千羽山の必殺技、無限の壁にドラゴントルネードを止められたところで前半戦終了のホイッスルが鳴る。
『ここで前半終了ーー!! 雷門と千羽山、互いに無得点のままとなりました』
角馬王将の実況により、両チームの選手達はピッチの外へと出る。
「あれが千羽山の無限の壁か……あれを破るのは並大抵のことじゃねえな」
「ああ、しかし弱点も存在する」
雷門のベンチでは無限の壁への対策が練られていた。
主に会話をするのは、神向と鬼道だ。
そして、鬼道が雷門イレブンに後半の作戦を伝える。
「いいか。後半は染岡のワントップで行く」
「ワントップ?」
鬼道から告げられた作戦に円堂が聞き返す。
染岡のみのワントップ……それはつまり豪炎寺をMFかDFまで下げるということだ。
「無限の壁の弱点。それはGKとDF二人による三人の連携技だということだ。染岡、お前はシュートを撃つと見せかけてできるだけ5番のDFを4番から遠ざけてくれ。そうすれば無限の壁は簡単には使えない」
鬼道の的確な指示にメンバーは喜ぶ。
「ちょっと待てよ! 豪炎寺を下げるって本当にそれでいいのかよ!? 豪炎寺と染岡のツートップ、それが俺達のサッカーだろ!」
だが半田だけは鬼道の言ったことに反対した。
そして栗松がそれはそうだと言いかけるが、
「それは違うぞ半田。俺達のサッカーは、仲間を信じ、最後まで絶対に諦めないこと。それが俺達のサッカーのはずだ」
「神向…、じゃあお前はこのままこいつの言うことに従うのかよ!? 本当なら、お前だってMFのはずだろ! それがDFの位置でいいのか!?」
「そうしないと前半。千羽山からのシュートで先取点を取られていた」
神向は冷静に半田に言う。
それを見ていた鬼道が口を開く。
「分かってないな」
「何!?」
鬼道の言ったことで半田はさらに熱くなるが、鬼道は歯牙にもかけずに全員に向けて続けた。
「いいか。ここはFF全国の強豪が雌雄を決する全国大会。そのピッチに今お前達は立っている、もうお仲間サッカーなんてしている場合じゃない。……お前達は全国レベルなんだ! そして神向はそれを分かっているからこそ、なんの迷いもなく行動してるんだ」
鬼道の語りで全員が口を閉ざした。
そして、数瞬の間を置き、
「……頼んだぞ」
豪炎寺が染岡に言う。
染岡も豪炎寺に親指を立てて返した。
「豪炎寺…!」
「やってみようぜ。半田! 神向の言うように仲間を信じるのが俺達のサッカーなんだからさ!」
「円堂…分かったよ…」
「……それから神向。後半はお前も進んで攻撃に参加してくれ」
「ん? おお、分かった。けどそれじゃあ、DFラインががら空きになるんじゃ…」
神向が鬼道に聞こうとしたが、代わりに円堂が自分の胸を叩いて言った。
「大丈夫だ! ゴールは絶対割らせない!」
その円堂を見た三人は揃って笑った。
そして始まった後半戦。
序盤から雷門は攻めの姿勢を崩さず、鬼道の指示通りに染岡が5番のDFを引き寄せてから豪炎寺と壁山がイナズマ落としを放った。
しかし、それを察知したDFは即座に戻ってことによりこれも無限の壁に防がれてしまった。
その後も雷門は炎の風見鶏、イナズマ1号、デススピアー、スピア・オブ・ボルトを放つもそのことごとくを無限の壁に防がれ、雷門メンバーの戦意は次第に低下していった。
唯一、スピア・オブ・ボルトだけは弾かれ、コーナーキックのチャンスを雷門に与えた。
「ふう…こんだけ撃っても決まらねえのか。……けどまあ、それだけ破り甲斐のある技だ」
だがそんな中でも一際異彩を放ったのはやはり神向だった。彼は未だ誰も破ったことのない無限の壁を破る。ただそれだけのことに向けて一心に笑っていたのだ。
「へへ。俺も負けてられないぜ!」
そんな彼に負けじと円堂も笑顔を浮かべる。
しかし、そんなことができるのは彼ら全員とは限らず、神向と円堂は他のメンバーに目を向ける。
すると、豪炎寺と鬼道以外のメンバーは下を向いていた。
