バカとラヴと召喚獣   作:はち8

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はいどーもこんにちは。
はち8でございます。
挨拶は以上です。本編へどうぞ。


第二話 「今ここに、FFF団設立を宣言するゥゥ――――――――!!!」

空き教室に着き、ドアを開けると、

 

 

「遅いぞぉ! 貴様ぁ!」

 

 

唐突に叱られた。

怒鳴り声を上げたのは、教壇に立っている、人間のようなゴリラの先生。

そう。

鉄人(てつじん)だ。

 

 

「貴様は、今朝の……」

 

 

筋肉がとどまるところの知らない鉄人は、(ちか)を見て言った。

 

へぇ、覚えててくれたのか。

やっぱり、真面目が一番だね。

 

 

「貴様ら、さっさと座れ」

「ええと、いったいどこに?」

「知るか。好きなところだ」

 

 

席すら決まってないのかよ。

と、心の中で毒付くが、愛は思い出した。

自分等には、教室すらないということを。

 

愛は、取り合えず空いている後ろの席に座る。

音羽(おとは)も、愛の隣の席に座った。

 

明久(あきひさ)らは、鉄人の隣で待機している。

 

 

「このクラスの臨時副担任になった西村(にしむら)だ。おれのことは、西村先生と呼べ。いいな? では、端から順に自己紹介を始めろ。お前から」

 

 

そうして、本日二度目の自己紹介が始まった。

Fクラスだから、あまり期待してなかったが、これほどとはな……。

男子密度が、高すぎる。

女子はいないのか、と教室を見回してみる。

すると、ちょうど自己紹介をしているのが、女子だった。

ウェーブの掛かったショートカットの髪の毛を左耳のピアスが見えるように、耳にかけて全体を右側に流している。唇には薄いピンクの口紅。マスカラでまつ毛を、太く長くしている。

背はそんなに高くなく、体のラインもそんなに細くない。

丸っこくて可愛い。そんな印象をうける。

 

 

「えーと、一応このクラスの代表になりました、新井(あらい)樹咲(きさ)です。得意科目は、歴史です。まぁ、堅苦しいのはこの辺で、一年間よろしく!」

 

 

まだ、メアドを貰ってない娘だな。

後でもらお。

えーと、他に女子は?

 

クラスを見渡す。

すると、あと一人だけいた。

その娘は、窓際中央付近にいて、机に突っ伏して寝ていた。

肩のあたりで括ったツインテールに、体つきは寝ているのでよくわからない。

 

しばらく見つめていると、自己紹介がその娘の番になった。

 

 

「おい! 起きろ広松!!」

「ふぇ、? え、わあ、あ、はい!!」

 

 

鉄人に怒鳴られ、慌てて立ち上がる女の子。

 

 

「あたしは、広松(ひろまつ)夜海(よみ)。Fクラスにいるってことで分かると思うけど、かなりバカです。つーより、考えるのが苦手なんだ! 得意なことは身体を動かすこと! 部活動は、ダンス部に入るつもり! 皆、よろしく!!」

 

 

活発系女子か。

よろしい。

脂肪ではなく、筋肉の肉付きがいい。

一部、脂肪だらけのところもあるが…。

オールグリーンだ。むしろ良い。

メアドもらお。

 

 

ふぁああ……。

あとは興味ないな。……寝てよ。

 

そして、夢の中へと移動する愛。

 

 

「うっひょォォ―――――――――――――――――――――!!」

「可愛いィィ―――――――――――――――――――――――!!」

「笠川さんがいれば、他に何もいらない!!」

 

 

……なんだ?

何やら教室が騒がしくなってる。

 

 

「…です、一年間よろしくね!」

「「「はい。よろしくお願いします!!」」」

 

 

野太い声の大合唱。

キモいな。

さて、音羽が終わったから、次は僕か。

 

 

「名前は大浪愛。好きなものは甘いお菓子。嫌いなものは、ゴキブリなどの虫の類。そして―――」

 

 

ここまでは、僕を表面部分を語ったに過ぎない。

僕の本質。

それを語らなければ、真の友情とは生まれないのでは?

