サッカーやろうぜ! そうしよう!   作:ssgss

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今回は後半に野生中戦を書きました。
さすがにサッカーの試合を世宇子戦まで試合を出さないわけにはいかないですからね。


神向の叱咤! 野生中戦!

 あれからイナズマ落としの特訓は続いた。

 まずは豪炎寺と壁山、それぞれの役割のための特訓。

 豪炎寺は壁山を土台にして不安定な足場からオーバーヘッドキックを繰り出すために二人一組で足場を作ってそこに豪炎寺が乗る。その豪炎寺を上に跳ね上げ、豪炎寺はそこでオーバーヘッドキックをするというもの。

 壁山は豪炎寺の土台として単純に高く跳ぶ特訓だが、壁山だけにツラい思いはさせられないと円堂は壁山に付きっきりである。

 

「風丸、染岡。どっちか俺と交代しろ。二人とも腕を痛め過ぎだ」

 

「俺なら大丈夫だ。神向こそもう少し休んでろ」

 

「ああ、お前が一番腕を痛めてんだ。俺達なら心配すんな」

 

 そう言って風丸と染岡は交代しようとしない。

 そして豪炎寺もまた、何度も失敗して地面に背中を打ち付けている筈なのに一向に止めようとしなかった。

 それから数時間、もう陽も落ちて辺りは暗くなっている頃にようやく豪炎寺と壁山、それぞれの特訓が上手くいったところでその日は終わった。

 大丈夫。豪炎寺と壁山なら必ずイナズマ落としを完成させる。これは原作知識とかじゃなく、あいつらに対しての俺からの信頼だ。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 そこからまたしばらく時は流れ、野生中との試合は明日に迫っていた。

 今度の特訓はいよいよ豪炎寺が壁山を土台にしてイナズマ落としを撃つ特訓。

 ……の筈だったんだが。

 

「高いところが怖い…?」

 

「はいっス」

 

「そういうことは先に言っとけよ」

 

 壁山のあまりのカミングアウトに普段はあまり喋らない影野でさえ普通に喋っている。

 そう、このイナズマ落とし最大の難所は壁山の高所恐怖症だ。壁山のそれは公園にあるジャングルジムの少し上がったところでさえ怖がるほどのものだ。

 その後も、木野が壁山に下を見なければいいと教えるも壁山はどうしても下を見てしまうことで上手くいかずに特訓が終わってしまった。

 

「壁山。ちょっといいか?」

 

「神向先輩…?」

 

 そしてその日の放課後。

 俺は壁山を呼び止めた。

 円堂は個別特訓で壁山を励ました。

 なら、今度は俺が壁山に攻略法を教える番だ。

 

「すいませんっス…。俺、どうしても下を見ちゃって…」

 

「気にするなよ壁山。誰にだって怖いものはある。それは恥ずかしがることじゃないし、謝ることでもない」

 

「神向先輩」

 

「兄ちゃーーん!」

 

 俺が壁山とそんな話をしていると、遠くから一人の男の子が呼んできた。

 

「サク! お前、どうしてここに!?」

 

「友達と遊んでたんだ。ねえ兄ちゃん! 明日からFFの地区予選だよね」

 

「あ、ああ…」

 

「帝国に勝ったんだから今度も楽勝だよね!」

 

「と、当然だろ!」

 

「壁山。お前の弟か?」

 

 俺は壁山に聞く。

 まあ、この男の子が壁山の弟って言うのは知ってるんだがな。

 

「おいお前! 兄ちゃんに偉そうな口を利くな! 兄ちゃんは凄いんだ! お前なんか足元にも及ばないくらい凄いんだぞ!」

 

 壁山の弟は俺に指を指しながら言う。

 そういえば、壁山は弟に大して凄く大きく出てるんだったな。

 

「さ、サク! 兄ちゃんはまだこいつと話があるから。先に家に帰ってろ!」

 

「はーい。じゃあね兄ちゃん」

 

