戦闘開始とは言ったが、さすがにそのまま単身突撃していくほどバカじゃない。何より敵の数が多いから、戦術を考えるのは重要だ。
「とりあえずは二手に別れようか。バリーは私ときてくれる?」
「任された、トツカたちも頼むぞ」
「任せて!」
だが、別れるにしても俺達は戦闘に慣れていない。戦力は均等に分担したほうがいいと思うんだが、何か作戦があるのだろうか。
「それで、別れたらどうする?私たちはともかく、トツカとサーバルの組み合わせは少し心配だ」
「俺も同じく。だが、裏を返せば作戦があるってことだろ?」
取り敢えず、確信に近い言い方で思ったことを言う。まぁあるとおm
「適当に分けただけだよ?」
……そのいつぞやのサーバルみたいな反応やめろや。
~作戦立案中~
俺とサーバルは、セルリアン共の前に堂々と出た。もちろん、それまでカラカル達を探していたことも忘れ、俺達の方を向く。
「うっはー、それにしてもすごい数だな」
さっきまで気づかなかったが、小さいやつだけでも軽く7体。多すぎないか……?
「うう……」
「ま、さっさと行って、さっさと倒しちまうか……って、どうしたサーバル?」
「その……」
なんだよ、もどかしい。ヒグマたち待たせてんだから、早く行かねえと面倒くさいぞ。それともなんか言いたいことでもあんのか?怖気づいたのか?
「えーっと……セルリアンたちに見つめられすぎて、自己紹介の時のこと思い出しちゃってさ、恥ずかしさが」
………
「はぁー……」
「そんな呆れることないでしょー!」
この重要な時に、そんなことでいちいち止めないでくれ。今は寸劇やってる暇はねえんだよ。
「んじゃ俺が先行くから、ちゃんとついてこいよ?」
「え?先に行くって、あ、待って」
誰が待つか。
シュンッ
その瞬間、俺はサーバルの横を思いっきり横切り、そのまま思いっきりジャンプする。
俺のジャンプ力はサーバル程ではないが、少なくとも今目の前にいるセルリアンを超えて滑空していけるくらいには跳べる。
「──っと、オラッ!」
こちらの三次元的挙動についていけないセルリアンの一体に、滑空の勢いをつけ思いっきり殴り(を意識していたつもりだったが手の形が無意識にネコパンチっぽくなっていた)を入れてやる。
続いて他の奴らにも。
「オラオラオラにゃにゃにゃにゃにゃー!」
パッカーン!
ある程度攻撃して通り過ぎると、音を立ててセルリアンは破裂。あれだけ力を込めてやっても倒せたのは一体だけだったが、この攻撃の真髄は「注意をひく」ことにあるからな。
「うー、それなら私も!」
それに連続して、後ろから右手を光らせたサーバルがセルリアンに向かっていく。完全に俺を見ているセルリアンの背後へとサーバルは近づき、思いっきり右手を打ちおろす。
「『烈風のサバンナクロー』!」
右手をセルリアンにクリーンヒットさせつつ、サーバルはジャンプしながらこちらまで来る。それを確認した俺は、作戦通りサーバルと逃げに徹する。
そう、いわゆる「囮作戦」だ!
「今だ、走れ!」
「わわ、たくさん来てるよ!」
直線距離ならセルリアンには負けることはないから、うまくおびき出せればこのまま分離できそうだ。
大きいのは小さいのと比べてだいぶノロいから、それほど速く走らなくても十分に引き離せるとは思う。
「……トツカ、大体離れてきたよ!」
サーバルから報告を受け、待機していたバリーとヒグマに手を振って合図。
それを受けた2人はすぐに大きいセルリアンに追いついて、強力な一撃を喰らわせる。
「行くよバリー!『最強クマクマスタンプ』!」
「日頃の訓練の成果を見せてやる!『一撃崩壊の拳』!」
パッカーン!
