生まれ変わって調整体魔法師   作:アマノハブキ

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今まで2500くらいだったんすか、気づいたらこんなになってました。
切る場所もわからなかったので取り敢えず投稿。


よろしければお付き合いください。

ではでは




第6話

 

 

 

 

 

 

授業を行う先生達が教室に来たり、ディスプレイ越しに挨拶したりなど、一通りオリエンテーションが終了した。他にもカリキュラムのガイダンスや履修科目の選択方法、男女一組のカウンセラーの説明などもあった。

 

この後、直ぐに授業が始まる。と言うわけではなく、残りの2日ほどをかけて新入生は学校の施設や上級生の授業の見学をするのだ。

 

それはなぜか。

 

この二日間の見学という時間は、今まで魔法に触れてこなかった生徒たちの不安を取り除くためだったり、自分の中で思い描いていたものとの差をなるべく縮めるための措置だ。

 

今日はこの各種説明の時間だけで、残りは学校の見学に当てていいとのことだ。

 

(さて、何を見に行こう)

 

今後の予定を考える。中々に難しい。

 

当たり前のことながら私自身、分身などできるはずもない。つまり、行きたい場所が中々多く、時間が足りないということだ。

 

この第一高校ではどれほどの深さまで授業をしているかとか。

ここの設備の充実さとか。

前世ぶり、ひさびさに口にすることになる学生食堂のメニューだったり。

その他には、施設見学ということで闘技場や工房。

あ、遠隔魔法用実習室にも行って見たい。

日本の中でも指折りの実力者、十師族の一つ、七草の長女こと七草真由美の所属するクラスが今日遠隔魔法用実習室、通称射撃場で授業があるというのだ。

 

仕方がないし、見学期間ではこの1日しか見学できないという七草会長の実技演習でも見に行こう。こうして考えてるだけでも時間は無駄に過ぎていく。

 

だとすれば話は早い。

 

端末に接続していたIDカードを引っこ抜くと、そのまま端末の電源も落とす。

 

さぁ、行こう。前世ぶりの高校見学へと!

 

「あのアインツベルンさん」

 

勢いづいたそのときに声をかけられるものだから思わず転びそうになってしまう。しかしこれでも私は淑女。そんな失態、見せるわけにはいかない。

よろけたことを気付かれないように努めながら、声の方へと振り返ると、そこには先程私に話しかけてくれた明るい女性、光井ほのかさんと私のファンだと言ってくれた北山雫さん。声をかけてくれたのはほのかだったようだ。

 

「どうしたの?」

「えっとね。もしよかったら見学、一緒に行かない?」

 

しかし、これは嬉しい事だ。一人でも全く問題ないが、この高校で三年間生活するわけだ。友人の一人や二人ほどは欲しいと考えていたところだ。しかも、こんなビッグネーム(自分で言うのもアレだが)に声をかけるのは勇気もいるだろうに。ほんと、こういった人は尊敬する。

 

「ええ、そう言っていただけると嬉しいわ」

「ありがとう、アインツベルン さん!」

「ありがとうございます!!」

 

ほのかと雫が嬉しそうにそう返した。

 

友人……そうだ!

 

「アインツベルン さんだなんてそんな他人行儀じゃなくってもいいわ。イリヤって呼んで。もう私たち、友達でしょ?」

「うん、イリヤさん!!」

「――――――」

 

ほのかは驚いたような表情を一瞬浮かべたのち、嬉しそうに破顔させて手を握ってきた。はじめての友達だ、私も嬉しくなって笑う。

そういえば、雫はどうしたんだろう?

そう思って見てみれば

 

「私が……アインツベルン さんと?友達?……イリヤって…………あ……」

 

オリエンテーション前に話した時とは数倍、いや比にならないほど顔を赤く染めて目を回していた。

 

「ちょっと雫!大丈夫?」

「ちょっと……む、り……」

 

そう言うと、気を失い倒れてしまう。すんでのところでほのかが支えに入ったが、危なかった。

 

「ふふ……」

 

なんだか楽しい高校生活になりそうな予感がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おかしい。というか下らなすぎる。たまたま居合わせたというので巻き込まれてしまったこの状況に思わずため息が出てしまう。

 

「いい加減諦めたらどうなんですか?深雪さんは、お兄さんと一緒に帰ると言っているんです。

他人が口を挟む事じゃないでしょう!」

 

眼鏡をかけた二科生の女生徒が、一科生に食ってかかっていた。

 

 

 

事の発端はこうだ。

 

新入生の総代を務めていた同じA組の司波深雪という女生徒がいる。今回の問題となったのはその総代さまとお近づきになりたい、仲良くしたいと思っている一科生のグループだ。

