サッカーやろうぜ! そうしよう!   作:ssgss

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駆け足過ぎたかも…


帝国戦決着! でも俺はボロ雑巾

「何だとっ!?」

 

「すげえ! あれが神向の必殺シュートか! あいつ、いつの間にあんな技を完成させてたんだ!?」

 

 驚く鬼道と初めて見る俺の必殺技に心を踊らせる円堂……そして、それを遠目から見る豪炎寺。

 

「決まれぇぇぇぇぇぇ!」

 

 そして俺の必殺シュート……デススピアは帝国のゴールへ深々と刺さり、それをホイッスルが証明してくれた。

 

「ご、ゴール! 雷門中学MF、神向大司の必殺シュートにより、雷門、あの帝国学園から一点をもぎ取りました!」

 

 あ、角馬だ……あいつ本当に実況してたんだな。

 いざ試合が始まると実況が全然耳に届いてこなかったからちょっと驚いたぜ。

 

「おーっとここで前半終了です。これより10分間の休憩に入ります!」

 

 これは果てしなくどうでもいいことなんだけど、角馬の奴は実況の時にいつもあれだけ叫んで喉を痛めないのか? 今度会ったらのど飴でも差し入れしてやるか。

 そんなことを考えながら、俺はボロボロになったメンバーたちと共に雷門のベンチへと戻った。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 神向のシュートと正面から向き合った帝国学園GKの源田がキャプテンの鬼道に言う。

 

「まさか、あんなシュートを撃つ奴が居たとはな。ここはただの弱小チームではなかったのか?」

 

「さあな、確かにあの男は予想外だった。だが、それ以外のメンバーは雑魚だ。それに総帥からの指令も下った……俺たちの見るべき相手を出させるためにも、奴を潰せとのことだ」

 

 鬼道が言うと帝国学園のサッカーメンバーは笑った。

 これから起こる惨劇のことを、神向を含めた雷門メンバーは誰一人として知らない。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「やっぱり無理だったんじゃないですか、帝国に勝つなんて。さっきだって取れたのは神向先輩の一点だけだし…」

 

 俺たちがベンチに戻ると、間髪入れずに宍戸が弱音を吐いた。

 そして他のメンバーもそれに同意するように下を向いている。そりゃそうか、原作通りだから分かっているとはいえ、雷門と帝国の得点差は既に13対1だしな。

 

「大丈夫だ皆! さっきの神向のシュートを見ただろ!? 後半もパスを繋いで神向と染岡に回していけば絶対に勝てるさ!」

 

 しかし、そんな中でも円堂だけは前向きに、勝つことだけを考えていた。

 本当……スゴい奴だよ、お前は。

 

「ああ、皆…シュートは任せろ。絶対に決めてみせるさ」

 

 その瞬間、後半戦開始のホイッスルが鳴り響き、俺達は再びそれぞれのポジションに立つ。

 

「デスゾーン、開始」

 

 鬼道が小さくそう呟いたのを俺は聞き逃さなかった。

 そして次の瞬間、俺の腹部に強烈な痛みが発生した。

 

「ぐわっ!!!」

 

「神向! お前ら! 何すんだよ!?」

 

 染岡が帝国学園の奴らに言う。

 

「試合上の事故だ。仕方ないだろ?」

 

「っ! このヤロ……」

 

「止めろ染岡!」

 

「神向…、けどよぉ!」

 

 染岡が帝国学園の佐久間に殴りかかろうとするのを俺は止めた。

 ここで暴力沙汰なんて起こせないからな。

 それに、確かに痛いけど我慢できない程じゃない。

 

「俺なら、大丈夫だ。……それより、試合を続けようぜ」

 

 俺が言うと染岡は納得が行かなそうにしながら引き下がった。

 ……普段は諦めたようにしてるこいつも、他のメンバーも、本当はサッカーが好きなんだよな。

 

 だが、本当の地獄はここからだった。

 その後も帝国学園のラフプレーは続き、俺達は全員ボロボロで中には立っていられずに倒れているメンバーもいる。

 ……正確にはもう立っていられているのは交替で出てきたはいいけど逃げてばかりのメガネ、そしてボロ雑巾のようになっている俺と円堂だけだ。

 

「それでは、行くぞ。……デスゾーン開始」

 

 後半開始時と同じように鬼道はそう呟いてボールを上へと蹴り上げる。 

 

 そしてそのボールに続くように佐久間、寺門、童面が飛び上がった。

 

『デス……ゾーン!!!!!!』

 

 三人の息がピッタリ合った一撃は紫のオーラを纏って円堂が守る雷門ゴールへと向かっていく。

 そして円堂はこの一撃を両手でしっかりと受け止めようとするが、その円堂ごとボールは雷門ゴールに入った。

 

「ご、ゴール! 帝国学園必殺技、デスゾーンが雷門ゴールに突き刺さった!」

 

 この時点での点差は20対1。

 点差だけ見たら絶望的だった。

 分かってはいるけど、それでもこれを直接見るのはキツいな。

 

「も、もう嫌だーーーっ!!!!」

 

「っ!?」

 

 このまま続けたら次は自分が傷つけられる。

 そう感じたメガネは帝国学園を前にして逃亡した。

 これは知っていた。

 だが、メガネの奴はユニフォームをグラウンドに脱ぎ捨てて逃げたのだ。

 

「あの馬鹿…」

 

 せめて脱ぎ捨てるなら、あそこで悔しそうにしてる男の前で抜き捨てやがれ…。

 まったく……ボロボロの人間を酷使すんじゃねえよ…。

 

