皆さん、本当にありがとうございます
……何処だここは?
その場所に立ちながら俺が思ったのはそれだった。
まあ、俺がどんな場所に立っているのかと言うと、辺り一面が真っ白な空間なわけだよ。
思い出すなぁ。そういえば神様に転生してもらった時もこんな場所だったけ……懐かしいな。
けどあの時と今で違うのは、神様にはもう会えない。
だからここはあの空間とは違うってことで、結論から言うとこれは間違いなく俺の見ている夢だ。
実際に頬を強く引っ張ってみる。
俺の予想通り痛みなんてものはまるで感じなかった。
うん、やっぱり夢だな。
だってさっきから声も出せないんだから。
それにしても夢を見てるって実際に認識するのはなんか変な気分だな。
そんなことを考えながら俺はその白い空間の中で歩を進めていく。行けども行けども真っ白、途中から歩いているのかどうか確認したくなるほどで俺じゃなかったら確実に心折れるぞこれ。
そしてついに、俺の目が覚め、俺は天井を見つめていた。
「……変な夢だったな」
声が出ることを確認した俺は起き上がる。
俺が右手に違和感を感じたのはその直後だった。
右手に感じる柔らかさと温かさ、瞬間的にあの時のことを思い出した俺はすぐさまその方向を見た。
そこにはアフロディがいた。
……何故か、彼女が案内してくれた俺の部屋の、俺のベッドの上で、俺の手を握りながらアフロディが眠っていたのだ。
……パジャマ、だと!?
俺がアフロディを見て最初に仰天したのはそこだった。
この時どれ程の人間が違う、そこじゃない。
と思ったのかは考えないでおこう。だが、アフロディのパジャマ姿は、女の子らしさというものは無いが白い無地の上下であり、それが逆に彼女の可愛らしさを際立てている。
そしてそのパジャマの胸元では、彼女の胸が少しばかりの膨らみを形成していた。……決して豊満とは言えないが、中学生らしい程にはあるその膨らみをあまり見ないようにと心掛けながら俺は彼女を起こさないようにその部屋を出た。
……風呂、つかシャワー浴びよ。
その事考えていても、俺は彼女のあの膨らみのことを思い出してしまい、そこに自分の手を乗せたあの時も同時に思い返してしまっていた。
……男って奴ぁ…。
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まあ、案の定風呂なんて沸いてなく、俺はシャワーを浴びる事になった。
これに関しては文句なんて物は無い。
俺が昨日、希美さんに言ったことだし、それ以前に匿ってくれている家で我儘なんて不躾にも程がある。
「……円堂達、もう北海道に着いてるかな?」
適度な熱さを持ったお湯を全身に浴びながら、俺は円堂達のことをまた考えていた。俺と豪炎寺がチームを離れた。そして原作やアニメの通りなら次の目的地は北海道、そこで伝説のストライカーと呼ばれている吹雪士郎をスカウトしに向かっているはずだが、さすがに一緒に旅をしてないとどこに居るのかなんて分からないからな。
「それに豪炎寺。あいつも今頃強くなるために特訓してるんだろうな」
シャワーを止め、俺は脱衣所に出る。
替えの下着等は元々長旅になることを予測して持って来ていたから問題は無い。
……さっきからそうだけど俺は誰に説明してるんだ?
まあいいかと思いながら俺は自分の部屋へと向かい、そのドアを開ける。
「え……?」
「ん……?」
ドアを開けた俺を待っていたのはまたしても嬉しいハプニングだった。
朝日に照らされたその光の中では、パジャマを脱ぎ捨て下着姿になったアフロディが居た。彼女の後ろにあるベッドの上に服が置かれているのを見るに、おそらくは着替え中だったんだろう。そんな考察を済ませた俺は、
「ごめんなさい!」
その言葉と共にドアを勢いよく閉めた。
そして俺はそのドアを背に座り込む。
「す、すまない向くん…。まさかこんなに早く戻って来るとは思わなくて…」
ドアの先から聞こえてくるアフロディの声に俺は反応する。
「い、いや…。俺も悪かった。ノックもせずにドアを開けるなんて……てか、朝目覚めた時から気になってたんだけど、なんでお前がこの部屋に居るんだよ!?」
俺はドアを隔ててアフロディに聞く。
「どうしてって、ここは僕の部屋だからね」
アフロディからの返答は、俺に反論の余地も許さなかった。
「…じ、じゃあどうして俺をこの部屋に案内したんだよ!?」
「いつエイリア学園の手が君に迫るか分からない。だから極力僕が君に付いていると約束したんだ」
「…………」
そうだったのか。
……アフロディはアフロディなりに考えてくれてたんだな。
「ありがとな。本当に」
「気にしなくていいよ。それじゃあ、もう少しだけ待ってて」
「おう。ゆっくりでいいぞ、お前の部屋なんだから…って、俺が言うのも変だな」
俺はそのままアフロディが着替え終わるのを部屋の外で待った。
そしてその途中で気になったことをアフロディに聞くことにした。
「ちょっと気になったんだけど、エイリア学園の騒動で全国の中学校とかはどうなってるんだ? 俺達、エイリア学園を倒すことに必死でそこら辺のことは何も知らないからさ」
「大抵の中学校は休校だよ。自分達の学校が壊されるかもしれないのに生徒を危険に晒すわけにはいかないだろうからね。それでも活動しているのは、世のことに興味が無いか、エイリア学園を倒すために強くなろうとするサッカー部のための学校さ。さ、もう入ってもいいよ」
アフロディに促されるまま、俺は部屋に入る。
そこには白のジャージを着ているアフロディが居た。
待って、もしかしてあれって世宇子のジャージ?
