いよいよFF決勝戦まで来た俺達。
だが、そんな俺達のキャプテンである円堂守はというと…、
「どうしたのその顔?」
「ダメなんだ、ダメなんだよぉ…」
まるでこの世の終わりでも見てるような顔をしてる。
その顔を心配して木野が聞いても、後ろ向きな発言の繰り返しだ。
「ダメって何が?」
「なあ俺。ゴッドハンドで世宇子のシュートを止められるのかな?」
「らしくないな。いつものお前ならやってみなくちゃ分からないって、真正面からぶつかっていくじゃないか」
「この決勝は絶対に負けちゃいけないんだ! やってみなくちゃ分からないじゃダメなんだよ! 分かるだろ!?」
円堂が言うと、鬼道も気圧されて頷く。
「昨日の夜、言ったはずだぞ。焦りすぎるなと」
「昨日…? もしかして、木戸川戦で自信を無くしたのか?」
「無くしたっていうか、不安なんだよ。どうしたらいいのか考えてたら眠れなくて、神向が励ましてくれても、頭の中はグチャグチャのままで…」
円堂はそう言いながらその場を去っていく。
「彼、今まであんな風になったことあるのか?」
「ううん。あんな円堂くん、初めて見るわ」
「そりゃ、お祖父さんが残したゴッドハンドがあんな完璧に破られたともなれば…な。とにかく、今は俺達も授業に集中しようぜ。この話の続きは、練習でだ」
そして俺達もそれぞれの教室に向かった。
あ、ちなみ2年になってから俺と円堂はクラスが離れた。木野と円堂、そして豪炎寺が一緒のクラスだ。
俺のクラスには鬼道がいる。
という話を昼間にして、今はもう部活も終わった放課後になっている。
円堂はあの後も落ち込み続け、ゴッドハンドを超える技……マジン・ザ・ハンドを身につけることを決意したが、そのマジン・ザ・ハンドのヒントが分からないでいた。
だが、円堂は栗松や壁山、他のメンバーに心配をかけないようにと気丈に振る舞っていたが、それでも今の円堂がぶつかっている壁は大きいものだ。……一応俺も円堂に、心臓にエネルギーを溜めて手に伝えるんじゃないのかと、それとなく教えはしたが、そこから完成させるまではやはり円堂がしなければならないことだった。
「だいぶ感覚が掴めてきたんじゃないのか?」
「ああ。多分だけど、次で完成させられそうな気がする! もう一本頼む!」
「よし、ふっ…!」
そして俺は何をしているのかと言うと、豪炎寺と共に河川敷でファイアトルネードの特訓をしていた。結局木戸川戦までに俺はファイアトルネードを完成させることが出来なかったのだ。
その時に俺は豪炎寺に謝られたのだが、これに関しては完成させられなかった俺が悪い。
だが、今度こそ完成させるんだ!
