ガチホモ英雄シモキティウス   作:mur-ju

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第13話

シモキティウスは車からウンェイを引きずり出して、路肩の壁に背中を寄り掛からせるようにして座らせる。

張りぼての爆弾に呆気に取られていた二人が、それに気づいてこちらを振り向き、驚いていた。

ウンェイじゃないっすか!とクボティト。

二人が近寄る。

シモキティウスはそれに構わず、銃を突き付けながら聞く。

なぜおまえがこんなところにいる。

するとウンェイは荒い呼吸の合間を縫うように言った。

「お前たちが来ることは知っていた...お前たちが、データを、盗み出していることは...ひでが倒された時に我々は...」

はぁはぁと呼吸するウンェイに、カッツが聞く。

なぜホモを抹殺しようとするのか。

「私が企んだのではない...奴だ。私は、私たちは、奴に利用された。あの企み屋がすべての糸を引いている...」

クボティトが、お前が計画したのではなかったのか?と聞いた。

「私は、爆弾を、用意させられた。あいつは、ホモだけでは収まらない...」

あいつとは誰だ!とシモキティウス。

「あいつ...、二コニカ評議会元議長...ノボォーだ!」

ノボォー。

聞いたことがあった。

ノボォ―・カワカミ。

二コニカの摂政ともいうべき役割を担う二コニカ評議会の元議長。

現在は既に無能すぎるという理由で市民から怒りを買い、その座を追われているが、今でも評議会メンバーにノボォ―のシンパが殆どを占めており、未だその権力は衰えていないという噂があった。

ウンェイは続ける。

「奴が、全てを仕組んだ...ホモを殺そうとしたのも、ひでを改造したのも...私さえも利用した...」

そして、ウンェイはシモキティウスの腕をガッと掴んで言う。

「奴は、お前たちのことも気づいている...私は、お前たちを道連れにして殺すために、奴に、使われたんだ...だが、そうはさせん...お前たちには、戦ってもらうぞ...」

カッツが、どういうことだ、どうするつもりだ!と叫ぶ。

「安心しろ...私は、お前たちを殺すつもりはない...」

なんだって、とクボティト。

「お前たちが追っているINM爆弾...アレは、INM爆弾などではない...奴は、私に、アレで、お前たちを道連れにして欲しかったのだ...そうはさせない...」

なんだと、とシモキティウスは思う。

そして、ひでも同じようなことを言っていたのを思い出した。

あの爆弾はINM爆弾ではない、と。

シモキティウスがウンェイに銃口を押し付け、はっきり答えろ!アレはINM爆弾でなかったらなんだ!と叫ぶ。

「アレは...核、だ!」

シモキティウスが、なんだって?と思った時、背中から強い光が照り付けた。

振り向く。

サングラスをかけていても眩しいほどの閃光が見えた。

おそらく裸眼であれば失明していたかもしれない。

それは、下北沢の方向だった。

光がおさまるとキノコ雲が上がっているのが見えた。

直後、衝撃波と共に凄まじい爆発音。

三人とも咄嗟にその場にうずくまり、強烈な爆風に耐えた。

それがおさまると、三人はしばし下北沢の方向を絶句しながら見つめた。

シモキティウスはウンェイを振り返り、貴様、と言ってつかみかかろうとしたが、ウンェイの独り言を言うかのようにか細い声によってそれをとどまった。

「あいつは、コレだけでは止まらない...ホモだけを殺そうとしているのではない...奴は、二コニカそのものを潰そうとしている...そんなことは、させん...!」

そして、ウンェイは最後の力を使いうなだれていた顔をゆっくりと上げ、シモキティウスを見て鬼気迫る表情で言った。

「聞け...!5月14日、だ!奴は...二コニカの町で、核を使う!二コニカを、吹き飛ばすつもりだ!」

そう言って、ウンェイはだらんと力を抜いて、絶命した。

おい...おい!とシモキティウスはウンェイの肩をゆらすが、もう動かなかった。

クボティトとカッツが立ち尽くしている。

シモキティウスは、ウンェイの遺体を回収して引き上げるぞ、と命じた。

二人が作業にかかるのを横目にみながら、依然として下北沢上空にそびえるキノコ雲を見た。

なんてことになったんだと呟く。

シモキティウスは、自分たちの戦いが思わぬ方向へと進み始めたことを感じ始め、この先を案じていた。

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