長いことと思いますが、飽きずにおつきあいください。
"E"クラス戦が始まった。
直後、誰よりも速く廊下を駆け出した行ったのは、"F"クラス先陣にして精鋭部隊。
"F"クラスの本陣と"E"クラスの教室は、一本の廊下で繋がっている。そして、"F"クラスの前には西階段、"E"クラスの前には中央階段がある。我らが本陣の空き教室と敵本陣の間には、使われていない無人の教室が3つ。
先陣の仕事は、できるだけ"E"クラスに近い場所を位置取り・敵の先陣と接触・戦闘・戦場の掌握・時間稼ぎだ。これだけのことを格上の相手に行うのだ、こちらとしてはそれ相応の戦力は必須。
なので"F"クラス精鋭の部隊を組んだ。メンバーは、
この2人。
2人いるが、実質戦闘を行うのは音羽のみ。もう1人の"ロリコンの王"は伝令役だ。
となると、たった1人であれだけの仕事をできるのか? などと思うかもしれないが、心配はいらない。
彼女は昨日、午前中1人で補給試験を受け学年6位になった女だ。最強である。
僕なんかを追っかけて"F"クラスに来なければ、"A"クラスに入れた女だ。
……ったく、さっさと僕のことを好きなのだと認めれば、あの暴力もなくなるだろうに…。まァ、無理か。あいつは鈍感だから、自分の気持ちなんか気づかないだろうよ。
時刻は、10:05。
戦争がはじまり、最後の
大将――
僕もまだ、教室にいる。
――――――
「試験召喚獣――――」
私は、試合開始のゴングのように高らかに叫んだ。
「――――
足元に現れた
召喚獣の上に、点数が表示される。
『Fクラス 笠川音羽
化学 322点 』
表示された点数を見て、目の前の男子生徒がつぶやいた。
「…ランク、……《教授》かよ…」
ランク、それは昨日文月学園の先輩たちに教わったものだった。
人は自らの生活の中心や、興味を持つ物の変化や違いに目ざとく、その小さな違いでも全く違う名をつけることがある。
例えば、牛肉が大好きなイギリスの人はその部位ごとに違う名をつけた。サーロイン、ロース、ヒレなど。
例えば、日本に生息する"出世魚"と呼ばれる魚。これも魚が主食だった日本人が、成長過程を細かく分けて名前を付けていった。
これと同じように、この学園で生活する上で私たちの中心にあるのは、試験の点数。
「文月学園で生活していたら、点数に敏感になっちまってな。自然とこの呼び名になってたよ」
雄二先輩はそう言っていた。けど、私は何か違和感を感じた。それが何なのかはよくわからなかったけど…。
そして、先輩たちは点数を8つに区分し、ランクをつけた。
点数 ランク
0~50 《F》
50~100 《猫》
100~150 《ノーマル》
150~200 《天才》
200~300 《専門》
300~400 《教授》
400~500 《異端》
500~ 《王》
以上が、点数の範囲とその名称。《F》というのは"F"クラス並みという意味で《猫》というのは猫並みの知能というのが由来らしい。
そして、今このフィールドは張って下さってるのは私たちが連れてきた化学の先生・
正直"E"クラスなら楽勝♪
目の前には"E"クラスが6人。多分、様子見で出てきた人たちだと思う。
"E"クラスは情報の収集・操作が得意なものが多いと、愛が言ってた。ならば、"F"クラスのことは隅の隅まで調べ上げてると思う。構成メンバー・その素性・成績・得意科目など。
そして私のこともバレてるんだろうなァ。学年6位だってこと。
だからこそ樹咲ちゃんは、私を先陣にしたんだと思う。
「"E"クラス、
決定打として使うのではなく、先陣として――。
加藤と名乗った男子生徒が、周りの生徒に指示を出す。
「おれだけじゃ無理だ。みんなで囲んで攻撃するぞ!!」
『おう!!』
「"E"クラス
「同じく、
「
「
「同じく、
『『――――
出てきた召喚獣は皆、全身をチェーンメイルで覆い右手に、長い棒の先に小さな斧を取り付けた――ハルバードを持ち、左手に少し大きな盾を持った12世紀後半に流行ったノルマン騎士スタイル。胸の中央に"E"の刺繍をしている。
そして、点数は―――。
『Eクラス 加藤希 & Eクラス 新井
化学 55点 & 61点 』
『Eクラス 元町
化学 49点 & 68点 』
『Eクラス 多田
化学 81点 & 52点 』
ランク《猫》が5人に《F》が1人。
そして、即座に私を取り囲む。結構統率が取れている、だが脅威になるほどでもない。
「攻めろ!!」
声の大きい男子生徒――確か加藤だっけ? が、指示を出す。その号令とともに、動き回る召喚獣たち。位置取り・接触からの戦闘、えーと次は何だっけ?
