負傷した浦部に代わりアフロディが、そして塔子に代わって神向がスタメンに入る。
だが、二人は少しだけ不安な表情だった。
「ホンマにアイツらで大丈夫なんか?」
「神向はともかくあのアフロディって奴は敵だったんだろ?」
「……試す価値はあるわ」
「監督の言う通り。決定力の不足を補うにはこれもありね」
信じきる事の出来ないメンバー。
だが、ここで木野が口を開いた。
「大丈夫よ。円堂くんと神向くんの二人が信用したんだもの」
ここにいる誰よりも二人との関係が長い木野だからこそ口にできる言葉。
そして、フィールドではDFの位置に付いた神向が円堂に言う。
「さあ円堂! 久々にサッカーやろうぜ!」
「おう!」
神向に手を挙げて答える円堂。
そして二人の目は、FWの位置にいるアフロディに向く。
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「僕を、雷門の一員に加えてほしい」
「……神向、どういう事なんだ?」
真剣な眼差し言うアフロディ。
そんな彼女を見て円堂が神向に聞いた。
「実は、皆と離れていた間、俺はアフロディに……世宇子の皆に世話になってたんだ」
「「「え…!?」」」
神向の発言に困惑するメンバー。
しかし神向はそこからさらに話を進める。
「けど、今のアフロディはもう昔と違う。信用していいぜ」
「神向……いくらお前がそう言ったってな」
「あの世宇子の選手が仲間になるなんて…」
疑いの眼差しを神向に向ける壁山と土門。
しかし、円堂、豪炎寺、そして鬼道は違った。
「神向がわざわざ連れてきたんだ。世宇子のやった事をまだすべて許せるわけでは無いが、俺は信じてもいいと思う」
「俺もだ。円堂、お前は?」
豪炎寺の問いかけに円堂は一歩前に出て言う。
「本気なんだな?」
「ああ」
「……分かった。その目に嘘はない!」
円堂は笑顔でアフロディに手を差し出す。
そしてアフロディもまたその手を握る。
「ありがとう。円堂くん」
円堂に感謝を述べながら。
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「頼むぞー! アフロディ!」
円堂に頷き返すアフロディ。
そして試合はダイヤモンドダストボールで再開される。
【ボルケイノカット!】
土門が空かさずボールをカットして攻め込む。
「こっちだ!」
アフロディが土門に言う。
しかし、
「(本当に信用していいのか…?)」
その迷いが土門にパスを出させることへの迷いを生む。
そしてその隙を突かれ、逆にダイヤモンドダストにボールを奪われてしまった。
「おおーっと土門ボールを奪われてしまった! これはタイミングが合わなかったか!?」
【ザ・ウォール!】
「しかし壁山がこれを見事に防いだ! ボールは再び雷門へ!」
ボールを持ち込む壁山。
その横に上がってきた鬼道が彼に言う。
「壁山。アフロディがフリーだ!」
「え、で、でも…」
戸惑いながらアフロディを見る壁山。
「パスするんだ!」
「は、はいっス!」
鬼道に言われるままパスをする壁山。
しかし、そのパスはアフロディのはるか先でラインを割ってしまった。
「ああ…」
「残念。これも合わなかった…! やはりまだリズムが掴めていないのか?」
ボールは三度ダイヤモンドダストへ。
【フレイムダンス!!】
今度は一之瀬がボールをカット。
そのまま持ち込む一之瀬はマークが二人の豪炎寺と、マークが一人のアフロディを見る。
「……くっ、豪炎寺!」
一之瀬は苦悩の表情で豪炎寺へパス。
これを見たベンチのマネージャー達は困惑する。
「どうしてわざわざマークの厳しい豪炎寺さんに…?」
「やっぱり、まだ信じきれていないんだわ」
厳しいマークでボールを奪われる豪炎寺。
そしてボールはついにガゼルへと渡ってしまう。
だがそこに立ちふさがる綱海をガゼルは軽々フェイントで抜き、そしてシュート。
「やらせるか!」
『!?』
だが、これをこれまでハーフラインから超える事なくDFに徹していた神向が止めた。
「みんな何やってんだよ!? 俺達は今、同じ雷門のユニフォームを着た仲間なんだぞ!?」
神向が雷門イレブンに檄を飛ばす。
そして、神向は豪炎寺、アフロディに目くばせをすると、何かを察した彼らが動く。
「行くぜ!」
ボールを保持したまま攻めあがる神向。
【フローズンスティール!】
「取らせるか!」
「何!?」
ダイヤモンドダストのDF技を躱す神向。
「豪炎寺!」
「!!」
豪炎寺の名前を呼んだ神向はボールを上に跳ね上げる。
そして、そのボールに追いつくや彼は両足で強烈な回転をかける。
【デス…スピアー!!】
「神向、まさかのハーフライン手前から必殺のデススピアーを放ちました! これはどういう事だ!?」
デススピアーの向かう先では豪炎寺が走り込んでいる。
「ああー! これはシュートではなく、豪炎寺へのパスです! しかし、その豪炎寺の前にはダイヤモンドダストの選手がガッチリとマークしています!」
しかし、そんな事はお構いなしに豪炎寺はデススピアーのボールを追う。
そんな豪炎寺に疑問を持つ鬼道と円堂。
「あ!」
「これは!?」
何かに気付いた二人。
それと同時に神向の放ったボールは強烈な勢いのまま左に逸れる。
「おお!? コースが勢いよく変わりましたこれは一体!? な、なんと!」
そのボールの先ではアフロディがすでに走り込んでいた。
「これは豪炎寺へのパスではなく、アフロディへのパスです! 神向、なんと二重にフェイントをかけていました!」
『!!』
「行け―! アフロディ!」
完全にノーマーク。
一切パスの通っていなかったアフロディに付いているマークはおらず、ボールは難なく彼女に渡る。
「…行くよ」
神向による必殺技を使ったロングパス。
自身から注意をそらすために全霊をかけた豪炎寺のフェイント。
この両者に報いるためにアフロディはゴールに駆け上がる。
「見せよう。生まれ変わった僕の強さを!」
【ゴッドノウズ!】
かつてのアフロディを知るメンバー。
だからこそ、分かる。
このゴッドノウズは前よりもさらにパワーアップしていると。
そしてアフロディのシュートはダイヤモンドダストのゴールへ深々と突き刺さった。
「よっしゃー!」
円堂の歓喜の声。
そして豪炎寺とアフロディのハイタッチを見た他の雷門イレブンは、そこでようやく、今までのわだかまり超えて仲間であると信じる事が出来た。
「やったぜ豪炎寺、アフロディ! よく気づいてくれたな!」
「まったく、お前はいつも驚くようなことをするな」
「けど、それでこそ神向くんさ」
「ふっ、言うじゃないか」
笑顔で会話をこなす神向達。
けれど、これは試合の前半戦、そして相手はエイリア学園マスターランクチーム。
それを相手に先制とは言えまだ一点。
「面白いじゃないか。……叩き潰してやるよ!」
まだまだ気は抜けない。