世宇子の水分補給が終わり、再び試合が始まる。
今度は雷門ボールからのスタートであり、ボールをキープしているのは神向だ。
(…世宇子の力は、一人ひとりが確かに神様みたいな強さかもしれない。俺一人じゃ勝てないかもしれない。……けど)
ボールをキープする神向の前にデメテル、ヘラ、アフロディの3人が姿を見せる。
「絶対に……諦めてたまるかぁ!」
叫ぶ神向は再びあの時、響木を監督にするために始めた勝負の時と同じで、3人の動きがスローに見えていた。
だが、それはほんの一瞬のことであり、その事に気を取られた神向はすぐさまデメテルにボールを奪われる。
「しまった…!」
デメテルは神向から奪ったボールをアフロディにパス。
そのアフロディの前に神向はもう幾度目かになるほど立ち塞がる。
「やれやれ…。あれだけの力の差を見せつけられても、まだ懲りないのかい?」
「何度でも言ってやるよ。勝負は最後の最後まで諦めず、勝利を願った方に転がるんだ!」
神向はアフロディにそう叫ぶ。
その様子を見てヘラとデメテルはまた彼を笑う。
そして、アフロディも二人と同様だった。
「仕方ないね。……じゃあ、今度こそ立ち上がれないようにしてあげよう!」
アフロディは腕を高らかと上げ、ヘブンズタイムを発動させようとする。
「これが俺の全力だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
だがその直前、神向は叫ぶと同時に右足で地面を全力で踏みつける。……すると、あろうことかアフロディの動きが止まった。
ヘブンズタイムのように神向だけが動けるのではなく、
『!?』
その様子を見ていた雷門と世宇子、両者が共にその光景を驚いた。
だが神向だけはその動けなくなったアフロディからボールを奪い取り、再び前線へと駆け上がっていく。
「鬼道! 豪炎寺! やるぞぉぉ!!」
「「おお!」」
神向からボールを受け取った鬼道はそのボールを上へと蹴り上げ、闇のオーラと激しい雷撃を纏わせる。
『イナズマ…!』
『『『ブレイクゥゥ!!!』』』
鬼道、神向、豪炎寺による3人技が……雷門最強の必殺技が世宇子ゴールへと迫っていく。
『ツナミ…ウォーール!!!!』
このシュートをポセイドンは地面を叩きつけて発生させた津波により止めようとする。
「「「おおおおおおおおお!!!!」」」
だが、イナズマブレイクはツナミウォールを打ち破り、そのままポセイドン一直線に向かって行く。
「何っ!?」
いきなりのことで驚くポセイドン。
だが、そんなポセイドンよりも早くボールにたどり着いた人物により、イナズマブレイクは止められてしまった。
その人物は、先ほど神向にボールを奪われたアフロディだ。
「……面白い…!」
アフロディの双眼は、じっとイナズマブレイクを撃ったあとでヘトヘトになっている3人を見つめていた。
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マネージャー3人は世宇子のメンバーが全員同時に水分補給をしたことに疑問を持ち、それを調べるためにたった3人で敵地である世宇子スタジアムの中を調べまくった。そして、世宇子の強さの秘密を知った3人が雷門イレブンと世宇子イレブンが戦うスタジアムに戻った時には、もう雷門は全員が倒れていた。
半田も、鬼道も、一之瀬も、風丸、壁山、土門、影野、宍戸、豪炎寺。
そして、神向と円堂ですら仰向けて倒れている。
「…ここまでのようだね。まあ、神を相手に、よく頑張った方だよ。……主審」
アフロディが主審に言うと主審もその状況を確かめ、試合続行不能ということで世宇子の勝利にしようとしたのだが、
「まだだ…」
「…勝負は、まだまだついてねえ…」
「俺達は、最後まで…」
「「戦ってみせる!」」
円堂と神向は立ち上がり、主審に言った。
「しかし、君達二人だけでは」
「そいつらだけじゃない!」
「そうだ…!」
「まだまだ戦える…!」
豪炎寺を始め、鬼道、一之瀬が続ける。
そんな彼ら同様に倒れていた雷門イレブンも次々と立ち上がる。
そんな彼らを見て、アフロディは同様した。
「信じられないって顔してるな。神様よぉ、言っとくが、円堂はあの程度じゃ倒れねえ。なあ鬼道?」
「ああ。その通りだ。円堂は何度でも何度でも立ち上がる! 倒れる度に強くなる! ……お前は円堂の強さには敵わないっ!!」
「……では、試してみよう」
そう呟き、アフロディは再びゴッドノウズの体勢に入るもそこで前半戦が終了した。
「ふっ。命拾いしたね、雷門中」
アフロディは最後にそう言った。
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「えっ? 神のアクア?」
「ええ。神のアクアがあるから、世宇子はあの桁外れの力を手に入れられてるの!」
「体力増強のドリンク…!」
「まさに影山が考えそうな事だな」
後半戦に向けての休憩中。
マネージャー陣が必死に集めてくれた情報を聞いて円堂達は怒っていた。自分の大好きなサッカーを影山にどこまでも汚されたことに。
「それはそうと神向。さっきのブロック、凄かったじゃないか!」
そんな中、風丸が神向に言った。
さっきのブロックというのは、もちろん神向がアフロディの動きを止めてボールを奪ったあの技の事だ。