学校生活で一番最初のキャラ決めである『自己紹介』。

ここをしくじれば、その後の生活に響いてくる。

――いや、その後の学校生活を決めると言っても過言ではないだろう。

 

そこまで考えて、愛はさらに考える。

ここで自己紹介をやめれば、僕はただのつまらないイケメンで終わるだろう。

だが、そんなのは嫌だ。

僕は、華やかで楽しい学校生活を送りたいんだ。

 

――なら、言うべきだろう。

僕の愛してやまないものを…。

僕の、

愛してやまないものは、

 

 

「愛してやまないものは―――」

 

 

「――可愛い女子だァァ―――――――――――――――――!!!」

 

 

興奮しすぎた。

片足を机の上に乗せ、握りしめた拳を天井に突き上げていた。

チラリと横目で、教室を見る。

 

 

すると。

バッと、いきなり男子全員が立ち上がり、

 

 

「「「可愛い女子だァァ―――――――――――――――――――――――――!!!!!」」」

 

 

片足を机に乗せ、全員が拳を突き上げていた。

その時、みんながこちらを見て、笑っていた。

 

 

「へへっ、イケメンは嫌いだが、お前みたいな奴は好きだぜ」

「女子が好きなのは、男なら当たり前だろ? 皆同類(なかま)だよ」

「ともに女子を愛そうぞ。兄弟!」

 

 

僕は、なんでこんなに涙を流している?

こんなにも嬉しいのに。

 

 

「ああ! きゃうどぁい!!」

 

 

男たちは互いを抱き合った。

その比類無き友情を確かめ合うため。

 

 

その時の女子たちは…

 

 

「あ…………ッ!?」

「キモっ……」

「これが、男の友情ですか!? 素晴らしいです!!」

 

 

絶句。(音羽)

否定。(夜海)

歓喜。(樹咲)

 

反応は様々だった。

そして、明久たちは……。

 

 

「なんか、既視感(デジャヴ)

「お前らの日常だろ」

「失礼なッ!? 僕はあんなバカみたいなことは…」

「なんだよ」

「な、何回かはした……」

 

 

教卓の前で頭を抱えているのは、教師には不必要なほどの筋肉を兼ね備えている男。

鉄人。

思わず、愚痴をこぼしていた。

 

 

「……くそ。なんでFクラスは、こんなにもバカばかりなんだ…!!?」

 

 

理由は、Fクラスだから。

 

 

「お前らぁ!! いい加減にしろ!! 自己紹介が終わったら、次は担任の紹介だ!」

 

 

空気を震わすほどの豪声に、クラスの男子(バカ)は、動きを止める。

 

 

「さっさと席に着けぇ!! ……では、蛇虎(じゃこ)先生どうぞ」

 

 

バカ(男子)が全員席に着いたのを確認したあと、鉄人は一人の先生を呼んだ。

教室の前のドアを開けて、入ってきたのは20代後半の女性。

グレーのレディーススーツを規律正しく着て、髪を後ろで括るだけで、メイクなど少しもしていないのに、健康的な魅力を感じる。

現に、クラスの男子はみな、視線が蛇虎先生に釘付けだ。

 

 

「お、おはようございます」

「「「おはようございまーす!!」」」

 

 

教卓の前で、ホッと胸をなでおろした。

多分、挨拶の返事が返ってきたことで安心しているのだろう。

 

 

「私は、蛇虎明歌(めいか)と言います。今回教員として、担任は初めて…と言いますか、教員一年目なので、ふがいないところもあると思いますが、頑張りますので皆さん、協力してください!!」

「「「はーい!!」」」

 

 

バカの合唱。

見事に声がそろったな。

もちろん、僕も一緒に歌ったよ。

以前なら、蛇虎先生のことは、「ふん、ババァか…」と、一笑に付していたかもしれないが。

今の僕は違う。

 

僕は、師匠に出会ったことで、(まこと)の男というものを知ったんだ。

 

