サッカーやろうぜ! そうしよう!   作:ssgss

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ヒロインを本格的に出すのに20話もかかるってどういうことよ?


神――赤面す

 マネージャー達におにぎりで元気づけられた俺達。

 その翌日―――俺と鬼道、豪炎寺と染岡は円堂と対峙していた。

 理由はもちろん、マジン・ザ・ハンドの特訓だ。

 最初は昨日みたいにファイアトルネードDDの特訓も兼ねようと思っていたが、未完成の技で撃つよりも完成した技の方が特訓になると思い、こうなった。

 そして他のメンバーはそれを黙って見守っている。

 

「円堂。マジン・ザ・ハンドの秘訣は覚えてるな?」

 

「ああ。へそと尻に力を込めれば取れない球は無い。そして、ポイントは心臓だ! 心臓にエネルギーを溜めて、それを右手に伝える!」

 

「よし。じゃあ行くぞ、皆」

 

 俺が言うと三人は頷く。

 そして俺達は同時に走り出した。

 

『ドラゴン…』

 

『トルネェェェェド!!』

 

 染岡と豪炎寺は息の合ったドラゴントルネードを、

 

『『ツイン!』』

 

『ブースト!』

 

 俺と鬼道は鬼道が蹴り上げたボールに俺がヘディングで力を込め、そしてそれを鬼道が更に蹴ることによって威力を増幅させる帝国学園のシュートであるツインブーストを円堂に向けて同時に放った。

 

 だが、その二つのシュートは円堂に到達する前に威力を失う。

 何故なら、そのドラゴントルネードとツインブーストはたった今、この場に、突然現れた一人の人物によって止められてしまったからだ。

 

「あいつは…!」

 

 俺はその人物を知っている。

 そして何より、俺の隣にいる鬼道は口から血でも流さんばかりに歯を食いしばっていた。

 他の皆もいきなり現れたその人物に疑問を持つ目を送っている。

 

「凄え! ドラゴントルネードとツインブーストを止めるなんて、お前凄いキーパーだな!」

 

 だが円堂だけはその人物を褒め称えた。

 

「いや。私はキーパーではない」

 

 だがその人物……長い金髪に女性のような風貌をしているその人物は自分がキーパーであることを否定した。

 

「もっとも、我がチームのキーパーなら。こんなもの、指一本で止めてみせるだろうけどね」

 

「そのチームってのは世宇子中のことだろ? アフロディ…!」

 

 指先でドラゴントルネードにより回転したままのボールを弄ぶアフロディに鬼道が歩み寄りながら言う。

 すると当然、皆から驚きの声が漏れる。

 

「鬼道」

 

「大丈夫だ神向。決勝戦前で問題を起こすようなことはしない」

 

「君が。雷門の副キャプテン、神向大司くんだね」

 

 鬼道の言葉に答えずにアフロディは俺の名前を呼んだ。

 そして次に円堂に向き直る。

 

「そして円堂守くん。改めて挨拶させてもらおう。世宇子中のアフロディだ。君達二人のことは影山総帥から聞いているよ。特に、私と同じMFである神向くんには少し興味が湧いていたんだ」

 

 え? 俺? MFとしてなら俺よりも鬼道の方が何倍も上手だぞ? しかも元影山の教え子なんだし。

 

「やはり、世宇子中には影山がいるのか」

 

「て、てめえ。宣戦布告に来やがったな!?」

 

 おーい皆、俺を置いて話を進めないでくれ。

 

「宣戦布告? ふふっ」

 

「何が可笑しい…?」

 

 アフロディの唐突な笑いに染岡は苛立つ。

 ……しかし、近くで見ると本当に美人…というかかわいいよなアフロディ(こいつ)。マジで女にしか見えねえんだけど。

 

「宣戦布告というのは戦うためにするものだ。私は君達と戦うつもりは無い。だから君達も戦わない方が良い。それが君達のためだよ」

 

「何故だよ?」

 

 遠くから一之瀬がアフロディに聞く。

 

「何故なら……負けるからさ!」

 

 そしてアフロディは俺達にそう宣言してきた。

 ヤベえ、今のは正直ムカついたぞ。

 

「どうしてそう断言出来るんだ? お前は未来でも見てきたのか?」

 

「まさか。そんなことはしていないさ。だけど、神と人間が戦っても勝敗は見えているんだよ」

 

「自分が神さまにでもなったつもりか?」

 

 俺は知らぬうちにアフロディに食ってかかっていた。

 前世で好きだったからと言って、やりもしてねえことを否定されるなんて我慢できねえ…!