 壁山の弟はそう言ってその場を離れていく。

 そしてサクくんが見えなくなったところで、

 

「神向先輩! ホントにすいませんっスー!!」

 

 すぐさま俺に頭を下げてきた。

 

「気にするなって。それより弟にいいとこ見せるためにも、完成させないとな。イナズマ落とし」

 

 俺が言うと壁山は少し黙った後、静かにこう言った。

 

「神向先輩。キャプテンに言って、俺の代わりに豪炎寺さんとイナズマ落としをしてくださいっス」

 

「何だと…?」

 

「俺なんかより、神向先輩の方が絶対に上手く行くっス。俺みたいな奴は、大人しくしてた方が…」

 

「壁山!」

 

 俺は自分でもどこから声を出したのか分からないほどの声で叫んでいた。そしてそんな俺の声に驚いたのか壁山はその場で直立する。

 だが、これだけは言っとかなきゃならねえ!

 

「さっき俺は、怖いものは誰にだってあるから謝ることじゃないと言った! だが! 今のお前の言葉は、お前を信じている円堂や豪炎寺、雷門イレブンの皆を裏切るってことだ! それだけは絶対に許さないぞ!」

 

「…っ! ……神向先輩。俺…」

 

 壁山がその時何を思ったのかは俺も分からない。

 だが、ただの直感でしかないが、もう問題は無いだろうと思った。

 

「それじゃ、頑張る後輩に先輩から一言教えてやる。どうしても下を見ちまうなら、下なんか見れない状態になればいいのかもな。じゃ、明日の野生中戦。ビビってトイレになんか行くなよ」

 

 そうして俺は壁山と別れた。

 大丈夫だ。あの目をした壁山なら、きっとこのヒントだけで思い浮かぶはず。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 神向が壁山を叱咤した翌日。

 FF地区予選の1回戦の日、円堂率いる雷門中は野生中を訪れる。

 野生中は森林の囲まれた場所にある学校であり、回りからは野鳥の鳴き声が響き渡っている。

 

「ここが、野生中…?」

 

「そうだな。間違いない野生って名前にもピッタリじゃねえか」

 

 困惑する円堂とは対照的に神向はまったく動じていなかった。……敵地であるのだから少しは緊張感を持ってほしいものである。

 

「そんで、向こうでうちの理事長代理が乗ってきた。リムジンに群がってるのが、俺達の対戦相手」

 

 神向が指差す方に皆が目を向ける。

 そこには彼の言う通り野生中のユニフォームを来たメンバーが夏未の乗ってきたリムジンを物珍しそうに見ていた。

 いや、というか乗ったりボンネットを上げたりしていた。

 

「こんなのに絶対負けられないな」

 

 それを見た染岡が言うと、他のメンバーも同調する。

 そしてついに、雷門中のFF地区予選1回戦が始まる。

 

「さあ! 雷門中と野生中によるFF地区予選1回戦! 実況は私、角馬桂太でお送りします」

 

「(角馬の奴頑張るなぁ…。こんなところまで付いてきたのか)」

 

 実況をする角馬に対して神向はそう思っていた。

 彼の中には野生中に対する不安などなく、自分の今日の役割を決めていた。

 

 そして今日の雷門中の布陣はこれだった。

 

FW   壁山  豪炎寺

 

MF マックス 神向 半田 風丸

 

DF 栗松 宍戸 影野 土門

 

GK     円堂

 

 これは神向が決めたフォーメーションである。

 もちろんこのフォーメーションには不満が出た。

 まず第一に、

 

「どうして俺がベンチスタートなんだよ神向!?」

 

 染岡が神向を問い詰める。

 その勢いはまるで今にも神向を殴り飛ばさんとする程であった。

 

「今回の目的はイナズマ落としだ。そのために壁山には前線で戦ってもらわなくちゃならない。それに土門を入れる理由は、あいつの力量を試すためだ」

 

「けどよ…!」

 