 

 

《真の男》とは、

 

 

「はいはい、生きのいい女売ってるよー!」

「ああ、君。3歳から65歳まで、全部くれ」

 

まず、守備範囲がすごい。

野球でたとえるなら、キャッチャーとライト以外の範囲を一人で守れるようなものだ。

 

 

「はいはい、では、どんなものがお好み?」

「まず、ナース、姉、妹、女医、犬耳、刺青、インテリ、ウサ耳、宇宙人、うなじ、エプロン、お嬢様、大食い、幼な妻、幼馴染、オシャレ下手、お団子ヘア、ドジっ娘、乳、お転婆、男の娘、男勝り、オーバーオール、オレっ娘、音痴、外人、ガーターベルト、下級生、学ラン、着痩せ、カチューシャ、髪ブラ、関西弁、完璧超人、帰国子女、擬人化、傷跡、着ぐるみ、鬼畜、キモウト、着物、競泳水着、教師、家庭教師、巨尻、爆乳、競パン、細目、金髪、クーデレ、癖っ毛、くノ一、くびれ、首輪、車いす、黒髪、黒髪ロング、黒スト、軍服、敬語、ケツみてぇな口、獣人、小悪魔、ゴスロリ、許嫁、ロボット、鎖骨、侍、さらし、OL、サンタ服、三白眼、シスター、下乳、尻尾、地味可愛い、ジャージ、熟女、小学生、先輩、ショートヘア、処女、女子高生、女子中学生、人工知能、素足、スク水、ストッキング、素直クール、……………………、」

 

次に、どんな属性でも受け入れる。

野球でたとえるなら、どのポジションだろうが、一流のレベルでできる。

 

 

「な、なるほど…。ならプレイは?」

「…ふっ。正常位、バック、騎乗○、座○、側○、立○、まんぐ○返し、69、ク○ニ、○股、パイ○リ、オナ○ー、手○ン、手コ○、足○キ、フ○ラ、イマ○チオ、ぶっかけ、飲○、アナルセ○クス、ア○ルフィスト、フィ○トファック、着衣セッ○ス、ハ○撮り、3P、……………………、」

 

最後に、どんなプレイ内容だろうと、全て行える。

野球でたとえるなら、全打席ホームランだ。

 

 

 

「ん?」

 

 

ふと、真の男について考えていたので、師匠の方を何となく見た。

そしたら師匠は、すでに血の海の中で横たえていた。

 

 

「な、なんだと!? ……はっ!」

 

 

愛は見つけた。

否。見つけてしまった。

そして、実感してしまった。

自らと、師との差を。

 

蛇虎先生のスーツのスカートの裾の部分に、小型カメラが付いているのを。

 

 

「さすがです、師匠」

 

 

愛は、自らの未熟さを実感するとともに、師匠であるムッツリーニの行動力と妄想力の高さに、深い感銘を受けていた。

 

性欲の権化である《寡黙なる性識者(ムッツリーニ)》は、事前に蛇虎先生の存在をその情報網の広さで、キャッチしていた。

そして、噂で聞くその可愛さに興味を持ち、蛇虎先生を調べつくした。

その担当クラスを。

始めの顔合わせで使用する場所。

雨の時の使用教室。

 

この教室には、いたるところに隠しカメラが潜んでいる。

だが、ムッツリーニはそんなことでは満足しない。

 

本当は、床に突っ伏しながらも、自らの手でスカートの中を撮りたいと思っていただろう。

 

だが、ムッツリーニはそれを抑え込んだ。

そして、スカートの裾に中を隠し撮りする、小型カメラを仕込むという苦肉の策をとるに至った。

 

だが、事件はそのあとに起こった。

ムッツリーニは、仕込んだ後にそのカメラに、収められているであろう映像を想像してしまった。

 

その結果がこれだ。

 

 

「それじゃ、お前らも挨拶しろ」

 

 

鉄人が明久たちの方を見て言った。

そして、一人ずつ順番に自己紹介をした。

内容は、先程と同じような感じだった。

 