 

「さあ、どうだろうね?」

 

 アフロディは再びふふっと笑った。

 

「試合はやってみなきゃ分からないぞ…!」

 

 今度は円堂がアフロディに言う。

 

「そうかな? 林檎は木から落ちるだろ? 世の中には逆らえない事実というものが存在する。それは、そこにいる鬼道有人くんが一番よく知っているはずさ」

 

 お前はどこの物理学者だ?

 という疑問を俺が持つ間に鬼道がアフロディに再び近付こうとするが、豪炎寺がそれを制止した。

 ナイスだ豪炎寺。俺達ですらこんなに苛立っているのに、大事なチームメイトを病院送りにされた鬼道が怒らないわけがない。本人は大丈夫と言っても、暴力沙汰に発展しかねないからな。

 

「だから練習も止めたまえ。神と人間の溝は、練習で埋められようなものじゃないよ。無駄なことさ」

 

「うるさい…!」

 

「黙れ!」

 

 静かに言うアフロディに俺と円堂は叫んでいた。

 

「さっきから聞いていれば神だ神だって、神だからってな! 完璧な存在じゃねえんだよ! それに、試合は最後の最後まで諦めずに全力で勝利を願った方に転がるんだ!」

 

 神が絶対じゃない。

 それは俺をこの世界に転生させてくれたあの神さまを見ていたからよーく分かる。感謝するぜ神さま、前世で好きだった相手にこうして面と向かって言えるチャンスをくれてよ…!

 

「そうだ! それに、練習が無駄だなんて誰にも言わせない…! 練習はおにぎりだ! 俺達の血となり、肉となるんだ!」

 

「……あっはは。上手いこと言うねえ。なるほど、練習はおにぎりか。それに、神は完璧な存在じゃないとは神向くんも言い切るんだね。ふ、ふふ」

 

「…どこが可笑しいんだよ」

 

「笑うとこじゃないぞ…」

 

 自分の顔は見えてないけど分かる、多分俺今、怒った顔してるはずだ。

 なにせ、内心では今にも爆発しそうなマグマ抱えてる気分なんだからな。

 そして円堂はアフロディをじっと睨んでいる。

 するとアフロディは呆れたように俺達に、

 

「しょうがないなぁ。じゃあ、神は完璧な存在で。君達のやっていることは無駄なことだと証明しようか」

 

 と言いながら俺にボールを転がしてきた。

 

「何の真似だ…?」

 

「ちょっとしたゲームをしようじゃないか。今から私と神向くんでボールの取り合いをする。そして、私が円堂くんの守るゴールにシュートを決められれば私の勝ち、逆側のゴールに神向くんがシュートを決められたら、君達の勝ちでどうかな?」

 

「いいだろう…」

 

「望むところだ…!」

 

「では、私達以外の者にはグラウンドを離れてもらおう」

 

 アフロディはその場にいた俺と円堂を除く鬼道、染岡、豪炎寺に言った。

 そしてそのメンバーには俺からグラウンドから離れてくれるように頼み、木野に開始のホイッスルを頼んだ。

 

「すまん鬼道」

 

「いや、いいんだ。ありがとう」

 

 鬼道は俺にそう言ってグラウンドを離れる。

 この勝負…絶対に負けねえ!