「音羽さんはまず、相手を圧倒的な力でねじ伏せて下さい。そうして、敵の戦意を削ぎます。そうすれば敵は必ず――」
樹咲ちゃんの言っていたことを思い出す。
そうだった。思い出した。
樹咲ちゃんはさすがだなァ。あんな作戦私じゃ思いつかないよ。
そんでもって、可愛いなァ。小っちゃいんだよねェ、私より全然小さくて、マスコットみたくて可愛いなァ。
と、樹咲ちゃんのことを考え幸せな気分になっていると、
「何ボーっとしてやがる。ランク《教授》だからって調子乗りやがって、ぶち殺してやる!!」
"E"クラスの生徒が、いきなりキレた。意味もなく、いきなりだ。確かに、樹咲ちゃんのことを考えて、少しボーっとしていた。でも、そこまでキレることかな?
現に、他の"E"クラス生徒も怪訝そうな顔をしている。
「行くぞ!!」
『お、おう…!』
召喚獣が動き出した。
私の前と後ろの召喚獣が同時に攻撃してくる。私は、後ろの攻撃を無視して目の前の召喚獣を横薙ぎする。
『Fクラス 笠川音羽 VS Eクラス 佐藤智也&元町公秀
化学 301点 VS 0点 & 49点 』
その結果が、点数に反映された。
佐藤君は点数が0になったため、戦死。戦死したものは、
「戦死者は補習ゥゥゥ――――――――――――――――――――!!!」
補習室に連行され、一日中勉強づけにされる。
「た、助けっ……、誰か、助けて……」
『さ、佐藤……!』
「お、っうぎゃァァ―――――――――――………………………!!」
凄い。
補習室…行きたくない。
そして、先ほどから突き刺すような視線が…。
「お前のせいで、お前のせいでェェエエ!!」
「佐藤は、もう今までの佐藤じゃなくなる!!」
「…どうしてくれんだァァ!! てめぇ!!」
性格が変わるほど勉強させられるの!?
「せめて、お前も補習室に送ってやる!」
一斉に突っ込んでくる。
私は刀を水平に構え、回転切りを繰り出した。
その攻撃で、さらに3人戦死した。
さて、そろそろかな?
