サッカーやろうぜ! そうしよう!   作:ssgss

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サッカーが紡ぐ絆

 あれから、また大分時が流れた。

 俺達は今、イナビカリ修練場で練習に明け暮れている。

 あの帝国との一戦の日以来、皆はいつもよりも練習に精を出している。

 そしてあれからあったのは、元イナズマイレブンOBの皆さんと試合やFF全国大会1回戦の戦国伊賀島戦。

 イナズマイレブンOBとの試合……最初は相手の人達が全然やる気無くて俺ですらこんなことに時間を費やしている暇なんて無いと円堂に呟いていたものだけど、響監督がメンバーを一喝した後からのあの人達のプレーはそれは凄まじいものだった。

 そしてその試合の最中、風丸と豪炎寺が炎の風見鶏を完成させることになるのだったが、初めの内は全然出来てなかったが、そこで完成のヒントを与えてくれたのは影野だ。……あいつはいつも試合ではベンチで、日常でもそれほど喋る奴じゃないけど、それでも、そんなあいつだからこそ見えてくるものもある。

 で、そんな影野のおかげで二人は炎の風見鶏を完成させることができた。

 

 続く戦国伊賀島戦……その試合の前に風丸は陸上部後輩の宮坂から陸上部に戻ってきてほしいと言われていたんだ。

 ……だが、それでも風丸は自分の意思でサッカー部に残ることを決めてくれた。そして試合では完成させた炎の風見鶏が大活躍。見事俺達は2回戦へと進んだのだ。

 そして、練習の最中に音無が修練場に入ってきた。

 

「て、帝国学園が…!!」

 

「初戦突破か!」

 

 円堂は帝国の勝利を信じて疑わず、豪炎寺が向けた手のひらにグーで喜びを伝えた。

 けど、俺だけはそれが違うことを知っている分、何よりもツラい。

 

「10-0で…」

 

「結構な点差だな。ほら、神向も!」

 

 円堂が俺にもグーを向けてくる、だけど俺はこいつのその行動に返事を返すことが出来なかった。

 

「世宇子中に、完敗しました…」

 

 音無から告げられる現実は、円堂が……いや、俺以外の雷門が思っていたものとはまるで違うものだった。

 そして俺もまた、その現実が嘘であってほしいと願っている自分がいた。転生者というイレギュラーな自分がいるからこそ、どこか原作と違うことになるはずだと思っていた。

 そして可能なことならそれが全国大会で再び雷門VS帝国学園という試合になることを望んでいたのかもしれない。

 しかし、起こったイレギュラーがあるとすればそれは下鶴がデススピアーを使えるようになった程度のこと。

 やっぱり俺は世界から見たらちっぽけな存在でしか無いのだと、改めて認識させられた。

 

「嘘だろ…、音無…?」

 

「ガセじゃねえのか!? あの帝国が初戦で負けるわけねえだろ」

 

「それに10-0って、あの帝国が1点も取れないなんてあり得ないっスよ」

 

「世宇子中……確か奴らは」

 

「ああ。開会式の時、特別推薦枠として呼ばれていた奴らだ。……けど、あの時はその場に現れなかったな」

 

「音無。どう言うことなんだ!」

 

 円堂に言われ、音無は震えるようにその情報を伝えてくれた。

 

「見たこともない技が次々に決まって…。あの、帝国学園が、手も足も、出なかった、そうです」

 

「あの、帝国が」

 

 豪炎寺ですら、未だに帝国が敗北した。

 そのことを信じられないようだった

 …違う。こいつらの気持ちが正しいんだ。

 俺はただこの世界のことを知っていて、その知っている通りに事が運んでいるだけだ。もし俺が転生者でなく、これまでの道を歩んできていた時にこの情報を聞いたらどう思う? 俺だって信じられないに決まってる!

 

「そんなわけない、帝国だぞ! あいつらの強さは、戦った俺達が一番よく知ってるんだ! あいつら本気で強いんだ! 鬼道がいるんだぞ!」

 

「……お兄ちゃん。試合に出なかったんです」

 

 皆が音無の話に気を向ける。

 

「お兄ちゃん、ウチとの試合で怪我したじゃないですか。相手はノーマークの学校だったから、大事を取って控えに回っていたんです。そしたら相手が圧倒的で、怪我をしたお兄ちゃんが出ようとした時には、既に、試合が出来ない状態だったようです」

 

「あの、鬼道が…。……そんなこと、絶対あり得ねえ!」

 

「キャプテン。落ち着いてほしいっス」

 

「落ち着いていられるか!」

 

「止めろ円堂。壁山に当たっても仕方ねえだろ」

 

「……分かってる。……ごめん、壁山」

 

 俺が諫めると円堂は壁山の方こそ見なかったが謝った。

 

「でも……鬼道達が完敗なんて、そんなの、あり得ねえ!」

 

 円堂が走って修練場の外に出ていった。

 

「……すまん豪炎寺、染岡。後のことはお前達に任せる。俺は円堂を」

 

「ああ」

 

「任せたぜ神向」

 

「……それから、すまなかったな壁山。円堂も気持ちの整理がつかないんだ」

 

「大丈夫っス。俺だって、まだ信じられないっスから。……キャプテンならなおさらっスよ」

 

