生まれ変わって調整体魔法師   作:アマノハブキ

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本日少し短めです


第13話

 

 

 

 

 

 

「以上が剣道部の新歓演舞中に剣術部が乱入して来た事件の顛末です」

 

達也の胸ポケットに仕込まれたレコーダー内に収められたデータ、それを踏まえた達也の目撃と体験、私が乱入……援護に入った後の話をこの学校を代表する三名の生徒に二人で説明した。

 

「それにしても、二人だったとはいえ十人以上を相手にして怪我なしって……」

 

「正確には十四人か。あの九重先生のお弟子というのならわかるが、アインツベルン がそこまで動けるとは。はっきり言って意外だったぞ」

 

すでに見知った人である生徒会会長の七草真由美と、達也の所属する風紀委員委員長の渡辺摩利。

二人は純粋に私と達也の腕に驚いていたらしい。摩利も言っていた通り、私が近接戦であんなに戦えるのが余程想定外の事らしく、私の行動が丸々記録されている達也のレコーダー内の映像を何度も見返していた。

 

しかし、あんなの余裕だぞ。ただの近接戦なら私のメイドのセラとリズの方が圧倒的に強い。洗練された技術のセラ、圧倒的パワーでゴリ押しのリズ。それぞれ近接戦において最も重要とされる要素だ。

 

まぁ、近接戦だけであって何でもありなら確実に私が勝てるのだが……。

 

あの二人に比べたら剣術部の連中なんて何ともなかったぞ。

 

そして最後の一人。同じく三年生の男子生徒。今回の問題でも大いに協力してくれた部活連の長、部活連会頭という役職を務めている十文字克人。姓に『十』を持つ数字付きの名門、十文字家の総領。

 

 

この日本では、苗字に数字を持つ一族のなかでも抜きんでて秀でて居る者たち。この日本という国の魔法師の頂点に立つ一族のことを『十師族』と呼ぶらしい。

 

最強の魔法師が十師族という枠にあてはめられ、お互いをけん制しあっていることにより、一般の魔法師の暴走を予防するという抑止力的な役割も果たしているとのことだ。

 

十師族当主の名は日本の魔法師にとって一般常識なのだそうだ。

 

 

おそらく180以上はあるだろうと思われる巨躯。制服からでもわかるような筋肉、広い肩幅。そして全身から放たれるオーラ。流石この魔法科高校の三巨頭の一人に数えられるだけはある。克人と初めて会ったのは勧誘期間入る前の生徒会本部と部活連との顔合わせの時だ。

 

 

 

ちなみに全くの余談だが、初めて克人に会った時に思い浮かんだ感想といえば

 

(劣化版バーサーカー……)

 

であったことを述べておく。

 

 

 

そして、楽しそうにしていた真由美と摩利も意識を切り替えて改めて報告した。

 

私が登場する前までのことを達也が、その後のことも達也が話していたが、ところどころ私が注釈するという形で進んでいった。

 

そういえば、『訴追は摘発したものに判断をゆだねる』という記述が生徒手帳の生徒規約に書いてあった気がするが。

 

「桐原先輩は鎖骨が折れていましたので、保健委員に引き渡しました。とはいえ、学校在中の魔法師によるその場での治療が可能なレベルの怪我でしたが……保健室で非を認めているようでしたのでこれ以上の措置は必要ないと判断しましたが、どうでしょうか」

 

まぁ、私たちに実害が出たわけでもないし。優秀であるならばここで芽を摘んでしまうのもマイナスになってしまうか。

 

「ふむ……いいだろう。規約にもある通り摘発した本人にその意思があるならそれ以上の行動は必要ない」

 

摩利は、達也の言葉にうなずくと克人へ目を向ける。

 

「というわけだ。風紀委員会としては、今回の件を懲罰委員会に持ち込むつもりはない」

 

「そう言ってもらえると助かる。あんな場所で危険な魔法である『高周波ブレード』を使用したのだ。当然停学処分にされても仕方がないだろう。それは本人がよくわかっているだろう。私からもよく言っておく」

 

克人が頭を下げ、摩利も軽く頷く。

 

しかし、私が登場する前までそんなことが起きていたのか。高周波ブレードって、対象を超高周波で振動させ切れ味がとんでもない代物ができるっていう魔法。確かに一般人にとっては脅威になるのか。

 

まぁ、私ほどになるとその魔法に干渉して逆に制御してしまえるので問題ない。

 

その後、事後処理について真由美・摩利・克人との三人と一緒に話を詰める。適当に話がまとまったところで、達也が退出の意思を示したので、それに便乗する形で部屋から退出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかしあんなに動けるとは思ってなかった」

 

「そうかしら?護身術は淑女の嗜みなのよ」

 

セラとリズに仕込まれた近接戦闘技術だ。あんな程度なら負けるはずがない。

 

「俺は師匠に教わったが、イリヤはどこでその技術を?」

 

「私の世話係から教わったのよ」

 

「そうか…………しかし、イリヤはなんであんな大立ち回りを?」

 

「…………別に……目立ちたかっただけよ、何か文句ある?」

 

「いいや、別に何もないさ」

 

くそう、やっぱそうなるのか。相変わらずこの男は……そういうとこだぞ。多分この男のこういう性格は無意識的なものなんだろう。だからこそなおたちが悪い。

 

そう軽口を叩きながら部活連の本部がある棟を達也とともに出る。

するとそこには学校に数少ない顔見知りが揃っていた。

 

「あ、おつかれ~」

 

「お兄様」

 

真っ先に声をかけたエリカに、達也の方に真っ先に駆けていく深雪。そのほかには美月とレオが後ろにバッグを抱えて立っていた。

 

すぐさま達也と深雪の間に形容しがたいフィールドが形成されていく。その様ははっきり言って家族間のものというよりかは恋人のそれに近いように見えた。

 

「兄妹だと分かっちゃいるんだけどなぁ……」

 

「何だか、とっても絵になってますよね……」

 

気恥ずかし気に視線を逸らすレオに、顔を赤らめながら食い入るように達也と深雪を見る美月。そんなレオと美月を白い目で見るエリカ。

 

「あなた達はあの二人に何を求めているのかなぁ?」

 

「そうね……まぁそんなことを考えてしまうのもわからなくわないけれど」

 

若干演技臭い動きを混ぜながら話すエリカに賛同する。確かに普通に兄妹として生活していたらあんな空気には『絶対に』ならない。

 

焦って弁明する二人を見ながら改めて司波兄妹を見る。

近すぎる距離からうっとりとした目で達也を見上げる深雪。そのおねだりに応えるようにやさしい手つきで深雪の頭をなでる達也。二人の目線はそれぞれ互いの瞳にしっかり固定されていた。

 

 

あ、一通り終わったぽいな。

 

 

「すまないな、待っていてくれたのか」

 

話を聞くと、二人ともクラブ見学や用事がちょうど終わったとこだったらしい。

 

「こんな時間だし、どこか軽く食べに行かないか?一人千円までならおごるぞ」

 

そして、達也は意外にも心遣いを無下にすることはできない男らしく、学生にしてはあり得ない対応となった。

 

この誘いを蹴れるものなどこの中には一人もいなかった。

 

 

 

ただで食べる飯ほど美味しいものはないしな。

 

 

 






いつもありがとうございます。

もしよろしければコメント・評価よろしくお願いします。



これからも本作をよろしくお願いします。


では

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