「俺を強くしてくれるのは嬉しいんだが、まずはどうする?」
特訓開始前に俺はアフロディに聞く。
世宇子の皆はユニフォームなのに、俺だけパーカーにフードだから凄く目立つ。これ逆に身柄隠せてねえんじゃねえか?
それに、強くするにしても……今の世宇子は…。
「君の考えていることは分かっているよ。今の僕達では……神のアクアが無い僕達では、君の力にはなれないかもしれない…」
「…………」
俺はアフロディの言葉を否定したかった。
そんなこと無い! ……そう力強く断言したかった。
だが、それは出来ない。世宇子が神のアクアによってあの力を得ていて、エイリア学園はそれの更に上の強さを誇っていた。
あいつらがエイリア石からパワーを得ていると言っても、正確にはマスターランクの奴らは違うけど……とにかく今の世宇子じゃあいつらの力には敵わない。
それでも…。
「けどお前達は、俺に力を貸してくれるんだろ? 今の俺にとって、これ程心強いこともない。さっきも言ったはずだ、最高の練習相手だって」
俺はアフロディに…、世宇子の皆に言った。
そして俺はボールを足で操りながら言葉を続ける。
「確かに今の世宇子はエイリア学園の足元にも及ばないかもしれない」
俺の言葉をその場の全員が神妙に聞いている。
中には悔しさから握り拳をする者も。
「けど、お前達は弱くない。お前達の強さはよく知ってる。あのボールを受ければ解る。あれは神のアクアなんか無くても……本気でサッカーが好きな奴にしか蹴れないボールだからな。さ、特訓始めようぜ!」
「………………
「ん? 何て言ったんだ? よく聞こえなかった」
「何でも無いよ。それじゃ、練習内容を説明しよう」
何だよもう、そう言われると余計に気になるじゃねえか。けど、今は特訓に集中しよう。
俺がアフロディから教えられた内容は、世宇子の11人と俺を含めて12人を6人・6人にしてのミニゲームらしい。
人数が少ない分、それぞれがカバーしなければならない部分が増えることによってスピードの強化。そして同時に仲間へのパスを出すための正確さも強化することになる。
「よろしくな!」
「ああ、よろしく」
「よろしく頼む」
『よろしく』
俺のチームには、デメテル、ポセイドン、ヘルメス、アルテミス、アレスがいる。
そして反対のチームにはアフロディ、ヘラ、アテナ、ヘパイス、アポロン、ディオというチーム編成になっている。
ちなみに俺のチームにポセイドンが居るが、このミニゲームではキーパーというポジションはない。
どちらが早く相手のゴールに決めるかではなく、あくまでスピードやパスワークの正確さを向上させるための特訓だからとのことだ。
「それじゃあ、始めようか」
「おう。みんなー!」
俺は円堂のあの言葉を、世宇子の皆に言った。
「サッカーやろうぜ!!」
そのままキックオフで俺達の特訓は開始された。
最初はアフロディ達からキックオフして。
現在はアポロンがボールをキープして上がっている。
「行かせないぜ!」
「…キャプテン!」
デメテルがアポロンに就くと、アポロンはすかさずアフロディにパスを出す。
そのままアフロディは上がってくる。
……ここは俺が行くしかねえか。
「通さないぞ!」
俺がアフロディの前に出る。
そこから俺達はたった1つのボールを巡っての競り合いが始まった。
「あの時と同じだね。君と僕が初めて会ったあの時と」
あの時……それは間違いなくアフロディが雷門に現れ、俺と円堂に勝負を仕掛けてきた時のことだ。
そこで俺は自分のしでかした不祥事を思い出してしまった。
「そこだ!」
「しまっ…!」
「させない!」
そのことに気を取られた俺はアフロディに抜かれた。
しかし、そこにフォローで入っていたヘルメスがスライディングでアフロディからボールを奪い取る。
「悪い」
「気にするな」
その後もその特訓は続いていったが、さすがに初めて一緒にプレイするメンバーであったからか、俺のパスはことごとく世宇子の動きと合わなかった。
次回はもう少し早めに投稿できるように頑張ります