フェイト・クロス・オーダー   作:罪袋伝吉

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さて、横島サイドのプロローグは終わり。

零児・小牟がもはや影薄いですが、冬木の異変Fが起こるまでに横島やリュウ達に動いてもらわないと……。

ぐだ子はもう空気……いえいえ、後にかなり出てきますから。

なお、英霊達が原作ゲーム順に出てくるとは限りません。




プロローグ⑧~サイド・横島プロローグ終わり

 ファントムに連れられて、横島は冬木ドリームシアターの地下の隠し通路を見鬼ちゃん(改)と霊視ゴーグルを使いつつ、進んでいた。

 

 横島の見鬼ちゃん(改)は通常の見鬼くんとは違い、おキヌちゃんをディフォルメした巫女が上に乗っており、持っている祓櫛(はらえぐし、もしくははらいぐしとも言う)で霊の方向を指してくれる。

 

 また、ドクターカオスのチューンが入っており、霊視ゴーグルと使うことで高機能化され、霊の探査が非常に高精度で出来るようになっている。

 

 「ぴこーん、ぴこーん、ぴこーん」という探査の音も、おキヌちゃんの声をサンプリングしたものを使っており、非常に可愛い。

 

 が、地下の薄暗い通路でおキヌちゃんの声が響くその様は非常にシュールである。

 

 その後ろからぞろぞろついてくる女性陣。

 

 なにかこう、なんとなく間抜けな気もするが、致し方ない。

 

「あのー、かりんさんはまだわかるんですが、なんでみんなまで?」

 

 かりんは、美神令子GS事務所に依頼をする際に同行するのが常になっており

 

『帝王たるもの未知から常に学び見聞を広めるべし!ですわっ!』

 

 と、宣い、常に同行費用を上乗せしてくれている為、横島は断れないのである。

 

 彼女はゴーストスイーパーの仕事を邪魔するような事も、素人にありがちなミスや現場を引っ掻き回したりするようなことが無い。

 

 さらには、霊体に対してさえも打撃を加えられるほどの精神力を持っており、なによりいざと成ればゴーストスイーパー顔負けなほどの戦闘能力も持っている。

 

 故に美神令子としても安心して同行させられる人物かつ、金払いの良い上得意として扱っているのである。

 

 しかし、他の女の子達に関しては正直な話、ミュージカルスターやアイドル、普通の女子大生なので、所属事務所などの手前や、一般人を巻き込むのは問題があった。

 

 しかし、

 

「あれぇ?来ちゃいけなかったのぉ?」

 

 と、あっけらかんとフェリシアが首を傾げ、かりんに聞く。付いて行くのは当たり前、といった態度だ。

 

「……そういえば、普通にみなさん付いて来ちゃいましたわね」

 

 まるで今気づいたかのように、かりんは着いて来た四人を見る。

 

「あはは、前の事件の時の癖で……」

 

「ええ、付いて来ちゃいましたね」

 

 さくらとモモも、あははと苦笑する。彼女達は以前の事件(ナムコクロスカプコン)のせいで何か異変慣れをしてしまっており、いざ異変となると団体行動というかチームをすぐさま組んで対応しようとする癖が身についてしまっていたのである。

 

「……私は、モモに付いて来ただけだけど」

 

 アマゾーナは前の事件では操られ、洗脳されて敵方だったが、彼女は二度とそういう目にあいたくない一心でモモを追って来たのである。

 

「まぁ、付いて来てしまったものはしかたありませんわ。それに、みなさん戦闘になったとしても慣れてますし、問題は無いですわ」

 

 かりんが言うのだから戦闘とかそういう部分では大丈夫なのだろうが横島としては、

 

「所属事務所とか訴えられへんやろな、これ……」

 

 という問題で頭が痛い。いや、アイドルスター達の所属事務所よりも何よりも、そんなことになったなら雇い主であり所長の美神令子が怖い。

 

「まぁ、黙ってればだいじょーぶ!それに、ママも言ってた。『困っている人がいたら助けなさい』って!」

 

 フェリシアはあっけらかんとそう言い、ウィンクばちこーん。一瞬、目から星がキラキラ零れるようなエフェクトがかかっていた。

 

「ふぅむ……、ミュージカルスターと言うものもなかなかにカリスマがあるのだな。無論、クリスティーヌが一番だが」

 

 ファントムがフェリシアのその仕草を見つつ、目を細める。

 

「えーと、今回のバトルミュージカルでは私達三人が一つのチームとして正義、友情、そして希望を振り撒くってお話なんですよ」

 

 モモがにこにこしながら言う。

 

 モモは仕事柄、変な性格の業界人達は慣れっこであり、そういう人々と会っていても全くストレスが溜まらない性格をしていた。なにしろ、某961の事務所の社長の嫌みにもなんとも思わないほどなのである。

 

 また、人の善悪に対して敏感ではあるが、目の前のファントムに対してはその二極では当てはまらないと感じていた。

 

「ほう?ヒロインは一人ではないと?」

 

「神田桃さんもアマゾーナさんもフェリシアさんも、三者共にトップアイドルとトップミュージカルスターですもの、当然ですわ!」

 

 かりんはモモの言葉を補足するように言った。ここでアマゾーナがメインヒロインではないとか思われてはファントムが暴走し、モモやフェリシアに襲いかかるかも知れないと思ったからである。しかし幸いな事に、今回のミュージカルは三人が三人とも主人公なのである。

 

「オペラでは、プリマドンナは一人……。しかしミュージカルでは違うのだな」

 

