FF決勝戦を行うスタジアムにやって来た俺達。
なのだが、そのスタジアムの入り口はフェンスにより遮られており、そのフェンスには閉鎖の二文字が書いてある張り紙が貼られていた。
まあ、決勝戦の舞台が世宇子スタジアムなんだからここに来たって入れはしないよな。
「誰もいないぞ?」
一之瀬が辺りを見渡すが、彼の言う通りその場所の周りには人影一つとして見当たらない。
「皆。たった今、大会本部から連絡があったの。急遽、決勝戦の会場が変わったって」
「変わった? 変わったって、何処に?」
「それが?」
会場が変更になったことを教えた夏未は、途端に上を見る。
そして俺達も同じ様に上を見る。
するとそこには、空に浮かぶ巨大な物体があった。
その物体の周りには天使を模したような像が何体か装飾されていた。
「まさか、決勝戦のスタジアムというのは!?」
「ええ」
それを見て察した鬼道の考えを夏未は肯定する。
他の皆はまだ信じられていない様子だ。
……それにしても、あのスタジアムってどんなエネルギーで動いてるんだ?
普段からあんなのが空飛んでたらそれこそニュースにならなきゃおかしいよな?
ま、考えても仕方ねえか。
「とりあえず、会場はあそこなんだろ? だったら行くしかねえさ」
俺がそう言うと、FFスタジアムの上に止まった世宇子スタジアムから人が出てきて、FFスタジアムへの入り口を閉じていた。フェンスを開けた。
結局開けんのかよ!?
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「ここが、試合会場…?」
「だろうな。……それにしても、当日になってから急に決勝戦の会場を変更する。なんてことをやらかせるのは」
「影山の圧力によるものね」
夏未の言葉を聞き、俺達は辺りを見回す。
すると、
「ぐっ…!!」
俺の元にサッカーボールが突如としてやって来た。
俺はそれを
それに、そのボールを蹴り出したのが誰からも分かっている。どうやら相当ご立腹らしい。
「神向! 大丈夫か!?」
「おう。問題ねえよ。……それよりほら、あそこ見てみろ」
「? ……! 影山!」
円堂が言うと響木監督と豪炎寺と鬼道がその場所を睨む。そこには確かに影山がいた。そして奴は高みから俺達を見下ろし、そして笑っている。そして奴はそのまま何処かへと姿を消した。
「円堂。話がある」
「は、はい」
直後、円堂は響木監督に呼ばれる。
「大介さん…お前の祖父さんの死には、影山が関わっている可能性がある」
その言葉で全員が絶句する。
「じいちゃんが、影山に…?」
円堂が聞くと、監督はただ頷くだけだった。
それを聞いた円堂の手はワナワナと震えている。
「響木監督! どうしてこのタイミングでそんなことを!」
「試合前に選手の心を乱す監督は失格だ。だがそれでも、この話を聞いてお前が影山への怒りだけでサッカーをしようと言うのなら、俺は今この場で監督を辞め、試合を棄権する。大介さんと同じ大好きなサッカーを、お前から奪わないためにもだ!」
響木監督が言うことが聞こえているのかは分からない。ただ円堂は唇を噛み締めて体を震わせ、さらには呼吸までも乱れている。
そんな円堂の肩に手を置いたのは、豪炎寺だった。
そう、豪炎寺もまた影山からの策略に遭っていたのだ。
去年のFF決勝戦、帝国との試合の時に夕香ちゃんに起こった悲劇には影山が絡んでいる可能性が高いと鬼瓦刑事が言っていた。
それを円堂も思い出したのか、深く深呼吸をして豪炎寺に笑いかける。
そして豪炎寺もまた、円堂に笑顔を向けていた。
「円堂くん」
「円堂くん」
『円堂!!』
『キャプテン!』
夏未から始まり、皆が円堂を呼ぶ。
「円堂!」
そして最後に円堂を呼んだのは俺だ。
円堂は俺達に返事をしなかったが、代わりに監督に面と向かって言った。
