試合開始のホイッスルがグラウンドに鳴り響き、俺たちのキックオフから試合は始まった。
そして、始まると同時にDF陣を残して俺と染岡をフォローしながらほとんどの全員が上がる。
「へ、何だよ……結構行けてんじゃねえか俺」
「染岡! パスだ!」
帝国のブロックをかわし、勢いに乗っている染岡に俺はパスを促した。
「大丈夫だ、点を取るのは任せとけって。行くぜ!」
しかし染岡はそんな俺の言うことを無視して一人敵陣へと突っ走っていった。
あのバカ! 敵さんがわざと手を抜いてるのが分かんねえのかよ!?
「うおっ!!?」
当然と言うべきか、相手のディフェンダーに染岡のボールはあっさりとカットされ、そのままFWまで繋がれてしまう。
「百烈ショット!!」
帝国学園FWの寺門のシュート……そしてそれは止めにかかった円堂ごと雷門ゴールに深々と突き刺さる。
「円堂! 大丈夫か!?」
ゴールが決まったことを表すホイッスルと同時に、俺は円堂の元まで駆け寄った。
さすがは40年間無敗を貫き通している帝国だ……今の円堂じゃ太刀打ち出来ないだろうな。
「ああ、大丈夫だ。……すげえシュートだぜ、まだ手が痺れてる」
「あんなシュートを撃つような相手に……勝てるわけがないでやんす」
若干痙攣している円堂の腕を見て栗松が弱音を吐く。
「確かにな、勝てないかもしれないが……それで諦めていいわけねえだろ!」
俺はたまらず大声で答える。
そして、俺のその声に雷門メンバーだけでなく帝国側も視線を向けた。
「次は俺にボールを回してくれ。必ず点を取ってみせる」
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帝国メンバー辺見がキャプテンでありゴーグルをしているドレッドヘアーの学生……鬼道に近づいた。
「鬼道さん、あの22番あんなこと言ってますけど。あいつが総帥の気にしている奴なんですか?」
「いや、奴は元々この学校の生徒らしいからな。だが、俺たちから点を取れると言うのなら、見せてもらおうじゃないか。……奴にボールが回った時には手を出すな」
鬼道の言葉で帝国のメンバーは全員が笑いながら頷く。
それは明らかに敵を見下している目だった。
「なら鬼道、あいつ以外のメンバーは好きにしてもいいのか?」
そしてもう一人、帝国メンバーの中でも鬼道のことをさん付けせずに呼べる数少ないメンバーであり、片目に眼帯をしている生徒……佐久間が聞いてくると、鬼道は笑ってこう答えた。
「ふん、好きにしろ。元より我らの目的の相手はまだ出てきていないのだからな」
そして、鬼道の両目はゴーグル越しにグラウンド近くの木に寄りかかっている白髪の逆立った髪をしたつり目の少年を見つめていた。
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鬼道たち帝国メンバーが何やら話をした後、鬼道が目を向けた方向に思わず俺も目をやるとそこにはあいつがいた。
「豪炎寺……やっぱり見に来てくれてたんだな。……結局あいつも円堂や皆と一緒なんだよな」
小さくそう呟き、俺たちは再び試合を再開した。
そして、再び俺たちのキックオフで始まったと同時に帝国側の痛烈な攻撃が始まった。
まずはFWである半田や染岡にボールを当てて潰しにかかり、次に何故か俺以外のMFを、そして最後にDF陣を潰した。
「なにしやがんだ!?」
俺は鬼道に叫ぶ。
だが、これの答えなどとうに分かっていた。
「これが帝国のサッカーだからな。……お前も俺たちから点を取ると言うのなら、シュートを見せてみろ。ほら……」
そして、鬼道から俺にボールが渡される。
そしてそれとほぼ同時に帝国側のメンバーがまるで客人をもてなすかのように左右へとバラけた。
「……く、舐めてやがんな。確かに、俺たちはまだよえけどこんなやり方されたら黙ってらんねえ。円堂!悪いが上がらせてもらうぞ!」
「おう! お前のシュートを帝国の奴らに見せてやれ!」
GKである円堂からの激励を背に受け、俺はボールを上に蹴り上げる。
見さらせ帝国! こいつが俺の会得した必殺シュートだ!
『デス……スピアー!!!!!!』
俺の撃ち出したボールは黒い槍となって帝国のゴールへと一直線に向かっていった。
次回で帝国戦はおしまいです