「くそ! くそ!! 頭が良いからってェ!! その眼だよ、その眼! 見下したような、バカにしたような眼をしやがって!!」
叫びだしたのは、先ほどブチ切れした――新井だっけ? 男子生徒だった。
「ははは、ハハハハハ。おい、多田!! あの2人と、数学教師をを呼べ!」
いきなり笑いだし、残った女子生徒に命令する。女子生徒はうなずき、教室へ走って行った。
新井はこちらに向き直り、バカみたいな笑顔を浮かべる。
「ははははは、ハハハハハハハハ。もう、ここまでだ。お前がいくら頭良かろうが、そんなの意味はない。こっちにはな、数学の天才が2人もいんだよ!! ハハハハッハハハッハッハハハハアッハハハ。バーカ。バーカ、バーカ。はははっはっはっははははははははははは」
作戦通りだ。
「――――敵は必ず、増援を呼びます。そうしたら、私に報告してください」
何もかも、順調。私は後ろにいる山田君を呼ぶ。
「ロリコン君」
「おう、っておれはロリコンじゃない。ただ、幼女を愛しているだけだ!!」
それが、ロリコンじゃん。
だが、声には出さない。今は、時間との勝負だから。
「作戦通り、事は進んだわ。報告に行ってちょうだい」
「了解した」
ロリコンは、そう言って教室に戻る。
さて、私は後始末しますか。
「新井君だっけ? ごめーんね」
私は、刀を抜き、新井君の首を飛ばした。
――――――
「そうか」
ここは、"F"クラス本陣。
伝令役として先陣に組んだロリコンが、報告に戻ってきた。
「大将。次の指示を」
「はい、わかりました。それじゃ、隔離部隊に連絡をお願いします、準備をして、と。キツツキ部隊も、準備を。音羽ちゃんは、その場で待機。敵が来ても、動かず迎撃して下さい」
「よし、伝令役、行け」
『了解』
基本的に"F"クラスは支給品の類がない。
なので、トランシーバーなどは、持っていない。連絡手段は
戦争は、どれだけリアルタイムの情報を手に入れられるかが、鍵となる。だからこそ、まず始めに"E"クラスを狙った。"E"クラスなら、トランシーバーを自作できると聞いたから。
今回の戦争には、間に合わなかったようだが。
「さてと、僕もそろそろ動くかな」
愛は、立ち上がりながら言った。
――――――
「
「なに?」
「準備をしろ、と」
「よし、来たか! 皆、準備して!」
『おーッス!!』
場所は、"E"クラス前の中央階段。
人数は、6人。
「姉さん、出てきました」
「よし」
"E"クラスの教室から出てきたのは、メガネをかけたいかにも秀才のような男子生徒が2人と、多くの"E"クラス生徒。
おそらく、あのメガネ2人が樹咲の言っていた《数学の天才》だろうと、あたりをつける。
その2人は、音羽の方を見て話し始めた。
「兄貴ィ、あそこに立ってんのが、例の女か?」
「そうだろうなァ。弟よ、"特異生"がなんぼのもんじゃ、ってのを見せてやろうぜ」
「いいねェ。やったろ……ん?」
キツツキ部隊の1人が、階段の陰から、顔を出す。
もちろん、わざとだ。キツツキ部隊に出された指令は、敵主力の《数学の天才》の1人をある地点まで、ひきつけることだ。
「あ、あに…………」
「ん? どうした?」
べろべろベーに続き、お尻ぺんぺん。
精一杯、挑発する。
「いや、先に行ってくれ。すぐにおれも行く」
「え? おい! ちぃ、ま、お前が来るころには終わってるけどな」
弟の方が、走って階段を駆け上がる。
「てめぇ、おれを怒らせて、無事で済むと思うなよォ!!」
「ぎょえぇぇえええええええ!! 姉さん、来ました!!」
「おう、皆! 作戦開始だ!!」
キツツキ部隊始動。
一斉に駆け出す。階段を上り、3階へ。3階からさらに、西階段の方へ。
「てめぇら、逃げんじゃねぇよ!!」
「
弟は修斗というらしい。その修斗は、怒りの形相で追いかけてくる。まるで、鬼だ。
その後ろからは、さらに、"E"クラスの生徒が追いかけてくる。