 

まず最初、ことは七草会長の演習が見れるという遠隔魔法用演習室、通称『射撃場』で起こった。私とほのかと雫は運良く、射撃場の中央あたりに座れた。会長の腕はどんなものか、そんな話をしていたところで件の一科生のグループが射撃場に入ってきた。あいにく、人気だったためか、あっという間に席が埋まってしまい座れる場所など疾うになかった。そんな中彼らが目をつけたのは、最前列に座っていた二科生のグループだった。

 

「二科生の落ちこぼれがここに居るのはおかしい。ここは優れている一科生に譲れ」

 

そんなことを言いながら一科生のグループの代表のような生徒は二科生に突っかかった。幸いなことに、多少騒がしくなったが、七草会長の鶴の一声で一科生が舌打ちとともに二科生を睨みつけながら射撃場を後にするという形でその場は収まった。

 

もちろん件の二科生は悪い意味で目立っていた。

 

 

 

そういえば、同じ声を食堂でも聞いた。

懐かしの日本食。ご飯に味噌汁、おかずには鮭の塩焼きと漬物という完璧な組み合わせに舌鼓を打っている最中のことだったか。

ドイツでは、そんなものにありつけるはずもなく、十数年ぶりに口にする日本食への喜びを訳の分からない言い争いで邪魔されたことに僅かながら怒りを覚えた。

 

 

 

そして今に至る。

 

一科生(深雪)の近くに居続ける二科生に、我慢ができなくなったのか、深雪の後についてきていたA組のクラスメイトが、会話の流れから察するに、兄である男子生徒を含む二科生に難癖をつけ、言い合いになってしまった。

 

一科生というのと、たまたま立ち位置が一科生グループと重なってしまったというのもあり、まるで私もこの低レベルな集団とカウントされているようで、うんざりだ。

 

先程放った正論の下、黙りこくってしまった一科生に追撃を加える眼鏡の女生徒。

 

「別に深雪さんはあなたたちを邪魔者扱いなんてしてないじゃないですか!一緒に帰りたいなら、ついて来ればいいんです。なんの権利があって二人の仲を引き裂こうとするんですか!?」

するんですか!?」

 

しかし、今の言葉を聞いてなぜ顔を赤らめる司波深雪よ。

 

「僕たちは彼女に相談することがあるんだ!」

「そうよ!司波さんには悪いけど、少し時間を貸してもらうだけなんだから!」

 

おいおい一科生の男子その一と女子その二。その言葉のセレクトは秒で正論叩きつけられるのが目に見えるだろう。

 

「ハン!そういうのは自活(自治活動)中にやれよ。ちゃんと時間がとってあるだろうが」

「相談だったらあらかじめ本人に同意を取ってからにしたら?深雪の意思を無視して相談もあったものじゃないの。それがルール、高校生になってそんなこともわからないの?」

 

少し日本人離れした大柄な男子がどうどうと、そして赤い髪が目立つ快活そうな女子が小馬鹿にしたような態度ですかさず反論する。

ほれみたことか。ほとんど私の考えていたことを正確に代弁してくれたぞ。

 

「うるさい!他のクラスが、ましてや雑草(ウィード)ごときが僕たち花弁(ブルーム)に口出しするな!」

 

ウィード、か。その言葉は校則で使用禁止になっていたのでは?とつい先刻頭に叩き込んだ校則を思い出しながらため息をつく。

 

筋の通った意見を物怖じせずにしっかりと伝えられる生徒、我儘な考えばかりが先行し訳の分からないことを喚き散らす生徒。これではどちらが優れているかなど自明ではないのだろうか。

 

 

 

「同じ新入生じゃないですか。あなたたちブルームが、今の時点でどれだけ優れているというのですか!?」

 

 

 

決して叫んだわけではないが、眼鏡の女子生徒の言葉は不思議と校庭に響き渡った。

 

(それは言わないほうがいいんじゃないかしら)

 

そんなことを考えていたとき、私が危惧していたことが起きようとしていた。

 

「どれだけ優れているのか……知りたいなら教えてやるぞ」

「ハッ、おもしれぇ!是非とも教えてもらおうじゃねぇか!」

 

まさに売りことばに買いことば。こんなに模範的な例が見れるとは。

 

「だったら教えてやる!」

 

 

 

とても見てられない。幼稚すぎやしないだろうか?