 

「よし、今日は入学式があるのでこれぐらいにする。入学式が終わったら各自解散だ。蛇虎先生どうぞ」

「あ、はい。では皆さん、アリーナへ移動してください」

「「「はーい!!!」」」

 

 

この鉄人との差。

見ててかわいそうになるよな。

やってて心は全然痛まないけど。

 

ゾロゾロと教室から出る。

 

 

(よし、チャンスだ)

 

 

愛は、一斉に動き出した人の波に紛れて、早速仲良くなっている数少ない女子2人に近付く。

 

 

「あ、待ってよ愛!」

 

 

音羽の声がしたが、男共に囲まれて追ってこれないようだ。

ナイスだ、兄弟!

声に出しても聞こえないと思うので、心の中で叫んだ。

 

 

「こんにちは、樹咲さん。夜海さん」

 

 

まずは、挨拶から。

 

 

「えーと、大浪くんだよね?」

「さっきの、男の友情の人ですね! あたし、感動しました!」

 

 

夜海が意味不明なことを言い出した。

か、感動だと?

自分で言うのもなんだが、結構不快なものを見せつけたと思っている。

第一印象は不思議な娘だな。

 

 

「愛でいいよ」

「そう? じゃあ、愛くんで」

「愛さんと、呼ばせて下さい! あの短い時間でクラスの男子全員を、配下にするとは……。私、戦国武将が好きなんです! 愛さんの強さに、惚れました。私とお友達になって下さい!」

 

 

な、なんだこいつは?

いっていることの意味が分からない。

だが、

 

 

「ええ。いいですよ。夜海さんは?」

「うん、あたしもお友達になりたいな。愛くんて、あれでしょ? あの噂の人でしょ?」

「どうやら、そうみたいです。では、メアドを交換しませんか?」

「それならいいよ」

「愛さん。私も」

「おう」

 

 

予想外のことが起きたが、当初の目的であるメアドはゲットだ。

ゆっくり攻略してやる。

全ての可愛い女子に僕の愛を注ぐのだ。

 

 

 

――――――

 

 

 

入学式が始まった。

一年生総勢、約200人を一挙に飲み込んだ体育館は、校舎の真裏にあった。

舞台から見て一番左にAクラス。

そこから順にB、C、D、E、と続き、最後にFクラスが右端を取る。

1クラス2列ずつに並び、愛の隣には男が並んだ。

頭にヘッドフォンをつけ、しきりにリズムを刻んでいる。

多分音楽を聴いているのだろう。

変な奴だ。

愛は素直にそう感じた。

 

そして視線を前に持っていき、これから起こる戦いに備える。

校長の長い――長いお話に。

だが、話をするのは校長ではなかった。

 

 

「…。では、次に、学園長先生のお話です。学園長先生お願いします」

 

 

司会の先生が、良く通る声でそう言った。

舞台に上がってきたのは、今朝の白髪のくそババァだった。

 

 

「…おっほん。アタシが学園長の、藤堂カヲルだ。まぁ、別にあんたらみたいなガキには、覚えてもらわなくて結構さね。アタシのことは学園長と呼びな」

 

 

ひどい挨拶だ。

こんな奴が教師を名乗っていいのか?

 

 

「…ま、そんなことはどうでもいいさね。アタシが言いたいことは一つ。まず―――」

 

 

おい、『まず』って言ったぞ。

一つじゃねぇじゃん。

絶対二つ以上あんじゃん。

 

 

「この学園は、学力がすべてだ。《試験召喚システム》の前では、腕力だろうがなんだろうが、無意味に等しい」

 

 

…ほう。

なんだろうと(,,,,,,)、ね。

 

 

「そして、次にだが―――」

 

 

『次に』って言っちゃたよ。

やっぱ一つちゃうやん。

 

 

「この学園の生徒に、《文月(ふみづき)学園》の生徒を倒してもらいたい」

 

 

愛の目が細くなる。

 

 

