ガチホモ英雄シモキティウス   作:mur-ju

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第3話

シモキティウスはヘリの中で、ふとヒラーノとクボティトはなぜ谷岡精子場にいたのかと思い、つい最近は...岩に隠れとったのか?(レ)と前の座席に座っている二人に聞いた。

クボティトが、実はシモキティウスを逃がした直後にヒラーノが店にやってきて、衛兵たちをまとめて緊縛ショーにした後に二人で逃げて、谷岡精子場に逃げのびた、と言った。

ヘリを手配して隠れて待っていたらシモキティウスが逃げ込んでくるのを見つけたとのことだった。

ヒラーノ店長はえ~すっごい強い、とシモキティウスは感心する。

そして、あの時逃がしてくれたのはやはりクボティトだったのだと知って、礼を言った。

クボティトはそんなことはいいのよと言い、しばらく黙った後、あの迫真空手の3人は残念だったとぽつりと言った。

ヒラーノが、彼らのことは聞きましたと普段よりも低い声で言い、冥福を祈るようにして押し黙った。

昨日からずっと逃げることでいっぱいだったシモキティウスは、ようやく今彼らの死を直視した。

衛兵に射殺されて斃れていった彼らの最後を思い出し、彼らはもういないのだと改めて思い知ったシモキティウスは、涙があふれることを抑えられなかった。

ヒラーノは静かに、泣きなさいと言った。

それが彼らの魂を鎮めるのだから。

シモキティウスは彼らのために涙を流し、クボティトも静かに泣いた。

たくさんのホモたちが殺され、あるいは捕らえられていった。

せめて安らかに眠ってくれよ。

シモキティウスは止まらぬ涙と共に彼らの冥福を祈る。

ヘリは飛び続けた。

 

 

飛び立ってから一時間弱ほどたった時、ヒラーノがここに降りますと言った。

そこは周りを森や草原で囲まれた中にぽつんの立った巨大な岩山の、その頂上だった。

その一角が整地されており、簡易ヘリポートのようになっていた。

それに隣接して、小さな小屋が立っているのが見えた。

一見すると小さな監視所か何かのようなところだ。

ここはどこなんですかとシモキティウスが聞く。

その直後ヘリが接地した。

ヘリは揺れることなくふわりと降りる。

ヒラーノは操縦の腕がいい。

そしてヒラーノはエンジンを切った。

プロペラの回転が徐々に遅くなってゆくのをシモキティウスはコックピットの窓越しに見た。

ヒラーノが後部座席にいるシモキティウスに振り返り、言った。

「ここは、私の別宅でございます」

その声は異様に低く、シモキティウスはなぜかぞくりとした。

ヒラーノは鋭いまなざしでシモキティウスの目をまっすぐに見て、圧するような声の調子で続けた。

「初めまして。私はこの緊縛の館、オーナーの平野ゲンゴロウです...」

シモキティウスはその言葉に圧倒された。

いや、圧迫されたと言うべきか。

なぜかはわからないが得体のしれない恐ろしさのような感覚があった。

緊縛の館?

なんだそれは。

しばらく押し黙ってしまう。

そういえばヒラーノは今、平野ゲンゴロウと言った。

平野ゲンゴロウってなんだよ(哲学)。

目の前にいるこの人物はヒラーノではないのか?

見かねたクボティトがあいだに割って入り、シモキティウスはSM奴隷じゃないとヒラーノに言った。

そう言われたヒラーノはハッとして、ああそうかと言ってからシモキティウスに非礼を詫びますと言った。

シモキティウスは話が読めずに、どういうことかと聞くと、クボティトは、ヒラーノ店長はSM関係の場所にくるとスイッチが入っちゃうのよねと苦笑して言った。

シモキティウスはなんだかよくわからなかったが、無理やり納得することにした。

三人はヘリを降りた。

ヒラーノはヘリポートのすぐ隣にある小屋へと向かい、二人はそれに後ろから続いた。

しかしそれは緊縛の館という割にはただの小さい小屋だ。

クボティトも、館の存在を知ってはいたもののここへ来たのは初めてだそうで、勝手がわからないようだった。

ヒラーノは、扉の前に立った。

「どうぞ」

彼がそう言うと扉からカチリという音が聞こえた。

ヒラーノはドアノブに手をかけ扉を開きながら二人を振り返り、自慢そうな表情で言う。

「この扉は、私の"どうぞ"という声にしか反応しないのだ」

すると扉はまたガチャンといって締まり、カチリと鍵をかけた。

ヒラーノはドアノブを握りながらいきなり締まったドアに唖然としながら、あ、そうかと呟いて、どうぞと言って開錠完了してドアを開いた。

シモキティウスは、なにやってんだあいつ...とひそかに思った。

三人は小屋の中に入る。

シモキティウスは驚いた。

なんと小屋の中に、下ってゆく長い階段がある。

これはなんなんですかと聞くと、ヒラーノは、この岩山の内側をくりぬいて作られた、いわば要塞のようなものですと言った。

ヒラーノが促し、彼らは階段を下っていった。

 

