。どうやらこの白衣の男が口を挟むことに何かムッとしているようだ。あるいは嫌われているのかも知れない。

 

 その白衣の男は、へらへらしつつ、零児が示した施設への立ち入り許可証を見た。そして自分の胸ポケットにつけている職員証を見比べる。

 

「ふーむ、この許可証のサインは職員証のサインと同じ、所長の筆跡ですねぇ。それも森羅の方が持っているのはこれ、所長の直筆ですよ?印もちゃんとアニムスフィアの印ですし」

 

 そう、彼の胸ポケットにある職員証と査察許可証のサインの筆跡はどちらも同じ癖で書かれていた。

 

「くっ、ですから私は書いてません!というか、ドクターロマニ、あなただって今がどれだけカルデラが大変な時期なのかわかっているでしょう!?もうプロジェクトは始動し始めている!!そんな時に査察なんて受け入れられるわけは無いでしょう!!」

 

「あー、しかし彼らはこうして来てしまってますし。今更帰れ、とか言ってももう現在外は雪上車も出せないほどのブリザードが発生してますし」

 

「くっ……!」

 

 オルガマリー所長はもう、コメカミにバッテンな青筋を浮かべるも、なにも言えなかった。

 

 なにしろ国連の承認によって活動している財団法人が、国連加盟国の日本の査察団……まぁ、二人だけだが……をブリザードの吹き荒れる中に追い出したりすれば、それだけで大問題である。

 

 なにしろこの季節のブリザードは殺人的どころの騒ぎではない。完全に息の根すら凍り付かせて止めるだろう。

 

「ブリザードが止んだら、即刻帰ってもらいますからね!!」

 

 オルガマリー所長は頭をくしゃくしゃくしゃとかきむしると、

 

「ドクターロマニ!二人についてはあなたに任せます!私はそれでなくても忙しいのよ!!」

 

 そう言って部屋を出て行った。

 

「……あー、気象観測の予報ではブリザードは一週間続くという話なのですがねぇ」

 

 はぁぁぁーっ、とドクターロマニと呼ばれた男は、二人に困ったような顔をしてへらへらと笑いながら二人に右手を差し出した。

 

「そちらも大変だと思うけど、まぁ、よろしく。所長はちょっと最近働き詰めでイライラしてるだけなんだ。頑張り屋なんだけど、ちょっと気難しいところがあってね……。私はロマニ・アーキマン。こう見えてここの医局長さ」

 

 零児も苦笑してその手を受ける。握手しながら

 

「何かの研究者に見えた。医師だったのか。俺は有栖零児。こっちは小牟だ」

 

「とりあえずは、君達に部屋を用意するよ。どういう形で君達がウチを査察するかはわからないけど、頼むから所長の逆鱗には触れないようにお願いするよ。宥めるのが大変なんだ、ウチの所長」

 

 茶目っ気たっぷりにドクターロマニはそう言った。

 

 なんだかんだ言っても、この医師はあの所長に対して悪い感情は持っていないようだ。

 

「まぁ、気をつけるが注意点とか危険区域とかは教えておいてくれよ」

 

「……なんだろう、君達にそういうところを教えたらわざわざそっちに行ってしまいそうな気がするんだけど」

 

「大概、人が隠しておきたい所はそういう部分じゃからのう」

 

 にしししし、と小牟が笑いつつドクターロマニをからかう。

 

 所長とのファーストコンタクトは最悪の部類だったが、この医師とはうまくやれそうだと零児は思った。

 

「ま、短い間だが、よろしく頼む」

 

 こうして、零児と小牟はフィニス・カルデアに逗留する事となったわけだが。

 

 その短い間はやがては一年以上の時間となることを零児はまだ知らない。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 さて、場所は変わってここは日本のとある貧乏長屋。

 

 森羅のエージェントがカルデアの査察という任務が下され、そして、オルガマリー所長の知らない間に許可証が発行された原因がここに集っていた。

 

 それはとある超常、いや、頂上の者達の仕業であったりする。

 

 

「……なぁ、キーやん。ほんまにこんなんでええのんか?」

 

 ここら日本の古いボロアパートの一室。Tシャツ姿にカーゴパンツ姿のだらけた格好の男が、ちゃぶ台の向こうにいる、すこしジョニーデップに似た感じの青年に言った。

 

「……はい、本来ならば我々は傍観すべきところなのですが、しかしながら、ある意味今回の件は父さんの不始末から起こったも同然ですので」

 

「はぁ~、というかウチも関わっとるさかいなぁ、正直なとこウチんとこも無視でけへん」

 

 二人は溜め息を「「はぁぁぁぁぁっ」」と吐きつつ顔をちゃぶ台に向けてうなだれた。

 

「とはいえ、神界も魔界もどちらももう介入は出来ません。もうすでにこの世界は人の歩むところ、新約とはそういう事ですから……」

 

「それやねん。そこが辛いとこやねん。出向いて行って、バチコーン!と一発キツいお仕置きでけたら話は早いんやけんどな……」

 

「まぁ……今はせいぜいがライトスタッフが集まるように御膳立てするぐらいしか出来ませんし」

 

「……まぁ、ウチからはあの坊んに縁のある魔族の部下を送るつもりやけど、そんぐらいは……ええやろ?」

 

「ええ。こちらからは小竜姫達と孫悟空さんを。……まぁ、本当は天使達を送りたいところですがそうは行きませんので……ウリエルとか」

 

「……まぁ、自重せんとそれこそ世界のバランスが崩れてまうからなぁ。取り合えずはお互いやれる範囲でやれることをやってやろなぁ」

 

「はい、では、そろそろこの密会に使っているここも引き払いましょう。以後はホットラインで」

 

 二人の聖と魔はそう言うと、消えた。

 

 あたかもそこに最初からなにもいなかったかのように。

 

 

 





 キーやんとサーちゃんは、GSのキャラ(?)ですな。

 ちょろっと、三蔵ちゃんと悟空のじいさんが再開するフラグが。そこまで続くかわかりませんけど。

 

 
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