これからもよろしければお願いします。
事情を知ってる方は申し訳ねぇ……笑ってくれ(主に感想欄で指摘してくれた方々)
どうせなので1000円ぎりぎりになるようにいろいろ頼んでやった。1000円もあればコーヒーに食べ物二種類くらいまで行ける。お釣りの桁が一桁になるように気合い入れて選んだ。
喫茶店の席についてみんなの頼んだものがそろうと、各々が体験した学校での話を披露し始めた。
入部したクラブのことや勧誘の時に受けた被害、その他この数日間で得た情報などがお題に上がった。なかでも闘技場での一件はすでに学校中に噂として広まっているらしく、話は自然と達也と私の活劇へと移っていった。
「しっかし、その桐原とかいう先輩は高周波ブレード使ってたんだろ?あんな危険な魔法に
よく怪我もなしに……」
「致死性があるって言っても、射程距離も狭い範囲だしあの魔法はよく切れる刃物と変わらないからな。そこまで対処が厳しいわけじゃない」
達也にとってはそうでもないことだったとしても、世間一般の考えではそうではない。自分ではそうは思わないことで何度も褒められてやや辟易とした表情を浮かべていた。
「でも、真剣を素手で対処したのとおんなじってことですよね?危なくなかったんですか?」
「美月、お兄様なら心配ないわよ」
そう言う深雪の表情には揺らぎようのない自信が浮かんでいた。
武道として、剣の技を修めているエリカからも桐原の腕は決して鈍らではなかったとの指摘を受けたのにもかかわらず、深雪の表情は変わらなかった。
あいにく私は桐原対達也の戦いを生で見たわけではないのでコメントのしようがなかった。ただまぁ、あの大人数を相手にしているにもかかわらず、周囲を把握して、私のやりたいことについて考察する余裕があるのであれば、深雪がそこまでに信頼を置くのもわからなくはない。
しかし、これ以上深雪ののろけ話を聞くのもうんざりなので、話題を逸らすことにした。
「たしかにその技量には驚くべきところがあるけれど、私としては高周波ブレードを無力化した手段について聞きたいわ」
そういえば、たしかにといった風に自然な動きで違う話へと移れた。
するとまたも深雪が達也に代わって丁寧に教えてくれた。
「魔法式の無効化はお兄様の十八番なの」
どうやら情報強化でも領域干渉でもないらしい。でも、そんなものは私自身知らないし初耳だ。達也の説明によるとそれはキャスト・ジャミングというものらしい。しかし、キャスト・ジャミング自体は魔法式に働きかける妨害魔法全般のことを指す言葉だったはずだ。
「お兄様のそれは学校でやるようなものではないもの」
「でも、それって特殊な鉱石が必要なんじゃなかった?」
「アンティナイトね」
美月が言った言葉に補足する形で言葉を添える。
そう、そのキャスト・ジャミングにはアンティナイトという希少な鉱石が必要なのだ。キャスト・ジャミングをするには条件を満たすサイオン波を作り出すのに必要であり、その条件を満たすサイオン波を作り出す物質として知られているのがアンティナイトなのだ。
実際アンティナイトなしでもキャスト・ジャミングはできるが、それは理論上の話であり実際は困難であるといわれている。私もできないし。
それもそうだ。キャスト・ジャミングは魔法の阻害技術なのだ。その影響は自分自身にも影響することを考えれば無意識化で拒否反応を起こしてしまうのだ。
そもそもアンティナイトは軍需物資であり民間人が手にすることはできない。一応、私はドイツの魔法師界隈のなかでも頂点に立つ女だ。いちおうドイツの家の貯蔵庫にはアンティナイトが置いてあるが、私はサイオン量が常人の十数倍なので魔法式に直接干渉して破壊したり止めたりすることもできる。
しかし、達也が言うには、厳密にはキャスト・ジャミングではないらしい。
「編み出したというか、偶然発見したという方が正確かな。二つのCADを同時に使用すると、互いに干渉しあってほとんどの場合で魔法が発生しないだろ」
理解した。要は、二種類のCADを用いて特定のサイオン波を発生させると、魔法式から魔法を発動させるまでの進行をある程度妨害できるという寸法か。
なるほど、アンティナイトを使わずに魔法の使用を阻止できるとなれば、軍事利用目的でまぁ大変なことになるだろうな。アンティナイトは採掘量も極小だし、それ故に法外な値段でやり取りされているからな。達也が大声で言いたくないのもうなずける。