「順調順調、もう少しだよ皆」
『おっしゃァァ!!』
指定地点まで、あと少し。
さらに走る。走る、走る。
「よし!! やれ、皆!!」
『了解!』
「来たか、オレの出番じゃァ!!」
3階の空いている教室から、机のバリケードを展開する。先にある程度組み立てていたのを、《観察処分者》である
「なっ…!」
「くそっ、動かねぇぞ!」
「調子に乗りやがって!!」
敵の前と後ろを確実に封じる。そうして、逃げ場所を1か所に限定させるのだ。
「おい、見ろよ!! へへ……。窓が開いてやがる。しかも、ロープがかかってるよ。間抜けな奴らめ」
そうやって、敵を誘導する。
「こっから、逃げ出せるじゃねぇか。修斗、行こうぜ。俺らを舐めきったことを後悔させてやろう」
「…あ、ああ」
修斗の返事は歯切れが悪い。
彼はこう考えているのだ。――出来過ぎてないか? と。
一本道である廊下の前後をふさがれて、絶体絶命かと思いきや、あつらえたような逃げ道の登場。
これは、罠か? 罠でなくとも、降りるのは危険だ。
修斗は、それを仲間に伝えようとした。
だが、
「おーい、先に降りるからなー」
「んなっ、バカ……!」
仲間たちは、先に降りて行った。
そして、
『ぎゃ、ああああああァァ――――……!!』
修斗の読みは、当たっていた。
下で待ち受けているのは、"F"クラスの生徒20人。修斗はもう詰んでいた。下に降りたら、必ず戦死する。さすがの修斗でも、数学以外は、ランク《猫》へ行くかどうか。
修斗は、自嘲するように言う。
「へへ、なめきってた"F"クラスにここまでしてやられるとはな。…だが、甘いんじゃないか?」
そう。修斗とその兄――
「お前らのちんけな罠にかかってやるよ!!」
修とはそう叫びながら下に降りる。ロープをつたってなので、非常に格好が悪いが…。
「ひゃひゃひゃ、鴨がネギしょってやってきたぜ!!」
「おい、それちがくね?」
"F"クラス男子の言葉。残念なことに言葉の誤用をしたため格好がつかない。
「ははは、ったくよぉ。お前らはほんとにバカだ、バカだからこそ俺の数学を人数でどうにかできると勘違いをする」
「確かに、あんたの数学じゃ俺らはかなわねぇよ。でも、
「あん? どういう意味だ・・・・・・」
個性派ぞろいの"F"クラスのいいまとめ役、
その彼の言葉に、修斗は目を細めた。
「なんだ、まだ気付かないのか?
「・・・・・・・・・・・・ッ!? 嘘言ってんじゃねぇよ!! 数学教師は確かに呼び出したはずだ!!」
修斗は取り乱し、大声を張り上げる。
だが、ヒロアキはそんなのどこ浮く風で説明を続ける。
「あんたらが呼び出した数学教師は、俺ら"F"クラスが隔離させてもらった」
「……っな」
修斗は、絶望の表情を顔に浮かべる。
ヒロアキならびに"F"クラス男子は、それを見てうれしそうに笑う。
「ひゃひゃひゃ、それじゃ"E"クラス《数学の天才》
『――――
敵主力1名、戦死。
――――――
「なんで、数学教師が来ない!!」
「わ、わかりません。確かに呼び出したんですが……」
もうひとりの《数学の天才》櫻井楽斗は、いらだっていた。理由は、自分の得意科目の教師が来ないから。
「あらら、数学の先生こないの? 何でだろうね?」
「……、てめぇ、何しやがった」
「私は、何もしていないわよ。それで……《数学の天才》は化学は得意なのかしらね?――――
「くっそ、ぅううう、
それぞれの召喚獣が出てきて、点数が表示される。
『Fクラス 笠川音羽 VS Eクラス 櫻井楽斗
化学 301点 VS 53点 』
楽斗の召喚獣は、15世紀ごろに主流となった、
「どうやら、《数学の天才》様は化学は得意じゃ無いようで」
「バカにしてんじゃねぇよ!! ぶっ殺す。お前ら、召喚しろ!!」
楽斗は、後ろに控えていた他の"E"クラス生徒にも、召喚させる。
