こけたサーバルに関しては立ち直させるとすぐにユーカリの葉を集めにダッシュしていった。そのあと見事に新芽を1つもとってこなかったのは言うまでもないだろう。あいつ、なんであんなにドジなんだろうな?
「ちゃんと話を聞いときなさい」
「うう、ごめんなさい」
「大丈夫ですよー、まだ時間はありますしー」
「能天気だな」
いやほんと、その間延びした口調というか、おっとりした性格というか、マイペースを表すなら多分コアラが一番当てはまるんだろうな。
「コアラは寛容よね、見習いたいわ」
「甘えられるのが好きなだけですよー」
甘えられるのが好き……確かに、ユーカリ集め中に気づいたんだけど、コアラの性格って能天気以外にもなんかあるんだよな……頼りたくなるっつーか、甘えたくなるっていうか。特に葉を採るとき一緒に手を添えてくれたときはこう母性みたいなのを感じた。こういうのを「バブみ」って言うんだろうか。
「だが、あまり甘えすぎるのもよくないぞ」
そのとき、それまで聞こえなかった筈の声が、ガサ、ガサという足音ともに現れた。その主は──
「「……バリー!」」
俺とサーバルは、同時にその名を呼んだ。
~ユーカリ集め終了後~
その後、俺らはバリーの手助けも加わったことでより早くユーカリ集めを終わらせられた。一応けが人(獣?)に手助けしてもらってるわけだしなんか申し訳なかったが、「自分の世話は自分でできないわけにはいかないからな」って言ってめちゃ張り切ってくれた。男前すぎる。ただやっぱり足元の包帯が痛々しいな……
「それじゃー、私はパップを作ってきますねー」
「またあとでね」
コアラはなんかパップ作りに必要なものがあるらしく、それを使いに少し離れたところへ行った。……一体何を使うつもりなんだ。知りたいわけではねぇけども。
「どうかしたのか?」
「あいや、別に」
「パップのことで気になってるんでしょ?」
ギクッ。なんでこいつそれが……てか、気になってるわけではないんだよ。ちょっとこういろいろと放っておいたらまずいじゃん?あと「パップが気になる」って普通にアウト近い発言だからな?
「気になるなら見に行けばいいじゃない」
「わーい!私も行きたいな!」
「見に行けばいいとかそういう問題じゃなくてだな」
「そうだ、知らん方がいいと思うぞ」
そうそう知らん方がいいに決まって……ん?
「あれ、バリーは知ってるの?」
「教えてもらったことはないが、図書館の本で少しな……」
あ、バリーは知ってたのか。それならもっと早くに止めて欲しかったんだがな。カラカルがいるとはいえ、サーバルは一度気になりだしたら基本止まらないし。
「だがあれは、一応本人の作り方とは違うらしい」
「そうなの?じゃあ作り方はコアラしか知らないってことなんだね」
作り方変わってるのか、ヨカッタヨカッタ。いや結局名称が同じだから良くはないんだけどもさ。実物どうりだったらどれだけ悲惨なことになってたか。
「知らない方がいいってどういう意味かしら」
「そのまんまの意味で受け取っとけ」
マジでそのままの意味だ。
「えー?じゃあ今度コアラに教えてもらいに」
「やめとけっての」
「むー、トツカまでー!」
お前の身を案じて言ってやってるんだよ、こちとらお前のドジ制御係と化してるんだよ。いい加減自分のアホっぷりを抑えられるようにしてくれ、じゃないと気が持たないから。
「皆さーん、できましたよー」
そんな寸劇をしていると、林の奥の方からコアラの声が響いた。そんなに時間がかからないんだな、少し会話した程度だったし。
「出来たようだ、もらいにいこう」
「そうね、どんなのか気になるし」
「トツカはー?」
「俺は待っておくよ」
「えー、一緒に来ないの?パップ気になるんでしょ?」
「だからその言い方は俺が変人みたいだからやめろ!」
あと思いっきり引っ張るな!爪立ってる!少しだけだが立ってるんだよ!お前初めて会った時からなんも進歩してねぇじゃねぇか!
