俺達は再び地下の秘密基地に集合した。
そこには、響木監督や理事長、瞳子監督、そして病院にいるメンバーを除く雷門イレブンの姿があった。
そして、遅れて豪炎寺も合流する。
だが、その顔はどこか曇りがあった。
「揃ったな。早速だが奈良でエイリア学園の襲撃があり、財前総理が誘拐されてしまった。情報によれば総理は謎の集団に攫われたらしいが、エイリア学園の襲撃と同時ということを考えると、この謎の集団はエイリア学園と何か関わりがあると思っていいだろう」
理事長からその言葉を聞いた時、豪炎寺の目が一瞬にして見開いたのが見えた。
……後で豪炎寺にだけはこの事を話した方が良いな。
「出発よ。エイリア学園と、すぐに戦うことになるかもしれないわ」
「瞳子君。円堂君達をよろしく頼む。情報は随時、イナズマキャラバンに転送する」
「お願いします」
突然理事長から発せられたイナズマキャラバンという単語に円堂達はもちろん分からないという顔をする。
そして俺達は地下基地の別室へと連れられる。
暗がりで何も見えなかったその空間の一部をスポットライトが照らした時、そこには1台のバスがあった。
車体の色は青を基調とし、側面には俺達雷門のシンボルであるイナズママークと、黄色の太いラインが引いてある。
そしてドアの前には、俺達サッカー部の部室に掛けられていた看板が置いてある。
つまり、ここが新しい部室というわけだ。
……その後、俺達は奈良へと出発した。
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現在俺達は、総理が誘拐された現場である奈良シカ公園にいた。
途中、警備が俺達が公園内に入ることを止めたのだが、夏未が即座に理事長に電話して通してもらった。
土門も言ってたけど…どんだけ顔が広いんだ? あの理事長。
「よし! 必ずエイリア学園の手掛かりを見つけようぜ!」
円堂が言うと全員がシカ公園の中へと散らばる。
そして俺は、
「豪炎寺、ちょっといいか?」
豪炎寺を呼び止めた。
豪炎寺はそんな俺の顔を見て何も言わずに付いてきてくれる。
……しばらく歩き、辺りに誰も居ないことを確認した俺は豪炎寺にあの男が俺に言ってきたことを話した。
「……あいつら、俺だけでなく神向にまで…!」
豪炎寺はそう言うと強く拳を握っていた。
「俺は、これ以上お前や夕香ちゃんに無理なことはさせられない。だから俺は、雷門を離れようと思う」
「!?」
俺の言葉に豪炎寺は驚く。
そして豪炎寺が何かを言おうとするが、その前に俺が言葉を続けた。
「心配するな。このままずっとってわけじゃない。もうこの事は鬼瓦さんに連絡してあるんだ」
「! いつの間に…!」
「さっきキャラバンに乗った時に乗じて連絡しておいた。あの男はお前のことも喋ったから、お前のことも連絡してある」
「……すまない。神向」
「気にするな。仲間だろ?」
俺が言うと豪炎寺は笑って頷いた。
その後、壁山がジェミニストームの持っていたあの黒いサッカーボールを見つけ、俺達は再び集まる。
代表して円堂がそのサッカーボールを持とうとしたが、あまりにも重くて数センチ持ち上げるので精いっぱいだった。
「全員動くな!」
突然その場に叫び声が聞こえてきた。
その声に反応して俺達が目を向けると、そこには黒服を着た10人が立っていた。
……ああ、そういえばここで塔子の狙いで俺達の強さを確かめるんだったっけ。
「ちょっ、ちょっと待ってください! 俺達は…」
「黙れ! そのサッカーボールが何よりの証拠だ!」
「ちょっと待った!」
……さすがにここで無駄な体力は使えない。
悪いけど早々に試合で実力を示させてもらうぜ!