音羽はそれに、心の中で舌打ちした。音羽は、楽斗を挑発し頭に血を上らせることで、一対一に持ち込もうとした。だが、それは失敗してしまった。
「お前は、生きては帰さねぇ!! "F"クラスという立場を忘れ、俺をバカにしたことを後悔させてやる!!」
『―――
「行くぞォ!!」
楽斗を含め、約20人。
全員が、ランク《猫》程度とはいえ、正直ぎりぎりのところ。ランク《F》なら、なんとかなったが……。
だが、心配はいらない。
「あんたも、私が"特異生"だってこと忘れているでしょ」
楽斗は、今思い出したとでも言うように、大きく目を見開いた。
"特異生"、超優遇制度の召喚獣性能向上のうちの1つ。"超感覚連結"
「――"
音羽の言葉をシステムが読み取り、突然音羽の視線が低くなる。地面が、近い。
この、"超感覚連結"は《観察処分者》を凌ぐ一体感が得られる。
自分の思った通りに、召喚獣が動いてくれるということ。それは、まるで自分が動いているような、そんな感覚になる。
――――そう、まるで召喚獣に自分が乗り移ったかのような感覚。
それは、間違いではない。現に視線は、召喚獣になっているし。右手を動かそうとすると、召喚獣の右手が動く。
でも、召喚獣の食らった攻撃には、痛みがない。物は掴めない。
ただ、感覚が繋がっただけ。
「さぁ、行きますか」
一番先頭の、楽斗の横薙ぎ攻撃を屈んで避け、続く召喚獣2人を斜め振り下ろし攻撃で戦死させる。
あと、18人。
「囲め!!」
楽斗が、声を荒げる。
全員で囲んだ後、前後左右の召喚獣が、突撃してきた。私は、右側の召喚獣に寄り、反応する前に刀を突き刺す。今度は、前方の敵。手に持っている剣を振り下ろしてきたので刀を使って、その攻撃を後方に逸らす。その際、後ろから攻撃してきた召喚獣にぶつけて、動きが止まったところを2人一緒に串刺しにする。最後は、左側。剣の先を私に向け、突撃してきた。私はそれを刀で右にずらし、刀を振りおろし相手を真っ二つにする。
あと、14人。
「何やってやがる!! さっさとぶち殺せよ!!」
楽斗は、苛立ちを仲間にぶつけている。
だが、音羽にとって重要なのはそんなことではない。重要なのは、いかに早く戦いを終わらせられるか、だ。
この"超感覚連結"は、体力を非常に消耗するのだ。すでに、音羽は頭がくらくらしてきている。
「もういい。全員で突撃しろ!!」
楽斗のその号令に、全方向からの突撃がやってくる。
音羽は、神経を研ぎ澄ませる。そして、行動を簡略化させる。脳の疲労を軽減させるためだ。
ただ、避けて・斬る。その繰り返し。
「なんで当てられない!!」
楽斗は、さらに苛立つ。
だが、その余裕もあと少し。残った"E"クラス生徒は、あと7人。
避けて斬って、避けて斬る。
あと、5人。
避けて斬って、避けて斬る。
あと、3人。
避けて斬って、避けて斬る。
あと、1人。
音羽は動きを止め、切っ先を楽斗の召喚獣の首筋に、固定する。
「ひぃっ…!」
「ジ・エンドね」
刀を少し、前に押す。それだけで、楽斗は戦死した。
敵主力計2名、戦死。
――――――
「おう、お疲れ音羽」
「ああ、愛。確かに、体力はかなり使ったわ」
音羽は、中学の頃、陸上部で徹底的に鍛え上げたので、この程度で疲れたりはしない。
だが、普段以上の動きを体感し、それを目で見て避けたり、動いたりしていたので、目が疲れたのだ。
「愛がここにいるってことは、もう最後の段階?」
「ああ、樹咲ちゃんもいるぜ。皆にも集まってもらってる」
「それで、作戦は?」
「問題ない。これまでも、これからもな。まったく、樹咲ちゃんはすげぇよ」
「キツツキ部隊は、行けるの?」
「ああ。さっき確認した、一応閉められないように、固定もしといた」
「そう、じゃ、行きましょ」
会話はそこで終わり、"E"クラスの教室へ向かう。
最後の
――――――
「くそっ、くそがっ!!」
"E"クラスの代表――