「俺にも分からねえ。とっさだったからな。けど、あれと同じ経験なら俺は響木監督の時にまるで響木監督の動きだけがスローみたいに感じる瞬間があったのを覚えてる」
「閃きました! 相手の動きと共にボールを奪うあの技……まさに、タイムスティールという名こそ相応しいでしょう!」
メガネが神向の必殺技に名前を付けた。
「円堂。さっき控え室でチラッと見えたんだが、お前は今日いつも使ってるグローブの他にもう一個持ってきてなかったか?」
だが、神向はそんなことを気にせず円堂に聞く。
「ん? ああ。実はあれ、じいちゃんが使ってたグローブなんだ。じいちゃんは決勝戦に行けなかったから、せめてこれは一緒に連れて行ってあげろって母ちゃんがさ」
「だったら、後半戦はそれを着けてみろよ。きっとお前の力になってくれる」
神向に言われるまま、円堂はお祖父さんのグローブを両手に着けた。
「……神向の言ったことは分からなかったけど。じいちゃん、力を貸してくれ」
そして後半戦が始まる。
その後半戦は、前半以上に雷門にとって不利な物だった。それもそのはずだ、世宇子が基本驚かせるのは神向のみ。彼を全力で叩き潰すこと以外に体力を使わない世宇子イレブンと、常に全力で動き続ける雷門イレブンとでは体力の差があり過ぎていたのだ。
だが、それでも円堂は……雷門は絶対に諦めなかった。何度アフロディからシュートを撃たれようとも、そのシュートが自分を痛めつけるだけの物だったとしても、円堂はその場から逃げず、ただ諦めずに立ち上がり続けた。
「何故だ…何故立ち上がれる! 体力は既に限界、君が信じていた神向くんですら、前に居て君のフォローなんてしようともしない。それなのに何故だ!」
「……サッカーを汚しちゃいけない。お前達のサッカーは……神のアクアに頼るようなサッカーは間違ってることを証明するんだ! それに、神向は信じてるんだ! 必ず俺が、お前のシュート止めて、あいつの待つところにまで繋ぐことを! 仲間を信じて、最後まで戦い抜く! それが俺達雷門のサッカーだ!」
円堂の叫びにアフロディの体が震える。
そしてアフロディがチラリと後ろを見ると、まるで彼がそう言うと分かっていたかのように笑っている神向の横顔があった。
(神であるこの僕が……彼らに怯えているというのか!?)
「そんなこと……あるものか!」
一瞬自身の心中に浮かんだ考えを消すようにアフロディは言い、それに呼応するように彼女の全身の筋肉が盛り上がった。
「円堂!」
「円堂!」
『円堂!』
『キャプテン!』
『円堂くん(キャプテン)!』
「円堂…!」
「守ぅ!」
「…………円堂ぉぉぉぉぉ!!!」
豪炎寺が、鬼道が、雷門イレブンの皆が、響木監督が、そして円堂の試合を見守りに来ていた円堂の母までもが円堂の名を呼び、最後に彼の名を叫んだのはもちろん神向である。
「感じる。皆の、サッカーへの熱い想いを!」
「神の本気を知るがいい!!」
アフロディは三度ゴッドノウズの構えに入る。
それを円堂は受け止めるために両手を見ると、左手の方のグローブに不自然な焦げ跡があるのを見つけた。
そこで円堂は理解した。
どうしてマジン・ザ・ハンドのポイントが心臓なのか、その意味を。
「分かった。……分かったよじいちゃん!」
円堂は大きく体を捻らせて背中を向ける。
それを見て雷門のメンバーは驚愕するが、神向だけは笑った。
(あの構え……ついに来る!)
神向の考えた通り、今までとは違い円堂の全身から比較にならないほどのオーラが螺旋状となって現れる。
(じいちゃんは、マジン・ザ・ハンドを左手で出してたんだ。それは体の左側にある心臓に、気を溜めるため! それを左手じゃなく、右手に100%伝えるには、こうすりゃいいんだ!)
その状況を見て焦ったアフロディはすぐさま必殺技を放つ。
『ゴッドノウズゥ!!』
だが、時すでに遅し。
円堂はそこからさらに体を捻らせ、前に振り返った瞬間に右手を天高くつき上げる。すると円堂の背後から黄色のオーラを放った魔神が現れた。
(これは! 神を超えた…魔神だと!?)
「これが俺の! マジン・ザ・ハンドだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
円堂の動きとシンクロして、魔神はゴッドノウズを受け止める。
その様子を見た神向はすぐさま豪炎寺を呼んだ。
「豪炎寺! 走れ!」
「!」
「円堂が止めたんだ! 次こそ俺達が決めるぞ!」
「……おう!」
「行っけええええええ!!!」
円堂が前線に走る二人にボールを投げ込む。
そのパスを受け取った神向はほぼほぼノータイムでボールを上へと蹴り上げる。
(円堂はマジン・ザ・ハンドを完成させた。だから今度は、円堂が止めたこのボールは!)
(俺達が絶対に…!)
((ゴールへ決めてみせる!!!))
神向と豪炎寺。
二人は同時に飛び上がり、右脚と左脚にまたしても炎を纏わせる。……だが、今度の炎は先ほどの比じゃなく、まさに爆炎と呼ぶに相応しい物であった。
そして、その爆炎を脚に纏わせ、二人はその必殺技の名を言った。
『『ファイアトルネード
二人がボールを蹴り出す音は、今まで完成しなかった……完成させることが出来なかった2つの必殺技が、同時に完成した事を祝うかのような爆音だった。
ナンバリングは前回で終わりにしました。
そして次回、FF編集結。
さらに……再び神、赤面…?