サッカーやろうぜ! そうしよう!   作:ssgss

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再帰する風

 イプシロン・改との試合に勝利後。

 雷門イレブンはつかの間の休息を楽しんでいた。

 

「そうか、じゃあ神向が今どうしているのかは分からないのか」

 

「ああ。俺と神向を別々にすれば、奴らの目を集中させずに済むという鬼瓦刑事の考えでな。それ以来、俺も連絡を取れていないんだ」

 

 イナズマキャラバンに乗っている中鬼道と豪炎寺が話す。

 待ちに待った豪炎寺の復帰。

 となればもう一人、チームを離れた神向の事を考えるなというのが無理な話だった。

 

「大丈夫さ!」

 

 そんな中、円堂が二人に言う。

 

「豪炎寺だって元気にやってたし。それにすっげえ強くなってた! あの爆熱ストーム、見てるだけで体がビリビリ痺れた! だから、絶対神向も強くなってる。強くなって、必ず帰ってくるさ!」

 

「円堂…」

 

「…ふっ、それもそうだな」

 

 円堂の言葉に賛同する鬼道と豪炎寺。

 そうして一同は、東京の稲妻町にある河川敷に帰ってきた。

 

「すぅー……。戻ってきたぞー!」

 

 円堂が大きく声を上げる。

 

「よし、一度家に帰ろう」

 

「家かあ」

 

「長い事留守にしてたからな」

 

「お母さんたち心配してるだろうな」

 

「軽いリフレッシュも必要ね」

 

 円堂の提案に皆が続く。

 

「いいですよね? 監督」

 

「いいわ。一日ぐらい休みましょう」

 

 瞳子監督も円堂からの提案を飲んだ。

 しかし、そこに沖縄から加入してきた綱海が聞く。

 

「おいおい。俺達はどうするんだよ?」

 

 そう、ここには東京に家を持つメンバーだけでなく、全国から集まってくれたメンバーがいる。

 つまり、住む場所がないメンバーもいるわけだ。

 しかし円堂があっけらかんと返した。

 

「みんな家に来いよ。母ちゃんの肉じゃが、最高に美味いんだぜ!」

 

「俺肉じゃが大好きです!」

 

「俺はきら~い…」

 

 円堂の言葉に対照的な反応を示す立向井と小暮。

 エイリア学園との死闘などまるで無いかのような日常が、そこにあった。

 

「あ…」

 

「どうした、吹雪?」

 

 しかし、何かに気付いた吹雪が上を見ると、上から黒いサッカーボールが降ってくる。

 

「くっ…」

 

 地面にめり込むサッカーボール。

 そこから、聞き覚えのある声がする。

 

『雷門イレブンの諸君。我々ダイヤモンドダストは、フットボールフロンティアスタジアムで待つ。来なければこの黒いサッカーボールを、無作為にこの東京に撃ち込む』

 

「何…!?」

 

「無作為にだと!?」

 

「無作為って…?」

 

「でたらめにって事ですよ! もしそんな事をされたら、東京がめちゃくちゃに…!」

 

「ええ!? 大変っス!」

 

 休息を打ち壊すその言葉に気を入れ直す面々。

 そして、瞳子が全員に告げた。

 

「仕方がないわ。直ちにスタジアムに向かいます」

 

『はい!』

 

 そして雷門イレブンはフットボールフロンティアスタジアムに向かった。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

「さあお待たせしました! エイリア学園マスターランクチームダイヤモンドダストと、雷門イレブンの試合が今、始まろうとしています! まずは雷門のキックオフ……おおーっと!? ゴールまでががら空き、どういう戦法なのでしょうかダイヤモンドダスト!?」

 

 いつも通りどこからともなく現れる角間の実況通り、ダイヤモンドダストはキックオフと同時に全員が道を空ける。

 その挑発とも取れる行動を受け取った豪炎寺はそのままシュート。

 だが、真正面ではなく回転をかけてキーパーの斜め上を狙う。

 

「ゴール……いや違う! 止められてしまった!」

 

 豪炎寺のシュートをいとも容易く止めたキーパーはそのまま円堂に投げ返す(・・・・・・・・・・)

 あっけに取られながらもゴールを守る円堂。

 しかし、円堂は同時に驚愕した。

 