 だが、ファントムは非常に落ち着いた感じで納得したようである。

 

「一年に一度のスペシャルイベントですもの。豪華三ヒロイン揃い踏みの舞台、故に万難を排して万全にせねば成らないのですわ!」

 

 かりんはそう言い、ファントムが快く事件解決に協力するように誘導する意味でそう言った。

 

「なるほど……。クリスティーヌが喝采を浴びる為には私も頑張らねばならないのだな。うむ、クリスティーヌの敵は私の敵。今も昔も変わらぬ。我はかつて全てを捧げた。愛、心、魂までも。クリスティーヌ、おおクリスティーヌ……!」

 

 ファントムは優しく囁くように歌うように、鉤爪をカチャカチャっと鳴らしつつ言う。

 

 かなりやる気になったようで、モモとかりんから離れて先導するように一行の一番前へと進んで行った。

 

「……ヒソヒソヒソ(かりんちゃん、その、もしファントムがアマゾーナさんがクリスティーヌって人じゃないって気づいたらやばいんじゃ?)」

 

「……ヒソヒソヒソ(大丈夫ですわ。その時はみんなで一斉に……)」

 

「……ヒソヒソヒソ(暴走したらかなり危険だと思うしねー、あの人)」

 

 横島にはさくら、かりん、フェリシアの話している物騒なヒソヒソヒソ話が聞こえており、

 

(……生きてる人間の方が霊より怖いんだよなぁ)

 

 と、何故に自分が知り合う女の子達はやたらとアグレッシブかつ怖い事をさらりとやらかしそうな人ばかりなのか、とファントムを見る。

 

 彼には全く聞こえておらず非常に上機嫌である。

 

 その様を見るに、ああ、気づかなければいいなーと、本気で思う横島である。なにしろ、かりんとさくらの強さは、かつてボコボコにされたために横島自身、よく分かっている。

 それに、モモ、アマゾーナ、フェリシアの三人とても、かりんが太鼓判を押すほどの実力者なのである。

 はっきり言って、ファントムが気づいた時には、はっきり言って不幸な未来しか見えてこない。 

 

 出来ればなんとか庇ってやりたいものだが、いかんせん暴走してしまったら退治する側の横島も除霊せねばならないのだ。

 

 横島は左手の甲に浮かぶ赤い令呪を見る。ファントムが言うにはこの令呪というのはサーヴァントに対して強制的に命令を行えるものであるという。

 

 正直『強制的に命令』というのは横島には気にくわない。内心、聖杯戦争とか云々は訳が分からないしそのシステムについてファントムの言った説明も、それらを考えた連中はド外道なんではないか、と思いつつある。

 

「……本当にいいのかしら」

 

 アマゾーナが小声で言うが、おそらくそれはファントムの思い込みにつけ込んで利用している現状について言っているのだろう。まぁ、勝手に思いこまれてしまった彼女としては非常に困惑しつつ迷惑にも思うところなのだろうが、悪いと感じている辺り、実はアマゾーナが一番常識的な人なんじゃなかろうか?と横島は思った。

 

「どーだろなぁ」

 

 横島は言葉を濁す。全く判断しにくい。

 

 なにしろ横島は仮にとはいえファントムのマスターになってしまっており、要するにファントム側なのである。

 

(いざとなったら令呪というので止めよう。……止めれるのか?)

 

 見鬼くん(改)の上の巫女ちゃんはぴこーんぴこーん、と音を鳴らしてまだ霊の方向も位置を特定していない。霊視ゴーグルも英霊の通った跡を映し出しているのだが、しかしそれも微かだ。

 

「……ファントム、犯人ってか、追っている英霊はまだどこにいるかわからんのか?」

 

「うむ、ここを通ったのは跡でわかるが、おそらく一度きり。しかし、この地下通路はなにかおかしい。私が出て来た時には古く埃が被り通路も途中で分断されていたが、瓦礫が無くなり、まだ奥がある。まるで……」

 

「まるで?」

 

「今通っているここは、新しくなっている。時間が巻き戻ったかのように」

 

 そう、言われてみれば入った時には石壁の破片や砂、埃などがあったが、今進んでいるこの通路はあたかも掃除でもされているかのように、何も落ちてはいない。

 

 薄暗かったので気づけなかったが、確かに新しくなっているかのような感じなのだ。

 

 横島は急いで自分の腕時計を見た。横島の腕時計はGS試験に合格したときに厄珍堂の厄珍から貰った電波時計(なお、質流れ品)であり、電波によって自動で日時や時間を調整する。

 

「……200×年の1月?!」

 

 電波時計のデジタルが示す年月は、十年ほど前の年月だった。

 

「横島さん、どうしまして?時計が何か?」

 

「……時計の示している日時を見ると、いま、十年前に俺達は来ているようです」

 

『200X。冬木・アインツベルン城』

 

 そう、横島達は第五次聖杯戦争直後の世界にいつの間にか飛ばされていたのだった。




 ファントム、というよりオペラ座の怪人はかなり大好きな作品ではあるのですが、映画のオペラ座の怪人は多くの監督作品があり、ファントムの設定はそれぞれ違います。

 例えば単なるストーカーホラーだったり、ヒロインのクリスティーヌとは実は生き別れの親子という設定だったり、ラブロマンスだったりと、演出もかなり違います。

 まぁ、アンドリューウェバーのミュージカルが今では一番有名ですが、その辺の違いもまた面白いのですよ。

……横島×ファントムだと、なんかギャグになりがちでしょうけど。
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