『ファイア…トルネェェェェド!!』
豪炎寺から高くパスされたボールを俺はゴール目掛けてシュート。
そのボールには、俺の足から発生した炎が移っており、ボールはゴールの中へと吸い込まれた。
「……はあ、はあ。で、出来たのか?」
俺が豪炎寺に聞くと、豪炎寺は何も言わなかった。
だが彼の顔は笑っており、その顔は俺がファイアトルネードを会得したことを物語っていたのだった。
「やったーーーー!!!」
俺は子どものように大はしゃぎした。
いや、実際子どもだからいいんだけど…でもやっぱりファイアトルネードを使えるようになった喜びの大きさは尋常じゃなかったのだ。
「おめでとう神向。これでようやく」
「ああ。次はいよいよあの技だ。世宇子中との戦いまでに完成させようぜ! ファイアトルネード
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次の日。
その日の特訓でも、円堂は焦っていた。
俺が出したヒントも今の円堂の頭の中にあるのか分からないほどに。
そして木野もそんな円堂を不安そうな目で見ていた。
そしてその日の練習も終わり、俺と鬼道と豪炎寺はある場所を目指していた。
その場所とは、円堂が最初に特訓を始めた場所。
円堂守が生まれた場所である、鉄塔広場だ。
「ぐっくぅーー…、こんなんじゃまだダメだ」
そこでは円堂が自分の背中にタイヤを結びつけ、同じように木の枝からタイヤを吊るし、そのタイヤを投げては受け止める練習をしていた。
この特訓は何度も見たことがある。だけど、こんなに焦っているのを見るのは、正直心にくる。
「焦るなとあれだけ言ったつもりだったんだがな」
「え?」
「こんなことだと思ったよ」
「神向、鬼道…それに、豪炎寺まで」
「それでマジン・ザ・ハンドがマスターできるのか?」
「……とにかく、俺にはこれしか無いからさ」
円堂が言った。
「しゃあねえな。……鬼道、豪炎寺、俺達も手伝うぞ」
「ホントか!? 神向!」
「あとで雷雷軒のラーメン大盛りで奢れよ」
俺は冗談混じりに円堂に言う。
……ぶっちゃけ腹は減ってるので、大盛りじゃなくてもラーメンは奢ってもらいたいものだ。
「…そうだな。サッカーバカになってみるか」
「世宇子に勝つ秘訣になるかもしれないからな」
そして俺達は特訓を始めた。
一つしか吊るされてなかったタイヤを三つに増やし、それを挟んで俺達と円堂が向かい合う。そこから俺達がするのは、そのタイヤ同士の間をすり抜けて円堂にシュートを放つことだ。
その途中、木野と夏未が見に来た。
二人とも心配そうに円堂を見つめていた。
「もっとだ! 必殺技で来い!」
「よっしゃあ! だったらこれで行くぜ!」
『デス…スピアーーーーー!!!!!』
……ゴスっという鈍い音を立てて、俺のデススピアーは円堂の頭に直撃してしまった。…やっべ、やり過ぎた。
頭を痛打した円堂を抱えて俺達は雷雷軒に行った。
「響木監督! 氷をください!」
「派手にやっちゃって…」
「主に俺が」
夏未が監督に氷を求め、俺と木野でその事を説明した。そして、全員雷雷軒の椅子に腰をかける。
「イッテテテ…」
「随分と無茶をしたもんだな」
店の下準備をしながら響木監督が円堂に言った。
そんな響木監督に円堂がどうってこと無いと言い、続けてマジン・ザ・ハンドをマスターするために特訓していると言ったら響木監督が円堂なら出来るかもしれないと言った。
そして、次に鬼瓦刑事が店内に入ってきて、鬼瓦さんから俺達は色々な話を聞かされた。
影山がサッカーを憎んでしまった原因…影山東吾のこと、豪炎寺の妹である夕香ちゃんの事故にも影山が絡んでいること。そして、鬼瓦さんが冬海から聞いたというプロジェクトZという単語。
「プロジェクトZか…」
「冬海は他にも、影山は空から我々を見下ろしていると言っていた。帝国に居たお前さんにとって、空という単語で思い当たる節は無いか?」
「いえ、俺には何も」
鬼瓦さんが鬼道に聞くと、鬼道も皆目見当もつかない様子で答える。
プロジェクトZ…Zは間違いなく世宇子中の頭文字だ。
だけど、その内容は…
「ぐぐぅ〜〜〜……」
重たい空気の店内に鳴り響いた音により、その場の一同の目は俺に集まる。
…そう、その音の正体は俺の腹が鳴った音なのだ。
…………………………ここで鳴る!? いや、確かに腹は減ってたよ! 減ってたけどなんでこのタイミングなんだよ自分の体のことながら空気の読めねー奴だなオイ!
その後俺がその場の全員に笑われ、皆でラーメンを食べたのは言うまでもない。
次回…おにぎり
だけじゃないですよ…?