休載前と同じように、至らぬ点が多数ございますが、暖かい目で見守っていただけると幸いです
翌日。
俺は世宇子中グラウンドでボールを弄んでいた。
そして、そんな俺に照美が声をかける。
「神向くん。本当にやるのかい?」
その声は心から俺を心配してくれている。
まあ、確かにこれから俺がやろうとしていることを思えばそうなるのも当然だ。
「ああ、お前らにしか頼めないことなんだ。昨日のジェミニストームとの試合を見て思ったんだ、俺にもまだまだスピードが足りない。それに、あのイプシロンはもっと速い。なら俺がアイツらにまた会えた時は、イプシロンよりももっと速く無いと駄目なんでな」
「だがこれは…」
照美は今の状況を見る。
俺の眼前には、照美を含めた世宇子中のメンバー11人がポジションに就いている。
対して、俺は一人。
そう、俺の速さを鍛えるトレーニングはあの世宇子中メンバー全員を相手にしながらなるべく多く点を取る事―――というものだ。
「無茶なのは分かってる。今のお前らはきっと、円堂たちと試合しても十二分……いや、勝っても何もおかしくない。だからこそ、お前らにしか頼めないんだ」
俺は自分の意志を曲げずに照美に告げた。
「しかし…」
それでも俺の身を案じてくれる照美。
彼女のその優しさはすごく嬉しい。
けど、その優しさは今だけはそっとしまっておいてほしいと思う自分が居るのもまた事実だ。
「やらせてやろう、アフロディ」
「ヘラ…」
照美の肩を叩いてそう告げたのは、ヘラだった。
「あいつは…、いや、神向たちは俺たちを神のアクアから救ってくれて、そして今も俺たちを強くしてくれている。なら、あいつの頼みを聞いてやるのが、今の俺たちに出来ることなんじゃないか?」
素直に褒められると少しこそばゆい。
そして、ヘラに言われて照美もついに決心してくれた。
「……手加減はしない。本気で行くよ、神向くん!」
真っすぐに俺を見つめる彼女の目。
それに当てられて、俺も彼女に笑い返した。
「おう! こっちも全力で行く! 覚悟しろよ、アフロディ!」
俺はそう告げ、迫り来る俺からゴールを死守するべく立ち向かっている世宇子中へとボールを蹴り出したのだった。
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今日のトレーニングが終わり、俺は照美宅に戻った。
そして、
「イッテテテ! ……いやー、やっぱり強いなぁアフロディ達は」
「まったく…。だから僕は無茶だと言ったんだ。これは自業自得だよ、神向くん」
俺はアフロディから手当てとお小言を同時に受け取っていた。
「返す言葉もございません」
そう言いながらアフロディを見ると、なにやら頬を膨らませていた。
あの、可愛すぎて傷が悪化しそうだからやめてもらってよろしいでしょうか?
「えっと…、ど、どうした? アフロディ」
「呼び方、またアフロディになってるよ。2人の時は名前で呼んで欲しいと言ったはずだよ」
「あ、悪いアフロ……照美」
俺がそう呼ぶと照美は嬉しそうな顔をする。
そう、俺が彼女に押し倒されたあの日から、世宇子中のメンバーと居る時以外は彼女の事を名前で呼ぶという決め事をしたのだ。
まあ、匿ってもらっている身だからそれ自体は問題ないのだが、疑問もある。
「なあ、どうして世宇子中のみんなと居る時は名前で呼んじゃ駄目なんだ?」
俺はその素朴な疑問を投げつける。
すると、照美は一呼吸を置いて、
「…………から」
と呟いた。
「? すまん、もう少し大きな声で言ってもらっていいか? よく聞こえなかった」
俺がそう返す。
そして俺は、この時の事を後悔した。
「は、恥ずかしい、から」
赤面しながらそういう照美。
彼女が本来なら男だと知っていなかったらきっと俺はこの時点で勘違いし、彼女に襲いかかっていたのだろう。
何故かって?
……この後、俺はその可愛さにやられて気絶をしたからさ。
ちなみにこの事は翌朝に照美から聞いた事だ。
そして、前日のあのトレーニング。
あれは一応試合形式でやっていたので得点は0ー30という驚きの点数差を叩き出していたのは、ここだけの秘密にしてほしい。
どっちがどっちかは…………聞かないでくれ。
いい加減ラブコメじゃなくてサッカーしろよ(ブーメラン)