「染岡さん。ここは、俺に任せてほしいっス!」

 

「っ! 壁山…?」

 

 染岡を止めたのは、まさかの壁山だった。

 いつもの彼ならそんなことはしないと分かっている雷門メンバーからしたら彼がそうしたことは驚きでしかなかった。

 

「俺が必ず豪炎寺さんとイナズマ落としを決めてみせるっス。だから任せてください!」

 

「壁山…」

 

「まさか、お前がそこまで言うとはな。昨日何かあったか?」

 

「ちょ、ちょっと色々あったっス」

 

 豪炎寺に胸を叩かれる壁山は神向を見る。

 そして神向はある方向に指を指し、壁山がそこを見るとその場所には壁山の弟サクとその友達が雷門中の応援に来ているのが見えた。

 

「(サクも応援に来てくれた。神向先輩やキャプテンはこんな俺を見捨てずに励ましたり、一緒になって苦しんでくれた。他の皆も俺を信じてくれた。だからこれだけは! 皆を裏切ることだけは出来ないっス!)」

 

 そして試合は野生中キックオフで始まった。

 

「さあついに試合開始! 野生中FW、水前寺が上がる! 早い早い! 水前寺一気に雷門サイドに駆け上がったぁ!」

 

「ふっ!」

 

 水前寺はゴール前で高くセンタリングを上げる。

 そしてそこには既に大鷲が合わせている。

 

「来いっ!」

 

『コンドル…ダーイブ!』

 

「止める!」

 

 円堂はコンドルダイブに合わせて動くが、直前で五利が動いた。

 

『ターザンキーック!』

 

 五利のターザンキックでボールのコースが変わる。

 一瞬戸惑う円堂だが、すぐに反応する。

 

『熱血パンチ!』

 

 熱血パンチにより円堂は野生中からの攻撃をクリア。

 そのままボールは雷門サイドへと渡る。

 

「半田! パスだ!」

 

「神向! 頼んだ!」

 

 半田から神向へとパスが渡る。

 そのまま神向は上空に向けて高くパスを出す。

 だがその高さは豪炎寺のファイアトルネードをもってしても届かないほどである。

 

「いけぇぇぇぇぇーーーー!!! 豪炎寺! 壁山!」

 

「行くぞ、壁山」

 

「はいっス!」

 

 豪炎寺と壁山が跳び上がる。

 

「おおーっと! これは豪炎寺と壁山による新たなシュートか!? だが野生中鶏井も上がっている。これは高さ勝負だ!」

 

【下なんか見れない状態になればいいのかもな】

 

 壁山はその最中、昨日神向から言われたことを思い出していた。

 

「(神向先輩…、あれは俺にヒントをくれてたんスよね。下を見ない体勢なら問題ないって。だから、これが俺の!)」

 

【イナズマ落としぃぃぃぃ!!!!】

 

 豪炎寺が仰向けになる壁山の腹を土台にしてさらに高く飛び上がり、鶏井を越す。そして、そこから繰り出されたイナズマ落としはまさに稲妻が落ちるほどの早さで野生中ゴールに突き刺さった。

 

「ゴォォォォォォォル!! 雷門の新たな必殺シュート、イナズマ落としにより雷門が先取点をもぎ取りました!」

 

「壁山ぁぁぁぁ!!!! ついにやったな!」

 

「ふっ、まさか腹とはな。誰にも真似できないお前だけのイナズマ落とし!」

 

「はいっス!」

 

 壁山がもう一度神向を見た時、彼は壁山に笑顔でグーサインを向けていた。

 そしてその試合、雷門は野生中に3-0で雷門中が勝利した。

 

 

 

 

 

 

 




アニメよりも点差は激しくなっていますが、後半にイナズマ落としを完成させたのと、最初からイナズマ落としを完成させたことによる差だと思ってください。

ちなみに、今回のフォーメーションは神向くんが考えたとありますが、彼には指揮能力はありません。
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