これが広まったら社会基盤が揺らぎかねんぞ。
聞きたいことも聞けたし、もくもくとケーキを食べていたが、ほかの方々もそういった結論に至ったようだ。
流石は一校生。
「ただいまー」
「おかえりなさいませイリヤ様」
言いつけておいた通り、あれ以来外国産の高級車でお迎えに来ることはなくなった。
普通の学生らしく過ごせて大変満足だ。
カバンをセラに預け、リビングにでる。セラからコップ一杯の水を受け取ると一息で飲み干して小さくため息をついた。
日本に来てわずかな時間しかたっていないが、かなり濃厚な時間を過ごせた。同時になれない環境に置かれているため、疲労も大分たまってきた。ここらで派手にストレスの発散でもしたいものだが。
ふと見渡すと、いつもならリビングのソファーにいるはずのリズが見当たらなかった。
「あれ、リズは?」
「はい、いくつか怪しい情報が回ってきたので調査に行かせました。もうしばらくしたら帰ってくるとおもいますが……」
そう、と返事したその直後、二階の窓が開く音が響いた。
「ちょうど帰ってきたみたいね」
「そのようですね。夕飯の準備をしますね」
「ええ」
数時間前まで達也たちと一緒にカフェで甘いものを食べていたが、意外とまだまだ余裕はありそうだ。それにセラは私が色々な料理を食べたいということを踏まえて毎日必ず違う料理を用意してくれるのでこの食事の時間が楽しみの一つなのだ。
自室に戻り部屋着に着替える。
夕食まで時間があるのでこの時間にCADを点検してしまおう。
部屋におかれたクローゼットと同等の大きさの機械のコンソール部分前に座る。流体上のアイリスを容器に入れて機械にセットする。この機械は私が考案した原子レベルの刻印を施したり、点検ができたりする代物だ。ちなみにこれも私が作ったものだ。
ここ最近点検できてなかったし、部活動勧誘期間で大分酷使したので一度リセットしておかないといけない。
少し傷ついていたが、問題になるほどではない。この耐久値、流石私だ。
この点検でもう少し時間を使う予定だったが、想像以上に早く終わってしまった。
その後、半分趣味で作っていたバーサーカーのデータを覗いて時間をつぶしていたら、夕食の時間になった。
私、セラとリズの三人でテーブルを囲む。
「で、なんかあったの?」
今日は和食だった。前々から食べたいと言っていたら、セラが猛勉強して習得してくれたのだ。今日はサバの味噌煮だ。白米とみそ汁付きだ。
イリヤの質問にセラが淡々と答える。
「はい。イリヤ様の通ってらっしゃる第一高校に干渉している組織の存在を認知しましたので、今日リズに所在の確認と詳細について実際に確認させていました」
「へー」
「組織の名は『ブランシュ』。日本に存在している反魔法国際政治団体の一つです。実際に第一高校で活動しているのは『エガリテ』という組織ですね」
「今日ブランシュ?の拠点見てきた。しょぼかった」
「拠点の座標はこちらになりますね。警備システムについてもまったく対策が取られていません。ただの廃墟に居座っているだけのようです」
リズの感覚的な感想に、セラはその感想に詳細を添えタブレットに位置座標を表示させた状態でイリヤに手渡す。
なるほど、これなら片手間のシステム操作ですべてのシステムを掌握できるくらいの脆さだ。
それに私の充実したキャンパス・ライフが侵される可能性があると考えれば、ここらで壊滅させておくのがいいかもしれない。
よし決めたぞ。この組織には私のストレス解消に付き合ってもらおう。
どうせエガリテなんて下位組織、学生が主なんだろう。ブランシュありきの組織に違いないので、どっちにしろブランシュを壊滅させれば自然とエガリテも消失するだろう。
やろう
「決めたわ。この組織、消すわ。それに伴って情報操作と隠ぺい作業、いちおう事前に必要な情報の収集をお願い」
「了解しました…………ほらリズも」
「はーい」
いつの間にか食べきっていたお米と味噌煮。最後に味噌汁を飲み切ると箸をおく。
「ごちそうさまでした。じゃあ、例の件よろしく。三日以内に完了させて」
「かしこまりました」
よし、せいぜい私の役に立ってくれよ三下。
いつもありがとうございます。
原作組使ってブランシュつぶす描写がきっついというのと、単純にイリヤの無双が書いてみたかったのでこういう運びとなりました。
よろしければ評価・感想いただけると執筆速度が上がると思います。よろしくお願いします。
早く論文コンペの話書きたい
では