「アタシが作り上げた《試験召喚システム》は、まだ完成していない。より高いレベルの頭脳が、ぶつかり合ったとき、さらなる進化を遂げると、アタシは考えているのさ。だから、この学園を作った。そして、戦ってもらう。もちろん、ただでとは言わないよ。勝った方には、賞品も用意している。…以上さね」

 

 

学園長は、言いたいことだけを言い、言うべきことだけを言い、舞台を降りた。

 

 

「ありがとうございました。それでは、以上で入学式を終了と致します……」

 

 

司会の先生の声とともに、主役である一年生は立ち上がり、退場した。

愛は考える。

 

 

(賞品ねぇ……)

 

 

愛は、帰宅の波から外れて、ババァの城へと向かった。

 

 

 

――――――

 

 

 

「失礼する」

「ノックをしな。ノックを。まったく礼儀がなってないガキだね」

「何を言ってます? くそババァ。礼儀というのは気配りや敬意、慎みの気持ちに基づく行動ですよ。なぜ僕がババァに、そんなことをしなければならないのですか?」

「(ピキッ)……お前みたいなくそガキに期待したのは、間違っていたようだね」

 

 

学園長の最後のつぶやきは、とても小さいものだったが、愛には聞こえた。

 

 

「学園長」

「何だい? くそガキ。いきなり敬語だなんて、気味が悪いね」

「賞品とは、いったいなんですか?」

「……ふん。文月のガキどもに、勝てもしないアンタが聞いても、しょうがないだろうに。そんなのを知るぐらいなら勉強でもしな! ジャリが」

「…………、」

 

 

ふむ、ココで賞品を隠す意味はない。

具体的な賞品を目的にすることで、モチベーションは上がるからな。

なら、それなりの理由があるはずだ。

……面白そうだな。

この学園は、何かがある。

だからこそ、この学園を僕は選んだんだが…。

 

 

「確かに、今の(,,)僕は逆立ちしたって、世界がひっくり返っても、文月学園の生徒には勝てないでしょう。だけど……」

「だけど、なんだい? 早く言いな。アタシはアンタと違って、暇じゃないんだよ。ムカつく奴だねホントに」

「僕たちには、師匠らがいる。元々あんたもそのために先生にしたんだろ?」

「…………、」

 

 

学園長は、何も言わない。

だが、愛には確信に似た何かを感じていた。

 

 

「望月学園は、できたばかりで始めたばかり、先輩もいないピッカピカの一年生が、先生も生徒も場慣れしまくってる文月学園に、付け焼刃の知識の先生に教えられたってまともに戦えるわけないもんな」

「…………、」

「僕は師匠らに、普通以下、平凡以下の"F"クラスの、師匠らに、《試験召喚システム》を教わり、Aクラスを盗る」

「…………、」

「またここに来る。その時は、Aクラスの首を土産に持ってくてやるよ。賞品の話は、その首と交換でどうだ?」

「……ふん。面白いね、好きにしな」

「取引成立だ」

 

 

学園長は笑っていた。

そして、愛も。

……表面上は。

 

 

(何かしでかすとは思っていたが、ここまでとはね)

(この学園は、確実に何かを隠している。暴いてやるぜ、そのすべてを)

 

 

 

――――――

 

 

 

1-F なう教室、屋上。

 

一人の男が雄たけびを上げていた。

 

 

「いいかお前らァァ――――――――――――――!!!」

「「「お、おお」」」

「今ここに、FFF団設立を宣言するゥゥゥ―――――――――――――!!!」

「「「…………、」」」

 

 

さすがの、Fクラス男子もこのテンションには、ついていけなかった。

一人の男子が、質問する。

 

 

「あの、FFF団ってなんですか?」

 

 

さらに、もう一人。

 

 

「そうだぜ、兄弟。説明してくれなきゃ、ノリようもねぇ」

 

 

彼は広山(ひろやま)明良(あきよし)

皆を良くまとめている存在。

皆には親しみを込めてヒロアキと呼ばれている。

 

 

「まぁまぁ、落ち着けヒロアキ。今説明する」

 

 