俺たちが倒したヤツとは比べ物にならないほど大きいセルリアンを何体も倒していく。さすが2人とも戦闘に慣れてるだけあってなかなかに強い。
「あっちは問題なさそうだな」
あの様子なら全部倒せるだろう。となると、問題は今こっちを追いかけている小さいセルリアンだ。あの2人は今相手している分で手一杯だろうし、俺たちで倒すっきゃないようだ。
「サーバル、この小さいのは俺たちでなんとかするぞ。いけるな?」
「もっちろん、コテンパンにしてやるんだから!」
走るのをやめ、同時に背後へ振り返る。作戦のおかげで数は減っているが、やっぱ小型は大型より多いよなぁ。めんど。
まぁそうも言ってられないので、突進してくるところを思いっきり手を振り上げて攻撃。
「おうらっ!」
「みゃーっ!」
ベシッ!
「─────!」
く、流石に一撃じゃやられないか!
「にゃにゃにゃにゃにゃー!」
パッカーン!
よし、ようやく一体!それにしてもかたいな、ゲームでもこんな強かったかこいつら?いや単に俺のレベルが低いってのもあるかもしれんが、だいぶ骨が折れる。
「みゃんみゃんみゃん、みんみー!」
パッカーン!
サーバルもあまり効率よく倒せてる訳じゃなさそうだ。もとの動物が肉食獣だし問題ないと思ったが、経験のなさが響いてるな。こんなことならバリーの特訓もっと真面目に受けとくべきだった。んなつもりないけど。
「にゃっ、にゃっ……サーバル、そっち行ったぞ!」
「りょうかーい、『烈風の』……」
サーバルが迫る敵に当てようとした右手の光は、そのまま直撃した。
「いっっっっったーい!」
「みゃああああ!」と転がるサーバルの前でセルリアンをはたき落としつつ、俺は呆れていた。いやだって、何してんだお前!?なんでそこで素手、しかもよりにもよって硬いところに当てたんだ……運悪すぎだろお前。
「おい、どうしたんだ?さっきまで必殺技的なの使いまくってたじゃねえか」
「サンドスター切れかも、ははは……」
「はははっておまえ、よりにもよってここで」
会話しつつ、後ろから気配を感じて瞬時にその場を離れる。
ドシーン!
く、このままじゃ持たないかもしれないな。俺達の通常攻撃じゃ何体倒しても次がすぐに来るから、その分体力が消耗されちまう。
「そうだ!トツカはなんかこう、技みたいなのあるでしょ!?」
「だあ!?ねぇよんな……」
いや、ちょっと待て。これまでめちゃくちゃ気楽に過ごしてて忘れかけてたけど、俺って曲がりなりにも「守護けもの」なんだよな?
確か守護けものはこう、普通のアニマルガールよりも強かったはず、なんかこう、そういうデータは……
『……であり、自らを構成するけものプラズムを自在に変化させる事が可能……』
そうだ、「けものプラズム」!あれは確かアニマルガールの体を構成するなんちゃらかんちゃらで、とにかく体の形を変えて強力なこう、すごいことができるやつだった気がする。
「トツカ、早くしてー!」
あ、すまん。声がしたと思ったら、サーバルがいつの間にかセルリアンに追っかけられていた。俺からのマークが外れてたようだ。
「あー、もう少しでなんかできそうだからもうちょっとよろしく」
「そんな〜!?」
目を閉じてイメージする。イメージっつっても曖昧すぎてよくわかんないが、とにかく奴らを倒せるもの、倒せるもの……
「と、トツカ?それ……」
「なんだよ、少し話しかけないでくれ」
「え、いや、話を聞いてってうわ、なんか増えてるぅ!?」
うるさいな、こっちは集中してるんじゃ。てか、セルリアンに追っかけられながら話しかけてくるって地味にすごいなお前。
「その翼、はっ、どこからだしたの!?」
「翼?それなら前から」
「違うよ、よいしょ、背中の方!」
背中の方?なにを……
ズシッ
うおっ重!?なんか急に背中の重さが増したんだが、ってかこの今背中にくっついてるやつは──
「……翼?」