「ゴールからゴールまで投げてくるなんて…。なんて奴だ…!」

 

 パスをしようとする円堂。

 しかし圧倒的な速度で雷門陣営に入り込むダイヤモンドダスト。

 円堂は土門にパスをする。

 

「円堂から土門、そして土門から一之瀬へ! あーっと、しかしここはリオーネがカット! ガゼルに回します!」

 

「ふっ!」

 

 ガゼルの強烈なシュート。

 しかし、円堂も負けじとこれをキャッチ。

 

「……ビリビリ来るぜ!」

 

 ピンチであるにも関わらず円堂にガゼルは冷たい笑みを浮かべていた。

 そこから再び試合が展開していく。

 

「鬼道カットした! しかし、ガゼルが奪い返す! 激しいボールの奪い合いが行われております! だが雷門イレブンキーパ円堂。ガゼルのシュートをまたも死守。鉄壁のキーパここに在りです! そしてボールは再び鬼道、そして一之瀬、そこから浦部に渡ります!」

 

「あ…!」

 

【フローズンスティール!】

 

「きゃあああああああ!!」

 

 ダイヤモンドダストDFゴッカの技を受ける浦部。

 彼女はそのまま、グラウンドに倒れてしまう。

 

「ああー! 浦部負傷か!?」

 

「リカ!」

 

「……それが闇の冷たささ」

 

 しかし、無慈悲にも試合は再開されてしまう。

 

「ボールを奪ったゴッカ! ガゼルに回します!」

 

 三度ゴールに放たれるガゼルのシュート。

 しかしここには雷門DF陣が立ちふさがる。

 

【ザ・タワー!】

 

【ザ・ウォール!】

 

 塔子と壁山の二人ががかりで止めるシュート。

 そしてボールはグラウンドを超えて観客席に飛んでいく。

 

「ゴールはなんとか防いだ! だが雷門辛い、ノーマルシュートでさえこの威力! 二人がかりで止めるのがやっとだ!」

 

 マスターランクチーム、ダイヤモンドダスト。

 その強さを痛感している雷門イレブン。

 だが、その時スタジアムに雷門イレブンの一人を呼ぶ声がこだました。

 

「円堂ーーーーーー!!!!」

 

「え…!? ぐっ…!!」

 

 声と共に円堂に撃ち込まれるボール。

 その勢いは先のガゼルにも引けを取らない。

 しかし、そのボールを見た円堂は驚いた。

 

「このボールは…!?」

 

 中心にイナズママークが書かれたボール。

 見間違うはずがない。

 そのボールは円堂が別れ際に彼に投げたボールである。

 そして円堂が目を向けた先、観客席の上から円堂が、雷門中学サッカー部のメンバーがよく知る男が姿を見せた。

 

「久しぶりだな!」

 

「はあ…! 神向!」

 

 円堂は笑顔と同時に彼を呼ぶ。

 

「神向! 神向です! かつてキャプテン円堂と共に、雷門中学サッカー部を優勝へと導いた神向が、再び我々の前に現れました!」

 

「神向…!」

 

「神向!」

 

「神向先輩!」

 

 彼をよく知る者たちが次々にその名を呼ぶ。

 そして彼はグラウンドに足を踏み入れる。

 

「神向大司か。面白い」

 

 ガゼルは彼の登場にまた熱くなる。

 だが、本人もまだその事には気付いていない。

 

「よく帰ってきてくれたな、神向! ずっと待ってたんだぜ!」

 

「……待たせすぎたかな」

 

「いつもお前は遅いんだよ」

 

「豪炎寺に言われるようじゃ、俺もまだまだだな」

 

 神向の登場で雷門イレブンの空気がガラリと変わる。

 

「さて、ここからは俺も一緒に戦わせてもらう。……っと言いたいところだけど、実はもう一人、強力な助っ人が居るんだ」

 

「助っ人?」

 

「出て来いよ!」

 

 神向の言葉でもう一人の人物も姿を見せる。

 その彼女を見た円堂は今度は驚きで声をあげる。

 

「ああー! ……アフロディ…!?」

 

 そこには、世宇子のユニフォームを着用したアフロディが立っていた。

 

「神向、お前…」

 

「まあ。これについては後で話すよ」

 

 驚く円堂を他所に、鬼道と神向はそんな会話を交わすのであった。

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