どうせしばらくこいつらとサッカー出来ないんだからな…。
「俺達は雷門イレブンです。サッカーが大好きな総理の護衛なら、当然その程度のことは知ってるんじゃないですか?」
「な、何をいきなり…!」
「神向。お前……」
「ここは俺に任せておけ円堂。……どうせあんたらの後ろにそのお嬢さんが俺達の実力を見極めるためにこんなことをするんでしょ? だったら早めにそう言ってくれよ。なあ?」
俺がそう言うとその10人の後ろからピンクの髪をした女の子が姿を見せた。
「へえ、やるじゃない。そこまで分かってるなら話が速いよ。あんた達が本当に雷門だって言うなら、勝負で確かめさせなよ!」
「ほい円堂。後は頼んだ。どうせ勝負ってサッカーだからさ」
「……! よし! 勝負だ! 例え誰が相手でも俺達は負けるもんか!」
うん。
それでこそ円堂だ。
ちなみにその後のSPフィクサーズとの勝負は当然のように俺達が勝った。
瞳子監督の指示で初っ端から染岡、風丸、壁山が外されたのはさすがに驚いたけど、それでも俺達はいつも通り、自分達のサッカーを貫き、最後には俺と豪炎寺のファイアトルネードDDで勝負を決めた。
それにより、塔子から正式に雷門イレブンだと認められた。
まあ、あいつは元々俺達が雷門だって知ってたんだけどね。
そしてその後、ジェミニストームが奈良シカTVに居ること突き止めた俺達は塔子を含めた全員がイナズマキャラバンに乗り込んでいく。
だが俺だけは、キャラバンの車体を、そこに掛けられたあの看板を見てひとり言を呟く。
「……俺が……俺達が居ない間、円堂達を頼むな」
「神向ーー!! 早く乗れよ!」
「おう! 悪い悪い!」
その後俺はキャラバンに乗り込んだ。
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『豪炎寺君、神向君。あなた達2人には、チームを離れてもらいます!』
あの後俺達は塔子を含めてジェミニストームと再戦した。だけど、その時にあの男達が見ていたことにより、俺も豪炎寺もまったく力を出せず、点を取るどころかチームの足を引っ張ってばかりだった。
そこにさらに瞳子監督の円堂一人を守りに残して残りの全員が最前線にまで上がるという奇策になったのだ。
その結果……俺達は、32-0という最初よりも大きな大敗になってしまった。
……分かっていた。
分かっていたが、まさか俺にまで脅しが入るとはな…。
さらにその後のミーティングでは、染岡と土門が瞳子監督の采配に文句を言っていたが、それを円堂と鬼道、それに俺が否定したことにより、全員が監督の采配の意味を理解した。
だが、次に瞳子監督から告げられたのが俺と豪炎寺にチームを離れということだった。
俺も豪炎寺も何も言わずにただ自分の荷物を持って出て行こうとしているのが、現在だ。
「ちょっと待てよ豪炎寺! 神向!」
そんな俺達を円堂が呼び止める声が聞こえる。
その声を聞いて、俺達は足を止めた。
「お前ら…ホントに行っちゃうのかよ? ホントにこのまま行っちゃうのかよ!? あいつらに負けたままで!」
「……円堂、勝つために、必要なことなんだ」
必死に俺達を呼び止めてくれる円堂に俺はそれしか言えなかった。
「勝つためって…悔しくないのかよ!? 学校メチャクチャにされて! 仲間をあんな目に遭わされて! 豪炎寺! 神向!」
「すまない円堂。俺は、俺達はお前達とは戦えない」
今度は豪炎寺が円堂に言う。
……その後円堂が何も言わないのを確認すると、俺達は再び歩き出そうとする。
「! 神向、そのボールとペン! 貸してくれ!」
俺はまた円堂に呼び止められた。
サッカーボールとペン…? 何する気なんだ?
「やるよ、そんな物。……代わりなんていくらでもある」
「ちょっと待ってろ! ほら!」
円堂が投げてきたサッカーボールは俺が受け取る。
そのボールの中心には、イナズママークが描かれていた。
「これは何だ?」
「約束だ! 絶対にまたサッカーやるって!」
……円堂がそこまで言ったところで、俺達は今度こそ歩き出す。
「2人ともーー!! 必ず! 帰って来いよ!!」
最後に聞こえたその声を聞き、俺の頬を熱い液体が流れるのを感じていたのは、隣でそれを見ていた豪炎寺しか知らない事だった。
次回からオリ展開となります。