 そう言って俺もその場から走り出した。

 そして、校門から出て数メートルのところで走っている円堂を見つけた。

 

「円堂!」

 

「神向。……止められたって聞かないぞ、俺は帝国学園に行って、鬼道達に確かめるんだ! 絶対に信じないぞ! あいつらが……負ける……なんて」

 

「止めに来たんじゃねえ。俺も行く」

 

 俺と円堂は一緒に帝国学園へと出向いた。

 そして帝国との試合をしたあのグラウンドに向かうと、そこには鬼道が立っていた。……構内であるにも関わらず私服で。しかも、体からはあの気圧されそうな迫力が微塵も感じられなかった。

 

「鬼道!」

 

「……よお、円堂、神向。笑いに来たのか?」

 

「んなわけねえだろ!」

 

 鬼道は円堂と俺に笑って言う。

 だが、今のあいつの顔を見ることは俺には出来なかった。……円堂は真っ向から鬼道の言うことを否定したのに、その円堂を叱咤した俺は今のあいつから逃げようとしている。

 

「……円堂。ボール貸してくれ」

 

 円堂は何も言わずにボールを手放す。

 そのボールを俺は鬼道に向けて蹴った。

 

「鬼道! 蹴り返せ!」

 

 俺はそう言うも、鬼道はそのボールを体で受けて倒れるだけで、そのボールを蹴り返すような仕草はまるで無かった。いや、そもそも蹴る気すら無かった。

 

「どうしたんだ鬼道……蹴り返してくれよ! あの帝国戦で俺とボールを取るために勝負した時みたいな強さで!」

 

 俺は自分でも気づかない内に鬼道に叫んでいた。

 ……やっぱり、俺も動揺してるんだ。

 例え分かっていても、帝国の強さがこの体に染み付いているからこそ……その帝国が負けたということに。

 

「……40年間無敗の帝国学園。その伝説を俺達は終わらせてしまったんだ。ただひたすら勝つことだけを望んで試合をしていた。……なのに、ボールに触れる前に試合が終わっていたんだ。寝ても覚めてもサッカーのことしか考えてこなかった。それが、こんな形で終わるなんてな。……俺のサッカーは終わったんだ…」

 

「そんなことは無い! お前がサッカーを諦めない限り、お前のサッカーは、お前にしか出来ないサッカーだ! 鬼道!」

 

 今度は円堂が鬼道にボールを投げる。

 そして、鬼道はそのボールを円堂に向けて蹴り返し、円堂はそのボールをキャッチすると鬼道に笑いかけ、鬼道も俺も笑った。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 その後俺達は鬼道邸に招待され、鬼道の部屋にいた。

 

「すっげーすっげー、なあ、兄弟とかいるの?」

 

「知っているだろう。春菜のこと」

 

「いや、そうじゃなくてこの家に…さ!」

 

「危ねーー!! 円堂! 人の家の物壊そうとするじゃねえ!」

 

 円堂が鬼道の部屋にあるランプを倒そうとしたが、それを間一髪で俺が押さえ、円堂を怒鳴った。

 

「…俺だけだ」

 

 ほら見ろ! 鬼道だってハラハラしてんじゃねえか!

 

「マジ!? こんな広い家に一人かよ?」

 

「今日、お前の親御さんは? こんだけ広い家なら使用人とかもいるんじゃ…」

 

「父さんは仕事さ。鬼道財閥の社長だからな。それに使用人にも、今は部屋に入るなと伝えてある」

 

 そうだったのか…。

 ……って、あ!

 

「円堂、お前はおとなしくどっかに座ってるってことが出来んのか……ん? 何見てんだよ?」

 

「いや、随分古いサッカー雑誌だなと思って」

 

 円堂が言うところに目を向けると、そこには確かに古ぼけたサッカー雑誌がポツンと置いてあった。そして発行された年月を見ると、それは今からもう随分と前になっていることがわかる。

 

「まあな。……俺が何でサッカー始めたか分かるか?」

 

「ううん」

 

「全然知らねえ」

 

「だろうな。俺も人に話すのは初めてだ」

 

 そりゃ分かるわけねえわ。

 

「なんだよ…」

 

 円堂も思わず苦笑い。

 そして俺達は、後ろにあったソファーの裏側に腰かけた。

 え? 何で裏側? 別にソファーに座るで良かったんじゃね?

 

「俺の、俺と春菜の両親は……飛行機事故で死んだんだ」

 

 鬼道はそこからポツポツと自分がサッカーの始めた理由を話始めてくれた。自分の両親が事故で亡くなり、音無と鬼道は二人きりになってしまったこと。……そしてその雑誌だけが両親の唯一の遺品であること、サッカーをしていれば、ボールを蹴っていれば両親と繋がっている気がしたということを俺達に教えてくれた。

 

 さらに円堂は自分とお祖父さん……円堂大介さんの残したノートとサッカーボールだけが大介さんと自分を繋いでいる絆だと言い、自分と鬼道が同じだと言うと、鬼道は嫌じゃないと言ってくれたのだった。

 

 

 

 

 

 

 




この作品ではFFには女子も参加出来るということにしました。
そうしないとヒロインの出し様が無くなってしまうので…
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