狂気の最凶復讐鬼 ~最強の魔法を開発したので、勇者も聖女も両親も、いじめた奴らを全員嬲り殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺すことにする~ 作:輪島廻
1、黒いオーラを帯びた少女
ソータは復讐の方法を考える。
脂肪魔法の使い道が多く、一つ一つの技か驚異的な威力を誇るとはいえ、流石にいきなり勇者を相手にして勝てるとは思っていない。
そもそも、復讐はただ力で上回るだけではいけないのだ。体も心も弄び、徹底的に痛め付けるのが復讐である。
それを実現させる為には、鼻歌混じりで軽く相手をあしらえるくらいの実力差がなければいけない。それくらいでなければ、復讐を味わう前に殺してしまうか、予想外の反撃によって手酷いダメージを受けてしまうかのどちらか。
どちらにしても、良い結末が待っているとは思えない。
ソータの脂肪魔法は間違いなく強い。しかし、その力を過信してはいけない。ソータはそのことを理解している。
だから、脂肪魔法の能力を確認することにした。自分が持つ力を把握することは、力を手に入れる過程でも、その後の戦い方でも重要である。
そして、気兼ねなく訓練をする為には、ソータの家の中ではスペースが絶対的に足りない。
そこで、ソータは外に行くことにした。
ドアを開けると、数年ぶりの陽光がソータの目を眩ませ、肌を焼く。ソータは一瞬エネルギー操作でそれに対処しようかと考えたが、まだ上手く扱える自信がないので思いとどまる。
ソータは家の外へと踏み出した。向かうのは村の外だ。
村の敷地内は仕事がしやすいよう可能な限り整えてあるが、そこから出ると途端に何にも手入れされていない、ただただ鬱蒼と草が生い茂る、広大な土地が広がっているだけになる。
そこならば、火を起こそうが電気を流そうが何でもして良いだろう。どうせ誰も来ないし誰も使わないのだから。
しかし、ソータの予定通りには進まない。
面倒事は、どこにでも湧くものだ。
ソータが閑散とした外を歩いていると、ソータと同年代くらいの細い男が一人、歩いてくる。彼も、かつてソータを苛めていた人の内の一人だ。
彼の顔を見た瞬間、ソータはかつての日々を思い出し、沸々と怒りが沸き上がってくる。反射的に手を出しそうになったソータだったが、今はまだその時ではない、後でたっぷりと仕返ししてやるのだと自分に言い聞かせ、心を落ち着ける。
そしてバレてしまう前にその場を後にしようと、ソータは周りを見渡す。しかし、人口密度の低いこの村、その外れともなると、身を隠せるようなところは殆んどない。
むしろ、ここまで見つかっていないのが奇跡だと言えるだろう。
ソータは咄嗟にエネルギーを操作し、光をねじ曲げる。
咄嗟のことだった。見つかったらまたいじめられるかもしれないという身体に刷り込まれた本能的な恐怖と、面倒事を避けたいという脳内で瞬時に計算された理性的な判断が、実際に使ったことがない脂肪魔法を使わせるに至った。
その結果、周りから見ると、何の変鉄もない道が一本続いているだけとなった。
そして直後、黙って敵を睨んでいたソータの目の前で、細い男があからさまに周りを警戒し始めた。何度も、キョロキョロと首を回して辺りの様子を確かめる。
その姿に、何かが起きるのではないかと、ソータも警戒を強める。
そして、ソータに気付かなかった彼は、何かを呟く。
――刹那、光に包まれた。
ソータはその美しい閃光に息を飲む。
しかし、光っていたのは一瞬だ。すぐに光は消え失せていき、そこに立っていたのは――――全裸の少女だった。それも超がつくほどの美少女。
ふわふわの金髪に、少しきつめに尖った碧眼、小さく紅い唇。
ソータは転生前も含め、これほどの美貌を見たことはなかった。
「なっ……」
驚きの声をあげるソータ。
心が乱れ、ねじ曲げていた光が元に戻ってしまう。
「え……?」
そして、少女の方も唐突に姿を現した太った男性――ソータに驚きを隠せない。それが、自身が全裸の時ともなれば尚更だ。
きめ細かい白い肌が、羞恥からみるみるうちに赤く染まっていく。
「ストップ、話せばわかる……」
慌てて話し合いを試みるソータだが、全裸を見られた少女がその言葉に応える筈もなく――
「変態っ! 死ねっ!」
突如、少女の右拳が強烈な光に包まれた。
そして一閃。
気付いたときには、ソータ空中に居た。
「ぐぇっ!」
少女は慌てて服を着ると、無様に転がるソータの方へと向かってくる。
「アンタどこから出てきたのよ!? 乙女の着替えを覗くなんて最低だわ! バカ! アホ! ほんっと最低!」
口汚く罵る少女にどう対処すれば良いのか分からなかったソータは、更に地雷を踏みにいく。
「ところでどうして男の格好なんてしてたんだ? あれ、変身魔法だろ?」
「…………」
一気に少女の顔は険しくなる。
ソータは周りの温度が下がったような錯覚に陥った。
そして発せられるどす黒いオーラ。ソータは思う。
――あぁ、これは、仲間だ。こいつも復讐に捕らわれた、俺の同類。
瞬間、頭が冷えた。
「なぁ……。何があった? どうしてこんなところにいる?」
「……このオーラ……アンタも同類のようね……」
ソータは、この復讐者を仲間……いや、復讐をより残酷なものへとする為の、共犯者にすることにした。
そして少女は語り出す――
次の投稿は、一時間後です。
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