 そう決意しながら俺はセンターサークルのど真ん中にボールを置いてアフロディと向かい合う形になる。

 

「……じゃあ、準備はいいかい?」

 

 アフロディが聞き、俺は円堂を見る。

 すると円堂は何も言わずにただ首を縦に振った。

 

「ああ。いつでも来い…!」

 

 俺が木野に合図を送ると、木野はホイッスルを鳴らした。それと同時に俺とアフロディは一瞬にしてボールとの距離を詰める。

 ボールにたどり着くまでの速度はほぼ互角か若干俺が遅れていた。

 

「やるね」

 

「喋ってないで集中しろよ…!」

 

「だけど、これで終わりさ」

 

 アフロディは突然俺の視界から外れる。

 左右で抜けたわけじゃない。だから、あいつは必ず……上にいる!

 

『ファイア…トルネェェェェェェェド!!!』

 

「!? くっ…!」

 

 俺が追いついたことが予想外だったのか、アフロディはボールを蹴り出そうする。おそらく最初は軽く蹴る程度にしようとしていたのだろうが、多少の力が込められたその蹴りと、俺のファイアトルネードは真正面から激突した。

 

 結果から言えば、俺は負けた。

 アフロディのキックを蹴り返すことが出来ず、ボールはそのまま円堂へと向かう。

 だが、俺とアフロディは空中でボールの撃ち合いをしたことによりお互いに体勢を崩して地面へと落ちていき、俺達の周りは砂塵に包まれた。

 

「イッテテ…どうだ、人間だって神に届くんだ…」

 

 そうアフロディに言おうとした時、俺は右手に不思議な感触を覚えた。

 人肌程度の温度で、程よい柔らかさと弾力を含み、不思議とずっと触っていたいと思えるような…。

 その物体の正体を知った時に俺が見たのは、俺の右手を凝視しながら激しく赤面しているアフロディの姿であり。

 同時に俺は、

 

「うわーーーーー!! す、すまねえ!」

 

 その場から飛び退いて謝った。

 

「か、神向先輩! 大丈夫なんですか!?」

 

「おい神向! 怪我ねえのか!?」

 

 次に俺の耳に届いたのは、音無と染岡の声だった。

 他にも風丸や土門、宍戸、栗松に、壁山、影野が俺を心配してくれていた。

 そしてゴールの側では、倒れる円堂を心配してここにいる以外のメンバーが駆けつけている。

 ボールはどうやらゴールに入るのを防げたようで、ゴールよりも外に転がっていた。

 

「ふ、ふふふ。面白い、神である私にここまで張り合えて、更にはそのボールをカットしたのは、君達が初めてだ。決勝が少し楽しみになった。……神向くん、さっきの借りは試合で返すよ」

 

 アフロディは一切上を向こうとせず、そのままその場から姿を消した。

 ……きっと、まだ顔赤かったんだろうな。

 それに関しては本当にすいませんでした。

 …つか、あの感触…。

 

 俺は円堂の方に向かいながらさっきのあの物体のことを考えていた。……いやいやまさかな、だってアフロディは男なんだぞ? そんなわけ無いだろ…?

 

「大丈夫か。円堂?」

 

「神向。ごめん。お前がボールの威力を減らしてくれたのに、俺、マジン・ザ・ハンドで取れなかった。弾くのが精一杯だった」

 

 そうか、円堂はマジン・ザ・ハンドで取ろうとしたんだな。けど、きっとまた途中で力が分散してボールはゴールよりも後ろに弾かれたと、そういうことか。

 

「しょうがねえさ。俺達は負けてはいないんだからそれでいいだろ? な? まだ時間はある。それまでマスターすればいいんだ」

 

 俺が言うと円堂は笑ってそうだなとだけ言った。

 さて、この場で一番世宇子のことを知る鬼道に俺も聞かなきゃいけないことがある。

 

「鬼道。つかぬことを聞くけど、世宇子のアフロディって、男、だよな?」

 

「? おかしなことを聞くな神向。世宇子中のアフロディは……」

 

 鬼道から告げられたのは、

 

「女だぞ?」

 

 衝撃の事実であり、俺の頭には雷が走った。

 そして、その俺の顔を見て皆が驚いていたのは言うまでもなかった。

 

 

 

 

 

 




最初から鬼道に教えてもらうことは決めていました。

そして、さすがに神になったつもりでもあんなことになったら取り乱しますよね(ゲス顔)
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