「……おい。どうしたんだよ皆! まさか、このまま諦めるなんて言うわけじゃないよな!? まだ点を取られてない。まだ負けてないんだぞ! 栗松、風丸、土門!」
「けど、無限の壁が破れないんじゃどうしようもないよ」
皆を鼓舞しようとする円堂にマックスが言い返す。
「やっぱり必要なんだよ。新必殺技が」
続けて土門も言う。
「必殺技ならある! 俺達の必殺技は、イナズマ1号でも、炎の風見鶏でも、スピア・オブ・ボルトでもない! 俺達の必殺技は、最後まで諦めない気持ちなんだ!」
「円堂の言うとおりだ。俺達はいつだって逆境から這い上がってきただろ! 最初の帝国学園との戦いからずっとそうしてきたじゃねえか! それが出来たのは、俺達が諦めなかったからじゃねえのかよ! さっきも言っただろ!? 俺達のサッカーは、最後まで絶対に諦めないことなんだよ!」
「「だからやろうぜ皆! 俺達の、雷門のサッカーを!!」」
円堂と神向の叫びがスタジアムに響く。
「俺達のサッカー……俺達のサッカー!」
「円堂!」
「神向先輩!」
『円堂!』
『神向(先輩)!』
その二人の叫びを聞いた雷門イレブンは全員が気持ちを改め、二人の名前を呼んだ。
そこから雷門イレブンの闘志は再び熱く燃え上がる。
そして、それを見た鬼道はハッとし、あることに気づいた。
(これだったのか…円堂や神向と共に戦うということは。雷門の本当の強さは!)
「よーし、なんとしても1点! 先にこっちが取るぞ!」
『おお!!』
鬼道のかけ声で全員が叫ぶ。
さらに鬼道は神向と豪炎寺に声をかける。
「二人とも、あの無限の壁を打ち破るために、力を貸してくれ」
その鬼道の頼みに神向と豪炎寺は迷うことなく了承した。
そして試合は雷門のコーナーキックから始まる。
『さあ、円堂も上がってきた! 雷門、残り時間が少ない中での、最後の全員攻撃だ!』
半田が蹴ったボールを千羽山が弾いてはそれを雷門が拾い、そこからボールを繋いでシュート、また弾かれても同じことを繰り返し、ゴールが決まるまで諦めないように雷門イレブンは攻め続けていた。
そこには円堂がゴールを空けてでも参加していた。
なんとしても先に点を取るために、絶対に諦めないために。
『攻める雷門! 残り時間はあと2分!』
角馬王将が告げた時間の少なさを感じながらも、ボールは鬼道に回る。
「「「せーの…かごめ、かごめ、かーごめかごめ」」」
そんな鬼道を千羽山が囲う。
動きながら鬼道を取り囲む三名に動けなかった鬼道だが、
「鬼道! 行くぞ!」
後ろから迫る神向の声に反応するように、鬼道はボールを上へと蹴り上げ、蹴り上げられたそのボールは闇のオーラと激しい雷撃を秘めながら下へと下降していく。
そして、最後に鬼道、豪炎寺、そして神向の三人が同時にそのボールを千羽山ゴールへと撃ち出しす。
『無限の壁!!』
千羽山も無限の壁でシュートを止めにかかる。
だが、三人が連携して放ったシュートは無限の壁すらもぶち破って千羽山のゴールを……、大会無失点を更新し続けていたゴールを決めたのだ。
当然、その光景を見ていた全員は一瞬固まる。
『…………はっ! ご、ゴール! 遂に、遂に最強の無限の壁が破られた! 残り僅かな時間の中で雷門が千羽山のゴールをこじ開けました!』
角馬王将による実況を聞いて初めて、その場の全員が無限の壁を破ったこと、破られたことを認識できた。
その後、試合終了のホイッスルが鳴り、雷門は準決勝へと進んだ。
(……円堂の出番取っちまったーーー!!! 何やってんだ俺のバカ野郎! イナズマブレイクは円堂と鬼道と豪炎寺で決めるもんだろうがー!! ……もう駄目だ、俺なんか副キャプテン失格だ…)
だがその中、神向だけは後悔していたのは秘密である。
カッコいいシーンだけで終わらせたくなかった。
ただそれだけです。しかも原作とかアニメを知ってるオリ主なら絶対後悔するだろうと思ったので。