 

魔法というものが世に出回ってから、というのだろうか。魔法は別にCADがなければ発動できないというわけではない。よって、CADの所持について、事細かに法律が決まっているわけではない。しかし、安全のため、魔法の使用については細かく法律が制定されている。

天下の第一高校で生きていく上で守らなければならない法律が守れないというのは流石にマズイだろう。

 

クイックドロウで有名な森崎家の長男だ。携帯しているCADは、内蔵できる魔法式が少ない代わりに、座標を魔法式に入力する作業をサブシステムで肩代わりする事で展開の時間を短くする特化型で間違いないだろう。

その設計上、攻撃に特化した魔法が内蔵されていることの多い特化型ならなおさらダメだ。

 

「っ!」

 

隣を見てみれば、覚悟を決めたような表情を浮かべたほのかが腕輪型の汎用型CADに指を走らせ、魔法式を起動しようとしていた。国々によって魔法式の形式は違う。ドイツの形式ならどういったの魔法なのか、魔法式から読み取れるのだが、形式の違う日本ではそうはいかない。

 

しかし、わかることはある。今ここで魔法を発動すれば、罪が一際重い攻撃魔法と勘違いされかねない。

 

魔法式を展開しようとするその手を遮る。

 

「え?」

「今このタイミングで魔法を使うのはダメよ」

 

そんなことを話していると、件の森崎が懐からCADを取り出そうとする。ホルスターに入っていること、うっすらとブレザーの上から浮かび上がる形から、やはり森崎が抜こうとしているのは特化型だと断定出来る。

 

これは動けるのなら動いた方がいいパターンだ。

 

そのままほのかの返事を待たずに軽やかに駆け出す。対面にいた赤髪の二科生の女生徒も止めに入るために何かを取り出すようだったがこの距離なら私の方が早い。

 

どうやって二人を止めるか。

そうだ、どうせなら少し遊んでも問題はないはずだ。これを機に少し反省してもらおう。

 

私がいつも持ち歩いているCADは三つ。一つはテストプレイも兼ねている特化型の標準システムをくっつけた汎用型デバイス『ナインライブズ』、余程のことがない限り公にしたくない『月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)』。そしてもう一つが今私が使おうとしているものだ。

 

『アイリス』

 

簡単に言って仕舞えば、とても細い貴金属の針金だ。しかしただの針金ではない。ナノという単位の下、術式を幾何学模様化して刻印してあるのだ。そうすることで硬化や弾性変形、伸縮から思い描いた形状にできるなど自分で言うのもアレだが、とんでもない代物だ。

 

刻印魔法自体、刻印にサイオンを流すだけで、刻印された魔法をどんなCADよりも早く発動できると言う利点を持つが、燃費が悪いと言うことで衰退していってしまった。しかし、調整体魔法師の『聖杯シリーズ』の最高傑作である私には関係ない。むしろ燃費の問題さえ解決できればとても便利で探求のしがいがある魔法の分野であると私は考えている。

 

アイリスを取り出し幾何学模様化された魔法式の中から伸縮と弾性を選択し、呼び出す。魔法が発動したことを確認すると、その一端を森崎めがけて飛ばした。

 

針金は森崎の制服の袖を貫通すると、そのままレオの背後に回り一周すると、今度はレオの袖を貫通した。そのまま本人たちが気がつかない程度の距離を飛びながら何重にも回る。

 

Fertig(お終い)!」

 

そう言ってアイリスを思いっきり引っ張る。するとどうだろうか。

 

「ガッ!?」

「ばっ!?」

 

周りを漂っていた針金が一気に収縮しはじめ、二人を縛り付けてしまった。袖も一緒に引っ張られることで、お互いが抱きつきあっているようにしか見えない。

森崎は衝撃のあまりか、特化型のCADを落としてしまった。二人とも、雁字搦めに巻きつけられた針金から抜けようともがくが、腕が相手の背中まで回されているものだからどうしようもない。むしろ抱き合いながらモゾモゾと動いているので、こう何か言葉にしがたい感情が思い浮かぶ。

 

案の定、私と同じく止めに入ろうとしていた女子生徒はゲラゲラと笑っていた。

 

さて、この芋虫sをどうしてやろうか。言葉よりも先に(CAD)が出るとは。二科生のかれは分からないが、名家の森崎家ならその辺のこともわきまえていると思ったのだが。

面倒だしこのまま風紀委員会にでも突き出してやろうかと考えていたそのとき。

 

「やめなさい!自衛目的以外での魔法による対人攻撃は、校則違反である以前に、犯罪行為ですよ!」

 

本校が誇る生徒会長、七草真由美が、生徒会役員だろうか、何人かの生徒を引き連れてこちらへと歩いてきていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 






感想・評価!とても嬉しいです、ありがとうございます!!

多分次からまた文字数が減るかもですが、よろしくお願いします!



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