「監督、皆…。こんなに、俺を想ってくれる仲間。皆に会えたのは、サッカーのおかげなんだ。影山は憎い! だけどそんな気持ちでプレーしたくない! サッカーは楽しくて、面白くて、ワクワクする! 一つのボールに皆が熱い思いをぶつける、最高のスポーツなんだ! だからこの試合も俺はいつもの、俺達のサッカーをする!! 皆と一緒に優勝を目指す! サッカーが好きだから!!」
円堂の言葉の元、俺達は全員が笑って頷いた。
「さあ、試合の準備だ!」
響木監督が俺達に言う。
そして皆は雷門中の控え室へと向かった。
その道中、俺は円堂と話をした。
「円堂。マジン・ザ・ハンドはどうなった?」
「……まだ、完成してない。けど、大丈夫! 勝てるさ絶対に、俺達なら! だって、こんなに心強い仲間が居るんだから!」
「そうだな。大丈夫、お前達はお前達のプレーをすればいい。俺も決着を付けなきゃいけない奴が居るからな」
俺はそう言って差出人不明のサッカーボールを持つ。
「そのボール、やっぱり」
「ああ。おそらくあいつだろうと俺は思ってる」
円堂もこのサッカーボールをスタジアムで俺に向けてきたのが誰か見当は付いているようだ。多分だけど、鬼道と豪炎寺も分かっているだろうな。
その後、俺達は全員がユニフォームに着替え、再びあのスタジアムに出向いた時には観客席は満員になっていた。
『雷門中! 40年ぶりの出場でついにこの決勝戦まで登りつめた! 果たしてFFの優勝をもぎ取ることが出来るのでしょうか!?』
試合開始前から角馬王将の実況がスタジアム中に響く。
「いよいよ始まるんだな。決勝が! 皆とこの場所に立てて、信じられないくらい嬉しいよ! 俺、このメンバーでサッカーやってこれて本当に良かった! 皆が俺の力なんだ!」
「円堂! 試合前にいっちょ言っとくか!?」
俺が円堂に言うと、円堂は拳を掲げて言った。
前世で俺を熱くさせてくれた。あの名言を。
「皆! サッカーやろうぜ!」
『おお!!!!』
俺達がそう言うと、突如その場に突風が吹き、逆側のベンチにアフロディを筆頭とする世宇子イレブンがその姿を表した。
『今大会最も注目を集めている世宇子イレブンだ! 決勝戦まで圧倒的な強さで勝ち続けてきた大本命! この決勝でもその力を見せつけるのか!?』
実況の言葉に耳を傾けず、世宇子イレブンは支給された水の入ったグラスを手に取り、そしてそれを飲み干した。
あれが、神のアクアか。
「神向! 向こうがあんなことしてるんだ! 俺達も円陣組もうぜ!」
「……そうだな! やるか!」
俺達は全員で一つの輪になる。
そして、掛け声を掛けるのは勿論、円堂だ。
「いいか!? 皆! 全力でぶつかれば、何とかなる! ……勝とうぜ!」
『おーーー!!!!』
円陣をして気合いも溜まったところで、俺達は試合前の整列をする。
そして、お互いのキャプテンである円堂とアフロディがそれぞれ前に出る。
「やあ、神向くん。さっきの僕からのプレゼントは、喜んでもらえたかな?」
「……やっぱりお前か。というか、試合前に余計な話はするもんじゃないぞ」
「ふふ、そうだね」
こいつ…、完璧に人を見下してやがる…。
はっ、ふう…いかんいかん。
俺が熱くなっちゃダメだ。
てかこいつ絶対にあの時の事でキレてると思ったけど、どうやらそうでも無いみたいだな。
取り乱すのは神様らしく無かったのか?
「それに円堂くん。警告したはずだよ。棄権した方が良いとね」
「サッカーから、大好きな物から逃げるわけには行かない! 俺達の今の力をすべてぶつけて、そして、お前達に勝つ!」
「君ならそう言うと思っていたよ。円堂くん」
そして俺達はそれぞれのポジションに就いた。
今回のポジションはこうだ。
FW 豪炎寺 染岡
MF 俺 一之瀬 鬼道 マックス
DF 風丸 壁山 土門 栗松
GK 円堂
『さあ、FF決勝! 雷門中対世宇子中の試合が、今始まります!』
試合開始のホイッスルと共に、世宇子中のキックオフで試合が始まった。
意外と再会は質素な感じにしてみました。
まあさすがにまだそう何度も赤面させるわけには行きませんからね。試合直前ですし。