~パップ受け取り~
数分ほどして、パップを使用したのであろうサーバルたちが戻ってきた。「使用」と表現したのは、俺がその使っている現場を見なかった、というか見たくなかったからである。塗るとかならまだマシだが、最悪食べるとかだと思うと……いや、やめておこ。
「すごかったよー、葉っぱ集めで疲れてたのにすぐに元気になったんだ!まるで回復アイテムみたい!」
「トツカも来ればよかったのに」
「いや、俺はな……」
もうその件に関しては一回離れさせてくれ、これ以上脳内にパップの三文字を置いておきたくないんだよ。それよりも、気にするべきことが俺にはあるんだ。
「バリー、足は大丈夫なのか?」
「あ、そういえば怪我を治すために来たのよね。治ったの?」
「ああ、もう大丈夫なはず」
そう言って、俺たちの見守る中、バリーはゆっくりと右足の包帯をシュルシュルと解いてゆく。そしてその下に現れた足は……
「「「……おぉ」」」
見事に綺麗で、傷1つ付いていなかった。パップの効力がここまでとは……思わずサーバル・カラカルとともに感嘆の声が出た。
「よし、これならいいな。ありがとう、コアラ」
「いえいえー、いつでも頼ってくださいねー」
そしてコアラは当たり前のようにお母さんオーラを出している。でもやっぱどうやって治してんだろうな?塗るのか?まさかな。
「にしても結構綺麗に治ってるなー」
「ああ、コアラには、私以外にもたくさんのアニマルガールが世話になっている」
へー、すっげーなコアラ。たくさんの、ってことは結構有名だったのか?少なくとも俺たちは知らなかったけど。
「ところで、バリーはどうして怪我を?私は噂くらいしか聞いてなかったんだけど」
「そういえば、その時カラカルはヒグマのとこにいたな」
確か、ヒグマにハチミツあげに行ったんだっけ。なんか良くわかんないモンスターとやらに襲われたところを助けてもらったスタッフさんが、その時のお礼に渡しといてくれとか言ってたやつだよな。あのモンスター今研究が進んでるらしいが、どうなったのか。
「ああ、それはな……」
ん?様子が…と思って目をやると、バリーは少しもじもじしながら目を泳がせていた。ああ、今怪我の経緯の話か。それなら無理もないな。
というのは、実はバリーは鬣を整えている時にどうも段差につまづいてしまったらしいんだ。本人は鬣のこと結構気にしてるからしょうがないっちゃしょうがないんだけど、プライドもあるしなかなか言いづらいんだろう。
「それについてはまた後d」
「それはバリーがつまづいちゃったからなんだよ」
「う、うう……」
………はぁ。
サーバル、お前なぁ……もう少しこう、フォローしてやろうとかそういう気持ちはなかったのか。ほら、現にすごい顔赤くしてるぞ。もっと相手の気持ちを気遣おうな?
「アンタねぇ、そういうことは公には言わないのよ!」
「うみゃー!?なんでカラカルまで頭グリグリするの〜!?」
「当然の罰だろ」
自分の無礼さを身を以て知るが良いわ。
「サーバルの言う通りだ……」
「だ、大丈夫でしたか?」
多分大丈夫ではないぞ、主に精神的な面で。だって、普段すごいキリッとしてて頼りになるし、暇してる俺たちを稽古に引っ張り出すほど強かったから、こういうのは相当恥ずかしいんだと思う。
「ああ、今はな。だが己の不注意さを良く知ったと思う」
「でも痛かったでしょう?今は甘えていいですからねー」
「あ、ああ……」
……あ、恥ずかしがってると思ったけどすでにコアラの謎オーラに包まれてるわ。問題なさそうだな。
「ところで」
と、突然バリーが話題を変えた。
「お前たちはどうしてここに?」
「ユーカリ集めのためだよ。ね、トツカ?」
「間違ってはないな」
「何言ってんのよ、ミライさんたちについて来てここまで……あ」
はは、冗談だよ冗談。サーバルが「どうしてここに」の意味を履き違えてることくらいはわかってるって……ん?
「カラカル、顔が青いよ?」
「おいカラカル、どうかしたのか?」
急に黙りこけて、どうしたんだろうか、なんか考え事でもしてるみたいな顔だけど。
「パップいりますかー?」
「いや、そういう意味ではないと思うぞ」
なんかバリーとコアラが寸劇してるけど、それは置いといて。
そんな風に俺たちがあれこれ話していると、数十秒後、カラカルは恐る恐る口を開いた。
「……ミライさんたち、どこかしら」
「「……あ」」
あ゙っ 。
ヒグマは推しキャラなので無理矢理登場させていただきました。