そう言って愛は、底にローラーが付いている、移動用黒板を皆の前に出す。

黒板にFFF団と書く。

 

 

「まず、FFF団とはどのような団体なのか」

 

 

その下に数字の1と2を書く。

 

 

「まず一つ。FFF団に加入すると、僕が持っている女子のメールアドレスを手に入れることができる!!」

「「「おおおおォォ―――――――!!」」」

 

 

愛が言った瞬間、皆から声が上がった。

 

 

「しかし、加入したものには自らの持っている女子のメールアドレスを、差し出してもらう。これは、交換条件だ」

「…………、」

「…確かに嫌だよな。自分がせっかく手に入れた女子のアドレスを、他人に無償で差し出すなんて。……けど、こう考えてみろ。入団者が増えれば、それだけ女子のアドレスが手に入るんだ。しかも無償で。いいか? これは、ギブアンドテイクだ。想像しろ――」

 

 

愛の言葉に合わせ、皆が目を閉じる。

 

 

「自分の携帯のアドレス帳に並ぶ、無数の女子の名前を!!」

 

 

愛は皆に向かって叫ぶ。

 

 

「次に二つ目だ。もしお前らに気になる子がいたとしたら、僕はその子とお前らの、懸け橋になることができる。注文があれば、ポーズ付きカメラ目線の写真も撮れるぞ」

「おおおおおおおおおおォォ―――――――――――――――――!!!」

「答えろ兄弟!!!」

 

 

愛はさらに叫ぶ。

 

 

 

「無限に広がる女子へのルートを、お前らは手に入れたくないか!!?」

「「「手に入れたい!!!」」」

「ならば、入団だァァ―――――――――――――――――――!!!!」

「「「入団しまァァ―――――――――――――す!!!」」」

 

 

こうして、望月学園のFFF団は、学校の屋上で、男どもの夢とともに結成した。

 

 

「そういや、FFF団って、何の略ですか?」

「それはな、Fクラスの、Fクラスによる、Fクラスのための、団だ」

「うーむ、言いえて妙だ」

 

 

まんま過ぎる。

クラスの一人がそう思った。

愛はもう一度、皆の前に立ち言った。

 

 

「だがな、兄弟たちよ!」

 

 

皆は愛を見る。

 

 

「僕らは今、バカの最底辺だ。こんな僕らは魅力的と言えるだろうか?」

「…………、」

 

 

愛の問いに、答えるものはいなかった。

だが、愛は気にせず続ける。

 

 

「もし、好きな子ができて告白しても、バカは嫌いだと断られるのが関の山だ。そんなのは悔しいだろう!!!」

「…………、」

「だから、見せつけてやろうぜ。僕たちの力を」

「…………、」

 

 

愛の言葉を聞いても、しばらく反応がなかったが、

少しして、ヒロアキが言った。

 

 

「ど、どうやって?」

「そんなのこの学園での力を示す、イコール、ここだろ?」

 

 

愛は頭を指さしながら言った。

 

 

「いいか! Fクラスは最強だ!! 僕たちならできる!!」

「む、無理だって…」

「それは、お前らが自分たちの力を知らないだけだ」

「そ、そんなの十分知ってるよ」

「これまで僕たちは、目的などなく、勉強してきた。…いや、してこなかった。だ、が、な、今は違う」

「な、なななにが?」

「女の子にモテたいだろ!!?」

「「「イエスッ!!」」」

「なんでそこだけ即答!?」

 

 

本心に忠実なFクラスの生徒だった。

 

 

「ま、いい。むしろいいね。なら、その気持ちを糧にして、Aクラスに勝ち夢を叶えようじゃないか!!」

「う、うん。お、おおおおおおおおおおォォ――――――――――――――――!!!!」

「よっしゃァァ――――――――――――――――!!!! やるぞォォ――――――――――――――――!!!!」

「おおおおおおおおおおおォォォ――――――――――――――――――――――――――!!!!」

 

 

そして今、望月学園の入学式が終わり、

僕らの、VS.Aクラスの戦いが始まった。




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