 そう思いながら俺はメガネが脱ぎ捨てたユニフォームに手をかけ、グラウンド上を歩いて外に向かう。

 

「おっと! 神向までもが、帝国学園を前にして敵前逃亡か!?」

 

 ……へっ。

 馬鹿言うなよ角馬、むしろ逆だ。

 帝国に勝つためにやるんだよ。

 

「豪炎寺、これを着てくれ。頼む」

 

 俺は豪炎寺にユニフォームを差し出す。

 だが、

 

「……俺はもう、サッカーはしないと決めたんだ」

 

 豪炎寺はこれを断る。

 しかし彼の両手は拳を握っていた。

 

「ああ、円堂から聞いたよ。何度誘っても断り続けられるって。……だが、サッカー好きなんだろ! だからお前はこの試合を見続けてるんじゃないのか!? そんなんでお前は自分の大切な人に顔向け出来るのかよ!」

 

「!? ……お前」

 

 ……しまった別に夕香ちゃんの事を言ったつもりじゃないんだけど。

 

 この重要な局面でそんな事を考えたのがいけなかったのか、俺の体からは急激に力が抜けていった。

 

 あ、これダメだ。

 もう倒れるの決定だな。

 すまん円堂、最後までこの試合はお前と立ってたいと思ってたんだけどな。

 

 自分の力の無さを呪う俺の体はそのまま地面に倒れ込むかと思ったが、俺の体は何かに支えられた。

 

「……豪炎寺?」

 

 俺の体を支えてくれたのは、豪炎寺だった。

 そして、彼の手には俺が手渡そうとしていたユニフォームがしっかりと握られている。

 

「今回だけだ」

 

 豪炎寺はそう言って俺をグラウンド上に運んでくれる。

 今回だけ、彼はそう言ったが、俺は知っているし、知らなかったとしてもおそらく直感で分かる。

 お前はこれからもサッカーをする。

 だからお前は今、笑ってるんだろう? 豪炎寺。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 突如雷門中グラウンドに大司を支えて登場した彼に、角馬の実況が響く。

 

「おお! 彼はもしや! 昨年のFF(フットボールフロンティア)で1年生ながら、その強烈なシュートで一躍ヒーローとなった。豪炎寺(ごうえんじ)修也(しゅうや)! その豪炎寺くんがなんと雷門ユニフォームを着て、傷だらけの神向くんを支えながら我らの前に姿を現した」

 

 豪炎寺の登場を待っていたように鬼道は笑う。

 

「待ちなさい! 君はうちのメンバーでは」

 

 だが、豪炎寺の途中参加を認めないように審判と雷門中学サッカー部の顧問である冬海が走ってくるが、これを鬼道が止めた。

 

「いいですよ。俺達は」

 

「……そ、それでは。帝国学園が承認したため、選手交替を認める!」

 

「豪炎寺! やっぱり来てくれたか! あっ!」

 

 豪炎寺の登場に感極まった円堂。

 だが、円堂の体にもダメージは溜まっており、彼も体勢を崩す。

 

「大丈夫か!?」

 

「円堂…」

 

「遅すぎるぜ、お前…」

 

 円堂が言うと、豪炎寺は笑った。

 その横で神向も同じように笑っている。

 そして、メガネと選手交替で豪炎寺が入る。

 

「我らの目的はこれからだ」

 

「なるほど、奴が狙いか」

 

 そんな彼らの横では鬼道と辺見が笑いながら話し合う。

 

 そして、遂に最後のホイッスルが鳴り響き、再び帝国学園のデスゾーンが放たれる。

 

『デス……ゾーン!!!』

 

「よし!」

 

 だが、豪炎寺はデスゾーンとは反対に帝国学園へと攻め込んだ。

 それを帝国学園のメンバーも、雷門のメンバーも驚いていた。

 たった、二人を除いて。

 

「アイツ、俺を信じて走ってるんだ。俺が止めるって!」

 

「豪炎寺の奴、俺から必ずパスが来るって信じてんだな。ったく、本当にボロボロの人を扱ってくれるぜ!」

 

 神向は自分の体を奮い起たせる。

 そして彼は見た。

 円堂の体からオーラが溢れだし、そのオーラが巨大な手の形を成して帝国のデスゾーンをガッチリと受け止めた。

 

「円堂ぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」

 

「おおっ、頼むぜ神向!」

 

 デスゾーンを受け止めた円堂から神向へ。

 そして神向は最後の力でボールを蹴り上げた。

 帝国学園のゴール前まで迫っている豪炎寺の元へと。

 

 神向からのパスを待っていた豪炎寺は飛び上がる。

 回転しながらボールに迫る彼の足から炎が燃え上がり、その足で彼はボールを帝国ゴールへと蹴り出した。

 

『ファイアトルネード!』

 

 豪炎寺の必殺技、ファイアトルネードは源田が防ごうとした方とは真逆の方向に向かい、ゴールに入った。

 そしてその後、帝国学園から試合を棄権するとの申し出があり、勝負は円堂たち雷門中の勝利で終わった。

 

「……あれから40年。久しぶりに見せてもらったぞ、伝説のゴッドハンド」

 

 そして、円堂たちの試合を遠くから見ていたコートの男はそう呟いてその場を去る。

 

 円堂守と神向大司。

 この二人のメンバーから始まった新たな伝説は、ここから動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




詰め込みすぎた感が否めない
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