世宇子って何? 全てにおいて白を基調としないとダメなの?
「どうしたんだい?」
「…えっ? あ、いや別に、ただそのジャージはどうしたのかなって…」
「これかい? これは世宇子中のジャージだよ」
やっぱりかい!
俺は心の中でそうツッコんだ。
「それはそうと、今日は僕と一緒に行ってほしい所があるんだ。来てくれるかい?」
「別にいいぜ。特に予定も無いし」
「ありがとう。それじゃあ、まずは…」
「2人ともー! 朝ご飯が出来たわよーー!」
「……そうだね。まずは朝ご飯を食べようか」
アフロディは俺にそう言ってきた。
その後、再び俺はアフロディと希美さんと一緒に朝飯を食べたあと、アフロディの後ろについて外へと出た。
その時にも俺は色々と希美さんから話を聞かれた。
今は会うことの出来ない仲間達のことを。
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「なあ、一体何処に向かうんだ?」
「付いてきてくれれば分かるよ。きっと君の役に立つはずさ」
アフロディは神向に向かずにそう言う。
歩いている最中、神向がある事をアフロディに切り出した。
「アフロディ。何か朝飯食ってから機嫌悪くないか?」
「……どうしてそう思うのかな?」
「いや、なんとなくだけど…」
「そんなことは無いよ。僕は機嫌なんて悪くなって無い」
普段の冷静な彼女とは思えない強引な発言に神向は、
(いや絶対機嫌悪いだろ。朝飯を食っているあの間に何があったんだ?)
と思ったがそのことを決して口に出すまいと誓った。
それを口にしたら間違いなくアフロディの機嫌はさらに悪くなるからだ。
そしてアフロディはというと、
(僕はどうしてこんなに胸がざわつくんだ。ただお母さんと神向くんが話しているのを見ていただけなのに、どうして…)
自分の胸のざわつきが分からないでいた。
そして2人はとうとう目的地へとたどり着いた。
だが、そこには何も無かった。
「着いたよ」
「着いたって…何も無いじゃねえか」
神向が言うと、アフロディはただ上を見つめる。
釣られて神向も見つめると、雲の後ろから見覚えるのある物体がその姿を現す。
それは、紛れも無く世宇子スタジアムだった。
そして世宇子スタジアムは地上へと着陸する。
「向くん。君は強くなりたいと思っている。違うかい?」
「何で分かったんだ?」
「僕が君の立場なら、そう思うからだよ」
「……確かに俺は強くなりたいと思ってるよ」
「なら良かった。じゃあ行こうか」
アフロディはそのまま世宇子スタジアムへ歩を進める。それに神向も続いた。世宇子スタジアムの中は、あの決勝戦のままだったため、神向も迷うことなくスタジアム内を進むことが出来た。
そして、スタジアムに設置されているグラウンドに着いたとき、彼はまた驚愕した。
「お、ようやく来たな。遅いぞ、2人とも!」
「ま、キャプテンが遅いのはいつもの事だけどね」
そこには、雷門イレブンと激戦を繰り広げた世宇子イレブンが準備を終えて立っていた。
そして、アフロディも上に着ていたジャージを脱ぎ、下に着ていたユニフォーム姿へと替える。
「アフロディ…。これは一体…?」
「君が強くなれるように、僕達が力を貸す。そういうことさ」
アフロディの言葉を聞いた時、神向は少しの間を置いて笑った。
「サンキュー。これ以上無いほどの練習相手だぜ」
「君ならそう言ってくれると思ったよ。じゃあ、さっそく始めよう」
「おう!」
アフロディと神向は世宇子イレブンの方へと歩いていく。
(待ってろよ円堂、皆。俺も必ず強くなって合流してやる。絶対にだ!)
神向は心の中でそう強く、仲間達に誓った。
先に言っておきますが、神向くんの冒頭の夢は無意味な事なんかじゃありませんよ?
そして、アフロディに嫉妬させてみたかった。
後悔はしていない。
あと、最後に喋った2人はデメテルとアポロンです