「なんでだ、情報の収集は問題なかった。《数学の天才》2人を送れば、問題なく勝てるはずだったのに、なんで!!」
教室に残っているのは、小野を含めわずか8人。これで、"F"クラス全員を倒すのは、正直不可能だった。
皆が、絶望に打ちひしがれているところに、窓から人が入ってきた。
「な、なんだお前ら!?」
「ど~も~」
「こんにちは~、"F"クラスで~す」
「"F"クラスだと!? 窓からなんて、バカかお前ら!!」
"F"クラス、キツツキ部隊が"E"クラスに侵入した。
キツツキ部隊は、先の作戦から、運動神経がよく足が速い者たちで編成されていた。そのため、上の窓から下の窓に飛び移るなど、造作もない。
「そんじゃ、皆。作戦通りいくよ」
『おっす! 姉さん!!――――
「――――
キツツキ部隊全員が、召喚する。
小野は、それを見てひどく取り乱しながら、周りの者に命令する。
「お、お前ら! 俺を守れ、速くしろ!!」
『――――さ、
戦闘が始まる中、小野は急いで教室から逃げ出した。負けたくなかったから、"F"クラスに倒されるなど、これ以上ない屈辱だから。
だが――――
「おお~、出てきた出てきた。教室に立て籠もられたら、どうしようと思ってたんだよね」
――――小野には逃げる場所など、無かった。
教室をでた小野を待っていたのは、"F"クラスの残る全戦力。右も左も、"F"クラスの生徒でふさがれたこの状況。待っているのは、死のみ。
「…………そ、んな…」
「おうおう、絶望したような顔しやがって。だが、そんな君にチャンスをやろう」
「……チャン、ス?」
まるで、希望があるかのような言葉に、小野の顔はいくらか晴れる。
「ああ、そうだ。具体的には、この戦争を和平で終結させてやるってことだ」
「な、んだと……?」
愛が言ったのは、この、あと一歩で決着がつくこの状況に、手を出さず、引き分けでいいということ。
「もちろん、何か条件があるんだろ?」
「ああ、当然な」
「その条件はなんだ?」
「それは、私たちの下についてもらいます」
会話に入ってきたのは、"F"クラス代表の樹咲ちゃん。代表が自ら出てくることで、この会話の重要度を引き上げる。良く考えさせるということだ。
愛のような軽いものと話して、その場のノリで返事はさせないということ。ただ、愛がはじめ話していたのに、意味がないわけではない。愛のフリーダムさで、相手の警戒を解く。心を開かせることで、信用させやすくする。など、無意味に愛が話していたわけではない。
ま、ここら辺の業はあまり効果は顕著に現れず、本当に機能しているか分からないが。
「それは、つまり…」
「はい。今後起こる戦争に、私たちの家来として協力してもらいます」
「だが、それはルール違反だろうが!!」
「
叫んだのは、城東田。ここで、見た目ヤンキーの城東田が叫ぶのも、台本どおり。
「ば、バカだろ………」
「今さら、何言ってんだ? 僕らは"F"クラス、バカの集まりだよ」
その後、"F"クラスと"E"クラスによる、和平交渉が行われた。
――――――
後日談。
ダダダダダダダダダダダダッ!! バンッ!!
「お前らァ!! FFF団に入らねぇか!?」
「んなっ、てめぇ…!!」
「"F"クラスの大浪愛が、"E"クラスに何の用だ?」
"E"クラスに入り、すぐ反応を見せたのは数学兄弟、修斗と楽斗。
その2人の言葉に、愛は首を振る。
「違うよ。僕は今、FFF団の団長としてここに来ている」
「ああ? その、FFF団ってのは、なんなんだ?」
~かくかくしかじか~
『…………ごくっ……』
"E"クラス、男子全員がつばを飲み込んだ。そして、息を荒くしている。
「さぁ、お前ら、無限に広がる女子へのルートを、手に入れたくないか!!?」
『……手に、手に入れたい!!』
「なら、僕は今からお前らの団長だァ―――!!」
『イエスっ、団長!!』
FFF団、勢力拡大中。