 

階段を下りきると、通路が続いていた。

緊縛の館という名前のわりに照明がきちんとついていて、薄暗さや不気味さは演出されていない。

むしろ明るくこざっぱりした雰囲気であった。

そこをさらに三人は進んでゆく。

その突き当りに扉があった。

扉の脇に小さいコンソールがある。

おそらく扉のロックらしいそれを、ヒラーノはピッピッと操作した。

そこはどうぞで開くわけじゃないんだなとシモキティウスが思っていると、扉が開いた。

中に入ると、そこは所せましとコンピュータやモニターが並んでいた。

まるでSFだ。

その一角に座ってキーボードをたたいている男がいた。

ヒラーノが声をかけると振り向き、立ち上がってこちらに来た。

その男はジューン・ペイという名前だった。

どことなくうんこが好きそうな男だった。

ヒラーノがここで電子戦を担当させているのだという。

ジューン・ペイは挨拶もそこそこに、ヒラーノに、彼の居場所がわかったと言った。

ヒラーノが本当かと言い、どこにいるのだと聞くと、ニコファレの町だ、と答えた。

すぐに助ける算段をしましょうとヒラーノが言う。

シモキティウスが、彼とは誰なのかと聞くと、ヒラーノは、カッツだと答えた。

カッツ。

聞いたことがあった。

カッツ・ラギレン、虐待おじさんの異名をとった無敵の竹刀使いで、"超耐久のひで"というとてつもないタフネスを持ったホモを虐待しまくったという伝説を持った男だった。

同性愛者でその名を知らぬ者はほとんどいなかった。

それが今捕まっているのかとシモキティウスが言うと、ジューン・ペイが、そうだ、あの男まで捕まってんだよと言い、更に彼の処刑が一か月半後に迫っていると告げた。

なんでそんなことまでわかるんだと聞くと、二コニカ政府のデータバンクに侵入したとあっさり答えた。

なるほど、電子の要塞というべきこの部屋らしいことだなとシモキティウスが思っていると、ヒラーノがシモキティウスの肩を叩いた。

なりゆきだけれど、シモキティウスさんにも手伝っていただきます。

彼はそう言った。

シモキティウスは一瞬だけ迷ったが、カッツを助けられるなら、自分にできることをしなければならないと決心した。

シモキティウスはうなずく。

 

 

ヒラーノが言った。

「あなたには、戦士育成ショーに出演していただきたいと思います」

そしてクボティト。

「シモキティウスと俺たちのさ...催眠が合わさったらどうなる?え?即席特殊部隊兵士の誕生か?」

それからシモキティウスはクボティトによって催眠によって暗示をかけられ、短期間で効率的に戦士としての知識を学び、それと並行して体を鍛え、技術と体力をつけて行った。

一か月が過ぎるころには、シモキティウスは並の兵士を軽く超える戦士に生まれ変わっていた。

一流の特殊部隊員という精鋭中の精鋭には及ばないものの、熟練兵などとは最早ほとんど遜色のないほどに成長したのだった。

そしてついに、ヒラーノが、カッツ救出を決行すると宣言した。

ジューン・ペイが得た情報によれば、カッツがニコファレから二コニカに処刑のために移送されるとのことだった。

ニコファレの町に潜入し、その隙をついて救助する、そういう作戦だった。

しかし、情報によるとニコファレの町は既にウンェイ一世の手勢によって厳重な監視がなされているとのことだった。

車やヘリで町に入るのは難しそうだった。

だがヒラーノは、その件については考えがあると言った。

ニコファレの町近くに飛行機で高高度からパラーシュート降下をし、そこから徒歩で潜入するとのことだった。

シモキティウスが、ここに飛行機があるのかと聞くと、もちろんですプロですから(コ)とヒラーノは言った。

決行は明後日。

シモキティウスは、なにゆえか、平穏な日々を取り戻す第一歩を踏み出す時が来たと感じていた。

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